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『準・はぴねす』

『準・はぴねす』2006/04/15(土) 21:39:42 ID:OCZzyEXm0
 ゆっくりと目を開けて、目の前の鏡を見る
「うわぁ…………」
鏡に映る自分の表情は、少し緊張した面持ちで少し赤い
胸がどきどきいっていた
「これが………私?」
その姿が少し信じられない
「うふふ、お綺麗ですよ」
メイクをしてくれた女の人がそう言ってくれる
「やっとここまできたんだね」
胸がいっぱいになって涙が溢れそうになる
けど、まだこんなところで泣くわけにはいかない
まだなにも始まってないのだから
いつか着てみたいと夢見た純白のドレスで着飾って
私は今日、特別の日を迎える
「雄真……」
その名前を一言呟く
「行きましょう」
私は踏み出した

建物の中を連れられて歩く
すれ違う人達が
「まぁ、お綺麗ね」
などど声をなどと声を掛けてくれる
あの人もそう言ってくれるだろうか?
いったい私の姿をみてどんな顔をすのだろう
楽しみだ
「さぁ、着きましたよ」
「はい」
キイ――
胸の高鳴りを抑えて、私はその大きな扉を開いた

 
『準・はぴねす』2006/04/15(土) 21:52:56 ID:OCZzyEXm0
 待つ時間はそれほど苦じゃない
俺は自分の格好を見下ろす
「似合わないな」
少し窮屈なその衣装
でも、ついに着ることが出来た

 学園を卒業してしばらく―
いろんな事を乗り越えていまここにいる
その人はどんな顔をして入ってくるのだろう
俺の大切な人は
「早く来いよ準、待ちくたびれるぜ」
つい口に出してしまう
ずっと楽しみにしていた今日という日
俺達はついにたどり着いた


その時、扉が開かれる
キイ――


そこから顔を出したのは
「準」
「雄真」
互いの名を呼び合う
純白のドレスに身を包んだ準は
「準綺麗だ………」
それだけが口をついた
他にはなにも言う言葉がでない
「雄真も、とっても格好いいよ」
ふたりで見つめあって
「行くか」
「行こう雄真」
『準・はぴねす』2006/04/15(土) 22:05:16 ID:OCZzyEXm0
「あ、入ってきたわよ」
柊の声がする
「綺麗………」
春姫も
「兄さん格好いいです」
すももも
みんな俺達のために来てくれた
「雄真くん」
「小日向くん」
かーさんも
御薙先生、いや俺のもう一人のかーさんも
もちろん準のご両親も
みんな、みんな
たくさん人達が今日を祝いにきてくれている


俺は準と一緒に歩く
俺達の為に轢かれたウエディングロードを
ゆっくりと踏みしめるように
一歩ずつ確かに


そして俺達の結婚式が始まった

『準・はぴねす』2006/04/15(土) 22:23:30 ID:OCZzyEXm0
 つつがなく結婚式は進む
友人代表で挨拶したのは春姫ちゃんで
後は、雄真のお母さん、私の両親が挨拶する


 そして次は私の番
「それでは新婦のご挨拶を――」
私はマイクの前に立って話し出す
最初に、みんなが来てくれたことへの感謝の言葉
そして――
「お父さん、お母さん、私は親不孝な子供かも知れません
 でも、私は雄真とこれから歩いていきます。私という存在を
 認めてくれた雄真と、これから二人で………」
涙がこぼれてくる
言葉が続けられない
それでも――
「大丈夫だから準」
「雄真ぁ………」
隣に支えてくれる人がいるから
私は大丈夫なんだと信じられるから


挨拶も無事に終わって
式も最後になる
私達二人は前に出る
「それでは誓いの誓いの言葉を」
神父さんの言葉
私達は互いに目を合わせて
言葉を紡ぎだす

『準・はぴねす』2006/04/15(土) 22:35:18 ID:OCZzyEXm0
「性別なんて関係ない」

「たとえこれからなにがあろうとも」


二人の声が唱和する


「俺は」
「私は」

「渡良瀬準を――」
「小日向雄真を――」


「愛しています」


どちらともなく顔を近づけて

「…………ん……」

私達は誓いの口付けを交わした


「おめでとう!!」
ハチの声がする
それに引っ張られるようにドッ歓声がおこる
みんな目に涙を浮かべて
たくさんの人に祝福されて俺達は

きょう結婚した
『準・はぴねす』2006/04/15(土) 22:47:15 ID:OCZzyEXm0
 外に出る
空は透き通るような青空で、どこまでも高い

「雄真くぅ〜〜ん」
かーさんは号泣している
かーさんだけじゃない、この人も
「う…うぅ……立派に…なったのね……」

俺と準は手を取り合って教会の入り口の所にまで出る
「なぁ、準」
「どうしたの雄真――きゃっ!?」
準を抱きかかえる
いつか一度だけしたことのあるお姫様抱っこ
「ははは、そんなに驚くなよ」
「だってぇ………」
いま俺達は最高に幸せだ
世界中の誰よりも
「さ、準」
「うん」


雄真に抱きかかえられながら、私は手に持っているブーケを
みんなのほうに投げる
綺麗な放物線を描いてそブーケは


「え!?わたしですか!!」
すももちゃんの手に収まった
『準・はぴねす』2006/04/15(土) 23:00:14 ID:OCZzyEXm0
「はは、すももか」
「なな、なんですかそれは兄さん」
「いや、悪い。すもも、次はお前の番だ、お前が世界で一番大切な人を見つけて来い」
「兄さん………」
そっと、すももの頭の上に手を載せる
「ぐす……兄さんこそ…準さんに迷惑かけちゃ駄目ですよ……」
涙で顔を真っ赤にしてすももが言う
「あぁ、大丈夫だ」


心地よい風が吹き抜ける
高い高い空の下で、俺達は――

「ねぇ、雄真ぁ」
「ん?」


「だーい好き☆……ちゅっ♪」


この人と歩いていく


―――END―――


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