寒い夜は・・・〉


今夜は寒い
今夜は春とは思えない
今夜はお腹がすく


桜ももうすぐ咲く時期だというのに、今日は本当に寒かった。
昼でこそ波児にねだれば飯が出てくることもあるが夜はHONKYTONKは閉まっている。
今日がこんな寒かったなら車のエアコンを直しておけばよかった。
車のエアコンは頗る調子が悪くぜんぜん効かない。
銀次の腹がグゥーと鳴った。

「蛮ちゃん、お腹がすいたよ。」

「オレだってお腹すいてる。」

「波児さんところにでもタカリに行く?」

「いや、それよりあそこに行こうぜ。」

車を中央公園の中に止めといて、2人は歩き出す。
しばらく歩いて立ち止まったのは路地裏のゴミ箱

「あっ、ここはスーパーのゴミ箱じゃない?コンビニじゃないんだ。」

「まあ、コンビニでもいいんだが、弁当だけじゃ栄養が偏るからな。」

「栄養偏る前に飢えるのが先じゃない?」

「お腹を減るのにとどめをさすことを言うな!!」

「へーい。」

銀次はたれて腕をピシッと上げた。

「とりあえずだ、いいもん探しにさっさと調べるぞ。」

蛮は1つのゴミ箱を探った。銀次はもう一方に見えているゴミ箱を探る。
夏ほどひどくないとはいえ、生野菜とかもあるからか独特の臭いが鼻についた。
コンビニのでもそんな臭いがないとはいえないが、腐っていても
容器に入っているので結構ましなのだ。

「ねぇ、蛮ちゃん、本当にここでやるの・・・?」

銀次は尋ねた。
同じ捨てた食べ物を探るならもうちょっと臭いがない方がいい。

「ああ、テメーもしっかり探せよ、コンビニとは違う掘り出し物があるかもしれねー
しよ!!」

蛮はやる気満々である。先早くゴミ箱に手をつっこんでいる。
これは諦めるしかないな・・と銀次は恐る恐るゴミ箱の中に手を伸ばした。

ゴミ箱の中はドロドロになって原型の留めていない野菜とか、色がとても変わってい
る果物とかがあってその度に避けながら中身を探っていった。
もう食べれないのばっかりじゃないかな・・・そう思ってもっと奥をさぐるとちょっ
と綺麗めな袋に入ったものが出てきた。
袋の中身はまだシャンとした野菜、まだ赤い肉、きれいな切り身の魚。
腐った野菜と一緒に入っているものとは思えなかった。
袋の上には「おなべセット」と書いている渋めのシールが貼ってある。
探すと同じものが4袋出てきた。

「蛮ちゃん、こんなのがあったよ。」

銀次が蛮に袋を見せた。
すると嬉しそうな顔を蛮は向けた。

「おお、見つかったか、4袋とは上等じゃねーかよ。」

「うん、しかも綺麗そうだよ、さっき賞味期限見たら、まだ昨日までのだったんだよ!!」

「おお、そりゃオレ達にもらってくれって言っているようなもんだよな。」

「あっでもお鍋セットじゃあ、調理する鍋なんて持ってなかったんじゃあ・・・」

「まあスバルをひっくり返せば出てくんだろ、じゃあ引き上げるぜ。」

「あれもういいの?」

「ああ、これだけあれば十分だしな、それにここの臭いは臭くてたまんねーからな。」

「やっぱり蛮ちゃんも臭かったんだ・・」

平気な顔をしていたから大丈夫だと思ってたのになぁ


スバルの待ってる中央公園を戻って2人はすぐ手を洗った。
液体状の野菜がついた手のままじゃ気持ち悪かったからだ。
そしてお鍋セットの袋についたごみの汁も綺麗に洗い流す。
洗うと袋は売っていたのをそのまま持ってきましたといっても通じそうなぐらいに綺麗になった。
まだ捨てられてあまりたっていなかったのだろう。

鍋は簡単に見つかった。
波児さんがもらったはいいけど使わないからと昔押し付けられたのが奥から出てきたのだ。
あの時は正直ちょっと迷惑な気もしたけど、今日は鍋が宝石にでも見えるよ。
七輪はもともとあった。
そりゃアウトドア派(?)のオレ達には必要なのでもともとあるしね。

