くちゅ
と、湿った粘膜が音をたてた。
「あっ・・・・・・」
恥ずかしさで、顔が赤くなる。
男の太い指が、乃絵美のスリットに沿っていやらしく動いていた。
時折、力をこめて指を滑り込ませようとする。
ちゅくちゅくと音を立てながら、中指の第一関節が小陰唇の内側をえぐり、尿道の入り口と膣とを探り当てるように弄ぶ。
「あの・・・あの・・・」
乃絵美は、か細い手で、男の太い腕を押しとどめようとするが、ウェイトレスの制服のエプロンドレスごしに胸を鷲掴みにしていたもう片方の腕が、それを払いのける。
(助けて・・・お兄ちゃん!)
払いのけられた拳をを胸元に硬く握りしめて、今は部活で学校にいるであろう兄を想った。
男の右手は、更に乃絵美の奥へと進入しようと執拗に愛撫を繰り返していた。
時折、親指が乃絵美のまだ生えそろわない薄い陰毛の感触を楽しんで恥丘を撫で回す。
既に、男は小一時間も乃絵美を膝の上に載せて、誰にも触られたことのなかった部分を弄んでいた。
すぐに乃絵美を犯そうとしているのではない。
じっくり、たっぷりと楽しもうとしているのだ。
乃絵美は、襲われたことこそ無かったが、夜道で乱暴されたことのあるクラスの女の子の話を思い出していた。
ふいに襲われて犯されるよりも、ずっと辛い。
夜道での暴行は、人目に付かないように男の欲求を果たして、最短の時間で終わらせる。
だが、今の乃絵美へは、夜道のそれと違い、無限とも思える長い時間がかけられるのだ。
男の様子では、指で弄ぶだけでは済ませてくれないだろう。
乃絵美は絶望に打ちひしがれそうになりながら、震える手を更に胸に押しつけた。
(どうして・・・)
もちろん、問うても答えは返ってこない。
判るのは、男の膝の上でスカートの中に手を潜り込まれて、ショーツの下のスリットを弄ばれているのに、逃げることも叶わないということだけだ。
喫茶ロムレットの店内では、いつもの静かなBGMと、乃絵美の漏らす微かな声ともつかない吐息、そして、乃絵美自身の粘膜が奏でる水音だけが聞こえていた。
男の指は、更に膣の内部に潜りこみ、処女膜を探り当てていた。
「あぁっ・・・」
乃絵美の奥に張られた、純血の証の感触を楽しむと、指を引き抜く。
抜いた指が小陰唇をかき分けて、充血しつつある陰核の愛撫に移っていくと、乃絵美は軽い吐息を漏らした。
男の指で、処女を奪われることは免れたらしい。
自慰すらしたことのない乃絵美のスリットは陰核を覆う肉襞を剥かれ、濡れた男の指に陰核を責められて、男の老練な愛撫によって濡れ始めていた。
乃絵美がどれだけ嫌悪しようとも、男の指はそれを否定するように、乃絵美を快楽へと誘う。
「はぁっ・・・」
煙草臭い男の息を感じたかと思うと、男は乃絵美の耳たぶ唇でそっと挟み、甘露を味わうかのように舌でねぶった。
ぴちゃぴちゃ・・・
舌と唇だけでなく、鼻の下で綺麗に揃えられた髭が耳をくすぐる。
「ひ・・・」
ピアスの穴も無い生まれたばかりの赤子のように柔らかな耳たぶが、そして、耳の穴までが、男の舌によって陵辱されていた。
あまりのおぞましさに、乃絵美は身を硬くする。
それに気がついたのか、男の舌は乃絵美の耳の穴から離れた。
けれど、それは乃絵美を慮ってのことではなかった。
「そろそろ、儂のモノを入れてやろう・・・ヒヒ」
乃絵美を弄んでいた男――――代議士・堂島薫は、そう言うと、濡れた乃絵美のショーツに手をかけ、それを膝までおろした。
それは、絶望のはじまりだった。