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「ピンク色の夢」

429 :名無しさん@初回限定 :04/12/05 21:10:00 ID:wvg862Xl
「ピンク色の夢」
*『秋桜の空に』(marron)より


430 :ピンク色の夢1 :04/12/05 21:11:36 ID:wvg862Xl
土曜の夜。
半日の授業の後、忠介の家に寄ってから帰宅したため、日は既に暮れていた。
「ぬう……家に灯りがついている。すずねえがいるのか……」
心配なのはカバンの中身だった――カバンの中には、ある意味危険なものが入っていた。

忠介の部屋。
「忠介、これは何だ?」本棚にずらりと並ぶ書籍の中から、俺は雑誌を引きぬき、その表紙をまじ
まじと見つめた。
「ほう。さすがに目が高いね、キミは。それらは貴重な研究資料なのだよ……。ホムンクルスを造ろう
と思っていてね」
相変わらず訳の分からんものを……。

『ぶちトマト』『メロンピープル』『AlisaClub』……俺は、抜き出した雑誌を次々にパラパラとめくっ
てみた。
小学生の女の子が、裸であんなポーズやこんなポーズを取っている写真がいっぱいだった……。
「むむっ……これは危険、善悪で言えば明らかに悪。これはいかんっ!」
「では、どうするのかね?」
「家に持ち帰り、研究したい。悪を倒すには悪を知らねば……」
「ふむ……よかろう。頑張って研究してくれたまえ」
……というわけで、俺はそれらの雑誌を持ち帰ってきたのだった。
その結果、普段は軽いカバンはパンパンに膨らんでいた。
家に入ったら、カバンを置くため部屋に直行だっ……そう思いつつ、俺は玄関をそっと開けた。

「オミくん、帰ってきたら『ただいま』だぞっっっっっ?」
玄関では、すずねえといつものお説教が待っていた。

431 :ピンク色の夢2 :04/12/05 21:12:51 ID:wvg862Xl
「いや、アメリカだとマム、アイムホームとか……」
「ここは日本よ?」
「いや、俺アメリカ人だし」
「オミくんは日本人、どう見ても……」
「本当は金髪なんだ」
「オミくんの金髪なんて見たことないぞっっっっ?」
「実は、陰毛が金髪」

がんっ!
「いてっ!」頭をグーで殴られた。
「オミくん、殴るわよっ?」
殴った後に言われても……。
「オミくんっ。お姉ちゃんはオミくんをそんな下品な子に育てた覚えはないぞっっっ?」
「…………」
「ごめんなさいは?」
すずねえ、恐っ……すずねえの剣幕に怖れをなして、俺は謝る。
「ごめんなさい。ごめんなさい……」
……2回言うな、俺。
「はい、始めからやり直し」
「はい……」

「えっと……ただいま、お姉ちゃん」
「おかえりなさい、オミくん」
エプロンをつけたすずねえ……ずずねえは、まるで若奥様のようだった。
「今日は大変だった? ご飯にする? それともお風呂にする? ……なんか新婚さんみたいね、
くすくす」本人もそう思っていた。

432 :ピンク色の夢3 :04/12/05 21:13:40 ID:wvg862Xl
すずねえが俺に向かって両手を差し出す。
「はい」
「?」
「オミくん、カバン貸しなさい。お姉ちゃん持ってあげるから」
そうきたか。
「いや、これはいいんだ……父さんの会社の重要書類が入っているんだよ、マイハニー」
「じーっ…………………………………………………」
すずねえは、疑いの眼差しを向けていた……。
「…………………………………………………………」
「…………………………………………………………」
ばしっ。
「あうっ……」
俺の不意をついたすずねえに、カバンを奪われた。
「おねえちゃんっ、みたらやだようー。はずかしいよう〜……」
「オミくんっ。お姉ちゃんに隠しごとしちゃ、駄目だぞっっっっっ?」
幼稚園の子に諭すように言うと、すずねえは俺のカバンを開け、その口を下に向けた。
バサーっ……どさどさ。廊下に雑誌が広がった。
本を拾い、すずねえはぱらぱらと頁をめくる……。