2人は七輪を公園の休憩所に置いたりして用意をした。
野菜とかは切ってあるからタライに中身を出すだけ。

「どれぐらい食べるんだ?」

「そりゃあ、全部だよ、お腹ペコペコだもん。」

「そう言うと思ったぜ、テメーは大食漢だもんな。」

「あれ?オレだけじゃあないしょ、蛮ちゃんも相当なもんだよ。」

「いや、テメーの方がぜってぇすげえ!!」

蛮がズバッと言ったのでつい銀次も頷けずにいられなかった。
蛮は4袋の野菜と肉を全部出した。まだだし汁とうどんの袋は残したままだった。
蛮はポケットを探ってライターを取り出し、火をつけようとした。
だが、カチカチという音が空回りするだけで火はぜんぜん点かなかった。

「ちっ、つかねぇ、こんな時によお・・テンション下がるよな、銀次。」

蛮が舌打ちすると、銀次がにっこりと笑って炭に手を置く。

「オレが電撃で点けてみるよ。」

「点けてみるってやったことあんのか?」

「ん・・・ないけどやってみる価値はあるんじゃない?」

そう銀次が言うと彼は目を閉じた。
周りに彼の周りからバチリと火花が飛び、彼の手から火が出た。

「やった、やったよ、蛮ちゃん。」

「喜ぶのはいいが、早く炭から手を離しやがれ!!」

「えっ。」

「燃えてるぞ、テメーの手・・・」

じっと銀次は手元を見直した。そういえばオレの手も燃えているような・・
現実を見ると嬉しさで忘れていた感覚を思い出す。

「アツ、アッチッチ、熱いよぉーーー!!」

銀次はダッシュで水のところまで走って噴水のところに飛び込んだ。

「・・銀次・・・」

呆れ顔で蛮は銀次を見ていた。


銀次は手の火を消して七輪のところに戻るとすぐ火にあたっていた。
ちょっと近すぎるぐらいに近づいて。

「おい、銀次、こんなに近づいたらまた燃えるぞ。」

「そうは言っても寒いんだもん、蛮ちゃん。」

「お前なぁ、水につかってから着替えてないだろう?」

「だって着替えに行くのが寒くて寒くてさ。」

「寒いのは少しだけだ、ながーい目で見たら着替えない方が冷えんだよ、
 だからさっさと着替えやがれ!!」

「えーーじゃあさ、蛮ちゃん何かとってきてよ。」

「子供かテメーは?自分で取って来い!!」

「ちぇ、蛮ちゃんのケチ」

そう言いながら銀次はスバルの方に走っていった。
すぐにでも火のところまで戻りたかったのだろう。
すぐに着替えて戻ってきた。

「うう〜〜着替えたけどまだまだ寒いや。」

銀次はブルブル震えながら火にあたる。
そしてふいに蛮の手を触った。

「蛮ちゃんの手は暖かいや、いいなぁ、蛮ちゃん。」

「テメーは冷たいな、銀次。暖かくさせてやろうか。」

そう言うと蛮が銀次の指を手に含んだ。
銀次の顔は真っ赤になり、パニックになる。

「ええええ、ば・蛮ちゃん、そんなことされたらそんなことされたらオ・オレのあれが・・」

銀次は興奮している。恥ずかしいようなでもちょっぴし嬉しいような・・

「勃ったのか?」

赤い顔で銀次はコクンと頷く。
蛮はすかさず首にキスを落とした。
まだまだ初な銀次はそれだけで嬉しそうに反応する。
お腹のあたりも優しくキスを続け、所有印を刻もうとした時・・
盛大にグゥーーと銀次の腹の虫が鳴った。

「くくく〜〜〜」

たまらず蛮はふきだした。

「本当にお前は色気より食い気だな。」

「ごめん、蛮ちゃん。」

ちょっともじもじと銀次は言った。
蛮は額と額をつけて囁く。

「まあしゃーねーよ、お腹いっぱいになったら続きやろうな。」

「う・うん。」

銀次は期待しているのかしてないのかちょっと歯切れの悪い返事をした。


鍋に袋に一緒についてたなべ用の汁を入れた。
そして蛮は肉だけを入れた。
しばらく2人は肉だけを食べていたが、肉2回目の時、思い立ったように野菜のタライを持ってきた。

