○作「由希編」

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鹿島学園旧校舎2階女子トイレ前

由希「せりなちゃん、遅いですねー ひとりで待つのってなんだか

不安です。やっぱり雪村くんにお願いして、ついてきて

もらったほうが良かったかしら?」

「間部さん・・」 突然暗闇からの声!

由希「キャッ!た、達也くん!」

須崎「し、静かに!」

由希「す、すいません 驚いてしまって・・でもご無事だったんですね・・

よかったです・・突然いなくなられてしまったんで、みなさん

心配されてたんですよ・・」

須崎「すまなかった・・その、せ、せりなも心配してくれてたかい?」

由希「(少し沈んだ表情で)はい・・せりなちゃんも心配してました・・

わたしもです・・(モジモジ)」

須崎「それで、せりなはいま・・」

由希「あっ、いまお手洗いに・・もうじきしたら出て来ると思います・・」

須崎「えっと、その前に・・ま、間部さん、ちょっとふたりだけで

話したいことがあるんだけど、構わないかい?」

由希「は、はい(ドキドキ)」

須崎「ここじゃちょっと話しづらいから、理科室まで一緒に

来てもらえるかい?」

由希「わ、わかりました」

理科実験室に歩いていく途中しばらくして突然・・

達也「間部さん!」

由希「は、はい!」

達也「す、すまない、3階に忘れ物をしたみたいだ・・先に理科室

で待っててもらえるかい?」

由希「あっ、でもひとりで行かれては危険です!」

達也「い、いや、大丈夫!すぐに戻ってくる・・ここで待っていると

危ないから理科室の中で待っててもらえるかい?あそこなら

安全だし・・」

由希「は、はい わかりました・・」

真っ暗な理科室の中・・ガラスの標本棚を何気なく見つめる由希・・

刹那!ガラスに人影が!(ティティ〜ン!効果音)

由希「きゃあ〜!!」

慌てて振り返ると後ろに人体模型が・・

由希「ビ、ビックリした 死ぬかと思いました」

だが、これはこれから起こる悲劇の序曲にすぎなかった・・

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〜鹿島学園旧校舎2階 真夜中の理科室 〜

静寂と闇に支配された空間…

由希(それにしても達也くんのお話ってなんでしょうか?

さっきから気になって・・・まさか、わたしが達也くんの

ことを想っているように、達也くんもわたしのこと・・・

やだ、わたしったらこの※非常時に何考えてるんだろう・・・)

そんなふうにひとりごちて俯いているときであった…

ガラガラガラ…突如、木製の引戸が開いた…

「間部さん!」

由希「達也くん!」

須崎「す、すまない…待たせたね…」

由希「いいえ…そ、それより 達也くんのお話って(ドキドキ)」

須崎「実は…」

由希の胸の高鳴りが限界をむかえようとしていたそのときであった…

ガタッ!!

理科室内の静寂と沈黙が一瞬にして破れた…

由希「だ、誰!誰なの?」

慌てて周囲に目を這わせる由希であったが、ベニヤ板が窓に

隙間なく張り巡らされ、月明かりすら届かぬ暗闇に支配された

深夜の理科室内において音の出所を探るのは不可能であった…

恐怖に支配された由希が慌てて、うしろにいる達也をふり返ろうと

首を傾きかけたそのとき、突如、口元が何かによって塞がれた!

(これは…達也くん…誕生日…ハンカチ…)

薄れゆく意識の中で、最後に耳にしたのは「間部さん…す、すまない…」

というこれまで聞いたことのない達也のひどく落ちこんだ声であった…

そして、由希の視界と意識は周囲の暗闇に溶け込んでいった…

(※旧校舎に手紙で呼び出され、閉じ込められて、仲間がひとりずつ

居なくなっている状態)

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由希の理科室での事件から約1時間後…

場所は移り〜鹿島学園旧校舎1階 家庭科室〜

雪之丞、せりな、晶子、須崎、玲於奈の2Fから降りてきた

5人が一堂に会している…

裸電球ひとつでかろうじて視界は確保されていたが、目に見えない

恐怖と焦りが教室内を支配していた…

せりな「詩織先生、一年ガール、早苗さん、鉄平…

そして今度は由希まで居なくなって…

あのときわたしが雪之丞についてきてって頼んでれば!!

