「プリンス・ガーランド様、これを、ご覧ください」

悪の秘密結社マルク・ジュネの基地内。

部下の声に、プリンスは鋭い目線を向けた。


「プリマヴェールの正体に、一歩近づきましてございます」

部下が見せたのは、バッヂのようなものだった。

「これは……地上の学校の、校章……とかいうものか?」

「さようにございます。先日の戦闘の際、

プリマヴェールの片割れが落とした物に、相違ございません」

「なるほど……。ちょうど、面白いバイオケミカル獣人が完成したところだ。

ただちにこのバッヂから得た情報を元に、出動させよ!」


 * * * *


土曜日、放課後。

私服姿の三人の女の子が繁華街を歩いている。

ストレート、ロングのおとなしそうな女の子が、高校二年生、若草純菜。

純菜にひっついて離れない、少し身長小さ目の女の子が、

純菜の後輩、中学二年生の皐月乃(さつきの)つばさ。

その二人を面白そうに眺めているポニーテールの活発そうな女の子が、

クラスで一番純菜と仲のいい、篠原茜だ。


もうすぐ夏休み。

少し開放的な気分になる季節。

三人は、学校が終わってすぐ自宅で私服に着替え、アーケードで落ち合ったのだった。

「ねーさまーっ!次はどこ行きます?」

「うーん、そうだね……。わ、わ、つばさちゃん、ちょっと重いよ……!」

つばさが、純菜の腕にぶらさがっている。

「あはは、つばさちゃん、今日も純菜にラブラブ光線出しまくりだねっ」


「あ、ちょっと見て」「どうしたの?茜」

茜が指差した方を見ると、雑踏の中に、純菜たちの学校のセーラー服が見えた。

「ウチの学校の子じゃない? あ、うちの委員長だよ! お──い!」

向こうも気付いたようだ。人ごみをよけながら、こちらに近づいてくる。

「こんちにちわ、純菜さん。茜さん。それと…?」

肩の上で奇麗に切り揃えられた髪の、ちょっと気品ある美少女だ。

「うちの中学の、皐月乃つばさちゃん。後輩なの」「ハイです!」

「そう、よろしくね、つばさちゃん。今日は皆さんお買い物?」

純菜と茜のクラスのクラス委員長、高木ちなつだった。

成績優秀で大人びた印象の少女で、男子の間でもひそかに人気が高いらしい。

「私は、姉さんに学校まで車で迎えに来てもらったの」

そういえば、背の高い女性がこちらを見ている。

スリムジーンズで長い足を際立たせている、まるでモデルみたいな美人だ。

「すごい美人のお姉さんね」「大学に行ってるお姉さんってあの人?」「そうよ」

「ところでところでさあ、聞いた?」

茜が、委員長のちなつにヒソヒソ話をはじめる。

最近、大学生のカッコいい彼氏ができたと噂のクラスメートが、

ついに初めてのお泊りを経験したらしい、というのだ。

「ほんとうに? 噂でしょ」「でも……」

茜が証拠をあげてゆく。信憑性のある話らしい。

「うーん、マズい……のかしら?」「でもでも、ちょっと羨ましい気もするよー」

「そっか。そういう見方もあるね……ふふ。あれ?純菜さん?」

向こうを向いていた純菜が、ハッ、とこちらを振り向いた。顔が真っ赤だ。

茜が笑う。「この子、こういう話てんで駄目だからー」

ちなつもつられて笑ってしまった。「でも、純菜さんらしいわよ」

「もう……」ちょっと困った表情の純菜。

いつか好きな人と……なんて憧れることがまったく無いとは言えないが、

まだまだ、えっちなんて現実には考えられないのだった。


「ちーちゃん、そろそろ行くよ」ちなつの姉が、こちらに近づいてきた。

「うん! お姉ちゃんゴメンね、待たせて。じゃ、そろそろ行くから」

バイバイ、と手を振って、三人はちなつ姉妹と別れた。

とてて…、と身長差のある姉の後ろをついてゆくちなつ。

委員長で優等生、クラスでは大人びた印象のちなつも、姉さんの前では可愛い妹に

なるんだな──ちなつの、学校とは違った一面を見た気がした、純菜たちだった。


 * * * *


ぴちゃぴちゃぴちゃ……

ちゅっちゅっちゅっ……

「うぅ……っ」

夜。

街外れの裏路地に、異音と、女のすすり泣く声が響いている。

すすり泣いているのは……ちなつの姉、高木沙耶香だった。


沙耶香は、背中から抱きかかえられて、無理矢理足を開かされ、

ちょうど、赤ん坊が大人におしっこをさせてもらう時のような

ポーズを取らされていた。

Tシャツとブラは、首までまくりあげられ、ジーンズとショーツも、

膝まで降ろされている。乳房も、性器も、夜の街中の路上で、

露出させられているのだ。もちろん、野外で何もかも丸出しなんて、

沙耶香にとっても、生まれて初めての経験だった。

その姿で、後ろから抱える男に、性的になぶられているのだ……。


後ろから抱えている男は……、

──いや、それは、男……人間ではなかった。

全身から、透けた緑色のねばねばした触手を無数に伸ばし、

それで沙耶香の腕、足、身体の全てを拘束し、ねちっこく愛撫している。

マルク・ジュネの派遣したバイオケミカル獣人、スライム男だった。


買い物をすませ、この路地を通る際、

突然、沙耶香、ちなつの姉妹は、このスライム男に襲われた。

沙耶香には、妹を逃がして「警察を呼んで来て!」と叫ぶのが精一杯だった。

