「あっ・・・んっ・・・」
乃絵美の口から微かな吐息が漏れた。
慌てて、周囲に聞こえていないかと見回してみる。
周囲の生徒たちは授業に集中しているか、飽きて居眠りをしているばかりで、乃絵美の様子に注意を払うものはいない。
けれど、ほっと胸をなで下ろすのもつかの間。
乃絵美の中で蠢くバイブレーターは、乃絵美にまた小さな快楽の波を送ってくるのだった。
「ふぅ・・・ふっ・・・」
肩で息をしながら、乃絵美は必死に平静を装おうとする。
スカートの中で蠢くバイブレーターが、乃絵美には荒れ狂うほどの勢いに思えた。
すがるように堂島に頼み込んで、バイブレーターの動きは最も小さくして貰っているのだが、それでも15歳の幼い身体にはあまりに激しすぎる動きのように思えるのだった。
「んふ・・・ふぅ・・・んっ・・・」
既に、ショーツはぐっしょりと濡れ、溢れた陰汁は太股を伝っている。
スカートにしみ出すのをおそれて、腰を上げると、周囲に判らない程度にスカートをずらす。
ひんやりと濡れたショーツが椅子に触れて気持ちが悪い。
でも、スカートにまでしみ出したら、立ち上がったときに全てが露見してしまう。
「ん・・・っ」
再び腰を落として、椅子に重心を移すと、バイブレーターが椅子に触れる。
20センチ大のバイブレーターは乃絵美の膣内には収まりきらず、溢れた部分がショーツを突起状に膨らませながら蠢いている。
カタカタカタカタッ
その突起が椅子に触れると、モーター音がカタカタと椅子に伝わった。
「ひっ」
慌てて中腰になる。
「伊藤?」
今度は、教師も気づいたのか、不思議そうに乃絵美の方を見た。
「な、何でもありません」
乃絵美は、作り笑いを浮かべてゆっくりと席に着く。
「いつもの貧血か?具合悪いなら、早めに言えよ」
微かに汗を浮かべた乃絵美を見て、顔色が悪いと判断した教師は心配そうに言った。
事実、乃絵美はいつも貧血で倒れている。
「大丈夫・・・ですから」
言いながらも、股間の突起を気にする。
乃絵美の答えに安心したのか、何事も無かったかのように授業が再開される。
生徒たちも、いつものことのように再び黒板のほうを向く。
(危なかった・・・)
心臓が破裂しそうなほど、高鳴っていた。
(バイブレーターを入れたまま授業を受けているなんて知られたら・・・)
想像するだけでも恐ろしいことだった。
「ふっ・・・んんっ」
収まりの悪い突起をそっと押さえているだけでも、気が狂いそうなほどの快感だった。
(こんな状態で、授業を受け続けたらおかしくなっちゃう・・・)
慌てて座ってせいで、せっかく濡らさないように避けたスカートの尻の部分は、ショーツを伝った陰汁がしみ出していた。
(ああ・・・)
もやのかかったような感覚に侵されながら、乃絵美はせめて授業を受けているふりだけはしようと、シャーペンを握るのだった。
「ふぅ・・・ふぅ・・・」
授業が始まってどれほどの時間がたっただろうか。
教壇に立つ教師の声さえも、何を言っているかわからない。
しみ出している陰汁はスカートすらも伝い、椅子からぽたぽたと床にまでこぼれ始めている。
一度、周囲の女生徒が臭いに気づいて、何の臭い?と周囲に聞いたことがあったが、気のせいということで収まっていた。
「ん・・・ん・・・」
小さく痙攣する。
もう何度目だろう。
数え切れないほど、小さな絶頂を迎えている。
2時間目から授業を受け始めて、もうすぐ4時間目を終わろうとしている。
その間、幾度となく絶頂を迎えたのだ。
ただ、何もせずに座っていたのではない。
2時間目が終わったとき、まだスカートの染みも小さいうちに、乃絵美はノートで染みを隠して立ち上がると、急いで教室を出た。
(すぐに、トイレに行かなくちゃ・・・!)