由希がいなくなったのは あたしのせい!!」

雪之条「ちがう、おまえのせいじゃない…あの場をはなれた

俺の責任だ…」

せりな「でも!!」

玲於奈「ちょっと春日さん、静かにしてくれないかしら?」

言い争いに発展しそうな場の雰囲気を鎮めたのは、玲於奈の

一声だった…

玲於奈「過ぎてしまったことを悔やんでも、いまさら無意味な

ことだわ…それよりも私たちがいま優先すべきことは

居なくなった人たちを探し出すことと、旧校舎から出る

方法を見つけだすことだわ…」

玲於奈の発言で一同冷静さを取り戻す…

玲於奈「雪村くん、これからのことで何かいい案はあるかしら?」

雪之丞「やはり単独行動は危険だ…なるべくみんな一個所に

固まってたほうがいい…昇降口のカギは俺ひとりで探す…

あとのみんなはここに残ってくれ…」

そのとき、真っ先に異を唱えたのはせりなだった…

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せりな「そんならあたしも行く!あんたひとりじゃ危なっかしくて

ほっとけない!」

せりなの鹿島っ子ならではの義侠心・そして雪之丞を想う気持ちから

出た言葉だった…

須崎「せ、せりな!」

晶子「春日さん…どうしてそこまで…」

いままで沈黙を守っていた晶子がせりなの言葉に何かいいかけたのも

束の間、次に続く雪之丞の言葉がそれを遮断した…

雪之丞「いや、やはり俺ひとりで行く…春日の気持ちはありがたいが

やはりみんなとここに残るほうが春日にとっても安全だ…

暗闇では自分の身を守るのが精一杯ってこともある…」

せりな「自分の身を守るって…雪之丞ボクシングできないんでしょう?

もう人を殴れないんでしょ!それなのにどうやって自分の身を

守れるの?雪之丞、言ってること矛盾してる!!」

晶子 「ゆっくん…」

せりなの言葉に、雪之条と視線が合わさった晶子だったが、それも束の間

再び悲しげな視線を俯かせた…

玲於奈「それならわたしが雪村くんと行くわ…」

気まずくなりそうな雰囲気を切り裂いたのは、またも玲於奈の一言であった..

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せりな「委員長!」

玲於奈「確かに春日さんの言うとおり、雪村くんひとり行かせるのは

危ないわ…」

せりな「だけど、なんで委員長が!」

玲於奈「居なくなった人のうち、詩織先生、間部さんは私のクラスの関係者

よ…クラス委員として彼女たちを探す義務が私には当然あるわ…

それでどうかしら?雪村くん..」

ここまで玲於奈に論理的に言われては、この申し出を断ることなど雪之丞には

もはや不可能であった…

雪之丞「…わかった、杉崎には一緒に来てもらう...」

(数分後)

雪之丞「それじゃ、行ってくる」

せりな「雪之丞! 無事に帰ってこなかったら承知しないからね!

委員長も気をつけて…」

玲於奈「ありがとう、春日さん…」

雪之丞「須崎…ふたりを頼む…」

須崎「わ、わかった…せりなと晶子さんのことは僕にまかせてくれ」

晶子「ゆっくん」

一瞬、視線が重なった雪之丞と晶子であったが、お互いに言葉を交わす

ことは無かった…

玲於奈「じゃ、いきましょ 雪村くん…」

ガラガラガラ…家庭科室の扉が開かれた…

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時はさかのぼる・・・理科室で由希が意識を失ってから、およそ10分後

〜鹿島学園旧校舎 謎の部屋〜

今日はあこがれの彼の誕生日...しかも初デートの日...まさか彼と

おつきあいできるなんて思わなかった...ダメもとで勇気をだして

「つきあってください」って告白したら、OKしてくれるなんて夢みたい...

わたしに告白する勇気をくれたせりなちゃんに感謝しなきゃ...

あっ、待ち合わせの場所に彼がやって来ました...