「……オミくん?」
「うん。なあに、涼香お姉ちゃん?」とりあえず可愛い子ぶってみる。
対して、俺に尋ねるすずねえは、ニコニコしながら目は笑ってなかった。
「あのね……このぶちトマトって、何かな?」
「農協の機関紙」(にっこり)
「そんなわけないでしょうっっっっっっっ! ほっぺたぎゅーーーーーーーーー」
思い切り左頬をつかまれ、引っ張られる――すずねえは、激怒して顔を紅潮させていた。
「この本のどこを、農家の方が、参考にして農業をなさるというのっっっっっっっ!」
そして、すずねえは見開きの頁を目の前に示した――貧乳の女の子がお座りしながら、無毛の立て
すじから放尿している写真だった。
「げふっ!」
今の状況は開き直りようさえなかった。

433 :ピンク色の夢4 :04/12/05 21:14:29 ID:wvg862Xl
「…………………………………………………………」
「…………………………………………………………」
「………………………………………………しくしく」
すずねえがさめざめと泣き出し、ぺたりと廊下にへたりこむ。

「お姉ちゃん……オミくんの育て方、間違えたのかなぁ……。オミくんの、エッチな小説や、エッチな
写真集や、エッチな雑誌や、エッチなビデオや、エッチなアニメや、エッチな同人誌や、エッチな
ゲームをみんな……隠したり、没収したり、燃やしたり、ゴミに出したりしたのが悪かったの……?
大人の女の人の裸を見せてあげなかったから、小さな女の子の裸に興味を持っちゃったのかしら……?」
すずねえ発言の前半部には同意だが、最後の発言には同意できなかった。

「どうして、こんなことに……。私がオミくんに性のてほどきをしてあげていれば良かったの
かな……。ごめんねオミくん……小5の4月で精通があったの、お姉ちゃん知ってたのに……、
恥ずかしいかなって私、知らん振りして、お祝いもしてあげなかったよね……オミくん頑張った
のにね……」
いや、それは別に頑張った結果ではない……。
「その後、変に抑圧せずにお姉ちゃんが毎日……を……して抜いてあげてれば、こんなことに
……ちっちゃな女の子が大好きなオミくんにならなかったのよね、きっと。
ごめんね……私がもっとしっかりしていたら……。オミくんのこと、放っておいたお姉ちゃんが
悪いよね。こんなんじゃ、お姉ちゃん失格よね……」

なんだか話が勝手にこじれて……すずねえが凹んでいく。
まずい、なんとかしよう……。
「ちがうんだ、お姉ちゃん。聞いてくれっ」
「もう、普通の女の人じゃ……オミくん、駄目なんだね……」
うつろな目で遠くを見るすずねえの肩を持ち、がくがくとゆする。
「すずねえ、すずねえ……俺の話を聞いてくれっ」
一瞬、すずねえの瞳に理性が戻る。今だっ。

434 :ピンク色の夢5 :04/12/05 21:15:06 ID:wvg862Xl
「違うんだ。俺はちっちゃい女の子が好きというわけじゃないんだ」
「じゃあ、どうして…………!?」
「今日、子鹿のことを、ふと思い出したんだ……」
口からでまかせだった。
「子鹿……? ああ、子鹿ちゃんね……」
「そう……あいつ、今ごろ元気でやってるかな? 友達できたかな? 寂しいなんて思ってないよな……。
そんなことを考えていたら、俺の方が却って、何か寂しくなっちゃって……ははっ」
我ながら、感動路線まっしぐらの良い話だと思った。
「それで……子鹿ちゃんが懐かしくて、オミくんはその本を持って来た……の?」
「うん、そうなんだ。あいつ、無邪気で、明るくて、天使みたいに可愛くて……だから、
子鹿みたいな女の子たちの写真を見たいと思って」そう言って、俺はさわやかに微笑んだ。
「ああっ、真性……」すずねえはそう言うと、がくりとうなだれた。
――状況が悪化したようだった。

「…………………………………………………………」
「…………………………………………………………」
「…………………………………………………………」
やがて、ずずねえが顔をあげた……涙を流したのか、少し目が赤かった。
しかし、その表情は怒っているわけではなく、何か決意をしたかのような表情だった。
「……すずねえ?」
「あ、うん……もう平気。ちょっと……驚いただけだから」
そう言って、すずねえは目の端の涙を指でぬぐった。

