「ん・・・・・・」

涙の乾きかけた瞼が微かに揺れた。

「起きたか」

乃絵美を両手に抱いたまま大きな椅子に腰掛けている堂島が、その様子に気づいた。

どれほどの時が経ったのか。

それは、乃絵美にとって、つかの間の休息。

そして、堂島にとって淫楽に溺れ果てた乃絵美の寝顔を眺める至福のひとときだった。

「ここは・・・?」

思い瞼をこすりながら、乃絵美は状況を把握しようとする。

大きな木目の見える会議テーブル。

その周囲を円卓のように囲む豪奢な椅子。

(ここって・・・確か学校案内のパンフレットで見たことある・・・)

生徒たちは、一度として足を踏み入れることの無い、学校内の絶海の孤島。

「St.エルシア学園・・・理事会」

堂島の声が、耳元で答える。

「理事会・・・」

職員室よりも更に奥に位置するそこは、生徒にとって畏敬の場であった。

生徒はもとより、教師すら近寄ることが憚られる、パンフレットの中だけの存在。

それが、乃絵美の理事会に対するイメージだった。

「あの・・・どうして」

自分が、ここにいるのか。

教師すら立ち入れぬ禁断の場に。

そう言いかけて、先刻の出来事が脳裏に蘇る。

「あ・・・・・・っ」

思わず、耳まで赤く染まる。

「そう」

堂島は、目の前にピンクのバイブレーターを突きつけて見せた。

「乃絵美は、これを使って教室でオナニーして・・・」

「いやっ・・・言わないで・・・っ」

男根を模したシリコンの塊。

自分のしてしまったことと、その玩具のおぞましさに身の毛がよだち、勢いバイブレーターをはねのける。

ゴトッ

と、鈍い音を立てて、バイブレーターが厚い絨毯の上を落ちて、転がっていく。

「おやおや。そんなに元気なら、続きをしてあげようかな」

堂島の両手に力が籠もる。

「やっ・・・」

必死の抵抗。

そのつもりでも、力が入らない。

元々病弱で基礎体力の無い乃絵美だったが、それに加えて午前中に何度も昇り詰めて淫楽に溺れてさせられたせいで、全身に力が入らなかった。

「やめて・・・ください・・・」

言葉だけで、儚く抵抗するものの、堂島に支えられていなければ、まだ自らの力で立つことも敵わないことは明白だった。

「乃絵美・・・これでも、まだ儂にされるほうが嫌かね」

堂島は、乃絵美の髪を撫でながら言った。

「えっ・・・」

堂島の手が、乃絵美の髪を、耳を、頬を撫でる。

堂島でなければ。

これが、兄であれば。

そう思わせてしまう、優しい愛撫。

けれど、それをしているのは、他ならぬ堂島薫だった。

「どうかね」

堂島の双眸が、乃絵美の瞳をじっと見据えた。

「それは・・・」

乃絵美には、答えられない。

堂島に犯されることは嫌でも、それ以上に先刻のような恥辱は耐えられないことも事実だった。

しかし、どちらも嫌だと言えば、もっと残酷な恥辱の行為が待ち受けているに違いない。

(ああ・・・どうしたら・・・)

不安に揺れる乃絵美の沈黙。

それは、拒絶しきれない乃絵美の心情そのものでもあった。

「乃絵美・・・どちらも選べないから」

堂島が、いいかける。

それは、もっとおぞましい恥辱。

乃絵美が耳をふさごうとしたとき、。

ギィ

と重い樫の扉が開いた。

理事以外開くことの無いその扉から入ってきたのは、巨漢の白人だった。

「堂島サン・・・おや」

白人は、流ちょうな日本語で語る。

(えっ・・・)

乃絵美は凍り付く。

(そんな・・・そんなことが・・・)

「あなたもですか」

堂島は、笑う。

白人の後ろには、長く美しい金髪が見えた。

あなたも、というからには、堂島と同種の趣向を持つのだろう。

「どうして・・・」

思わず、乃絵美が漏らす。

けれど、それは仕方のないことだったかもしれない。

その白人は、St.エルシア学園理事長。ブレッド・ノーマン、その人だったのだ。

英国上院議員でもあるブレッドは、今、St.エルシアの理事長として日本に滞在していたのだった。

「キミは、本校の生徒か・・・ははは。いけませんな。就任初日から生徒に手を出すとは」

本当にいけないとは思ってもいない口振りで、ブレッドが堂島を窘める。

「今日は、例の・・・チャムナを入学させに来たのですがね、偶然、知人の娘を見かけたものだから」

そう言って堂島も笑う。

「知人の・・・そうですか。その娘が、例のノエミですね」

(例の・・・)

堂島は、他の人にも自分とのことを話しているのだ。

そう思うと、また顔が赤くなる。

(死んじゃいたい・・・)

「それで、理事長は・・・ほう、理事長もお好きなようで」

乃絵美は、理事長の後ろに立つ少女を見る。

巨漢に隠れて見えなかったその少女は・・・

「ああっ・・・そんな・・・」

何度、そう呟いただろう。

けれど、それは今日の乃絵美にとって、最も絶望的な出会いだった。

「乃絵美・・・」

金髪の少女も、乃絵美に気づいて、落胆の声を漏らす。

お互いの境遇、そして、これからされることを予期しながら。

「フィアッセ・・・どうして・・・」

それは、先日校内を案内した13歳の少女。

英国の歌姫。フィアッセ・クリステラだった。


フィアッセとの再会をどれだけ望んでいただろう。

しかし、それは少女同士のほほえましく楽しいひとときのこと。

今の二人は、陰汁のしたたるバイブレーターで何度も達せられて立つことすらできず、憎い男の腕に抱かれた乃絵美と、純白のレースのドレスに身を包んではいるものの、大型犬に付けるような物々しい鎖の首輪をして巨漢の男に連れられたフィアッセ。