お互いに決まり悪そうなぎこちない挨拶...初めてのデートってなんだか

やっぱりテレくさいです...彼とディズニーランドに行きました...

いろんなアトラクションに乗って、一緒にお昼を食べて、そしてナイト

パレードをふたりで見て...そうしているうちに、いつのまにかお互い

うちとけて、会話も弾んで...これがもし夢なら醒めてほしくないです...

でも、彼とのお別れの時間が来てしまいました...時間は残酷です...

帰る間際、シンデレラ城のまえで用意していた誕生日プレゼントを渡しました.

.

.

今日のために用意したあのハンカチです...彼もとてもよろこんでくれて

いつもはクールなレンズ越しの彼の目がいまはなんだかとても優しいです...

ハンカチを持った彼の右手が私のほうに伸びてきました...えっ!...

彼の右手がいきなり私の口を塞いだのです!な、なに、イヤ、く、苦しい!...

そのとき私の瞼に映った彼の瞳は、かつて私が見たことのない、深い悲しみ

の色を湛えていたのです...

「い、いや〜!!」

突然の悲鳴をあげて、由希の華奢な身体が一瞬大きく震えた・・・

やがて静かに瞼が開きはじめた・・・

由希「ま、眩しい」

突然レンズ越しに眩しい光が瞼に入ってきて、一瞬視界を失った・・・

理科室についてから目を覚ますまで、漆黒の闇のなかに置かれていた

由希にとっては自然な反応であった・・・だが、やがてすぐに視界を

取り戻すとおもむろに首を動かして周囲を眺めはじめた・・・

由希「ここはどこなの?」

しきりに首を動かして、周囲の様子を探ろうとした由希であったが

横向きの姿勢のまま床に寝そべっている状態であったので、おのずと

視界は制限されていた・・・首と眼球の動きのみのおぼつかない感覚で

周囲を眺める・・・部屋の中は電球こそ灯いて明るかったが、壁は

古びた木造建築であり、窓も漆黒の古板が釘で打ちつけられている

ことから、ここがまだ旧校舎内であることがわかった・・・

ふと、視線の先に半開きの木製のドアがあり、その開いた隙間の先

にはなにやら巨大な歯車のような機械が見えた・・・やがて、気を

失っている間はまったく気づかなかったが、旧校舎独特の古びた

床板の頬にあたる感触が急に感じられた。その冷たい感触に、麻痺

していた意識が急に甦った!

由希「達也くん!」

ハッ、と思い出したように突然に叫びをあげると、手をついて

慌てて起きあが・・・ることはいまの由希には出来なかった!!

由希「あれ、なんだかおかしい?...このタオルは!」

その時はじめて、自分の両手首が黄色いタオルでグルグル巻きにされて

いることに、由希は気づいた・・・そしてその独特の黄色いタオルの

持ち主に、由希は見覚えがあった・・・

「クックックッ...お目覚めですかぁ?シンデレラぁ...」

由希の華奢な背中が凍りついた・・・それは突然のことであった・・・横向きに

寝転がっている由希の視界の届かない後方から、その声は聞こえてきた・・・

暗闇の穴の中に獲物を引き摺りこむアリジゴクを連想させる、暗く響く声・・・

その声に由希は恐怖した・・・やがてその声の主が、由希の目の前にもうひと

つの足音を伴なって姿を現した!!

