「EXILE 導きの神」

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絶海の孤島にそびえる、美しい城ひとつ。
その一画の寝室。
灯りは落とされ、すでに室内は闇の底に沈んでいる。
月光がひとすじだけ窓から差し、美姫ふたり、
女同士の許されぬ肉の絡み合いの情景を、闇の中に浮かべ上げている……。

「桜様……ああ、桜様……! 次は……、どうすれば…よろしいです…?」
「ん……次は右の方をしてくれ……あふっ……カレン……!」
豊かなプラチナの髪の姫、カレンが、その裸体を桜の身体にまとわりつかせている。
下になっている、美しく長い黒髪の姫、桜も、同じく一糸纏わぬ裸体だ。
あどけない顔で、同性の右の乳首を咥えるカレン。
上気した顔を左右に振り、同性の与えてくれる快楽に身悶える桜。
「あぁ……んぅ……あっ……あ、あ……!」
カレンが顔をあげて唇を近づけると、気付いた桜の方から、カレンの唇をついばむ。
「んんぅっ」
舌と舌を情熱的にからめあう。ディープキス。寝室に、唾液の音が響く…。
「カレン……さっきのを…今度はあなたがしてくれ……」
シーツの衣擦れの微音とともに、桜が闇の中に白い裸身を起こす。
そして、寝そべっているカレンの眼前に、おのれの足の間を、晒す。
カレンは、目を閉じながら小さな割れ目に舌を這わした──。
「はっ! はぁぁっ! ううっっ!! ……く」
同じ性、同じ肉体の持ち主であるカレンの顎に、
性器から溢れ出す恥液を伝い落とし、汚す桜。
「んは……。ふふ……想像もしませんでした。桜様と。こんなこと」
「私だって、そうだ……んんん、痺れる……」
やがてカレンの舌での奉仕に充分満足した桜は、体勢を変えた。
カレンの両腿を手で押し開くと、いままで舐めてもらっていた場所を
相手の同じ場所にぴったりとくっつける。
「こんなことしてるって、国元や…父様母様に知られたら……
わたし、どうなってしまうのかしら……」
「私など、国の民に知られたら、八つ裂きにされるかもしれんな」
桜の腰が、動き出す。
「あっあっ桜様っ…」
「カレン……きれいだ、素敵だ……」
カレンが快楽に耐え切れず、自分の親指を噛む。
「桜様……でも、こうなって、後悔してるとは、おっしゃらないで……」
「ああ……知ってしまったものは、しょうがない。
……愛してしまったものは……しょうがない……」
寝室には、優しく規則正しい粘液の音と、少女ふたりの吐息だけがしばらく響いた。
「はっ、はっ、いきそうだっ。カレン、カレン……」
「ん、あ、わたしも、わたしもっ」
「あああ──────………っっ!!」
ふたり分の絶頂の声が室内を満たす。
そして、寝室に音は絶え、しばし真の闇の底に沈んでいった──。




1.姫君たちの相互破瓜


霧に包まれた海を、一艘の豪華な帆船が走っていた。

コンコン、と船室の扉をノックする音。
部屋の主、桜は、長い黒髪をかきあげると、もの憂げに問いかけた。
「誰か?」
「わたしです。カレンです。桜様」
扉を開けると、プラチナ・ブロンドの豊かな髪をきれいにとかした少女が、
人懐こい微笑みを桜に向けていた。

グウィディオンの王女、カレン姫。
身に付けた美しいドレス、何よりその物腰の気品から
一国の姫とすぐ知れる。しかし、気さくそうで人好きのする笑顔には、
むしろ町娘にでもふさわしいような人懐こさがあらわれている。

部屋の主の少女の方は、あきらかに市井の者とは一線を画した、
貴種独特の尊大で凛とした面差しだ。
さらに、神秘的な香気と、触れ難き処女性とを、見る者に感じさせる。
ミトラスの聖なる巫女、桜姫。
その雰囲気は、男子禁制の神殿で厳格に育てられ、
若くして国家の根幹たる姫巫女の座を務め続けて身に付いたものだ。
美しい瞳の光の中に、険がある。
プライドの高さと気の強さ。
それだけではなく、未だ桜しか知らぬその心中の怒りが、その険しさの源だ。