絶望的な再会だった。

「ああ・・・」

思わず二人の口から漏れたため息に、奇しくもその二人を連れた男たちも、同時にいやらしい笑みを漏らしていた。

「ヒヒ・・・知り合いか?」

堂島が問う。

「っ・・・」

どう答えたものか、乃絵美は言葉に詰まってしまう。

「フィアッセ。どうなんだ?」

ブレッド・ノーマンが、首輪を引き寄せてフィアッセに問うと、急な動きにフィアッセがノーマンのほうに倒れるように引き寄せられた。

「きゃ・・・あっ」

その勢いを丸太のように太い腕で止めたノーマンが、フィアッセの唇を己のてらてらと脂ぎった唇と重ね合わせる。

「んっ・・・」

必死に拒もうとするものの、フィアッセの可憐な唇は強引に割られ、ノーマンの舌が荒々しく潜り込んでいく。

「ん・・・んん・・・」

フィアッセの息が荒く乱れる。

それは、快楽ではない。ただ、目の前の男への拒絶の意志が、必死な抵抗となっているのだ。

(フィィアッセも・・・あの男に無理矢理・・・)

首輪からして明白ではあったものの、強引に唇を吸われるフィアッセを見て、その少女が自分と同じように無理矢理陵辱されてきたことが、乃絵美にもはっきりと見て判る様子だった。

乃絵美と語らったひとときの記憶を紐解く限り、フィアッセは、2歳下で、イギリスの有名な音楽学校のシニアスクールに在籍する8年生だと言う。

日本にして、中学校の2年生にあたる。

乃絵美が中学2年生のときは、どうだっただろう。

兄を想い、ふと触れた淫裂の刺激に怖さと罪悪感で眠れなかったこと、兄を想う菜織の様子につい嫉妬しながら、表に出せずに思い悩んだこと・・・

それもこれも、少女がごく当たり前に経験するような恋愛の初歩的なエピソードばかり。

(なのに・・・)

目の前の少女は、そんな歳で巨漢の中年に首輪をつけて連れ回され、強引にディープキスを強要されているのだ。

「乃絵美。だんまりかね」

フィアッセの境遇を哀れんで思いに耽っていた乃絵美の秘部に、堂島の太い指が割り込んだ。

「きゃっ」

その刺激に思わず我に返る。

「あの・・・あの・・・」

慌てて、スリットをまさぐる手を制止しようと、両手を伸ばす。

「儂は、聞いておるんだがね」

堂島は、ふざけているとも恫喝ともとれるような口振りのまま、襞をつまむように、乃絵美の秘裂を弄ぶ。

「ひあぅっ」

何度も絶頂に達したばかりで火照りの残る15歳の性器には、背筋まで電流が走るほどの魔性の快楽だった。

「ふあっ・・・はぁっ・・・」

堂島の手はなおも緩まず、その指は陰核のあたりにまで伸びる。

(イヤっ・・・これ以上されたら・・・)

どうにかなってしまう。

兄の知らない、淫らな乃絵美になってしまう。

そして、それは戻れない、堂島の性奴となってしまうということ。

それを想像すると、全身に寒気と嫌悪感が走った。

「んっ・・・ふぃ・・・フィアッセは、以前見学に来たときに、案内したことが・・・ふぁっ・・・あ、会って・・・」

両手で、必死に制止しながら、説明する。

陰部をまさぐる手が蠢くほどに、乃絵美の全身は何度となく痙攣する。

(やだ・・・また・・・イっちゃ・・・)

堂島の指の動きが淫汁の滴る蜜壺をかき回すごとに、先刻何度も感じた激しい快楽の波が押し寄せてくるのを感じる。

「や・・・ああ・・・くあっ・・・」

乃絵美の頭の中が真っ白になりかけたとき、徐々に力が戻りつつある両腕が、かろうじて堂島の動きを邪魔した。

「ふん・・・なるほど」

堂島が、乃絵美のスリットから手を離す。

「はぁ・・・はぁ・・・」

荒い息を整えると、ようやく思考が戻る。

絶頂に達しかけて火照った体が背筋をちりちりを焼くような焦燥感を残しているものの、かろうじて人としての意識を保てた。

(良かった・・・このままされてたら、どうにかなっちゃってたかも・・・)

堂島が止めてくれたことに、心のそこから胸をなで下ろした。

けれど、堂島が乃絵美の愛撫を止めたのは、乃絵美の答えに満足したからではなかった。

乃絵美が必死に抵抗している間に、フィアッセが乃絵美以上の陵辱を受けていたからだった。

フィアッセ・・・?」

それは、乃絵美が知る可憐な13歳の少女ではなかった。

そこにいたのは、淫らな淫欲に溺れ尽くした・・・金髪の雌奴隷だった

乃絵美が、堂島の指戯に溺れかけていたつかの間、ノーマンは医療用手袋を填めた指に、鮮やかなピンクのペーストをねっとりとからめていた。

「・・・それは」

ノーマンの指で糸を引くそのペーストを察したフィアッセがびくっと震えた。

「それだけは・・・」

フィアッセは懇願するように首を振った。

ノーマンは嫌らしい笑みを浮かべたまま、むしろ更に力強くフィアッセの肩を抱き寄せる。

「お願いです・・・お願いですから・・・それだけは・・・」

巨漢の中年は聞く耳を持たずに、すがりつく歌姫の胸元を大きく開いた。

「ひっ」

フィアッセがよろけた方向に、いくつもの琥珀のボタンが飛んだ。

胸元を彩るボタンが引きちぎられると同時に、フィアッセの小振りな乳房が露わになってしまう。

「ああっ」

慌てて胸元を隠そうとするが、ノーマンの怪力がそれを許さない。

小降りとは言っても、今の乃絵美と遜色のないほどの大きさの乳房。

だが、5年後、10年後には、どんな男性も振り向かせるであろう豊かなバストが保証されたそのふくらみも、まだ未成熟な硬さをもった、これから柔らかさを帯びようとしている蕾だった。