あっという間にスライム男に捕らえられ、こうして

恥ずかしいポーズでなぶられる羽目になってしまったのだ。

モデル然とした大人っぽい容姿の大学生、沙耶香が

こんなかっこうをさせられているのは、卑猥な光景だった。

ぴちゃぴちゃ、という異音は、沙耶香の裸の全身を這い続ける触手たち。

ちゅっちゅっ、というのは、その中でも一際響く、クリトリスへの愛撫の音だ。

最も細い触手の先端部分が、唇か吸盤のような器官になり、

沙耶香の膨れ上がったクリトリスを優しく吸いたててやっている。

「いやああ……」

ふたつの乳首は、それぞれ二本ずつの触手が交互にこすりたて、

過敏な、耳、脇、うなじも、無限かと思われるほど多くの触手が

さわさわとさざ波のように愛撫している。

そして、すべての触手が、濃厚な媚液入りの体液を沙耶香の身体に染み込ませているのだ。

無理矢理、女体を高みに昇りつめさせるために。


涙が零れる。止まることも知らないかのように。

沙耶香も、今や、触手が、単に自分の身体を這い回っているのでは無く、

明確に自分を感じさせよう、イカせようという意志を持って

愛撫していることに気付かざるを得なかった。

求め合った男女が、相手を喜ばせようと、相手の感じる所を探し出して

愛撫し合う……、それが、普通のセックスというものだろうと沙耶香は思う。

なら、今、路上で、こんな恥ずかしいポーズで、人間ではない下等な生物に

こんなことをされている自分は何なのだろう。

性感帯を探り出されて気持ち良くしてもらい、イカされようとしている自分……。

こんな惨めな思いをしたことは、今までの沙耶香の人生にはなかった。


だが、スライム男の触手を人間の筋力で逃れることは不可能だ。

しかも、逆らうと、クリトリスや乳首を

ねじ切られそうなほど強い力で締め付けられる。

振りほどこうとする度に、恥ずかしい場所に絶叫するような痛みを繰り返し与えられ、

沙耶香はもはやスライム男の言うがままになってしまっていた。

「……クックッ。感じルか?」「はいっ……。(ぐすっ)……感じ……ますっ……」

「イキそうか?」「う、うっ…、もうすぐ、もうすぐイキそう……」


目の前に一本の触手が寄って来、むくむくと形を変えた。

その形は、それが単なる一触手ではなく、

スライム男の生殖器であることをはっきりと示していた。

「もぐっ!!」

勢いよく、処女地である沙耶香の唇に飛び込み、盛大に精液を放出する。

「んんんっ!おっ、ふぐぅっ!」

もちろん、たっぷり媚薬が含まれた精液だ。

驚いて飲み込んでしまった沙耶香は、酒のように媚薬入り精液に酔ってしまった。

機械のごとく乳首とクリトリスを高速でこすり続ける触手の動きにも

責められて、もう、沙耶香は限界だった。

「んぅ!んぅ!んぅ!いぐぁ…イク、イク……〜〜〜〜っ!!」

汁まみれにされた乳房を、腰を、震わせて、沙耶香はイッた……。


ぐすっ……ぐしっ……。

スライム男に抱えられたまま、イカされたそのままのかっこうで、

沙耶香はすすりあげていた。

イカされてしまった──。こんな下等な生き物に、路上で。

男根状に形が固定されたスライムの触手が、沙耶香の前でゆらりと揺れた。

「サテ…、お次は本番と行コウか。人間の女を孕ませ、我が仔、我が分身を

増やしてゆかネバならナイのでナ。今日のオマエなら……

オレは100%受胎させることがデキる……」

「いや……いやああぁ……」

こんな恐ろしい言葉を聞いた事は、沙耶香にはなかった。

「この質問に答えロ。この校章に見覚えはあるカ?」

沙耶香の眼前に、別の触手が、妹の高校の校章を運んできた。

「そ、それは……?」

「ワレワレの敵、プリマヴェールが落としたものだ。

プリマヴェールの正体、プリマヴェールについて知ってること、スベテ教えロ……」

「し……、知らない……」

スライム男は、ぐいと沙耶香の肢体を持ち上げ、大きく足を開いた。

男根触手を、秘裂の前にぴたりと位置させる。

「いやっ!」

沙耶香は慌てて、その学校名を喋った。妹のことには一切触れずに。

「他の……それ以上の、ことは……。プリマヴェールなんて知らないわ……」

「ソウカ」

ぐぽっと男根触手の先端が秘裂にめり込んだ。

「うわぁぁっ!ひあっ!なんで、なんでぇー!こ、答えたわよっ」

「答えたら孕ませずにおいてヤルなど、約束した覚えはナイが…?」

「そんなっ! ひどい……!」


くいくいと男根触手が沙耶香の秘裂をいじる。

そこから細い触手が枝別れし、クリトリスも刺激し始める。

それで素直に愛液を流し始めてしまう自分の身体が、沙耶香は、呪わしかった。

(ゴメン、たくや……)

沙耶香は、この場にいない自分の恋人に、心から謝罪した。

(もう、バージン、あげられそうもないよ……)

沙耶香は、まだ処女だった。

この夏、両親には女友達と行くと言って恋人と旅行にでかけ、

そこでバージンを捧げる……、そう、決めていたのだ。

しかし、性器の中にもう触手は先端を埋めている。

沙耶香に許されたことはもう、諦める、それだけのようだった。


「オウ、やっと来たカ」

え……?

