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「何故だ・・・・・。」
道端にノートが落ちている。
表紙にはなにやら
見覚えのある文字。
「海堂専用、vol.8。
マル秘、見るな。」
”なんつー恥ずかしい物
落としてやがる・・・・・・。”
海堂はそれを拾った。
“べ、別に
先輩が困るとか、
そーいうんじゃ
ねぇからな・・・。”
ぶつくさ呟きながら
さらに歩く。
「あ・・・・・・。」
・・・眼鏡が落ちていた。
“何やってんだ、
あの野郎・・・・・・。”
拾い上げて
試しにかけてみた。
「・・・全然、見えねえ・・・。」
“どうりで素顔が
見えねえはずだ。
どんな視力してやがる・・・。”
かけていると
くらくらしてきそうだ。
「おーい、海堂!」
突然、
上から声がふってきた。
見上げればそこに
先輩の姿。
間抜け面が見てやりたくて
眼鏡を少しずらせば
案の定
抜け顔な先輩がいた。
「・・・何ニヤついてんすか、
先輩・・・・・・。」
「いや、ちょっとね。」
「海堂なら拾ってきてくれると思ってたんだ。」と乾は笑った。
「・・・おい、アンタ、俺が行くまでそのままでいろ。」
「いや、いいよ。俺がそっちに行くから。」
「いいからそこに居ろ!」
海堂はそのまま走り出そうとした。
「おい、海堂。」
「何すか!?」
「眼鏡、外して走ってよ。」
「どうして?」と訊こうとしてそのあまりのニヤつきようにドキリとして立ち止まる。
「あれ、どうしてって訊かないの?」
「何でっすか!?」
「うーん、だって俺の予想だと海堂が『どうしてっすか?』って訊いてそれに俺が
『海堂が可愛いから、俺皆に見せたくないんだよ。』
って答えるはずなんだよ。」
「だ、誰が・・・・・・き、訊くか、んなこと!!」
「馬鹿言ってると持っていってやらねぇぞ!!」と海堂は喚いてる。
「でも、海堂は持ってくるよ。」
「んでわかるんすか!?」
「海堂、俺が眼鏡外してる所、見せたくないだろ?」
「っ・・・・・・だ・・・い、言ってろ!!」
顔を真っ赤にして海堂は視界から見えなくなった。
“それじゃ肯定と同じだよ、海堂・・・。”
外をぼんやりと眺めながら、乾は
「さて、これからどうやってご機嫌を取ろうかな・・・。」
とこれから来る不機嫌な恋人を想像して笑った。


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