2人の馬鹿



まだまだ寒いけれど春の足音が確実に近づいているHONKY TONK
蛮は講座を開いている。
その講座を夏美ちゃんとレナちゃんは真剣に聞いていた。
蛮はどこから持ってきたのか白いホワイトボードに大きく字を書いた。

『テストに出るブラ講座』

「はーい、ここ大事よ、ブラのフィット感はサイズからね、これを怠るといい美乳にはなれないからね、ヘブンさんいるでしょう、
ヘブンさん、彼女はサイズをちゃんといいのをつけているからいい美乳を保っているのであって・・・」

レナちゃんはシュピと手を上げる。

「蛮さん、なんでヘブンさんが美乳ってこと知っているんですか?」

「これは愚問だよ、オレは揉むだけでどんな乳か分かるんだ、レナもはかってやろうか?」

「いいです、いいです、いりません。」

レナちゃんは慌てて胸を隠す。
その様子を遠くから片目で見ていた銀次。
蛮のちょっとエロ星人なのは許せても半分セクハラのようなのは少しあきれ返る。
おかげで銀次はつい口を出してしまった。

「ねぇ、蛮ちゃんやめようよ、こんなアホなこと。」

アホという言葉に蛮が過剰反応した。青筋が数本たっている。

「アホ?アホってテメーには言われたくねーよ、ア・ホ・な・テメーによ。」

銀次は本当のことを言われたのでウッと怯むが、すぐ次にはたれながらポンと蛮の頭の上に乗る。

「で・でもそれをいうならさ、蛮ちゃんだってすぐ競馬でお金を使うし、すぐ物を壊すし・・」

頭ににこにこしている馬とかが飛び交う。

「蛮ちゃんの方があほだと思う。」

「何ぃ〜〜〜!!」

蛮は銀次をひっぺがして睨む。
しかし銀次も負けてないというように睨み返す。
激しく視線がぶつかりあった。
周りにはとげとげしいオーラが飛び交っている。
先に動いたのは蛮だった。
蛮はモーションをかける。

「テメーの方が・・・・」

蛮の手の中で銀次はビチビチと騒いでいる。

「バカだ!!」

蛮の叫びと一緒に銀次はおもいっきり投げ飛ばされた。



天井



ポンポンポン

という音と一緒にたれ銀が弾む。
その様子はまるでボールのよう。
だからなのか夏美ちゃんとレナちゃんに関してはほのぼのとしている。

「銀ちゃん、面白いねーー」

「そうですよね、昔遊んだボール遊びとか思い出しますよね。」

波児はまたいつものことというように気にするでもなく新聞を読んでいる。

さて弾んだたれ銀の最後に跳んだのは・・・
蛮の顔に直撃だった。細かくいうなら蛮の顔に貼りついた。

「おい、銀次何貼りついてやがんだ!!見えねーじゃねーか!!」

たれ銀をはがそうと蛮はじたばたしている。そんなたれ銀が一言

「い〜〜や、蛮ちゃんの方があほだよ。」

怒りの一発かその言葉を聞いたあと蛮は一気にたれ銀をひっぺがした。

「あほはテメーの方だろ!!」

たれ銀も床に転がってもすぐ反撃してくる。

「蛮ちゃんの方が数倍アホだよ。」

「テメーは知能がないに等しいだろうが!!」

「賭けで財金を食いつぶす人が一番アホだって何かで聞いたもん。」

「アホはテメーだ、銀次!!」

「いや、アホ大王は蛮ちゃんだよ、アホの王様。」

・ ・・とバカっぽい喧嘩がどれぐらい続いただろう。
蛮は大声で叫びすぎで喉が痛くなった。
仕方ないので銀次に提案する。

「なあ、こう言い合ってもらちあかねーからよ、第三者にどっちが『あほ』か聞こうぜ。」

銀次も喉が痛かったのかその提案を呑んだ。

「ってことでだ」
「ってことで」

「「どっちがあほだと思う!!波児さん!!」」

二人の声が美しくはもる。
いきなり話をふられた波児さんはキョトンとしていた。

「えっ、オレか?」

「うん、波児さん。」

「うーん、そうだな。2人とも馬鹿だな。」

波児さんは新聞から目を離すとズバッと言った。

「「ええ〜〜〜!!」」

二人は叫びまくった。
銀次は泣きながら「そんなのひどいよ〜〜波児さん・・・」とたれ始め、
蛮はカウンターを叩いて「何ィーー!!」と波児に詰め寄る。
しかし波児さんは表情を少しも崩すどころかにこにこ笑っている。

「こんなつっかかったりショック受けることでもないだろ、いいじゃないか、馬鹿で。
それにな蛮、銀次、少しぐらい馬鹿な方が人生楽しいもんだぜ。」

そっか・・・人生楽しいんだ・・・
そう思った銀次の瞳は周りに花を背負いそうなぐらいに夢みる目になっていた。
蛮はそんな銀次を呆れて見ている。
たくよ、何感動してやがるんだ・・・

「でもオレは天才の方がいい、そりゃ、天才かアホなら天才の方がいいに決まってんじゃねーか!!」

「そうか。」

波児はまた気にするでもなく新聞に目を移した。
もっと気にしろよとまた蛮がつっかかろうとした時後ろから銀次が抱き付いてきた。
予期せぬ出来事に蛮は体のバランスを崩しそうになった。

「いいじゃない、2人して馬鹿で!!」

にこにこしながら銀次は話しかけた。
蛮は不思議な顔をした。
はあ?テメーもさっきまで落ち込んでいたクチじゃねーか。

「何言ってんだ、銀次、オレがバカっていうのがそんな嬉しいのか?」

「違うのです。」

銀次はたれながら頭を振ったと思ったらすぐリアルバージョンに戻った。

「だってアホだったら人生楽しいんでしょ、だったらオレ蛮ちゃんにはアホになって幸せになってほしい。」

銀次は太陽のような笑顔を見せた。

「これだったらオレも蛮ちゃんも幸せでいいじゃない、ね∨」

けっこう無理やりな理論だと思ったが、銀次の笑顔を見ると毒気が消えてこんなのもいいかと思ってしまう。

「・・・・バカ。」

「ウワァーイウワァーイ、バカって言われた。」

「たく、テメーはよ。」

一時の怒りモードはどこへやらホワホワとした空気が立ち込めた。
遠くで見ていた夏美ちゃんが波児に耳打ちする。

「何か、楽しそうですね。」

「まっ、いいことだ。」

波児は新聞を見ながら答えた。






銀ようかんさんの20000HITフリーSSです!

蛮銀2人の、ふとした楽しい日常。
銀ようかんさんはそんなSSをたくさん書いてらっしゃるのですが
コレもまたワタクシの大好きな・・・ホンキートンクでのオチャメ(笑)な蛮銀〜〜vv

些細なコトで仲良く(?)ケンカして。

ちょっと意地張って言い返す銀次がとてもイイ感じなのです〜v
タレっぷりもカワイイ!

実は子供っぽいトコロを持ち合わせている・・という蛮ちゃんの雰囲気が
原作に近いカンジでコレまたツボなのですv

やっぱり最後は銀次の天然&スマイルにヤラレちゃう美堂さん、好きですv
(出だしのエロ星人ぶりもね!/笑)

2人を諭すポールさんも、飄々としててイイ味出してます(笑)
とにかく楽しい読後感でした〜☆


銀ようかんさん、20000HITおめでとうございます!
そして、こんなカワイらしいお話しをフリーにして下さってありがとうございます〜〜♪

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