スライム男の声に、沙耶香は路地向こうに目を向けた。

その目に飛び込んできたものは……

「ち、ちーちゃん──っ!!」

逃がしたはずの妹、ちなつが、沙耶香とまったく同じかっこうで、

もう一人のスライム男に運ばれてきたのだ──。

「おねえ…ちゃぁぁん……」

やはり後ろから赤ん坊のおしっこポーズで抱きかかえられ、

セーラー服を捲り上げられて乳房を、スカートとショーツを下ろされて性器を、

それぞれ露出させられている。

真っ赤に上気した頬と、全身を覆う粘液、そして陰部から流れ落ちる愛液が、

ちなつも、やはりスライム男に全身を汚され、イカされたことを暗示している。

スライム男は、沙耶香の気付かぬうちに分身を離脱させて

ちなつのもとにも送り込み、まったく同じように犯していたのだ……。

「あぁああああぁ……」

鳴咽…。今度こそ、沙耶香は絶望した。

あえて妹を守るために我が身を危険にさらした行動が、すべて無駄だったのだ……。

「いや……イヤあぁ……!」

幼な子がイヤイヤするように、顔を、身体を振り回す。

もちろん、そんな抵抗には、何の意味もなかった──。

沙耶香とちなつ姉妹は、おしっこポーズから、地面と平行の

見えない戸板に張り付けるように高く抱え上げられ、

両足を裂けんばかりに大きく開かされた。

男根触手が、ぴったりふたりの秘裂の位置にとどまり、その瞬間を待つ。

しかも、悪意を込めて、姉妹の位置は互いの真正面、向かい合わせだ。

それぞれの性器を相手の眼前に突き合わせるように。

「ちーちゃん……」「お姉ちゃあん……」

涙が、とめどなく流れ落ちる。

この路上で、これから二人同時に処女を奪われ、しかも妊娠させられるのだ。

しかも、同じ相手、その上、人間以下の怪物に。

どんな憐れな姉妹なのだろう、自分達は……。

「イッテおくガ、堕胎はデキんぞ。薬で処置しようとすれバ

拒絶反応デ母体を道連れにして死ヌ。外科的に取り出そうとスレば、

母体の内臓を潜って逃げまくり、食い荒らす。

ナニ、余計なことをしなければ、

たった一ヶ月ばかりでブジ母にはなれル。安心しロ」

ふたりの絶望に駄目押しをしておいて、凌辱は、本格的に開始された。


ずぷう……。すぷぷぷぷ…。

「イヤああぁッッ!!!」「ひ、イイイぃぃッッ!!」

完全にふたり同時に、男根触手は挿入された。

悲鳴まで、姉妹同時だった。

愛する人のためなら耐えられたかもしれない、破瓜の痛み。

スライムなどに捧げるのでは、こころは、耐えられるはずもなかった……。

「痛い!痛いよう!お姉ちゃああん!」

「ぎっ!ひ、ひ、ひぁうっ!」

スライムに女にされた姉妹が、叫び、泣く。

しかし、男根触手は、ふたりの膣を容赦なく往復運動でほじり返す。

ちなつのふとももを、破瓜の血の滴が、二本、伝った。

そして、沙耶香のふとももにも、まるで姉妹だからとでも言うように、

同じように破瓜の血の滴が二本、伝ったのだった──。


「あう?う、ふゥン…。あ!」

妹、ちなつの声の調子が変わった。

普通の男根とは比べ物にならない太さで、あっという間に

二人の処女の処女膜を蹂躪し尽くした男根触手。

それが、今度は逆に、細く細く変化を始めたのだ。

開かれたばかりの女性器を傷めない細さまで変化し、

続いて、動きを優しく変えて膣をほじり出す。

無数の体穴から、大量の媚液を放射しながら……。

「うーっ!うーっ!」

痛みで蒼白になっていた沙耶香の、そしてちなつの頬が、ふたたび、紅潮し始める。

体内に湯を注がれているかのように、腰から体中に凄い快感が広がり、

脊髄を経由して脳をもわんわんと響かせる。

細くするだけではなく、ところどころを軟らかいボールのように膨らませて

Gスポットをこすりたて、信じ難い短時間に

処女ふたりに女の本物の快感を目覚めさせてゆくのだ。

他の無数の触手も、ふたたび活発な動きを開始した。

触られていない場所がわからぬほど、愛撫と、汚い汁が、

くまなくふたりの全身を覆い尽くす。

この快楽を知ってしまっては……、

もう、人間の愛撫では満足できない体にされてしまうかもしれない。

一生を、触手に犯された快楽の記憶に必死に抗い生きてゆくか、

もう一度触手に犯されることを求めて夜の街をさ迷う変態に堕ちるか……。

そんな悲惨な運命を生きてゆかざるを得なくなるかもしれないのだ。

気も狂わんばかりの快楽に耐えられず、妹が獣のような咆哮をあげるのを、

沙耶香は聞いた。そして、おそらく自分もそんな声をあげているのだろうと思う。

性の嵐に、自分が今何をし、されているのかすら、

ふたりには、わからなくなりつつあった。

すでに、自分から腰を振っていた。

処女穴は犯されたばかりだよいうのに、

そこから少しでも多くの快楽を絞り取ろうとするように。

手も足もいまだ拘束され、身動き一つ許されていないままのふたりだ。

快楽に乗せられて自分から出来ることは、腰を動かすぐらいしかなかった。

気が付くと、触手は媚液とはまた別の液を全身に分泌したらしい。

ふたりは、すべての衣服を溶かされ、一糸まとわぬ姿にされていた。

さっきまでの、尻と乳房だけを露出した、排泄の時のような姿も、惨めだった。

が、一糸まとわぬこの姿で、どうやって家まで帰れと言うのだろう……。

もし、今のふたりに、そんなことが考える思考力が残されていたら、だが。

そして、ふたりに家に帰る機会があれば、の話だが……。


ふたりの白く美しい裸身は、もはや触手の汚い汁で全身くまなくずぶ濡れだ。

髪の毛まで頭から汁をかぶったかのように濡れ、

重く垂れ下がってぽたぽたと滴を地面に落としている。

細いが強靭な触手が、両の乳首をキュッと締め、締めた力はそのままで

強引に乳首から抜けてゆく。

何度も何度もその動作を繰り返し、ビーン、ビーンと音が立つほど乳首を弾く。

姉妹まったく同じタイミングだ。姉妹の嬌声が重なるのが面白いらしい。

口にも再び男根触手が侵入し、唇を性器に見立てて抽送しつつ、

時折、強い催淫効果のある媚液を吐き出し、飲ませる。

肛門も細い触手がいじりまわし、襞ひとつまで丹念に愛撫して

姉妹を震わせた挙げ句、少しずつ門内に侵入を試みる。

さらに、姉妹を近づけ、二人の陰部をぴったり密着させる。

触手がふたりの身体を動かし、強引に陰部を擦り合わさせる。

無理矢理、実の姉妹でのレズ行為強制。

しかし、興奮でふくれあがったクリトリスの相互愛撫で、

ふたりは何度も軽い絶頂に上り詰めてしまうのだった。

ふいに、それら、弄びの乱舞がやんだ。

「…………?」

「そろそろ、アソビは終わりだ。種付けをスルぞ」

やめて、と声を出すこともできず、その最終段階を受け入れる姉妹。

ふたたび、膣内の剛棒がふくらみ始めると、

今まで以上の大量の媚液で膣壁を刺激しつつ、超高速の抽送が始まった。

乳首もクリトリスも、機械のように正確で高速な触手の往復で、刺激される。

「──────!!!!」

もう悲鳴が声にならない。

今までの愛撫と抽送が、終わりの見えない性の嵐だったとすれば、

これは、灼熱の太陽めがけて落ちてゆく、絶頂へ一直線の墜落だった。

(もう──終わりなのね……)