そして、立ちあがると、すずねえは俺の両肩に手を置き、力強く言うのだった。
「大丈夫だぞっっっ、オミくん……お姉ちゃんがなんとかするから。何があってもお姉ちゃんはオミ
くんを見捨てたりしないわよ。……オミくんを犯罪に走らせたりしないんだからっっっっっっっ!」
「う、うん……?」
どうも良く分からない展開だった。
「じゃあオミくん。晩御飯食べちゃいなさい……ここはお姉ちゃんが方付けておくから」
「はい……」
あれらの本は没収・焼却される定めとなろうが、この決着で良しとせねばなるまい……。

435 :ピンク色の夢6 :04/12/05 21:15:41 ID:wvg862Xl
気まずい雰囲気の中、俺は食堂でしんみりと食事を始めた。
「モグモグ…………」
「オミくん」
雑誌を方付け終わったらしいすずねえが、食堂に戻ってきた。
「モグモグ……ごちそうさま」
「あのね」お茶を入れ、すずねえが俺の前に湯のみを置く。
「うん」
すずねえは、テーブルの向かい側に座り、俺に話を続けた。
「さっきのことだけど……お姉ちゃんに任せるんだぞっっっ」
「すずねえ……?」
「オミくんが大変なことになっちゃう前に、お姉ちゃんがなんとかしてあげるからね」
すずねえが本気で俺を心配しているということはわかる……が、何をしようと言うのか。

「うん、オミくんの為だもんねっ……」
力強く頷くと、こわばった顔をしたすずねえは、すっくと立ちあがって……どこかに電話を
かけ始めた。
「あ、夜分遅く申し訳ありません。楠さんのお宅ですか、私、桜橋と申しますが……。
若菜ちゃん? そう涼香です……」
カナ坊の家に電話をするとは、はて……?
「あのね、お願いなんだけど、明日、お昼にオミくんの家に来て――」俺は猛ダッシュして電話を切った。
「あっ、駄目じゃない。電話切ったりしてっ」
「今、何を言おうとしたの……?」
「さっきのことで……若菜ちゃんにお家にきてもらって、オミくんの性的欲求を――」
……この人は、弟のためには何だってする、だだ甘の姉だった。
「すずねえー、やーめーてー……」
すずねえの腕に幼児のようにすがりつき、俺は懇願した。

436 :ピンク色の夢7 :04/12/05 21:16:24 ID:wvg862Xl
「あっ、安心して。おうちに来てもらえさえすれば大丈夫だぞっっっ」
その自信はどこから出るんだ?
「お姉ちゃんがお願いしてあげるから」
……どこから突っ込んでいいものやら。

「もし、若菜ちゃんが嫌がったときは、お姉ちゃんが押えといてあげるぞっっっっ!」
――それって犯罪じゃないカナ?ないカナ?
「カナ坊に迷惑をかけてるってっ。すずねえ落ち着いてようっ!」
「オミくんは、お姉ちゃんに任せておけばいいんだぞっっっ?」
すずねえがいい感じに壊れていて、止まらない……最後の手段だ。

「うわぁぁぁあああん。そんなことする涼香おねえちゃんなんて、嫌いになってやる〜〜〜っ!
お姉ちゃんのバカ、バカッ。大っ嫌いだあ〜〜〜〜!!!」
「え、オミくんっ!?」
「うえええええええええええん!! お姉ちゃんがいじめるよぅ〜……うぐっ、えぐっ……」
「あ……そ、そうよね……!? わ、私、何を……? 悪いお姉ちゃんでごめんね。
うん、ごめんね、オミくん……」
俺の発言に、しょんぼりするすずねえ……どうやら犯罪は阻止できたらしかった。

「でも、でも……、オミくんが大変なのに……私、どうしたら……」
すずねえは椅子に座り、そのまま物思いにふけり始めた。
……。
…………。
………………。
「あっ、そうよっ!」すずねえが何か閃いたようだった。
そして、俺に向かって真面目な顔をして言った。
「いい? 大丈夫だからね……お姉ちゃんに任せておくんだぞっっっ。だから、オミくんも頑張るのよ?
……ぐすっ」
「う、うん。わかった……」……分からないけど、俺は頷いておくことにした。
しばらくして、すずねえは帰ると言い、没収した本とともに自分の家に戻っていった。

