そして――いなくなった

戻る
 某日某所。
 日通りの悪いこの部屋は日中でも胡散臭い薄暗さを醸し出す。
 それはそれで、使い道がある場所だったりするのだが。
 例えば――密談。
?「……という事だが、出来るかね?」
?「訳のない事です」
?「しかし、簡単な事ではないぞ?」
?「例えそれが不可能な事でも、可能性を捻じ曲げてやってのける
  のが……我々の仕事ですので」
?「頼もしい事だな。以前のミスはもう忘れたか?」
?「それを言われると辛いですな。あの時はこちらもいろいろと
  準備不足でしたから」
?「ふむ……では、今回は100%自信があると?」
?「無論」
?「……わかった。朗報を待とう」
?「感謝を」
 高い空を泳ぐ雲の流れが速くなってきた。
 それは、嵐の前触れ――

【19:34 高屋敷家一階 居間】 

 高屋敷家は真っ暗だった。
 空気や雰囲気が、じゃない。
 視覚的認識の指標における『暗闇』なのだ。
 外は台風による大雨洪水暴風波浪雷警報発令中。
 一歩でも外に出ようものならたちどころに生命の危険に
 晒される事請け合いだ。
 ヒュオオオオオオオ……
 風が悲鳴を上げる。
 これから起こる惨劇を予言しているかのように。

?「停電ですか……?」
?「と、とにかく、落ち着くのよ皆!」
?「……」
?「煩わしいわね」
 ぞろぞろと居間に住民が集う。
?「……」
 シュボッ。
?「ひあっ!?」
?「いやあっ!?」
?「あ……ライター」
準「……明かりがあった方がいいと思って」
真純「先に声かけてくれればいいのに……」
末利「びっくりしました……」
 ライターの小さな炎は部屋全体を照らせるほどの輝きは
 ないものの、現在この場所にいる人間の顔が確認できるくらいの
 明るさは提供できた。
真純「ここにいるのは……私と青葉ちゃん、準ちゃんに
   末莉ちゃんの四人ね」
末利「おにーさんと春花おね―さんとおとーさんがいませんね」
準「……こういう時は皆で集まってた方がいいと思う」
真純「そ、そうね。じゃあ私は寛さんを呼んでくるから、
   末莉ちゃんは春花ちゃんを。淳ちゃんは司くんをお願い」
末利「あ、はい。わかりました」
準「ん」
 準は末利へ光源を差し出す。
末利「え、でも……」
準「もう一つ持ってるから」
末利「あ、そうなんですか。ではお借りします」
 末利の手に光の束が送られる。
末利「では」
 タッタッタ……
 いかにも軽そうな足音をたて、末利は廊下へ出ていった。

【19:15 高屋敷家屋根裏部屋】

?「……そろそろ」
?「うむ」
?「……」
 強風によりもたらされるミシミシと軋んだ音が響く屋根裏部屋。
 普段は人気のないこの場所に、侵入者がいた。 
?「最初の標的は……?」
?「もう決めてある」
 唇の端が釣り上がる。
?「こいつだ」


【19:41 高屋敷家二階 春花・末利部屋】

末利「春花おねーさん?」
 ギィィ……。
 普段ならなんて事はないドアの開け閉めの音。
 しかし、周りが暗闇であるというだけで、その音が何か無気味さを
 加味し出しているような気になってしまう。
 まるで、森林に囲まれたいわくつきな館に迷い込んだような、
 そんな感覚。
末利「おねーさん……寝てるのですか?」
 末利の声が若干揺れる。
 いつも住んでいる家の、いつもいる部屋。
 なのに、今の末利にはそこが居心地悪くてしょうがなかった。
 理由は……薄々感じていた。
 なにかが違う。
 暗いから?
 違う。
 なにかが違う。
 この空気は、いつものこの家のものじゃない……。
末利「おねーさん……?」
 末利は春花のベッドの方にライターの炎を向けた。
 僅かに盛り上った布団がうっすらと浮かび上がる。
 寝てるのか。
 末莉はそう思った。
 なら、起こした方がいい。
 一度居間に集めるようにとおかーさんが言ってたから。
末莉「春花おねーさーん、起きてくださーい」
 多少声を張って呼び掛ける。
 が、布団は微塵たりとも動かない。
末莉「おねーさーん!」
 今度はさらに強い声で呼ぶ。
 結果は変わらない。
末莉「……」
 しょうがないな。
 そう思って末莉は春花の眠るベッドへ足を運んだ。
 そして、布団をめくる。
末莉「おねーさん、起きてく……」
 ピシャアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
 強烈な落雷。
 光が一瞬、部屋に溢れる。
 そして、そこに映ったものは。
末莉「……えっ?」
 赤い液体。
末莉「……あ」
 ベッドからぶら下がる、白い腕。
末莉「……あああ……」
 そして……真っ赤に染まった衣服に包まれた……姉の姿。
末莉「ああああああああああああああああああああああああああ!?」
 悲鳴が風の音と重なった。