「ねぇ、蛮ちゃん、野菜も食べようよ。」

ドサドサドサと野菜を一気に入れる。

「あっ、テメー!!こんなに肉入れるんじゃねー!!」

「えっ、駄目だった?」

「そりゃそうだ、せっかくオレ様が肉を堪能してるっていうのによ。」

「野菜入れても肉は減らないよ?」

「でもオレは肉だけ先に食べるのが好きなの。」

「ふぅーーん、蛮ちゃん。」

銀次はたれてジッと蛮を見る。

「蛮ちゃんって鍋大名だよね。」

そう言うと図星なのか、ちょっとポカンと殴られた。
でも今日はちょっと強い気がするよ。
なんだか目から閃光が出た気がしたもん。
もう少しでビームとか出るかもしれないぐらい強かったよ。

野菜も煮あがってから食べた。
でもやっぱりオレは肉が好き。
食べるのは豚か鳥の肉。
それだからか

「銀次、テメーは野菜ももっと食べろよ、お前、肉ばっかりだろうが。」

「だってオレ肉派なんだもん。」

「オレも肉が好きなんだよ。」

おかげでうどん入れる時も残っていたのは野菜ばっかりだったんだ。
でも野菜もすごい美味しかったよ。
白菜とか葱とか・・あっでも春菊はちょっと苦かったからあまり好きじゃないけどね。

数時間後
鍋は空になって七輪の火も消えた。
銀次の体はホカホカになった。
横にいる蛮の顔も仄かに赤くて彼も暖かいのだろう。
食べ始めは冷たかった手もとっても暖かい。
ちょっと寒い風も心地よく感じた。

「鍋っていいよね?蛮ちゃん。」

「ああ、そうだな。」

「蛮ちゃんと同じものをつつくって楽しい、またやろうね∨」

「またお鍋セットが捨ててあったらな。」

「うん、捨ててあればいいよね。」

「まあ、それよりもだ。」

いきなりドアップで銀次の顔に蛮は近づいた。

「さっきの続きやろうぜ、続き。」

「続き?」

「エッチだよ。」

「・・・・・・先、片付けした方がいいんじゃない?」

「そんなの後でもできる!!今燃え上がってたまんねーんだよ。」

そう言って半分むりやりな気もするぐらいの勢いで蛮は銀次をスバルに連れ込んだ。

その後どうなったかは読んでいるあなたの想像の上でね★

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コメント

なんでこんなエロモードに・・・??
素敵な18禁本を見たせいなのか・・・?
何か暖かいものをほのぼの分け合っているようないないような微妙ですね。
鍋は一緒のものをつついているってことで無理やりですが暖かいものを
分け合っているってことでよろしく。
ちなみにこれが浮かんで手をつけ始めたのが2月。
だからちょっと季節がずれてます。今3月はお鍋セットなんかあるのかなぁ・・・




 うはうはーー!
ちょっと、どうですかどーですかvv このなんとも愛おしい蛮銀ってばー!

なにはともあれ、2人が等身大なトコロがとても魅力的なのですv
銀ようかんさんの蛮銀は、ヘンに美化していないといいますか、
ちゃんと2人が『男の子同士』なんですよ〜

それでいて、この萌えっぷりv

美堂さんが、とても銀次を大事にしていて。
銀次のはにかんだ様子がまたカワイらしくって。
読み返してはカオがニヘラ〜と緩むのデス(笑)

このSSはですね。
『奪還屋の生活』さまとリンクを相互にした記念として、
銀ようかんさんがワタクシめに下さった作品なのですよぉーv

わー、もったいなや〜。でもでも嬉しい〜!

しかもワガママなリクエストにお答えしてくれました。
 「なにかあたたかいモノをほのぼの分け合っている蛮銀〜」なんて
お願いをしたのですが・・・!

まさかこんなステキな、しかもちょっぴり裏仕様とはビックリなのです。
モチロン嬉しい不意打ち!

銀ようかんさんはたくさんのお話しを書いていらっしゃいますが
サイト様でもウラ的なものはほとんどありません。
ですからこの作品はホントに貴重な宝物なのですー!

うふふ。なんて果報者なんでしょ☆

銀ようかんさん、本当に有り難うゴザイマス〜〜!

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