437 :ピンク色の夢8 :04/12/05 21:16:55 ID:wvg862Xl
「うーむ……」俺はハンモックの中で首を捻っていた。
今日の危機はクリアしたのだろうか……多分、したんだよなあ? ……しかし、何かこう釈然としない
ものが残るのだが……。
そんなことを考えているうち、いつしか俺は眠りについていた……。
……。
…………。
………………。

「オミくん、起きて」
ぐるん。世界が回る。
ごちん!
「……頭がずきずきする」
「起きた、オミくん?」すずねえだった。
「……。あー……今日、日曜だよな?」
「いいから、起きるのっ」
何か起きなければならない事があったか、俺? ……もしかして何か忘れているのかもしれん。
そう考え、起きることにした。
「ご飯できてるから、すぐ降りてくるんだぞっ?」
「うん」
10時か……もう少し寝かせてほしかった……。
もそもそと俺は着替え、それから1階に降りたのだった。

食後。
俺がお茶を飲みながら新聞を読んでいたところに、片付けを終えたすずねえが台所から戻ってくる。
どさっ……。
その音に俺は顔を上げた。
昨日の夜、没収された本がテーブルの上に置かれている。
まだ、昨日の話は終わっていなかったか……。

438 :ピンク色の夢9 :04/12/05 21:17:32 ID:wvg862Xl
「あのね……オミくん」
「うん……」
「いろいろ考えたんだけど、やっぱりこういうのはいけないと思うの」
「はい……反省してます。ごめんなさい、お姉ちゃん」
「あ、いいのいいの、謝らなくていいのよ。オミくんが悪いわけじゃないのよ。ただ、こういう趣
味で人様に迷惑かけるようになっちゃわないようにって……」

その後に、すずねえの言うことは唐突だった。
「だからね、私がそういうことをしてあげればいいのよね……?」
すずねえは頬を染めながら、ぎごちなく微笑む。
「……?」
「お、お姉ちゃん、昨日の夜……そ、その本読んで、オミくんの好きなタイプ良く勉強したんだ
から……」
勉強したって……これをか?
「支度してくるから、待ってるんだぞっっっ……」
すずねえは、部屋の隅に置いてあった紙袋3つを持つと、緊張した面持ちで食堂を出ていった。

取りつくしまもなく、すずねえは出ていってしまった。
しかし、「支度してくるから」とは何のことだ? ……良く分からなかった。
……。
…………。
………………。

439 :ピンク色の夢11 :04/12/05 21:19:13 ID:Z0mRBv77
しばらくして。
すずねえが、入り口から顔を覗かせていた。
「いい、オミくん……?」
「ん? いいよ」……何がだ?
食堂にすずねえが入ってきた――体育着で。
俺の顔をじっと見た後、すずねえが尋ねてきた。
「どう……オミくん。こういうの……?」
「あーいや……学校の体操着だよね、それ……」
俺はまじまじとすずねえを見つめた……が、学校で見慣れているので、とりたてて問題は無い。
「あ、そうなの……てっきりオミくんは体操着で、その……『ハアハア』ってするのかって……」
残念そうに言うすずねえ。
あー……あの雑誌、確かにそういう写真があったなあ……。
「ま、待っててね。次に着替えてくるからっっっっ」
そう言うとすずねえは、部屋を出ていってしまった。
パタパタ……。
……なるほど、話がみえてきた。
ロリ雑誌を見たすずねえは、その格好を真似て俺に見せているということか。
……しかし、体操着というところがすずねえらしく健全だった。
まあ、実害はなさそうだし、様子を見てみよう。
……。
…………。
………………。


440 :ピンク色の夢11 :04/12/05 21:20:39 ID:Z0mRBv77
また、しばらくして。
「オミくん、オミくん。行くよ?」
すずねえだった。
「うん」
「これなら、どうかな?」
食堂にすずねえが入ってきた――水着だった。
「あーいや……学校の水着だよね、それ……」
俺はまじまじとすずねえを見つめたが、学校で見慣れ――。
「!?」
下から上に視線を自然に動かし……すずねえの頭に釘付けになっていた。
「ネコミミだよ〜。ほらほら……『にゃわーん』」
すずねえは照れながらそう言うと、今度は後ろ姿を俺に見せた。
――突き出した水着のお尻のところにはネコ尻尾が付いていた。……確かに雑誌の中に、そういう
写真もあったっけ。