由希「あなたは...用務員の○作さん...それに、達也くん!!」

その人物は、由希が毎日学校で見かける鹿島学園用務員の伊頭○作であった・・・

そして、由希の両手首を縛っている黄色いタオルは、いま○作が首に巻いて

いる物とまったく同じであった・・・自分の両手首が縛られて、○作が目の前

に現れたことは大きな驚きであったが、○作の隣に須崎 達也が居ることは

由希にとって更なる驚愕であった・・・その達也は、さっきの夢の中で由希が

見たのと同じ深い悲しみに沈んだ表情で、俯き加減に立ち尽くしていた・・・

口元に下卑た笑みを浮かべ、床に寝転がったままの由希を見下ろしながら

○作が呟いた・・・

○作「我が城へようこそ、シンデレラぁ...もっとも、もうじきすりゃあ

薄汚ねぇシンデレラになっちまうがねぇ...クックックッ...」

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由希「達也くん!ど、どうして?」

達也が○作の言いなりになっていることに訳もわからず、由希は達也に

問い掛けた…

○作「おい、須崎い〜 何も知らねぇこのお嬢さんに、おまえがどうして

俺様の言いなりになっているのか、しっかりレクチャーしてやりな…」

そう言われた達也であったが、視線を床に落したまま何も答えられずにいた…

○作「ホレ、早く言うんだよぉ〜」

捕虜に口を割らせる拷問を楽しむかのように、○作のゴツイこぶしが

男性にしては華奢な達也の背中を何度もゴリ押した…こうなっては達也も

閉ざした口を開かざるをえなかった…覚悟を決めて唾を一度ゴクリと飲み

込むと、睫毛を震わせながら由希の方に向き直った…

やがて、ブルブル震える唇から言葉を発した…

須崎「ゆ、雪村くんの事件のビラを…学校中にバラ撒いたのは…

こ、この僕なんだ…」

それは、由希にとって俄かには信じがたい言葉であった・・・

由希「達也くんが・・・そ、そんな・・・嘘です!嘘って言ってください!」

由希が激しい口調で達也を問い詰めたが、達也から返ってきた答えは

由希の意にまったく反したものだった・・・

須崎「ま、間部さん・・・す、すまない・・・でも、本当のことなんだ・・・

ビラを撒いているところを○作さんに見つかって・・・それで

言うとおりにしないと、このことをせりなにバラすと

脅かされて・・・どうしようもなかったんだ...」

達也がうな垂れてそう告げた・・・大きな絶望感に由希は愕然とした・・・

分厚い皺だらけの唇に下卑た薄笑いを浮かべながら、○作が口を割ってきた・・

○作「クックックッ...それにしてもよぉ〜須崎ぃ〜おまえも凶運の

持ち主だよなぁ?まさか犯罪の現場をこの俺様に見つかっちまう

なんてよ...もっとも、悔しがる必要はまったくないぜ〜

伊頭家の男衆は、生まれたときから犯罪の匂いを嗅ぎ分ける嗅覚と

亀頭の裏スジの感覚は人一倍敏感だからよぉ〜エッヘッヘッ...」

須崎「や、やめろ〜!」

それは無意識に達也の口から出た叫びだった!それは、由希に対しておおよそ

似つかわしくない言葉を○作が口走ったからであった・・・

間部 由希・・鹿島学園における野に咲く一輪の可憐な花・・成績優秀で品行方正

教師からの信望も厚く、容姿もまさに可憐な美少女・・・なにより、誰に対しても

分け隔てなく優しく接する態度に誰もが感銘を覚える・・・まさに究極の美少女

と形容するにふさわしい存在である・・・その控えめで大人しい性格と「せりな」

いう強烈パワフル少女が常に隣にいるために、表立って目立つことはなかった

が、それがかえって男子生徒に「決して触れてはいけない野に咲く可憐な一輪

の花」というイメージを与えていた・・・そんなイメージと「せりな」という

強烈な用心棒が控えていたため、実際に告白した者こそ皆無であったが、

かなりの隠れファンが存在していた・・・

そんな穢れてはいけない花だからこそ、無意識に達也の由希への防御反応が

働いたのだった…だが、それは無用な防御反応であった…純粋無垢な由希に

とって、○作のセリフの後半部分は意味を成さない単語の羅列にすぎなかった

からである…そう…まだこの時点では…

○作「オイ、コラぁ!須崎ぃ〜おまえ俺さまにモノ申せる立場かぁ?」

達也「う、うう〜…」

再び、○作の鋭い視線が向けられると、やはり達也は黙りこむしかなかった…

由希「そ、そんな、達也くんがあのビラを…嘘ですよね?…嘘って言って

ください!」

激しく達也を詰問する由希…

だが、達也は何も答えられずに俯いたままであった…

○ 作「そいつぁ〜無理な相談だよなぁ、須崎ぃ?やっちまったことは

覆水盆に返らずだよなぁ?クックックッ…」

達也「クッ!…」

下唇を噛みしめるしかない達也であった…

由希「ど、どうして、達也くんがあんなこと…ひ、ひどい…ひどすぎます!!