【19:37 高屋敷家二階 司部屋】

?「……」
 物音を立てずにそっと立ち上がる。
 確認終了。
 それは同時に、作業の終了を意味していた。
?「……っ」
 思わず漏れてしまう笑みをどうにか噛み殺す。
 我ながら上手くいった。
 芸術、と呼んでも差し支えないかもしれない。
 さて、いつまでも浸っている訳にはいかない。
 やる事はまだ残っているのだ。
?「……」
 最後に一度だけ振り向いて、部屋を出た。
 目に映ったのは……喋る事のない、動く事もない……この部屋の主。
 

【19:46 高屋敷家一階 居間】

末莉「おかーさあああああん! おね―さんが!
   春花おね―さんが……!!」
 半狂乱のまま居間へと向かった末莉。
 しかし。
末莉「……おかーさん? おかーさん!?」
 居間には、真純も青葉も準も……誰もいない。
末莉「おかーさーん!? 準さーん!? 青葉さーーーん……!!」
 …………静寂。
末莉「あっ……あうう……」
末莉「な……なんで……?」
 ヒュウウウウウウアアアアアアアアアア!
末莉「……!」
 突然の強風が嘲笑うかのように唸りを上げる。
 暗澹に呑まれていくような……そんな気がして。
 末莉は、その場にへたり込んでしまった。
?「きゃあああああああああああああああ!!」
末莉「ひっ……!」
 人の悲鳴。
 悲鳴は声の主の判断がつきにくい。
 だが、女のものだというのはわかった。
末莉「……っ」
 末莉は力の入らない身体を必死で起こす。
 行かなきゃ。
 行かなきゃいけない……。


【19:48 高屋敷家二階 青葉部屋】

カラス「クアッ!」
 闇に紛れた漆黒の鳥。
 彼は鳥目だ。
 侵入者の顔は判らない。
 だから、取り敢えず鳴く。
 もしこの部屋の主なら、『うるさいわねこのビッチ野郎!』
 だのなんだの騒ぎ出すだろう。
 しかし、侵入者は寡黙だった。
 それが、鳥を否が応でも不安にさせる。
カラス「クアアッ!」
 鳥は動けない。
 周りが暗闇だからだ。
 彼の野性が、この暗がりで動く事はなにより危険だと訴えているから。
 タッ……タッ……。
 足音が近付いてきて……止まる。
 何か、いる、目の前に。
 それから暫くして……。
カラス「……」
 鳥は沈黙した。

【19:51 高屋敷家一階 寛・真純部屋】

 悲鳴はこの部屋からだった。
末莉「……」
 畏怖。
 この部屋で、何かがあった。
 そして、末莉はそれが何かを容易に想像できた。
 だからだろう。
 そこから先へ踏み込めない。
末莉「行かなきゃ……行かなきゃ……」
 ぎゅっと唇を噛む。
 そして……。
 キィッ
 意を決してドアを開ける。
 ザ――――――――
 雨の音が剥き出しの感情に染み入る。
 窓が……開いている?
 その音で、末莉は不意に冷静さを取り戻した。
 とは言え恐怖までは拭えない。
 震える足を引きずるように、中へ入る。
末莉「……あ」
 窓のすぐ下。
 何かが、ある。
末莉「……」
 怖い。
 見るのが、たまらなく怖い。
 それでも、見なくちゃいけない。
 末莉はガタガタとせわしなく動く手を前方に掲げた。
 視界が明るみを帯びる。
 浮き彫りになる、その場所に。
末莉「――――――――――」
 首を項垂れ口から赤い糸を流した、真純の姿があった。