「許して・・・許してください」

前を押さえながら、首輪についた鎖に揺られて翻弄されるフィアッセ。

そのスカートの断裂からちらちらと覗くフリルのついたレースのショーツが、余計にノーマンの劣情を誘ってしまう。

「ぐふふ・・・」

英国上院議員であり、学園の理事長をも兼任する男が、その聖職の裏に潜んだ邪悪な笑みを漏らす。

「脱げ」

そう言うと、ノーマンは腕に力を込めて、鎖を引き上げた。

「きゃうっ」

鎖は、その終端に結わえられた首輪ごと、13歳の小柄な歌姫をも中空へと導く。

「ひぎっ・・・んっ・・・」

鎖が気管を圧迫する。

小柄な身体に蓄えられた僅かな酸素が、急速に失われていく。

「はひっ・・・ひっ・・・ひっ・・・」

前を隠すことすら忘れ、必死で首輪を掴む。

けれど、獰猛な大型犬すらつなぎ止めるその首輪は、フィアッセの非力な両腕では決して解けない代物だった。

「早く脱げ」

ショーツに目をやりながら、なおも非常に締め上げる。

「はっ・・・はひっ・・・ひっ・・・」

フィアッセは、首から上を真っ赤に染めながら、残された力を振り絞ってショーツに手をかけた。

「ひっ・・・ひっ・・・はひっ・・・」

その間にも、何度と無く意識が遠くなりかける。

気が急いているせいかうまく脱げないショーツを、もどかしそうに丸めて、くるくると下ろした。

「よし」

膝より若干手前まで下ろしたところで、ノーマンが鎖がつま先がつくところまで下ろした。

「ふぅっ・・・!」

全体重をつま先に乗せながら、深く息を吸い込んだ。

それと同時に、ノーマンの手袋を填めたほうの手が、むき出しになったフィアッセのスリットへと伸びる。

外気に晒された13歳のスリットは、綺麗な一本の縦線。

縦線を、まだ産毛のような生えそろわない恥毛が囲んでいた。

そこをかき分けて、ノーマンの指が押し込められる。

「ひっ・・・」

つま先が震える。

ノーマンの指に絡んだペーストが、スリットの奥をえぐるように、ねっとりと奥へ奥へ浸食する。

「いや・・・あ・・・」

フィアッセの目に涙が浮かんだ。

先刻の首輪吊りでの酸欠のせいだけではない。

その目には、これから起こることへの恐怖がはっきりと浮かんでいるのだ。

「ひ・・・いやぁ・・・」

肩から、更に膝までもが、ガタガタと音を立てるように震え出す。

「いや・・・いや・・・ひ、ひぃっ」

突然、フィアッセの肩が大きく揺れる。

「だめ・・・だめ・・・あぁ・・・来ちゃうぅ・・・らめぇ・・・」

小刻みに震えていた膝の動きが、内股を擦りあげるようなもどかしげな動きへと変わっていく。

「・・・んふ・・・はぁっ」

そして、漏れた吐息は・・・13歳という幼い年齢からは想像もつかない程の、甘い情欲の吐息だった。

「ふぅ・・・あふぅ・・・」

フィアッセは、その吐息を聞いた者を身体の芯からとろかすような甘い声を漏らしながら、ノーマンを見上げた。

その瞳は、恐怖に凍り付いていた先刻のものではなく、じっとりと潤んでノーマンを求めている。

「ぐふふ。どうして欲しい?」

ノーマンは首輪から手を離し、フィアッセの顎を指でしゃくりあげて問う。

「ん・・・」

戸惑い。

羞恥。

それらが、悦楽を求めてとろりととろけた瞳の中に交錯する。

「・・・欲しい・・・の・・・」

快楽が、均衡する葛藤を崩した。

「んー・・・聞こえんぞ」

言いながら、フィアッセの鼻頭を舐める。

「欲しい・・・んれ・・・すぅ・・・お願いぃ・・・」

ためらいながら、震える手がノーマンの下半身をまさぐる。

まるで、先刻自らのショーツを下ろしたときと同じように、おぼつかない手つきでジッパーを下ろし始めていた。

「ははは・・・いやらしい娘だ」

笑うノーマン自身も、フィアッセに導かれるまでもなく、硬くそそり立っていた。

「ああ・・・」

フィアッセが、うっとりした表情でノーマンのものに舌を這わせる。

「んはぁ・・・おいし・・・」

甘露にありついたかのように、恍惚とした表情のまま、更に喉の奥まで突き立てんばかりに頬張り、ノーマンの陰茎を挿入可能なほどに濡らしていった。

「はぁ・・・いいぞ・・・」

愛おしさを感じるほどの愛撫に、思わずノーマンも声を漏らしてしまう。

「ぷはぁ・・・」

フィアッセが陰茎を離したときには、フィアッセの唾液でたっぷりに濡れていた。

フィアッセは、手慣れた手つきで、ノーマンの背広のポケットから淡いピンクのコンドームを取り出し、ノーマン自身をくるんでいく。

「ふん・・・さあ、いつものように、おねだりするんだ」

ノーマンは、ネクタイをゆるめながら、フィアッセに命じる。

(いつものように・・・)