そして、このシリコンの肉塊を抜かないと・・・
そう思ったときだった。
「おや」
先刻も聞いた声。
教室の前には、堂島がいた。堂島の横には、案内役なのか、教頭と学年主任の先生もいる。
「えっ・・・!?」
驚いて立ちすくむ。
「どうかしましたか?」
教師たちの前のせいか、いつにも増して丁寧な堂島の口調が、乃絵美の背筋を凍らせる。
「堂島先生のお知り合いですか?」
学年主任が、媚びを売るように聞く。
それだけで、St.エルシア学園での堂島の地位がわかるようだった。
「ああ。知人の娘さんでね。どうですか?彼女は」
堂島は、まるで旧知のように語る。
「なかなかいい子ですよ。いや、堂島先生のお知り合いのお子さんなら、当然でしょうが・・・」
学年主任のおべっかが続く。
「それで、大丈夫かな?顔色が良くないようだけれど」
堂島は、更に乃絵美に向く。
「だ・・・大丈夫・・・です」
それだけ言うと、乃絵美は急いで教室へ戻る。
(ダメ・・・逃げられない)
絶望しながら、再び席についた。
それから、3時間目も4時間目も、自分の席を離れることもできず、ただバイブレーターの快楽に染められていったのだった。
最も、すっかり乃絵美自身の陰汁に浸されて大きな染みを作ったスカートのままでは、もう立ち上がることすら敵わなくなっていたのだけれど。
「んふぅっ・・・んっ・・・」
こらえきれず、一瞬身体が反ってしまう。
「ふぅ・・・んっ」
痙攣の果てに来る大きな波。
今日、一番の絶頂かもしれない。
快楽の波に翻弄されてしまうのを、必死にこらえながら乃絵美はそう感じる。
「んー・・・・・・っ」
必死の思いで声を抑え、少しだけ机に身体を預ける。
「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」
そして、辞書を探すふりをしながら、ゆっくりと息を整える。
(また・・・イっちゃった・・・)
幸い、つまらない授業のため、周囲はすっかり居眠りしている。
お陰で、また気づかれずに済んだようだった。
(でも・・・)
不安げに、乃絵美は教室の時計を見る。
もうすぐ、4時間目が終わる。
その後は、どうすればいいのだろう。
昼休みともなれば、ここから動かなくてはいけない。
そのとき、バイブレーターの快楽に溺れた証をスカートに残して、どうしろというのだろう。
(ああ・・・お兄ちゃん・・・)
助けにくるはずもない兄のことを思い浮かべる。
ガラッ
と、後ろの扉が開く。
驚いて、生徒たちが一斉に振り向く。
「やあやあ。みなさん」
学年主任が入ってくる。
「どうかしましたか」
授業を中断された教師が不快そうに学年主任に訊く。
「少しだけ、授業の様子を見させて頂いて構いませんかな」
卑屈そうな笑みを浮かべる学年主任の後ろに、堂島が立っていた。
(堂島・・・さん!?)
不安がどんよりと胸に押し寄せる。
「それは、構いませんが・・・」
教師も、後ろに立つ人物に気づいて軽く会釈する。
教師たちには、既に堂島が理事に選任されることが知られているのだろう。
「すみません」
堂島も丁寧に頭を下げる。
「いえ・・・それじゃ、授業を再開します」
教師は、堂島を気にしながら黒板に向き直る。
「後は、大丈夫ですから」
堂島は、学年主任に退室を促した。
「そうですか・・・?」
残念そうに学年主任が教室を出ると、堂島は乃絵美のほうを見る。
乃絵美は慌てて黒板のほうを向いた。
もう、どれほど授業が進んでいるかも判らなかったけれど、堂島と顔を合わせるぐらいなら授業を受けているふりをしたほうがましだと思えた。
ヴヴヴッ
突然。
乃絵美の膣内を激しく抉る動き。
「ひぎっ・・・!」
突然のことに、乃絵美の口からも、声が漏れてしまう。
大丈夫?という顔をしながら、となりの生徒が乃絵美のほうを向いた。
終始俯いている乃絵美のことを、単に具合が悪いと思っている橋本みよか、という名の少女。
乃絵美の兄と同じ部活にいる兄をもつ少女で、乃絵美とはそれほど親しくはなかったが、そんなみよかでさえ、心配するほどの様子だった。
「う、うん・・・」
無理矢理笑顔を作って、ごまかす。
