俺たちからのプレゼント







選抜の練習が終わり、更衣室で帰る準備をしていた時だった。

「あ、そういや、明日、英士の誕生日だよな」

思い出したような真田の言葉に反応したのは一緒にいた若菜。

「あぁ!そーだよな。悪りぃ、マジ忘れてた」

「別に良いよ。気にして無いし」

「いーや!良くない、な、一馬」

コクリと頷き若菜に同意する。

「英士が欲しいものかー」

そう言うと意味ありげに水野の方をチラリと見る。

「別に要らないよ。そんな歳じゃないでしょ」

「・・・英士幾つだよ」

「そうだぞ、英士!プレゼントは絶対やるから、良いな?」

「分かったよ」

「よし!ってことで英士は先に帰れ」

「は?」

「俺たちは英士へのプレゼント考えなきゃならないしー」

「・・・分かったから。語尾伸ばすの止めてよね、気持ち悪い」

「ひっどぉーい!」

「・・・・・」

キッと睨む郭、ただでさえ迫力があるというのにこの睨みで倍増されていた。

「・・・英士悪い」

見かねた真田は助け舟を出した。

「かぢゅまー!!」

ありがとー!大好きー!と言わんばかりに若菜が真田の背に抱きつく。

「重いつーの!!ってか、かぢゅまって言うなバカ結人!」

その光景を見ていた郭はバカらしくなったのか元の表情に戻り、2人に告げた。

「じゃ、俺帰ることにするから、2人で遊んでなよ」

そういい終わると郭は出て行った。

「「・・・・・・」」

何故か黙る若菜と真田。

その様子を怪訝に思いながらもずっと見ていた水野はこちらを向いた若菜と真田と目が合った。

「・・・良し、英士は行ったな。ってことで水野!!」

ビシッ!と人差し指で指さんばかりの勢いで呼ぶ若菜。

「・・・何だよ」

「水野・・・協力して欲しいんだ」

普段滅多に人の目を見て話さない真田がじっと目を向けてそう言うので思わず水野はビクッと震えた。

「別に、取って食いはしねーから」

ちょいちょい、と手でもっと近くに寄れと示す若菜に水野は渋々近くに寄った。

「なんだよ」

「実は・・・」

耳元に寄せられ小さな声で若菜は言った。

 

――― 明日、英士とデートして欲しいんだ。

 

 

 

午前11時20分 天気 晴れ

俺は人を待っていた。約束時間は11時30分。つまり後10分、もしくは少し早くその待ち人は来るであろうと予想される。

「・・・寒い」

季節は冬、寒くて当たり前だ。

「・・・にしても、俺で良いのか?」

昨日散々あの2人に聞いた言葉。答えは全てOKだったが。

「あれ、水野?」

昨日のことを思い出していた時にその人物はやって来た。

「・・・よぉ」

「どうしたの?誰かと待ち合わせ?」

「えっと・・・あー・・まぁ・・そんな感じ・・」

見事に歯切れが悪い。

(俺にどう説明しろと!?『デートしろって言われた』とでも言えば良いのか!?)

「水野?」

少し怪訝そうに水野の顔を見る郭。

「いや・・・なんでもない・・・」

「ふーん・・・」

疑っている、という感じで水野をじっと見る。

その時、水野にとって神の救いと言わんばかりに郭の携帯が鳴った。

 

【 英士、誕生日おめでとー!

  俺たちのプレゼントは、な、何と!!

  水野と1日デートするで〜す。思う存分楽しめ!た・だ・し!

  手は出すなよ〜!合意ならOKだけどさ。んじゃなー!

                          結人&一馬 】

 

その文面を見た郭は思わず言った。

「あの、お節介」

でも、そう言った郭の顔が少し嬉しそうだったのに気付くのはきっと若菜と真田くらいであろう。

「・・・まぁ、そういう事らしいから」

メールを見終わったのを確認してからそう告げる。

「悪かったね。無理させたみたいで」

「いいよ、別に・・・それより、どっか行かないか?」

「そうだね。デート・・・だしね」

「・・・何かお前にそう言われると恥ずかしい気がする」

顔を少し赤くしながら取り敢えず歩き始める。

「そう?俺は水野が言った方が恥ずかしいけど」

クスッと笑いながら水野の隣を歩く。

 

 

「やー、一馬さん。幸せそうですなぁ」

「・・・結人、覗くなよ!恥ずかしいだろ!」

若菜にそう言いながらも実は自分も気になりチラリと伺っている真田。

「一馬、照れるな!覗けるうちに覗いとけ!」

「・・・バレた時が怖いんだけど」

昨日の郭を思い出し少しゾッとする。

「・・・大丈夫だろ。・・多分。まぁ、その時は誤魔化す!」

「・・・どうやって?」

「俺と一馬もデートしてました〜!・・・っでぇ!!・・・一馬何殴ってんだよ!」

思いっ切り殴られズキズキとする頭を摩りながら訴える。

「・・煩い。バカ結人」

そう言い、帰ろうとする真田に焦る若菜。

「かぢゅまー!怒るなよ、な!リンゴジュース奢ってやるから」

そう言いながら真田を追いかけた。

 

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「ごめん、水野」

「いや、お前が謝らなくても・・」

「・・・そう言ってくれると助かるんだけど、それじゃ俺が納得出来ないし、それにあの2人叱れないから」

「・・・分かった」

コクリと頷きながら更に続ける。

「せめて・・バレないようにすれば良かったのにな・・・」

「無理でしょ。あの2人だし」

「あぁ・・そうかもな」

お互い顔を見合わせながら笑った。

つまりは、さっきの若菜と真田のやり取りは全て筒抜けで、覗かれていた・・・という事も分かってしまった。

「それにしても・・タイミング良いメールだと思ったら・・・覗いてたとは・・・」

はぁ、とため息をつきながら紅茶を一口飲む。

「そうだな、まぁ、良い奴らだよな」

「そうなんだけどね・・・」

水野の目をじっと見、ふっと息を吐いてから言う。

「・・・デート、し直そうか」

その言葉に少し驚きながらも水野は軽く笑って同意した。

 

 

 

END





郭誕生日おめでとー!という事で・・・。
って、此れ郭水じゃない・・・。微郭水だ。
それと、若真・・・。やったねっ!!夢のコラボレーションだ!(爆)
何気にこの2人書いてて楽しかったです!!というか一馬が可愛くて可愛くて・・・!!
何か誕生日っぽくなくて申し訳無いです。
まぁ、誕生日にUP出来たという事で・・・。それにしても、郭水第2段が・・・郭水っぽくないって・・・。




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