【19:25 高屋敷家一階 居間】

司「ふーっ」
 今日の夕食を食い終わった俺は、ごろんと転がった。
 外は台風により、すさまじい風と雨。
 かろうじて電気は使えるものの、停電も時間の問題かもしれない。
末莉「うわー凄いですねー」
春花「台風楽しい」
 お子ちゃまはこういうイベントがお好きなようで。
 かく言う自分も、昔台風が接近した時は無償にワクワクしたもので、
 その気持ちはわからないでもない。
真純「外は凄いわねぇ」
 半分呆れた様に真純が廊下から呟く。
 ちなみに既に食事を終えた青葉は部屋へ移動済み。
寛「しかし、こう嵐が凄いと気分が高揚してしまうな」
司「……そうか?」
 ガキの頃ならいざ知らず、大の大人が……。
寛「ん〜〜〜〜〜、おおおおお、おおおおおああアアア!!」
司「やっかましいわ!」
寛「グケッ! ゲコゲコグワッ! ギャニャゲリョリョグワッケ!!」
 テンションの舞い上がった寛は地球外生命体へと変態を遂げた。
司「付き合っとれんな」
 これ以上ここにいるとまた無駄な労力を消費しそうだ。
 俺は自分の部屋へと引っ込む事にした。
寛「ビャラララビュブボッベララジャ!」
春花「末莉、肩の辺りにゴミがついてるって」
末莉「言葉、わかるんですね……」
寛「ボンジョジョブルエブホホマママ!」
春花「取ってやるって」
末莉「あ、どもです」
 そんなやり取りが耳に残った。

【19:54 高屋敷家一階 廊下】

末莉「あうっ……ううっ……」
 末莉は完全に脱力していた。
 信じられない映像。
 認められない現実。
 嗚咽が漏れるたび、心の中から今まで育んできたいろいろなものが
 飛び出してしまうようだった。
末莉「おっ……おに……さん……」
 覚束ない足取りのその向こうにあるのは、誰より慕う、兄の姿。
 もう何がなんだかわからない。
 こういう時は、一番頼りになる人に……。
 その想いだけが末莉に残されたエネルギーだった。


【19:54 高屋敷家二階】

 作戦はあっさりと遂行された。
 チョロいものだった。
 これであの報酬なら、まあ文句もない。
 後は次の合図をじっと待つだけ。
 ただ、一つ気がかりがない事もない。
 ……やめた。
 懸念なんていくら完全を重ねた所で消える筈もないのだから。
?「……」
 後は、待つだけ。
 息を潜めて、待つだけ……。

【19:56 高屋敷家二階】

 ドンッ!
末莉「!?」
 二階に上ってすぐ。
 何か壁を叩くような大きな音がした。
 誰か……いる。
末莉「……」
 恐怖のあまり再び動けなくなる。
 どうなっているんだろう。
 何が、何で、何なんだろう。
 末莉はもう限界だった。
?「クアアアアアアアアアア!!」
 末莉「ひっ!?」
 声の主はすぐわかった。
末莉「鳥……さん?」
 しかし、今まで鳥のこんな鳴き声は聞いた事がない。
 どうしよう、どうすれば。
 兄の部屋はもう目の前。
 だけど、鳥の悲鳴にも似た鳴き声が気になる。
?「クアアアアアアアアアア!!」
 再び声がした。
 慟哭。
 末莉にはそう聞こえた。
末莉「……」
 結論が出た。
 末莉は青葉の部屋へ向かった。