責めが終わることへの安堵や、失望などではない。

怪物の仔を妊娠する。

自分の人生が終わるのだ、という、静かな絶望だった──。

口は怪物の男根触手で埋められていても、

快楽の絶叫はそこから溢れ出て止まらない。

自らの破滅をうながすというのに、腰の動きも止められなかった。


──ブシュウゥッッ……


「ああ……!!!」「あ……!!!!」

二人は同時に互いの声を聞いた。

震える声。絶頂の声。射精を受けた、という、絶望と、覚悟の声……。

真っ白になる、全てが真っ白になりながらどこかに堕ちてゆく……。

処女穴だった場所から、こぽこぽと白い液体が押し出されて溢れた。

妹、ちなつの絶頂にぶるぶる震える腰から、一条の黄金の液体が

宙に弧を描き、月光を反射してきらめいた。

2秒ほど遅れて、姉も妹に続いた──。


いまだ自分の胎内で射精が続いているのを、沙耶香は感じている。

やはり人間とは違う。どくん、どくんと、射精は数分も経つのに、止まらない。

それだけではない。

非常に細い触手が、男根触手の先端から更に奥に、伸び始めていた。

卵管を通り抜け、触手から直接卵子に精子を吐き掛けようというのだ。

「やぁん…………」

膣内の異常な何かを、熱と微細な痛みで感じた沙耶香は、微かな悲鳴をあげる。

これが自分の声か、と、声を出した自分が自分で驚くほど、

それは、可愛らしく頼りない悲鳴しか出なくなっていた。

数十億の精子とともに触手は卵管を昇り、ついにどの精子よりも早く

卵巣にたどり着いて、沙耶香のそこに精子を直接送り込む。

チクッ、とこれまでの痛みと熱で最大のものが沙耶香のその部分に走った。

「痛っ!」

──妊娠した? ……妊娠……、した。

怪物の下等な精子は、人間の精子とはまるで違うものだ。

その微細な痛みに、何故か、沙耶香は、受胎を確信してしまった。

「お姉ちゃん」

妹の声がする。

「あたし、妊娠しちゃった。高校生なのに、妊娠しちゃったよう……」

妹も同じことを感じたのだと思い、沙耶香はあらためて悔しさに胸を焦がした。

(あたしたちは妊娠させられたのだ)