再び前を向き、すずねえが俺に尋ねる。
「どう、かな?」
「うん」
「……オミくん?」
「ああ」
「オミくんてばっ?」
「はっ」……俺はいったい? ……俺はぼーっと、すずねえに見とれていた。
「もしかして……気に入った?」
こくこく。俺は無言で頷いてしまっていた。

441 :ピンク色の夢12 :04/12/05 21:21:22 ID:Z0mRBv77
「良かったあ……よしっっっっ」すずねえは小さくガッツポーズを取る。
「恥ずかしいけど……お姉ちゃん、頑張るぞっっっっっっっっっっっっっ!」
すずねえはそう言うと、再び部屋を出ていった……。
パタパタ……。
「しかし、ネコ耳スク水で来るとは……」
やるな、ずずねえ。もしかして、俺はすずねえを侮っていたのか。
……すずねえの次の格好に期待している俺だった。
……。
…………。
………………。

さらに、しばらくして。
「オミくん……?」
すずねえの声が、入り口からするが姿は見えない。
「良いよっ」
食堂にすずねえが入ってきた。――小学生だった。
黄色い帽子、赤いランドセル、名札、真っ赤なミニスカート、ご丁寧にもランドセルには縦笛だ。
「それに、えっと……小学生だから、ノーブラなんだよ……」
「わあ」……どっから突っ込んでいいものやら。

「ランドセルなんて久しぶり……」俺の目を意識しながら、ずずねえがその場でクルリと回る。
その拍子にスカート宙に舞う……パンティはつけていなかった。
「す、すずねえ………………」
「もしかして……興奮した?」
「……………………………………」俺は二の句がつげなかった。
が、顔を赤らめている俺を見て、すずねえは俺の答えを察していた。

442 :ピンク色の夢13 :04/12/05 21:22:16 ID:Z0mRBv77
「えっと、それから………………………………」
俺をちらちらと見ては、すずねえがモジモジと何かを躊躇っていた。
「?」
「その……あのう…………………………………」
「どうしたの、すずねえ?」
「あ、あの本だと……この格好でお座りして……おしっこするんだよね?」うわずった声ですずねえが言った。
あー……雑誌の中に、確かにそういう写真もあった……。
「でも、その……それはここじゃできないから、お座りするだけね……」
スカートを持ち上げ……すずねえは、俺に良く見えるようと少し離れてお座りした。
そして、それは――丸見えだった、つるつるだった。
それゆえ、俺の目は一点に集中してしまう……俺の視線に気づき、すずねえは恥ずかしそうに
つぶやく。
「あのね……剃ったんだよ。こういうの、オミくんが好きって分かったから……」
「あ、うん……」俺はその姿を飽かずに見つめてしまっていた。
……。
…………。
………………。
やがて、頬を染め潤んだ目をして、すずねえは俺に言った。
「ね、オミくん……もう大丈夫よ……ね? それじゃこれから、お姉ちゃんしてあげるからね――」

その言葉を聞いたとき、俺はふと我に帰る……。
――お姉ちゃんに甘えて、俺は何をしてもらうつもりなんだ?
今、俺がすずねえに甘えてしまうことは、この人を利用するだけのことに変わりはない。
お姉ちゃんの優しさにつけ込んで、お姉ちゃんの心をもてあそぶ――それは、自分に許せなかった。

俺は、ありったけの理性を呼び起こした。
「お姉ちゃん、ありがとうなっ。でも、もういいぞっっっっ!!」
そう言って、俺はすずねえに近づき、その両脇に手を入れ立ちあがらせる。
「え、でも……」すずねえが悲しそうな顔をする。