【19:57 高屋敷家二階 青葉部屋】

 ガチャッ。
 いつもはノックしなければナイフやらビンやらが飛んでくるこの部屋。
 しかし、今日は何もない。
末莉「はっ……はっ」
 動悸が収まらない。
 イヤな空気が消えない。
 それでも、確めなければならない。
末莉「……」
 そ……っとライターを前方に向ける。
 姉がいた。
 二人。
 二人とも。
 二人とも倒れてて。
 二人とも動かなくて。
 二人とも真紅の液体に身を濡らしていて。
 二人とも……フタリトモ……。
末莉「やああああああああああああああああああああああああ!!!」
 末莉は走り出した。
 光源であるライターも捨てて。
末莉「おにいいいいいいいいさあああああああああああん!!!」
 兄の部屋。
 すぐ傍にある、兄の部屋へ。
 ダン!
 倒れ込みながら入る。
 身体が、顔が、床に投げ打たれる。
 そこに……。
末莉「……え?」
 赤く濡れた兄の顔があった。
末莉「……あ」
 高屋敷司は真っ暗な自分の部屋に一人……倒れていた。
末莉「ああ……」
 既に……やられた後だったのだ。
末莉「っ……」
 そこが、限界だった。
 張り詰めた糸の最後の依り所が、スッと音を立てて消え去った。
 同時に、末莉の意識は失われていった……。

【20:00 高屋敷家二階】

 終わった。
 結局、懸念は徒労に終わった。
 これで、全ての任務は終了した。
 容易い事だった。
 ちょうど、時間もきりがいい。
?「……ふぅ」
 特に充実感はない。
 このような事をするのは、あまり好きではない所か
 キッパリ嫌いなのだ。
 それでも、報酬がある以上はやむなし。
 さて。
 後は合流するのみ。


【20:10 高屋敷家二階 司の部屋】

 ……。
 グラグラと安定しない意識。
 それでも、もうすぐ目が覚めるという自覚はあった。
 視界に光が射し込む。
 それが引き鉄となって、次第に音が聞こえ出す。
 誰かの……声。
 起きなくちゃ。
 瞼が、開く――――――

寛「おっ、目覚めたか」
司「……んあ?」
 目覚めた目の前に、寛の顔があった。
 まだハッキリしない意識を呼び覚ますべく、頭を軽く振る。
司「痛っ……」
 後頭部がやけに痛んだ。
 俺、なんで寝てたんだ?
 何か記憶がハッキリしない。
 たしか、寛の変態を見届けた後部屋に戻って、その後……。
寛「まだまだ甘いの。やすやすと後ろを取られるとはな」
司「……」
 後頭部に痛み。
 寛、俺の後ろを取る。
 ……そしてひねり出した答えは。
司「テメー! 何のつもりで俺を殴りやがった!?」
寛「まあ聞け愚息よ」
司「人の質問に答えろ!」
準「……司」
司「ん? 準か?」
 死角にいた為見えなかったが、準もこの部屋にいたようだ。
準「取り敢えず、居間に来て。そこで説明する」
 説明?
 何で準がそんな事を?
寛「早くせんか鈍息(どんそく:鈍足息子の略)」
司「ぐ……」


【20:14 高屋敷家一階 居間】

 居間には家族が全員いた。
 ただし、末莉は眠っている。
寛「さて、末莉がまだ起きないが先に二人には説明しておくとしよう」
司・真純「二人?」
司・真純「あ……」
 どうやら真純さんも俺と同じ立場らしい。
 何が何やらチンプンカンプンだ。
真純「司くんも記憶とか飛んでる?」
司「……真純さんもか。一体どういう事なんだ?」
真純「私の場合は、何か停電になったから寛さんを呼びにいったら
   部屋に誰もいなくて、そしたらいきなり後ろから誰かに布を
   口元に当てられて……そこで気を失ったみたいなの」
司「……おいおい」
 それって誘拐犯の手口じゃんか。
青葉「……その実行犯は私」
真純「えええっ!?」
司「どういう……事なんだ?」
寛「うむ。実はな……」

【20:25 高屋敷家一階 居間】

 ん……?
 それまで真っ暗だったのがいきなり真っ白になった。
 この感覚は知ってる。
 朝、目が覚めた時と同じ。
 そっか、もう朝なんだ。
 それじゃ早く起きないと。
末莉「ん……」
寛「おっ、目覚めたか末莉」
末莉「あ、おとーさん……?」
 ボーっとした意識で父親の姿を確認。
 首を右に稼動。
青葉「……」
末莉「……」
 左に再稼動。
準「……」
末莉「……」
 後ろ。
司「……」
真純「……」
末莉「……」
 お……。
末莉「おばけえええええええええええええええええええええええ!?」
末莉「すいませんごめんなさい申し訳ありません
   かたじけのうございます!」
末莉「たーーーーたーーーーらーーーーれーーーーるーーーー!?」
 司「落ち着け」
 ペン。
末莉「あうっ」


