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+はっぴいクリスマス+
「蛮ちゃ〜ん…なんで、俺だけこんな格好しないといけないの?」
「あ?」
前を歩く蛮の後ろを、もじもじしながら銀次がついてくる。
「これって、女の子の服だよね??」
「そーだが?…似合ってるぜ。」
「に、似合ってるって…。そんなことじゃなくって〜」
堪りかねて、銀次は蛮のコートのそでを銀次はひっぱった。
「何だよ!今度の奪還にはあるクリスマスパーティに出席しないと出来ねぇって、
この前から言ってただろうが!」
振り向きざまイラついた様に、蛮は答える。
「でも、それで何で…?」
「だから、そのパーティは男女ペアでじゃねぇと入れねぇって説明しただろうが!」
「う〜。だったら、蛮ちゃんの邪眼で…」
「あ?何つまんねえ事言ってんだ?」
ペチっと、額を平手で軽く殴る。
この格好のせいか、人目を気にしてか、少し遠慮気味に叩いたが、
その拍子に、慣れないブーツと、夕方から積もりだした雪のせいで、
銀次は滑って、バランスを崩し、蛮を道ずれに派手に転んだ。
ちょうど銀次が蛮の上に乗っかる形で歩道にしりもちをついた。
「って!」
「馬鹿ヤロウ!さっさと降りろ!」
「ごめ〜ん」
怒鳴る一方で、その際、すかさず銀次の尻を撫でる事を忘れない蛮。
「ひゃ!」
毎度の事ながら、蛮のセクハラに、銀次はいちいち反応しては声を上げた。
慌てて銀次は立ち上がった」
「もう〜」
ぷうっと膨れる。
蛮はそれが可愛くて、ついつい、又やってしまうのだが…。
「ん…?さっきの感触…、おめぇ…穿いてねぇのか…?」
「う…うん」
真っ赤になって、俯く銀次。
「だってさ…。こんなカッコの時は、トランクスは穿いちゃいけないんでしょ?…」
「当たり前だ!」
蛮が真顔で答える。
「う〜。俺…、他持ってないもん…」
恥ずかしそうにもじもじとする銀次に、蛮はニヤリと悪魔的な笑いを浮かべる。
「なんだ、それを早く言えよ…。パーティにはまだ時間があるぜ、ちゃんとしたのを
買いに行くか?」
「え?」
「買ってやるぜ、この前の奪還料もまだ残ってるからな」
「うん。でも、ちゃんとしたのって?」
「あん?勝負パンツ?…って何?」
銀次がキョトンとして小首をかしげる。
「ここぞって、気合を入れる時に穿くパンツだぜ」
「え?そうなの??じゃあ、奪還の仕事の時に穿くの?」
「あ?そりゃ毎日だぜ?」
「毎日なの??」
「そうそう、いつ仕事があってもいいようにな?」
「へ〜。さっすが蛮ちゃん!あったまイイ〜v」
何も知らない銀次は、蛮を尊敬の目で見つめ、そして、ニコニコ笑った。
それを、ニヤリと確信犯は眺めた。
END
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