ポツリ、ポツリ。
さっきまで晴れていた空はいつの間にか薄暗くなっていた。
次第に耳に聞こえる音は大きくなりだす。
「雨…」
君がいなくなった日も確かこんな風だったっけ…。
耳に残るのは雨の音。視界を防ぐ雨。
見えなくなる君。
追えない私。
傘を差すのも忘れ立ち尽くす事しか出来ないでいた。
「バカ…」
力無い一言が私の口から零れる。
「バカ…っ…」
先程より幾分大きな声で…。
窓から手を伸ばし掌を広げる。
冷たい雫が手に降り落ちる…。
ポタ、ポタ。
手を傾け溜まった水を流す。
その行方は雨と混じり分からない。
まるで君のように。
頬をつたう涙は雨に混ざれますか…?
君にまた近づけますか…?
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2006.3.12