ふたりは、船の甲板に出た。
軍事大国サマエラの船に移乗し、母国の従者たちと引き離されて以後、
身の回りには自分たちの他に、石のように黙るサマエラの者たちしかいない。
自然、ふたりは語らいと行動とを共にすることが多かった。
そして、洋上──。
ふたりの姫は、見た。
濃い霧の中、落日の残光に包まれて、
幻のように海面にほの赤く浮き上がる城の姿を……。
「…この世にあるとは、思えぬところだな」
桜が、隣あって同じく船縁(ふなべり)から眺めるカレンに言う。
「ええ、夢のように綺麗…」
カレンは、すっかりその光景に心奪われているようだ。
「だが、あそこに住むのは……」
呪われた、忌まわしき主。
『真実の愛を得られねば、いずれ必ずや魔王となるであろう』と予言され、
それがゆえ父王から各国の美姫を次々と生け贄のように手向けられる、魔王子。
そしておそらく、ふたりの姫の人生にとって、運命の男。
しかし、本当の運命の人、終生の愛を誓う相手が、
実はすでに隣にいることを、この時のふたりはまだ知らない……。


 * * * *


魔王子の島に下船し、その城内に入って最初に請われたのが
『首輪を身に付ける』ことだったのに、ふたりは、目を見開いて驚いた。
「殿下の御命令です。殿下の欲することには、すべて従っていただきます」
ふたりを船から先導して来たサマエラの者どもが、ふたりの姫に近づく。
カレンは、震えながら、美しい首筋に鎖付きの首輪を受け入れた。
大国サマエラの軍事力に祖国を人質にとられているも同然の身、
抗い得ないのは知っている。
「…触るな下郎! 是非も無いと言うなら、自分でする!」
桜は、怒気を漲(みなぎ)らせつつ、首輪を男の手からひったくると、
自らの首に締め、金具を留めた。
知らぬとはいえ、このあと生涯の隷属の証しとなる、それを。

首輪を付け、ふたりだけで部屋に取り残される。
カレンは震え、桜は扉を睨み付け、態度は違えど、
男の肌も知らぬ少女ふたり、心中の心細さは同じだ。
そして……、扉を音もなく押し開け、その男は現れた。
「……お前たちが、私への貢ぎ物か」
ふたりは息を呑んだ。
世界にその名を知られた魔王子──
どのような凶相の魔人が現れるかと思えば、その男は、
長い黒髪を束ね、女よりも優しく美しい面差しをした、美丈夫だったのだ。
長身に黒尽くめの衣装、マントも手袋も、黒。
細い眉、白い肌、黒真珠のごとき不思議な色の瞳。
顔の美しさは、あるいは、世に美しさを称えられているカレン、桜、
このふたりの美姫以上かもしれない。
だが、昏(くら)い瞳と、面白そうにふたりを観察する冷たい笑みが、
魔王子の名を裏切らない恐怖感をふたりに与えていた。
「カ…、カレンとお呼びください、殿下」
「そなたが、グウィディオンのカレン姫か」
震えるカレンをかばうように、桜は思わずその身体を抱き寄せていた。
「挨拶する必要なぞないっ!」
「……ほう。ずいぶんと、気の強い女だな。ミトラスの桜姫とは、そなたのことか」
「このような枷をつけて、これが、客をもてなす礼儀か?」
「声が震えているぞ。そんなに、私が恐ろしいのか?」
息を呑み込み、桜は、悔しそうに口を閉ざす。
桜の罵倒も気の強さも、魔王子は、小揺るぎもせず、快さげに受け止めていた。
「わたしたちを、どうなさるのですか?」
カレンの震え声での問いかけに、魔王子は、慈悲の一片もなく宣告した。
「この島に来た運命を呪うがいい。そなたたちは、私の贄となるのだ」