443 :ピンク色の夢14 :04/12/05 21:23:24 ID:WKDG73ln
「お姉ちゃんの可愛い姿を見て、俺のロリコンは治った。断言する。ありがとう、僕のお姉ちゃんっ」
そう言って俺は、すずねえをひしと抱きしめた。
「え……!? あ……本当に?」
「本当だっ……俺がお姉ちゃんに嘘を言うわけがないだろう? お姉ちゃんの愛の力のおかげだ
よう。ぐすっ……涼香お姉ちゃん」俺は涙を流す……嘘泣きだが。
「うん……オミくんはお姉ちゃんに嘘なんかつかないもんね……」
「ごめんね、すずねえ。嫌な事させちゃって……。ひっく……」
「うん、良かった……お姉ちゃん、心配しちゃったんだから」
「うぐっえぐっ……お姉ちゃん……」

そして、そんな俺に、すずねえは優しく言葉を続けた。
「でもね、オミくん……本気のお姉ちゃんは、オミくんの為なら何でもできちゃうんだよ?
お姉ちゃん、オミくんの為なら全然嫌じゃないんだからっ……忘れちゃ駄目だぞっっっっ」
――この人は、弟のためには何だってする、だだ甘の姉だった。
「……………………………………」
俺は、そんなすずねえに何も言えず……ただ、より強く、すずねえを抱きしめた。
ぎゅっ……。
「きゃっ、オミくん? あ……。うん……」
気がつけば、俺はまだ涙を流していた……嘘泣きだったはずの涙を。
……。
…………。
………………。

しばらくして、俺たちは抱擁を解いた。
「じゃあ、この件はこれで終わりにしよう? で、この後どこかに出かけようか、2人で」
俺は、照れ隠しにすずねえを外出を誘う。
「え!? うん。じゃあ私、まず着替えてくる……」
俺はその辺を片付けはじめ、すずねえは着替える為に隣室に――。


444 :ピンク色の夢15 :04/12/05 21:24:06 ID:WKDG73ln
そのとき、玄関から女の子の声がした。
「こんにちは。あのっ……楠です」
「はーいっ」パタパタ。すずねえが玄関に向かう。
「!?」――待てすずねえっ、着替えが済んでないぞっ。
俺は急いで玄関に向かう――。

「桜橋先輩……はうっ!」
「きゃあっ……若菜ちゃん!」2人の叫び声が玄関先から起こる。
駆けつければ――玄関先でカナ坊がへたり込んでいた。
「すずねえ、早く着替えてきて」
「う、うん……」カナ坊を助け起こそうとしていたすずねえを、急いでその場から立ち去らせる。

へたり込むカナ坊の目は点状態だった。
「お、おう、カナ坊。元気か?」
「や、靖臣くんっ靖臣くんっ!」
「今日はどうした? あ、昨日の電話できてくれたんだな?」
「そ、そう――ううん、そうじゃなくてっ。涼香先輩、変だよ。小学生だよ、おパンツ履いてないよ、生えてないよっ?」
息も継がずにカナ坊が俺に訴えた。
「そ……それは、きっと気のせいだぞっっっっっっっ! お熱があるみたいね、若菜ちゃん?」
「わたし、正気正気」
カナ坊がぶんぶんと首を横に振り……そして、ふと何かに気づいたように脅え出した。
「涼香先輩と靖臣くん……コスチュームプレイなのカナ、コスチュームプレイなのカナ?」
俺に尋ねるカナ坊は半泣きだった。
「落ち着けカナ坊」
「もしかして、わたしも小学生の格好させられて、大人になるお注射されちゃうカナ……」
脅えるカナ坊が、上目づかいに俺を見ていた。

445 :ピンク色の夢16 :04/12/05 21:24:45 ID:WKDG73ln
「カナ坊、今日は栗を食べに行こう、な。お兄ちゃん奢るから、いっぱい食べて良いんだぞっっっっ」
「わたしが栗を食べて、靖臣くんがわたしを食べる……これって食物連鎖食物連鎖」
言ってることが、よく分からなかった。
そして、カナ坊は俺の袖をつかむと、目に涙をためて哀願を始めるのだった。
「痛いお注射は嫌だよ 痛いお注射は嫌だよ……」
――何かトラウマがあるらしかった。
あーもう……何をどうしたらいいものやら……。

俺の日曜日は、まだ終わりそうもなかった。
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