【20:20 高屋敷家一階 居間】

司「……つまり、寛の商談相手の常務が今度はホラーっぽいドラマを
  見たいとかぬかしやがって、それで今回の事を思い立ったと?」
寛「うむ」
 寛の説明によると……。
 あらかじめ末莉の肩に赤外線LED付CCDビデオカメラを設置し、
 その後停電を装って家中の電源を落とす。そして末莉の
 行く先行く先に家族の偽装死体を用意し、末莉を恐怖させ、
 それをビデオに収めた……という事らしい。
 つまり、末莉をパチもんホラー映画のカメラマンに仕立て上げた訳だ。
寛「いやいや、音声といい映像といい、最高のものが撮れた。
  やはりホラーのキモは臨場感だからの」
司「……で、俺や真純さんを死体役として気絶させたと?」
寛「その通り! お前たちはどうせ協力を頼んでも断りそうだったしな」
準「……末莉が死体役を丹念に調べる可能性もあったし、
  出来るだけ気を失ってる方がよかったから」
司「って事は、お前もグルか」
寛「ビデオカメラの持ち主は準君なのだから当然だ」
 どうせ金で釣られたんだろう。
 となると、騙し側は寛と青葉と準……。
春花「私もだよ!」
司「えっ!? 春花もなのか!?」
春花「面白そうだったから」
 ……納得。
司「青葉は……今度は誰のサインだ?」
青葉「……ジミ―○西」
 どっと脱力感が押し寄せてきた。
青葉「ところで、いい加減顔を拭いたら?」
司「……?」
 俺が疑問を口にする前に準が手鏡をよこす。
 そこに映った俺の顔には、
司「おわっ! 血がついてるじゃねーか!」
寛「わざわざ外注で取り寄せた良質の血糊だ。水で簡単に洗い落とせる
  所がその良質たる所以……」
司「やかましいわ!」
 真純さんが持って来てくれたタオルで顔を拭う。
司「お前等なー……いくら家族っつっても、やっていい事と悪い事が
  あるだろが。末莉が心臓発作でも起こしたら
  どうするつもりだったんだ?」
真純「本当よ……。いくらなんでもやりすぎ」
寛「ドラマのクライマックスに犠牲は付き物」
司「じゃかましゃあ!」
準「……確かに軽率だったかも」
春花「んー、やっぱマツリに悪い事したかな」
司「ちゃんと謝っとけよ」
春花「らじゃっ」
 外の嵐はいつの間にか弱まっていた。


【20:35 高屋敷家一階 居間】

末莉「う〜あ〜」
 騙されて悲しかったのかみんなが死んでなくてホッとしたのか、
 末莉は泣いた。
 まあ間違いなく後者だと思うが。
末莉「……でも、皆さんが無事で本当によかったです」
司「お前なあ。いい加減そういうお人好し過ぎる性格をどうにかしろ」
末莉「どうにかしろ、と言われましても……」
司「こんな事されて怒らなかったら、それこそこいつらの為にならんぞ」
春花「ごめんして、マツリ」
準「……反省」
青葉「……」
司「青葉」
青葉「……悪かったわよ」
寛「末莉よ。すまなかった」
末莉「えっ、そんな、もういいですよ。過ぎた事ですし……」
寛「この埋め合わせはこのビデオを市場に出して儲けた利益で必ず……」
司「売るなっ!」

 後日、商談は正式に成立。
 その恩恵で、春花・末莉部屋にエアコンが設置された。
末莉「涼しいですねー」
春花「ひんやり」
 高屋敷家はLV.アップした!
 電気代が月5000円上がった。
真純「あ〜ん、生活費が……」

 追記。
 今回の一件でCCDカメラの魔力に犯された寛は、街に出て
 盗撮まがいの撮影をする事が趣味となった。
 そして、調子こいて女のスカートの中を盗撮しようとして失敗。
 現行犯逮捕された。
寛「いや、ギャグを……『ミニにタコが出来た』ってギャグをね……」
 釈明は聞き入れられず、何かと警察沙汰はまずい俺達は
 寛と家族の縁を切る事と相成った。
 今回の教訓。
『ミニにタコはできん』
司「……そりゃそーだ」
 そして寛はいなくなった……。
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