そして、その想像は当たっていた……。

気が付くと、くりくりと股間で触手が愛撫を始めていた。

乳首、肛門、そして全身の触手が蠢き始め、

股間に突き刺さった最大の触手も、ゆっくりと動き始める。

「ちょ、ちょっと……うはっ! ヤっ!」

「サテ……2回戦目といこうカ」

「ま、待って、離して! もう、……もう、妊娠したわよ。私たち……」

「確実を期さねバな。それに、オレは実験室を出たばかリダ。

オマエ達で思う存分試シ、また遊ばせてモラウぞ」

「やめてぇぇ────っ! もう、もうイヤぁぁ……!!」

沙耶香は絶叫した。ちなつの泣き声も聞こえた。

スライム男の手によって、路上で同時に女になり、そして母になった姉妹。

そのふたりを、再度の凌辱が襲った……。


ぐすっ……ぐしっ……

「う、うぅ……」

ようやく地面の上に降りることを許された、姉妹。

あれから凌辱は五度に及んだ。その度に、膣内は溢れるほどの精を受けた。

体力の限界が来るはずが、口から飲まされた媚液は強力な強壮剤をも

含むらしく、姉妹は気絶も許されずに犯され続けた。

息が止まりそうになれば休み、回復したら容赦なく再開する。

犯された何十分かの間をふたりは永遠にも感じ、

こうして姉妹して地上に降ろされたのも何時間ぶりかのように思えた。

しかし、夜は終わったわけではない。

スライム男は、まだまだ凌辱をまったくやめる気配がない。

姉妹を地上に降ろしたのは、犬のように這いつくばって

スライム男の男根に奉仕しろ、と命じてのことなのだ。

拒否しようが従おうが、凌辱は続くだけだ。

もう、処女は奪われ、妊娠もしてしまった。失うものはなかった。

それなら、拒否してまたひどい目に合わされるより、

スライム男が飽きるまでこの下等動物に快楽を与えられ続けた方が、

まだしも、ましだ。

ふたりは悲しい目配せを交わした後、スライム男の股間に顔を寄せ合った。

覚悟を決める。

自分を妊娠させた下等動物のちんぽに、口を使って奉仕する覚悟を。

……ぴちゃっ

「うむ……うん……うん……」

どちらからともなく、姉妹はそれぞれ男根の片側に自分の舌を這わせた。

自分たちの愛撫で、むくむくと男根触手が大きくなってゆく。

そうして十分大きくなったら、また、コレに犯されるのだ。

自分の処女を奪い、妊娠させた忌まわしい男根。

自分の姉妹の処女を奪い、妊娠させた呪わしい男根。

しかし、今それに対してできるのは、フェラチオ奉仕だけなのだ……。


時折、舌と舌とが触れ合った。

「!」

その度、ふたりの背がびくっと震える。実の姉妹と、舌を……。

特に、キスもまだしたことがなかった妹、ちなつの反応は激しい。

それをスライム男に見咎められ、姉妹は、男根を挟んで

姉妹でディープキスをすることを命じられた。

極限の色責めで逆らう気力すら奪われた姉妹は、無言でみつめ合った後、従った。

「む……んん……」

大きく口を開けて男根の側面を咥え、唇を重ね合う。

その唇の中で互いの舌を触れさせ合い、なめ合う。

ちなつの、これが、ファーストキスだった。

妊娠した後、ファーストキスを体験する少女……。実の姉と強制されて……。 初めてのフェラチオはやがて加熱し、次第に上手くなる姉妹の唇の間で、

スライム男の男根は膨れ上がってゆく。

「コレは具合がイイ……。ヤムをえん。いったん出すカ……」

姉妹に交互に飲ませることを宣告して、

まずは姉、沙耶香の頭を押さえて口に男根を突きこむ。

ジュッ、ジュッ、ジュッ、ジュッ!

どぷ……!!