乃絵美は、フィアッセがノーマンに幾度となく抱かれていることを、今更のように実感する。

(だから・・・あんなにいやらしく・・・)

乱れてしまうのだろうか。

そう思ってしまう。

それは、自分が堂島に抱かれているときに、絶えず想像する恐ろしい未来と等しかった。

堂島に抱かれ、自我を失い、快楽に溺れてしまういやらしい乃絵美。

今、目の前で繰り広げられているフィアッセの痴態は、その恐怖と等しい堕ち方のように思えた。

乃絵美が、おぞましさに眉をひそめかけたとき、ためらっていたフィアッセがようやく動いた。

少女自身の分泌する陰汁と混ざりあってピンク色になったいやらしい液体が、ぴったりとつけても隙間のできる細く華麗な太股を伝って、一条の筋を作っていた。

「ん・・・」

もはや自我の光を失ってどんよりとした瞳のフィアッセは、ためらいながらテーブルに上半身を預ける。

それは、尻をつきだした犬のような格好だった。

「はひぃ・・・」

破れたスカートをたくし上げて、フィアッセの両腕が白磁の双丘のような臀部へと伸びる。

「お願・・・お願ひ・・・れすぅ・・・はぅ・・・」

伸びた腕が、ふとももの付け根から更に奥へ。

「欲し・・・ひのぉっ・・・おちんちん・・・おちんちん・・・ちょぉだぁひいぃぃ・・・」

数々の楽器を奏でる可憐な指が、まだ生えそろわない恥毛ごと大陰唇を広げる。

どろり

と、陰汁がこぼれ出しながら、陰唇の奥の入り口がひくひくとノーマンを誘った。

ノーマンの、20センチを越える巨根が、フィアッセの膣内へと埋まっていく。

「ふあぁ・・・おぉぉぉ・・・っひぁぁ・・・」

フィアッセであった肉塊が、身震いしながら、歓喜の表情でノーマンを受け入れていた。

幼いフィアッセの肉壺が、ノーマンのサイズを受け入れることに無理があることは明らかで、めりめりと音が聞こえてきそうなほどに、周囲の淫肉を巻き込んで埋まっていくのだけど、フィアッセ自身はその苦痛すらも耐え難い快楽であるかのように、悶え狂っていた。

「はぁぁ・・・うれしい・・・いっぱい・・・おチンポぉいっぱぁいぃ・・・」

歌姫の美しいソプラノが、淫声をあげる。

こんなにもきつく抽出も困難な結合なのに、フィアッセは早くも腰を使い始めていた。


「フィアッセ・・・」

堂島の腕に抱かれた乃絵美が、もう一度少女の名を呟いた。

ほんの数分。

堂島の指戯に溺れかけた数分前のこと。

そのときは、確かに・・・あの聡明な少女は、乃絵美の前にいたのだ。

けれど、乃絵美が目を離し、再び気がついたときには、あの可憐な少女はこの地上には存在しなくなっていた。

そこにいるのは、一匹の雌奴隷。

男のモノに飢えて、どん欲に快楽を貪るけだものだった。

「ああ・・・どうして・・・」

乃絵美は、まだ気づいていない。

ノーマン自身が触れることすら畏れ、手袋にコンドームまでつけて触れることを防いでいる謎のペーストのことを。

今の乃絵美は、ただ堂島の腕に抱かれながら、変貌してしまった少女の行為に釘付けになるしかないのだった。

「ひぃっ!・・・あひっ・・・あひあひぃ・・・・っ! 」

抽出の都度に、フィアッセは歓喜に震え、淫声をあげた。

ぷちゅっ、ちゅぶっ・・・

挿入して数分と経たないうちに、結合部からも淫らな水音がし始めている。

「あはぁ・・・あはぁあ、あふうぅぅっ・・・」

たっぷりと脂ののった中年の腰が、まだ骨盤の発達しきっていない13歳の恥丘と激しくぶつかり合う。

「ひっ・・・くはぁぁぁっ・・・も、もっとぉ・・・っ!! 」

それを力任せに引き抜き、また力ずくで押し込むのだから、乃絵美の位置からもはっきり見てとれるほどに、陰唇がめくりあがり、それが閉じきる前にまた陰茎を巻き込んで押し込んでいく。

痛々しいほどなのに、フィアッセの顔に浮かぶ表情は歓喜そのもの。

むしろ、半ば白目をむきかけているほどに悶えている。

(あんなに・・・)

乃絵美の淫裂が、かすかに濡れた。

自分がまだ怖い夢を見ては兄のベットに潜り込み、一緒に寝ていた歳の少女の乱れた姿に、ほんの少し身体が疼く。

絶頂に達しかけて、ぎりぎりのところでとどめられたスリットが、目の前で乱れる少女と同じ快楽を求めている。

(いや・・・あんな風になりたく・・・ないっ)

