どうしたら良いか分からない。
誰を信じたら良いか、何を信じれば良いか分からない。
溢れ出す涙は止まる事を知らず、ただただ子供の様に泣くことしか出来なかった。


「泣けば良いと思ってる訳?」
「……………」
何も喋れない俺を睨みながらも痺れを切らしたように口を開き言う。
「だいたいアイツが悪いんだろ?」
綺麗な顔を歪め、でも何処か優しい瞳で俺を見下ろしている。
「いい加減喋りなよ。俺は水野に付き合ってる暇は無いんだから」
そう言いながら頭に触れる手…指が優しくて、また涙が出た。
「ちょ……勘弁してよ」
「ごめっ……」
謝りかけたその時、目と目があった気がした。
「泣きやんだ」
触れたのは唇。
「今度は俺を信じれば良いじゃん」
それはあまりにも残酷で甘美な誘惑。
「ねぇ水野、俺にしなよ」
何故だが無性に泣きたくなった。
さっきまで泣いていた筈なのに、その言葉に縛られた気がした。
信じたい。
信じられない。
「俺は裏切らないよ」
指が頬を伝う。
その時流れたのが…悔し涙なのか、嬉し涙なのか、今の俺には分からない。











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2006.3.1

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