「あふぅ……」

ごく、ごくと沙耶香が飲むのを確認して引き抜くと、

そのままちなつの唇に突き込んで排泄を続ける。

どぷ、どぷ、どぷ……。

「むー………!」

ちなつも、眉根を寄せて苦しみながら、ごくごくと飲んだ。

まだまだあふれ出る精液を、スライム男は、

肩寄せ合う裸身の姉妹の体中に振り掛ける。

白濁液は、顔を汚した。髪を汚した。

乳房を汚した。ふとももを汚した。恥毛を汚した。

姉妹は、精液を、手のひらを合わせて受け止め、開けた口で受けとめた──。


「ソレデハ6回目ダ」

下等動物に汁まみれにされた顔でせつなく見上げるふたりに、

当然のような顔で交尾の続行を宣告する。

全裸で地べたに座り込んでいるところ、大股を開き、両腕も手のひらを地面に

つけるよう命じる。どうにでもしてください、というポーズだ。

従順に従った姉妹を、またもや触手が包み込む。

全身を汁まみれにしてなお白く輝く美しい裸身に、

ふたたび怪しい官能が呼び起こされる。

「ぅふ──んん…」

抜け目なく乳首とクリトリスにも極細触手がくるりと巻き付きつつ、

姉妹を宙に持ち上げる。またあの姿勢、赤ん坊のおしっこポーズだ。

とてもさっきまでの処女穴に入るとは思えない極太の触手が、

今度はスムーズに入りこんでゆく。

すぷぷ……。

「ふぁあー!」「うン、うン…」

この短時間にそこまで触手に拡張されてしまったのだ。もう二度と元には戻れない。

抽送が始まった。またもや倒錯と堕落の快美感に堕ちてゆく姉妹……。

「あン、あン、あン、あン、あン…」「うっ、うっ、うっ……」

「どうダ? オレの触手に犯されるのが好きか?」

「好きぃぃ────ッッ!!」

「どうしよう、好きになっちゃったよ、気持ちいいよ、どうしよう…あァ」

もう、明日など、未来など、見えない。

頬を紅潮させて、今のこの刹那の快楽に没頭するだけになってしまった、

哀しいふたりだった。

「やめなさいっ!!」

突然──

夜の虚空に張りのある声が響いた。

ジェット機のような轟音が響き渡る。

嵐のように、路上に空気の乱流が吹き荒れる。

「キャッ!」

ばちん、と地面に裸の尻を打ち付けて、沙耶香は地面に落下した。

涙で曇る目を向ける。

スライム男が、ぶすぶすと煙をあげて半身を押さえている。

相当の苦痛をこらえているようだ。

「キサマ……」

きらきらと、闇の中に煌くものがある。

それは、人だ。

少女だ。

白とピンクの光の飛沫を美しい衣装から迸(ほとばし)らせつつ、

すっくとスライム男の前に立っている。

年の頃は、ちなつと同じぐらいだろうか。

「ねーさま!」

もう一人、白と青を基調とした、同じ衣装の少女がその側に立つ。

「なんてひどい……。罪も無い女の子をこんな目に合わせるなんて、

絶対に許せない!」

「そうよ! わたしとねーさま、二人が力を合わせれば、

アンタなんて、イチコロなんだからっ!」

「宇宙(そら)に頂く“月(ツクヨ)”の乙女!」

「地上を照らす“太陽(コロナ)”の天使!」

「勅命降臨、只今参上!」

「流聖天使、プリマヴェール!!」

グギ……と、スライム男が半身を押さえたまま立ちあがる。

「フ……不意打ちとはヒキョウだぞ……。ク、クク…、

しかしようやく会えたな、プリマヴェール!」

「その子も離しなさい!」

最初に現れたプリマヴェール──月(ツクヨ)が、スライム男の分身を指差した。

まだ、ちなつは分身に抱えられたままだ。先端も、膣に潜り込んでいる。