理性では、そう拒んでみせても、火照ったままの身体は、再びじっとりと湿り始めているのだった。

「ふぅぁはぁぁっ・・・イっ・・・イくっ・・・あぅ・・・あおぉぉぉ・・・」

フィアッセの小さな子宮が、少女の手首ほどの陰茎をくわえ込んで離さないほどに締め付ける。

「うっ・・・むぅ・・・」

思わず、ノーマンも唸る。

外遊と称し、諸外国でローティーンの少女を買いあさっている英国上院議員も、これほどに淫らな少女には出会ったことはない。

「はぐっ・・・あぁぁぁぁ!!! あつっ、熱いひぃぃ・・・あつ・・・いれすぅぅ・・・あおぉぉ・・・!!」

軽い絶頂を迎えたにも関わらず、それ以上の快楽を貪ろうとフィアッセの腰は、ノーマンをくわえて離さない。

薬の力だけではない。

フィアッセをここまで乱れさせているのは、ノーマンのフィアッセに対する淫靡な情熱を傾けた調教の日々によるものだ。

中東生まれにして、英国で最も偉大な歌姫と言われたティオレと、新進気鋭の議員アルバート・クリステラの一人娘。

裸一貫から上院議員まではい上がってきた男が、高貴な血筋を貶めているという愉悦も、ノーマンの快楽に一味加えている。

「おっ・・・おねが、おれが、ぃひぃ〜〜〜・・・もっと・・・もっと・・・シてぇぇ・・・」

息も絶え絶えなのに、叫ぶようにフィアッセはノーマンを求める。

しかし、堂島よりも更に一回り高齢のノーマンにとって、これ以上はむしろ身体に毒だった。

加えて、激しく求めて入り口を絞り締め付けてくる快楽にこれ以上耐えられそうにない。

「ふぅ・・・ふぅ・・・」

ノーマンは、抽出の速度を緩めながら、射精のタイミングを伺う。

「へぁうぅっ・・・ぁひぃぃっ、オマンコぉ・・・オマンコきもちいひぃぃ・・・」

フィアッセは、またも軽い絶頂を迎えたらしく、ぐったりとして呟くように淫声を漏らしていた。

激しい行為に、いつしかすっかりはだけた白いドレスをはぎ取って投げ捨てると、華奢な腰元だけでなく、すらりと伸びた白い背中が露わになった。

「あお・・・あおぉぉぉ・・・」

絶頂の余韻に酔いしれるフィアッセの背中に微かな黒い突起が見えた。

よく見ると、それは生えかけの翼であることが判る。

AS−30。

または、ルシファーの翼と呼ばれる黒いフィン。

高機能性遺伝子障害Pケース種別XXXという特殊能力をもった少女は、本来であれば、その強大な念動力をもって巨漢の男をなぎ払って逃げることも可能だった。

しかし、その力も、膣内に塗り込まれたピンクのペーストの力で、どれだけ念じても発動することはかなわない。

少女の本能が必死に逃れようとフィンを発動し、薬で押さえ込まれた結果が、背中から僅かに覗く小さな翼だった。

「んあぁ・・・んぎぃ・・・あおぉぉ・・・」

ノーマンが、黒い翼を指でなぞっている間にも、フィアッセの軽い絶頂は続く。

細かな連続した絶頂の後に待っているもの。

それは、乃絵美と同じ大きく真っ白な絶頂感だった。

黒い翼に深い劣等感を持つフィアッセは、全てを真っ白な世界へ誘うその絶頂感への誘惑を拒むことはできない。

淫欲に溺れることでたどり着く、全てを白くしてしまう快楽の果てにある感覚。

そんなコンプレックスが、フィアッセをここまで淫らに変えてしまう原因であることは、少女自身理解するには至っていない。

全ては薬のせいだと信じているのだから。


「ひあっ」

机に突っ伏して四つん這いのフィアッセを、持ち上げる。

結合したまま、少女の無毛の両脇を抱えて持ち上げるのだから、両腕と陰茎に少女の全体中がかかる。

並んで立ったとしても、ノーマンのみぞおち程度までしか身長のない小柄なフィアッセは、結合したまま起きあがらせられると、足がつくはずもない。

「あがぁ・・ひぎ・・・ささってるぅ・・・イく・・・こんなに深くささったらぁ・・・また・・・イっちゃうぅぅ・・・っ」

口元から垂れた涎すら拭うことを忘れて、フィアッセは快楽に溺れる。

全体中が子宮に乗せられるこの体位は、本来余程慎重にしなければ、女性自身に強い圧迫感と苦痛をもたらすものだ。

なのに、慎重とは言い難い乱暴なノーマンの動きに、フィアッセはうっとりと酔いしれる。

裸のフィアッセを見せつけるように、結合したままのノーマンが、ゆっくりと堂島のほうへと向かってくる。

「あぐぅぅ、あはあぁぁ・・・ゃだぁ・・・歩いたりしたらぁ・・・もっとぉ・・・感じちゃうぅ・・・」

びくびくと悦楽に震えるフィアッセを気にすることなく、さらに足を進める。

「ふぅ・・・堂島サン・・・あなたの雌奴隷を少し借りて宜しいかな?」

息を切らせながら、ノーマンは堂島の前に立つ。

ノーマンの視線で、堂島は全てを察した。

「ええ。いいでしょう・・・ヒヒ」

堂島は、そういうと腕の中の乃絵美をノーマンの前に出した。

「えっ・・・そ、そんな・・・!?」

突然の出来事に、乃絵美は驚く。

そして、制服のスカートの下に隠れて淫らな滴を垂らし始めていることを見透かされたような感覚に陥って、頬を染めた。

「あの・・・その・・・」

困惑する乃絵美の眼前に、フィアッセのめくれあがった陰裂が突きつけられる。

「さあ。舐めなさい」

ノーマンは、フィアッセを犯すときと同じ笑みを浮かべて命じた。

結合部をぬらぬらと濡らす陰汁は、薄いピンクに染まっている。

それは、ノーマンの陰茎を覆うコンドームの色だけでなく、フィアッセを狂わせている悪魔の薬の色なのだが、塗り込めているときを見逃した乃絵美には、それに気づく由もなかった。