「舐め合え。犬のようにな」
「く……っ!!」
微笑む魔王子の足元に、横たわるのは──
折り重なるように押し倒され、
ドレスの中の下履きを、袴(はかま)を、力任せに下ろされてしまったふたりだった。
いま、桜の目の前に、ピンク色の秘密の唇がある。
自分の上に乗っている、カレンの秘所だ。
生まれて初めて目にする同性のそこに、
そして、自分のそこもカレンの眼前に晒されているであろうことに、
桜は、火が点いたように頬を熱くしている。
「う………くっ……」
「どうした? 女同士であろう? 遠慮はいらぬ、存分に楽しむがいい」
「できるかそんなことがっ!!」
神聖な神殿から引きずり出され、最初に強要されるのが、女陰舐め……。
桜の自尊心、羞恥心は、とてもそんなことを受容できない。
「…! ぐあっ!」
すると突然、見えない手で掴まれたように、喉が詰まった。
「……! 魔術か! ごほっ、こ、この悪魔っ!」
「そななたちの意志に任せているのは、私の慈悲なのだがな」
「うあああぁぁぁっ!!」
急速に身体が硬直する。意識が暗転し始める。桜の肉体が、死の予感に震えた。
「おやめください! 殿下!」
涙を滲ませながら、首輪を付けたカレンは、犬のように必死に舌を伸ばした。
「桜様……お許しになってくださいね」
自分の秘所に生暖かく柔らかく、
そして信じられない感触が生じたのに、桜は驚愕した。
(まさかそんなっ!! 小便をする場所だぞっ!!)
「ん……ん……く……う、ううっ……」
涙声を出しながら、王女カレンは同性の性器を舐め始めていた。
「ああぅ…! うあっ…! そ、そんなっ!!」
女の最も過敏な部分を、生まれて初めて他人に触れられる……
しかも、舌で舐められるという嫌悪感に、悶え動く桜。
しかし、見えない力──王子の魔力に押さえつけられて、逃れられない。
喉を絞める力は失せたものの、カレンの舌には自由に舐められるままだ。
「やめっ! ……ああ、気持ち悪い……。やめ、て……」
「どうした桜姫。お前はしないのか。カレン姫にばかり働かせては、悪いだろう?」
また、魔術で首が締め付けられる。
「んああっ!! く……ううっ!」
ただ、今度は桜ばかりではなかった。カレンも苦悶の呻きを漏らしている。
「あ……あが……っ」
「飼い主に従わない雌犬どもなら、慈悲をかけてやる必要も、ない」
自分の拒絶によって、自分の上に乗っている他人の肉体まで
死すかもしれないという想像は恐ろしかった。桜の忍耐は、限界を超えた。
「うう……ううっ……」
舌を、生まれて初めて他人の性器に触れさせた。
そしてぴちゃ、ぴちゃという音がふたつ、室内に響く……。
魔王子はおざなりの行為では許さなかった。
それが“愛撫”と呼ばれるレベルになるまで、休むことなくふたりに舐めさせ続ける。
ふたりの処女が、本気で、同性の襞(ひだ)を、クリトリスを舐める。
「ううう………っ」
ふたりとも、気色悪さを超え、絶えられない痒さがその部分に生じ始めていた。
「フッ…。からだは正直だな」
「何をっ! んんっ……!!」
「あれほど嫌がっていたのに、もう淫らに感じているとは…。
お前たちのヴ○ギナから、愛液がとろとろとこぼれているではないか」
────!
とうとう、おぞましき同性との行為で、淫らな姿を見せてしまった……。
屈辱とショックで、桜の瞳から、ぽろぽろと涙が零れた。
「……今から泣いていては、涙が枯れてしまうぞ」
「くっ…! 貴様……貴様っ!!」
ついに、桜は身を起こし、魔王子を睨み据えた。
「桜様っ! おやめになってっ!」
「これが許せるかっ! ……こ、こ、このような生き恥を
女同士に、させておいて、笑って見ているなどっ……!!」
そして、勢いよく掴みかかろうとした桜、だったが──
空中で、その動きが止まる。
「まだ、逆らっても無駄だということがわからぬか」
「あ……うう……」
重力を無視して空中で静止した桜の肢体を、後ろから羽交い締めにする。
「私が摘み取ってやろうと思っていたが、
ここまで同性の行為に動揺し、屈辱を感じるのか。面白い……。
おまえたちふたりは、同性の交わりに溺れるレスボスの虜囚に堕とすこととしよう」
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