「ギ、ヒ、ヒ、渡さんぞ、大事な大事な種付け相手ダ。オレの仔を孕ませた女だ」

しゅうん、と、風を切る音がまた虚空に響いた。

「たあぁっ! プリマヴェール、サン・フレア・ソ──ド!」

黄色い光が眩しく輝き、年下のプリマヴェール、太陽(コロナ)の手刀が

スライム男の分身を撃った。

「ギアァッッ!!!」

じゅぼん、とすごい量の煙が巻き起こり、分身も、大きく傷ついた。

痛みで宙に放り出されたちなつの裸身を、月(ツクヨ)が優しく受け止める。

「もう大丈夫」

「オノレ、おのれ、プリマヴェール……ッ」


スライム男と分身が、それぞれプリマヴェールふたりの周囲を

渦巻いて周回し始める。

「気を付けて、つばさちゃん!」

「ハイです!」

しゃぁっ、と呼気を吐いて、周り中から何本もの触手が襲い掛かった。

「ムーン・シャイン・ソ────ド!!」

月(ツクヨ)の手刀の蒼い光が二条、三条と、闇夜に閃いた。

触手を二本三本とまとめて巻き込んでは、引き裂いてゆく。

寄せては引き、引いては寄せ、何度か触手の波状攻撃が襲ったが、

ついに月(ツクヨ)の身体に触れることはできなかった。

「グギ……触手が足りヌ……触手ガ……」

不意打ちを受けてしまったダメージが、スライム男の攻撃力を弱めているようだ。

「つばさちゃん、大丈夫!?」

「ハイです、ねーさま!」

つばさも無事攻撃を切り抜けていた。

続いて、しゃッ、と本体がまるごと、跳んで来た。

二人の流聖天使は、すばやい身のこなしでそれをかわす。

しかし本体の目的は体当たりではなかった。

分身の横に着地、合体して大きさを取り戻す。さらに……

「しまった!」

月(ツクヨ)に抱き止められた後、気を失っていたちなつに、

スライム男は這い寄って行ったのだ。

阻止せんと駆け寄ろうとしたプリマヴェールに、びゃっ!びゃっ!と

さんざん姉妹に飲ませた汚液を吐き出して、牽制するスライム男。

ちなつは、間一髪の所でスライム男に飲み込まれてしまった。

「ああ……」

首だけ出して、スライム男に体中を包まれるちなつ。

「近寄るナ! このまマ、溶解して食料としテしまうことも、細胞融合して

オレの一部にしてシマうこともできルのだゾ」

「なんてこと……」


その時、するするとプリマヴェールに近づくものがあった。

「!」

「えっ!?」

一直線に背後から飛んできたものは──一本の触手だ。

びしゅっ!「あぁんっ!!」

慌ててよけようとした太陽(コロナ)の顔めがけ、触手は汚液を吐き出し、

避けきれず太陽(コロナ)は口の中にそれを入れてしまった。

驚いて少し飲み込んでしまう。

「に、苦ーいっ!!」

がくっと膝を落とす太陽(コロナ)。

「つばさちゃん!」

驚きだけではない。かぁっと身体が熱を持ち、ふるふる震えて力が抜けてしまった。

「あ……熱いです……。あう……」

「大丈夫!? つばさちゃん!」

スライム男は、路地脇の闇を利用して、一本だけ触手を忍ばせていたのだ。

「グハハハ! プリマヴェールといえども、

オレの精液を浴び、飲んでしまえば、タダの女体だ!」

「精液……いやぁん」

ケホ、ケホと咳き込んでうずくまってしまう太陽(コロナ)。

ここぞとばかりに触手が飛んだ。

今度は、数ではなく、太い触手で打撃ダメージを狙った攻撃だ。

「危ない!」

太陽(コロナ)を抱きかかえて跳躍する月(ツクヨ)。

しかし、二撃、三撃と続く連続攻撃をすべてかわすことはできず、

地上にはたき落とされてしまう。

「あうっ!」

「オマエもオレの汁マミレにしてやる、プリマヴェール……!