「あおぉぉ・・・舐めてぇ・・・乃絵美ぃ・・・フィアッセのぉぉ・・・オマンコぉ・・・舐めてぇぇぇ・・・」

言いながら、フィアッセの腰が動く。

眼前に突きつけられると、余計にはっきりとわかる。

この腰の動きがフィアッセの意志によることが。

「舐めてぇ・・・お願ぁいひぃぃ・・・」

吹き出した陰液が乃絵美の頬にかかった。

淫らな歌姫の懇願に、乃絵美はどうして良いか判らず、ただ立ちすくむのだった・・・

「フィアッセ・・・だめだよ・・・」

乃絵美は、頭を振る。

その鼻先数センチのところで、13歳のスリットが淫靡に開き、それをさらにこじ開けるようにノーマンのものが突き刺さっている。

「あぉぉ・・・乃絵美ぃ・・・のぇ・・乃絵美ぃぃ・・・」

フィアッセは、ノーマンの陰茎を味わうかのように、自ら腰を動かす。

「はひっ・・・あふぅ・・・気持ちぃ・・・いいひぃぃぃ・・・」

乃絵美の言葉は、届かない。

「やだよ・・・こんな・・・こんなフィアッセ・・・見たくない・・・」

目頭が熱くなる。

ここにいるのは、一匹の淫獣。

ただ、快楽を貪るだけの雌。

その根元とも言える結合部に触れることが、乃絵美にはとても汚らわしいことのように思えてしまう。

「私・・・できません」

大きな瞳に涙を溜めて、もう一度首を横に振った。

「なんだと・・・」

いいかけたノーマンを堂島が制する。

「乃絵美」

そして、後ろから抱きすくめるように乃絵美に寄り添うと、両腕で乃絵美の首を掴んだ。

「きゃっ」

堂島の腕は、乃絵美の顔を再びフィアッセとノーマンの結合部まで持っていく。

「っ・・・」

乃絵美には、ひくひくと蠢く結合部が、まるで別の生き物のように見えた。

「いいかい。この子は・・・このままじゃ、おかしくなってしまう」

堂島が諭す。

「乃絵美が、愛撫してあげないと・・・判るね」

言い終わらないうちにも、フィアッセの陰唇からは、ねっとりとした淫汁が噴き出す。

ノーマンは、最後の仕上げにかかるかのように、フィアッセの両脇を掴むと、身体全体を上下させて抽出を始めた。

「あひぃぃっ・・・おれがいひぃぃ・・・らめてぇぇ・・・舐め・・・なめてぇへぇぇ・・・あぁ・・・」

口元から垂れた涎が糸を引いて胸元にこぼれ落ちた。

「フィアッセが・・・」

乃絵美は、フィアッセの虚ろな表情を見上げる。

上を向いていないと、涙がこぼれてしまいそうだった。

見上げると、涙の代わりにフィアッセの淫汁と涎が降り注ぐ。

「フィアッセが・・・望むのなら・・・」

覚悟を決めて、乃絵美はフィアッセのスリットに唇を寄せた。

甘い匂い。

不思議な甘い匂いが、フィアッセ自身の淫汁の匂いと混ざり合って、淫靡な香りを発している。

くちゅ・・・

閉じた唇にも、それが流れ込んできた。

「んっ・・・」

思わず、離れてしまう。

「だめだよ。乃絵美・・・舌で愛撫してあげないと」

堂島は、乃絵美の肩に手を回して、優しく言う。

(そうなの?・・・フィアッセ)

おそるおそる、乃絵美は舌をはわせる。

「んはぁ・・・乃絵美ぃ・・・」

乃絵美の舌を感じて、フィアッセが歓喜の声をあげた。

(そんなに・・・気持ちいいんだ・・・)

思えば、乃絵美は一度として、堂島に口で愛撫されたことがない。

柔らかい唇で、なめらかな舌で、ねっとりと愛撫されたら・・・

(気持ち・・・いいのかも・・・)

思わず、想像してしまう。

「うまいぞ・・・乃絵美」

堂島の言葉に、はっと我に返る。

乃絵美自身、気づかないうちに、ノーマンの陰茎と、フィアッセの陰唇を往復するように、舌をはわせていた。

「嬉しっ・・・ひぃぃ・・・乃絵美ぃ・・・いいのぉほぉぉぉ・・・」

フィアッセも、先刻以上にますます激しく乱れていた。

(舐めただけで、そんなに気持ちいいなら・・・これなら・・・)

結合部の根本・・・幼い肉襞に覆われた陰核へ、舌を這わせていく。

乃絵美の舌が、螺旋を描いていやらしい肉襞に覆われてわずかだけ覗いているクリトリスを剥いていく。

「あひひぃぃっ・・・そこぉっ・・・いいのぉぉっ」

ひときわ激しく、フィアッセが叫ぶ。

(やっぱり・・・)

乃絵美は、更に陰唇を甘噛みする。

「いぃひっ・・・あおぉぉ・・・うっっ」

フィアッセの絶叫を愉しむように、またクリトリスを剥きだしにして、ねぶるように愛撫する。

「あふっ・・・あふあふっ・・・もう・・・もうらめぇぇぇっ・・・」

乃絵美は、唇だけで陰核を挟むと、吸い込むように愛撫した。

フィアッセの絶叫に呼応するように、ノーマンも呻く。

「締まるっ・・・うっ・・・出る・・・」

二人の身体が動きを止める。

刹那の痙攣。

吹き出すピンクの液体が、乃絵美に降りかかる。

あれほど汚らわしく思えたのに、それは・・・とても心地よいもののように思えていた。

(甘い・・・フィアッセの・・・)

口中に溶けだしたピンクの液体は、どろりと乃絵美の喉へと流れていく。

(あ・・・飲んじゃった・・・)