雪村くんは私たちの親友じゃないですか!!それなのに…」

ついに、由岐の激しい非難に耐えられなくなった達也が、感情を露にした!!

達也「しょうがないじゃないか!!あいつが来てから、せりなはあいつのこと

ばっかりで、ちっとも僕のことを見てくれなくなった!!あいつが転校

してくるまでは、僕と鉄平とせりなの三人でうまくやっていたんだ!!

それなのに…」

達也のせりなを想う気持ち・・・それは、いまの達也のセリフからだけでなく

ずっと前から痛いほど由希にはわかっていた・・・一方的な切ない片想い・・・

しかも、その悩んでいる相手が由希の想い人ほかならぬ達也だけに・・・

そんな達也を、いつも遠くから切ない気持ちで見守ってきた由希だけに・・・

激しく感情をぶつけた達也であったが、そんな由希の悲しげな表情が

目に映ると、ハッと我に返り、冷静さを取り戻していった・・・そして静かに

語りはじめた・・・

達也「あの週刊誌の記事をみんなで見たあの日...僕の通っている予備校の

同じクラスに涼月学園のやつがいて、授業が終わったあとで彼から

雪村くんのことを聞き出したんだ...そこで知ったんだ...事件の詳しい

概要を...雪村くんと晶子さんのお兄さんのことも...せりなも雪村くん

のこと手に負えないとわかれば、また僕たちのところに戻ってきてくれる

んじゃないかって...もう僕の気持ちは限界だったんだ...それで、

パソコンであのビラを作成して、プリンターで印刷して...翌朝、各学年

の教室にこっそり置いたんだ...でも、その現場を○作さんに見つかって

しまって...しかも、せりなはかえって雪村くんのことを...バチが

あたったんだ...うう...」

達也の独白も終わりは涙声に変わっていた…

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ビラばら撒き事件の犯人が達也・・・その事実は深い絶望と悲しみを由希に

与えた・・・だが、達也の涙ながらの独白によりその悲壮な心中を知ると

やがて意外な言葉を発した!

由希「達也くん、いまからでも遅くありません!私といっしょに

せりなちゃんたちのところに行って、みんなの前でもう一度

正直に話してください!そうすれば、せりなちゃんや雪村くん

ほかのみんなもきっと許してくれます!」

だが、達也は由希の言葉を激しく否定する・・・

達也「許してくれるわけない!!僕は人間としてもっとも卑怯で卑劣な

行為をしてしまったんだ!!それも、せりなのいちばん...

そんな僕を、せりなが許してくれるはずないじゃないか!!」

もはや聞く耳持たぬ達也に対し、それでも由希は必死に説得を試みる・・・

由希「大丈夫です!せりなちゃんは許してくれるに決まっています...

達也くんはせりなちゃんの大切な幼なじみじゃないですか!

せりなちゃん、最近すごく悩んでました…もし自分と雪村くんが

つきあうことになったら、 達也くんや鉄平くんがどう思うだろう?

ふたりとのいままでの関係が壊れてしまわないかって…そんなせりな

ちゃんだから、達也くんの気持ちが痛いほどわかるし、きっと許して

くれるはずです!」

決して同情心だけでなく、なんとしても達也の心を救ってあげたい…

達也のことをいとしく想う一心から出た、由希の言葉であった…

その熱心な説得に、頑なだった達也の態度にも変化が見られた…

達也「間部さん!!...」

由希の言葉はいまの達也にとって、地獄から抜け出すための一本の蜘蛛の糸

のように思えた…その救いの糸にすがるごとく哀願のまなざしを向ける達也…

だが、その蜘蛛の糸は一瞬で断ち切られた!!

○作「臭ぇ〜!臭ぇ〜ぞぉ〜間部!さすがマ○カスが溜まってる

優等生の発言は違うねぇ〜 まったく臭ぇ〜青春ドラマ演じ

やがって...もっとも俺さまがこれから撮るのは最高の性春

ドラマだがねぇ〜 クックックッ...」

(つづく)

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