オマエも捕まえて、子宮にオレの仔を孕ませてやル……!」


月(ツクヨ)はキッとスライム男を睨み付けた。

「できるものなら、やってごらんなさい! マルク・ジュネの獣人っ!」

月(ツクヨ)が両手を頭上に振りかざした。

掌にひときわ蒼い輝きが集まる。

「グヌ……、ヒ、人質がどうなってもいいのカ……!」

「正義の光臨は、悪の心を持たない人には危害を与えないのよ!

あなたが、その子に何かする前に、倒します!」

「グオオッ!!」

スライム男は、慌ててちなつの身体を離して逃れようとする。

しかし、月(ツクヨ)は容赦しなかった。「くらええっ!」

“ムーンライト! フラッ──シュ!!!”

蒼い閃光がスライム男ごと夜の大気を突き通した。

「グオオ────────ッ!」

消滅していく。スライム男のボディが。存在、そのものが──。

ふたたび静まり返った裏路地。

プリマヴェール、月(ツクヨ)はちなつに駆け寄った。

「しっかりして」

優しく、コスチュームの上着を掛け与える。

「……! ちなつちゃん?! ちなつちゃん!!」

戦いの最中、プリマヴェール・月(ツクヨ)──若草純菜は、

少女がちなつであることに気付いていなかったのだ。

「なんてこと……」

ちなつの股間から、いまだこぽこぽ溢れ出るスライム男の精液。

自分が、もっと早くマルク・ジュネのバイオケミカル獣人の気配を

探知していれば……。純菜は悔恨に唇を噛んだ。

愛する人たちの幸せを守ることに繋がると思って、

この力、流聖天使として選ばれた力を使って戦っているのに……。

こんな身近な友達を守れなかった──。純菜の目に、涙が滲んだ。


「う、う……」

「つばさちゃんも大丈夫?」

「ま、まだ、カラダがヘンですぅ……」

そちらにゆく。かたわらの、沙耶香にも上着を脱いで掛けてやった。

「ありがとう──。ち…なつ、は?」

「ケガは…していません」

「……あなたが、プリマヴェー……ル?」

「はい。おふたりを守れなくて……ごめんなさい……」

そして、沙耶香も、意識を失った。

「ねーさま、ゴメンなさい。ドジしちゃいました……」

「ううん、つばさちゃんが無事で良かった」

その時、ぴちゃり、という音がして、ふたりはハッと暗がりに視線を向けた。

「ぷ……りマ……ベール……」

小さなスライムの固まりが、口を作って喋っていた。

「!? そんなになって、まだ生きているなんて!!」

必殺技を受ける直前、スライム男は、脳など重要器官だけをちぎり飛ばして、

しぶとく一部分だけ難を逃れていたのだ。

「この……礼ハ……かならズする……。オマエを……ハラませル……」

ズル、ズルと道路端の側溝に消えた。

純菜が急いで走り寄って覗き込んだが、すでにスライム男の姿は見えなかった。


 * * * *


悪の秘密結社マルク・ジュネ総本部。

実験室の培養カプセルの前で、プリンス・ガーランドは呟いた。

「あのダメージでよく帰ってこれたものだ…。生命力はたいしたものだな」

「は……一ヶ月あれば、元通り回復させてご覧にいれます」

「それでは駄目だ。回復だけではなく、さらにパワーアップをはかれ」

「ハッ!」

「一撃でプリマヴェールを戦闘不能にした攻撃といい……、面白いな、スライム男」

プリンスはマントをひるがえし、実験室を去った。

「次は、私みずからこいつを率いて出撃しよう」




「「「 次回予告 」」」


 ふたりの辛い犠牲を産んでしまった、スライム男との戦い……。

   < 絵:ベッドに横たわるぼて腹の姉妹。産気づく >

 しかも、今度は私の大親友、茜が、獣人の魔の手に……!

   < 裸に剥かれながら触手に吊り上げられ、泣き叫ぶ茜 >

 絶対に、絶対に許さないわ、マルク・ジュネ!

 でも、私たちもかつてない大ピンチ…!

   < スライム獣人の体液を浴びてコスチュームを溶かされるプリマヴェール。

    衆人環視の中、純菜の片乳がヽ(´ー`*)ノつばさのおしーりが(*´ー`)7 >

 そして……マルク・ジュネのプリンスがまた私たちの目の前に!

   < 戦闘員を従え、歩み出でるプリンス・ガーランド >


 次回、流聖天使プリマヴェールアナザーストーリー 「少女の胎(はら)は妖獣のために(後編)」。


 勅命降臨、只今参上!!

後編へ

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