ぼんやりと結合部を眺めていた乃絵美が、口元をぬぐう頃、余韻に浸っていたノーマンとフィアッセも、ようやく身体を引き離そうとしていた。

「はぁっ・・・はぁっ・・・」

少女を持ち上げて両腕だけで支える強引な結合を試みただけに、ノーマンは全身が汗にまみれ、息もあがっていた。

「フィアッセ・・・」

荒れた呼吸を整えながら、ぐったりとテーブルに横たわる少女の髪をすくって、頬を撫でた。

「最高だよ・・・」

撫でた頬を愛おしむように、軽くキスすると、ノーマンは乱れた服を整える。

「ふぅ・・・それじゃ、お先に」

堂島に軽く挨拶すると、ノーマンは理事長室を出ていった。

しばしの静寂。

そこには、まだ余韻に浸ったまま、ぐったりとしたフィアッセの荒い息だけが響く。

「あの・・・フィアッセは・・・?」

取り残されたフィアッセ。

ぐったりと横になっているけれど、起きあがれば逃げることだってできるに違いない。

なのに、ノーマンも、堂島も、少女には警戒する様子もないのだ。

「そうだな・・・乃絵美が、部屋まで連れていきなさい」

堂島が、興味なさげに言う。

「部屋・・・?」

思わず、聞き返す。

「ああ。右が後者に出る出口で、左の奥にある扉があるだろう・・・そこからフィアッセの部屋に行ける」

そう言うと、堂島は時計を見た。

「もう、そろそろ時間か・・・」

窓の無い理事長室で、きづかなかったが、時刻は既に7時を回っている。

もう下校時間を大きく過ぎた頃だった。

「乃絵美も、そろそろ帰りなさい」

肩に回した手を離すと、堂島も着衣の乱れを整えた。

(ようやく・・・帰られるんだ・・・)

とても、長い一日だったような気がした。

(すごく・・・疲れてる)

手が痺れ、少し震えている。

足腰はようやく歩行に耐えうるほどに回復したもの、ふらふらだった。

朝から、バイブレーターを挿入されて、一日中責められていたのだ。

身も心も疲弊しきって当然だった。

(帰ろう・・・帰って、お風呂に入って・・・)

そう考えたときだった。

どくんっ

(えっ・・・)

どくんっ

身体の芯から、熱く激しい脈動があった。

「な・・・に・・・?」

あまりのことに、思わず疑念が、口から漏れた。

「どうした?」

堂島も乃絵美の様子に気づいて、振り向く。

「あ・・・あ・・・」

背筋に激しい電流が流れたような衝撃。

それが、背筋を通じて、骨盤へと流れ、陰裂に流れ込んだ。

「ひっ・・・やだっ・・・何・・・?」

乃絵美は、突然のことに恐怖してしまう。

それは、フィアッセを狂わせていた液体・・・ピンクのペーストの効果だった。

フィアッセの陰汁に溶けだしたそれは、愛撫した乃絵美の唇からのどの奥、そして臓腑へと流れ込んでいたのだ。

「あ・・・あ・・・」

立ちすくんで、呆然している乃絵美。

心配するかのように、堂島が抱き寄せると、

「ひあっ」

それだけで、全身が充血した性器のように、激しい刺激にさらされてしまった。

抱き寄せられて、腕の中で軽い痙攣。

(イっちゃ・・・た・・・)

ただ抱き寄せられただけで。

激しく淫靡な刺激に悦んでいる自分に戸惑う。

(私・・・どうしちゃったの・・・?)

そんな乃絵美のスカートの奥から、新たな陰汁の雫が一条の筋を作ってしたたり落ちる様子を見つめる潤んだ瞳があった。

フィアッセ・クリステラ。

つい数分前に乃絵美の愛撫とノーマンの責めで達して、気を失っていた少女だ。

少女は、ぼんやりとしたなかに、確かな意志の光を取り戻しつつあるかのようだった。

「乃絵・・・美・・・」

膣内に残されたコンドームを引き抜くと、金髪の美少女は、ふらふらと二人の元へ歩み寄っていった。

「どうした・・・?」

堂島の心配そうな声が、朦朧とした乃絵美の耳に虚ろに響く。

そして、ゆっくりと意識が戻る。

(抱かれただけで・・・イっちゃったなんて・・・)

言えない。

恥ずかしさで、耳まで赤くなる。

しかも、まだペーストのせいで、全身が性器のように敏感になったままだ。

「一日中だったからな・・・疲れたか」

心配をして身体を揺する堂島の動きだけで、思わず声が漏れそうになってしまう。

「いえ・・・」

首を振る。

そんな軽い仕草でも、ふいに堂島自身の、男の匂いが鼻腔をくすぐる。

それだけのことで、秘裂が熱く火照るのがわかった。

(やだ・・・)

困惑しながら、胸が高鳴るのを感じる。

(堂島さん・・・なのに)

なのに、こんなにも”欲しい”と感じている。

自己嫌悪も感じられないほどに、切迫した欲望。

(でも・・・)

ぎりぎりのところで、思いとどまる。

欲しい。

その一言を言ってしまうと、何かを無くしてしまう気がするから。

堂島の愛撫にじらされて無理に言わされるのではない、自発的な求め。

(だめっ・・・言っちゃいけない・・・)

恥ずかしさと火照りで真っ赤になった顔を隠すように深々と俯いた乃絵美を、具合が悪そうに見た堂島が更に心配して抱き寄せる。

そして、更に胸が高鳴ってしまう。

(ああ・・・どうしよう・・・)

悪循環だった。

「おい。乃絵美、大丈夫なのか?」

表情をのぞき見ようとすると、乃絵美は顔を背ける。

(でも、このまま・・・)

このまま、堂島に抱かれれば、楽になれる。

身体がそう告げていた。

(も・・・もうっ、我慢できないっ)

乃絵美が、ついにその口を開きかけたとき。

そのとき。

「乃絵美ちゃん・・・イっちゃったの・・・」

堂島の耳元で、美しいソプラノが響いた。

「フィアッセっ!?」

乃絵美は、驚いて顔を上げる。

まだ頬の赤みが消えないフィアッセは、堂島に顔を近づけて囁いていた。

「イっ・・・た?」

堂島は、不思議そうに聞き返す。

「私に塗られたアレを・・・舐めちゃったから・・・」

聞いて、堂島が頷く。

全ての合点がいった、という表情が浮かぶ。

(アレって・・・?)