けれど、激しいバイブレーターの動きはますます強くなるばかりだった。
「んっ・・・ふっ・・・ふっ・・・」
体の中を掻き回されるような感覚に、乃絵美の身体も大きく揺らぐ。
(堂島・・・さんっ)
乃絵美は、恨みがましい目で堂島を見る。
薄ら笑いを浮かべた堂島の後ろ手に握られているのは、乃絵美の膣内を暴れ回っているシリコン塊を操るリモコンスイッチだった。
堂島の指が更にゆっくりとリモコンのつまみを回す。
「ひぃっ・・・ぎぃっ・・・」
乃絵美は肩をふるわせながら、俯いて固まってしまう。
「ひっ・・・ひっ・・・くぅぅ・・・・・・っ」
何度も絶頂を迎えて、どろどろになった膣内に更に激しい刺激。
いかに15歳の幼い膣内とはいえ、数時間にもわたって刺激され続けて、すっかりと解きほぐされていた。
「ふぁ・・・ん・・・んん・・・」
あまりの動きに、隣のみよかも気にして乃絵美のほうを向く。
「大丈夫・・・大丈夫・・・だから・・・」
荒い息が、誰の目にも大丈夫ではないのに、乃絵美は必死に取り繕う。
「全然、大丈夫じゃないよ・・・」
小声で話しかける声を聞いて、他の生徒も乃絵美の方を見る。
「ひぃ・・・ふぅ・・・ん・・・」
堪えても堪えても・・・快感が押し寄せてきて、堪えられない。
「保健室、行ったほうがいいよ」
乃絵美は、答えることも出来ず、ただ首を振る。
(今立ったら・・・)
教室中の生徒に、スカートを濡らしていることを知られてしまう。
それだけは、したくなかった。
「ねえ、乃絵美ちゃん・・・」
心配する女生徒の手を払って、机に突っ伏す。
「ひっ・・・くぅ・・・」
先刻の絶頂と比べものにならない大きな快楽の波が、怒濤のように押し寄せていた。
恥も外聞もかなぐり捨てて、教室から走り去りたい気持ちでいっぱいになる。
けれど、後ろに控えた堂島の存在がそれを許してはくれなかった。
「ひぅっ・・・ん・・・あ・・・」
額に浮かんだ汗が、突っ伏した机にぽたぽたとしたたり落ちる。
「ふぅ・・・ふぅ・・・んぅ・・・」
もう椅子の下の雫も水たまりのようになっていた。
「先生っ!伊藤さんがっ!」
みよかが、立ち上がる。
教室中の視線が、乃絵美に集まっていた。
「だいじょ・・・大丈夫・・・うぅっ・・・っ!」
言いかけて、乃絵美はまた固まってしまう。
大きな絶頂の前の、小さな連続した痙攣。
(ダメ・・・イっちゃダメっ・・・!)
もう何も考えられないほど快楽に身をゆだねつつある乃絵美にも、これが最悪の状況であることは認識できている。
「ひぃっ・・・んっ・・・んんぅ・・・」
痙攣は止まらない。
激しい波。
高いところに巻き上げられるようでいて、突き落とされるような激しい高揚感。
めちゃめちゃにされてしまうような激しい快感。
光の渦のような、そんな快楽が押し寄せて、押し寄せて・・・
(もう・・・ダメっ・・・!!)
「ひっ・・・くぅっ・・・ううぅっ・・・・・・!!」
かつてない絶頂に身をゆだねながら、乃絵美は机に倒れ込む。
間欠泉のように勢い良く吹き出した乃絵美の陰液が、椅子も床も乃絵美から溢れた淫潮まみれにしていた。
(ああ・・・もう・・・)
薄れゆく意識のなか、乃絵美は、全てを失ってしまったと感じていた。
乃絵美は駆け寄った堂島の腕の中にぐったりともたれかかったのだった。
「私が、保健室に運んでいきましょう」
濡れた床を隠すように堂島の上着がかけられる。
失禁は誰の目にも明らかだったが、その気遣いがいかにも人格者然とした理事像を築いていく。
少女の異変の原因が、堂島の所行とは誰一人想像しえないことだった。
「お願いします・・・」
動揺した教師は、すがるように堂島の介護の様子を見守るしかない。
「大丈夫。ただのひきつけでしょう」
堂島を除く全ての人間が、乃絵美が絶頂を迎えたことに気づいていない。
ただ、堂島に言われた通り、ひきつけを起こして倒れたと思っている。
心配そう囲む生徒たちの輪をかき分けて、堂島が乃絵美を連れ出す。
その顔には、悪魔のような邪悪な笑みが浮かんでいる。
悪夢の授業は、まだ終わらない。
教室を出た堂島は、保健室とは違う方向に歩き出していた。