「タツボン君?」
「………」
「タツボン君?」
顔を覗き込むようにして見てくるのは吉田光徳と云うらしい人物。
顔は知っていたが話したことも無い相手が目の前に居る事だけでも驚きなのに…更に忌々しいあの名前を呼んでいる。
「タツボン君!!」
どうやら相手が返事をしない俺に痺れを切らしたらしいがそれは俺も同じ事。
「煩いんだよ!!タツボンって呼ぶなっ」
そう叫んだ後しまった…と思いつつも吉田のキョトンとした顔が可笑しくて笑ってしまった。
「あー、タツボンく…水野君が笑っとる!」
そう言い出すと吉田も笑い出した。
二人で笑っているとどうしてこんな所に吉田が居るのか分からず聞いてしまった。
「そういえば、何で吉田がここに…」
「あ、そうやった!僕、水野君に用事があってん」
とにかく笑顔の吉田は手に持っていた鞄から小さな包みを出した。
「はい」
「何…?」
「僕からの気持ちやねん。受け取ったって」
「は?」
「てのは冗談やねんけど…、これ藤村から」
「シゲから?」
「そうやで、今日バレンタイやん?僕なちょっとこっちに用事があってん。それ言うたら、あいつ、藤村がコレ水野君に渡しといて…言うてん。自分で渡したらええのにな」
「はぁ…?」
吉田の流れるような話に俺は相槌をうつしかなかった。
「ほな、渡したで!僕用事あるから…また会うたってな」
そう言いながら手を振って走り去る吉田を見ながら、手の中の小さな包みを握りしめた。


「なぁ、藤村…タツボン君てどんな子なん?」
「そんなん見て来たらすぐ分かんで」
「そか…ほんなら僕見てこようかな」
「…ホンマか?」
「ホンマホンマ」

なぁ、藤村…僕水野君に惚れてしもたかも知れん。
もしかしたらライバルになるんかな?










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