判らないけれど、塗られていたという言葉から、フィアッセの秘部を愛撫したときのことを思い出す。

(あの・・・甘いの?)

そうとしか思えなかった。

「乃絵美は、普通の女の子らからぁ・・・あれらけでも・・・んっ」

そう言いながら、フィアッセは、堂島の頬にキスする。

そして、頬から唇へと移り、濃密に舌をからませる。

(ああっ・・・!)

まだペーストの効果は切れていない。

欲望を貪るどんよりとした瞳が、それを物語っていた。

「やめなよ・・・フィアッセ・・・」

控えめに、乃絵美はフィアッセの袖を引く。

けれど、フィアッセは、舌をからませながら、堂島のズボンのチャックにまで手を伸ばしていく。

「だめだよ・・・堂島さんは・・・」

言いかけたところで、フィアッセが唇を話した。

「んふぅ・・・ろうしてぇ?」

まだ呂律が回らないままのフィアッセは、13歳とは思えないほど、妖艶な吐息を漏らす。

「だ、だって・・・」

背筋がちりちりと焼かれる感触。

胸が高鳴る。

(だって、堂島さんは、私と・・・)

そう言えばフィアッセは、あきらめてくれるのだろうか。

だが、乃絵美の口から出たのは、違う言葉だった。

「堂島さんは・・・これから用事があって・・・帰るんだから」

上目づかいで、フィアッセと堂島を見る。

フィアッセは、乃絵美を一瞥すると、また堂島にキスした。

(ああっ・・・)

胸の奥が、じんと痛んだ。

「堂島サンはぁ・・・私としてからでもいいよねぇ?」

フィアッセの白く華奢な指先が、早くも堂島の陰茎を剥き出しにしていた。

「そうだな・・・」

堂島も、乃絵美を一瞥する。

「あ、あの・・・堂島さん」

祈るような瞳で、乃絵美は堂島の言葉を待った。

「・・・乃絵美、舐めてくれるか」

それは、乃絵美の耳に至高の玉音のように響いた。

「は・・・はいっ」

フィアッセの手で剥き出しにされた堂島のものをそっと手で包み込む。

(熱い・・・)

それは、歓喜に満ちた熱さだった。

(堂島さんの・・・おちんちん・・・)

まるで、貴重品でも扱うように、大事そうに触れながら、顔を近づける。

「もぉ・・・」

横で頬を膨らませながら、フィアッセは自身の秘裂に指を伸ばす。

拭われずに濡れそぼったままのスリットは、フィアッセの指を容易に飲み込んでいくようだった。

それを横目に見ながら、乃絵美は舌を延ばした。

「んっ・・・」

今にも乃絵美の舌が陰茎に触れようとした瞬間、扉が開いた。

「えっ」

驚いた乃絵美が振り返る。

そこに立っていたのは、褐色の肌を持つスレンダーな少女。

チャムナ・フォンだった。

「チャムナか。どうした?」

事も無げに、堂島はそのままの姿勢で聞く。

「・・・」

チャムナは、乃絵美を見つめると、不快げに眉を潜めた。

そして、再び無表情に戻って堂島に報告する。

「お電話です・・・」

引き離される不安を感じて、乃絵美の手につい力が籠もる。

「後にしろ」

堂島は、乃絵美の首筋を撫でながらチャムナを邪険にするような口振りで話す。

それだけで、少し溜飲が下がる思いがして、嬉しくなる。

(堂島さん・・・)

「ですが・・・」

チャムナは、言い淀んで視線を逸らす。

それに気づいて、堂島が聞いた。

「・・・誰からだ」

「伊頭首相からです」

(首相!?)

乃絵美は耳を疑う。

伊頭首相と言えば、知らぬものはいない日本で最も有名な人物だ。

製薬会社の社長から一転政治家へとなり、度重なる黒い疑惑や女性疑惑も卓越した政治手腕でうやむやにして、先年の総裁選を経て首相まで登り詰めた人物だった。

「首相が・・・そうか」

深いため息をついて、堂島が乃絵美から離れた。

代議士である堂島にとって、総裁である首相からの連絡は日常的にあることであっても、一介の女子高生である15歳の少女には、雲の上の出来事のように、現実味のないことだった。

ただ、その現実味のない電話が、乃絵美から堂島と引き離そうとしていることだけは、分かった。

「あの・・・堂島さん」

せめて、この火照りを冷ますまでは。

そんなせつない想いをこめて、乃絵美は上目遣いで見た。

「今日は、ここまでだ」

そう言うと、堂島は足早に理事室を後にした。

「・・・ふん」

チャムナは勝ち誇った表情を浮かべて、理事室の重い扉を閉めた。

「あ・・・・・・」

淫靡な熱の残る理事室に、フィアッセと二人残され、あっけにとられた乃絵美は、ただ呆然と立ちつくすのだった。

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