「誰だって足の踵でコントロールを押すようなゲームを望んじゃいまい?」
棚に商品を陳列しながら加藤は言う。
「・・・まあ、正論だ」
値札をはりながら答える。
「だから俺は思うんだ。これはある一つの事実を明確に照らし出している」
プレミアたっぷりの初回限定版は\13000なり。
「まさかメッセージスキップは制作者の妥協だ、とか言うんじゃあるまいな」
俺達の性欲は、切り離されているのだろうか?そんなことを考えつつ値札はり。
「その通りだ」
「やれやれ、加藤様はエロゲームを芸術だと考えていらっしゃる!」
がちゃこん、がちゃこん、\5980。\5980。
「初期タクティクスとキーが素晴らしいことについては、お前も納得するだろう?」
「ああ、同棲のかったるさがたまんねえ。SEXを思い出すね」
がちゃこんがちゃこんがちゃこん。福袋=売れ残りは\10000。
「まったく、お前とは話があわん」
「お、それについては俺も同意見だ」
がちゃこんがちゃこん、いつまでたっても売れ残る半ば産業廃棄物をワゴンへ。\1980。
「考えてみろ。今現在、もっとも多くのファンを獲得しているのはキーだ」
「加藤、お前の頭にはリーフって存在がねえのか?」
DOSゲームは専用の棚に。がちゃこん、\2980。
「葉っぱ?くだらんな、完全にもう、絞りカスだ」
「加藤、お前の言っていることを、店長に聞かせてやりたいよ」
書籍はレジ前。うわ、なんでレベル100になる本があるんだ?
「店長はある意味、信者だ。何を言っても聞きやしない」
「それについて、俺は言うべき言葉を一つしか思いつかねえな」
がちゃこんがちゃこん。同人誌は折らないように。
「なんだ?」
「お前もな」
がちゃこんがちゃこん、渡辺製作所のは結構高い。
「俺が信者だと?バカバカしい」
閉店一時間前。