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下級2・導入

237 :230:下級2・導入1 :04/08/31 23:56 ID:bzcOEUW7
4月4日・今日は18才の俺の誕生日。
この日、俺は一生を決めるであろう断行の為にこの場所、
幼馴染の家が少し見え、そして子供の頃その子とよく遊んだ思い入れのある
公園に立っていた。

その場所で俺は、数時間前の出来事を思い出していた。


いつも行く喫茶店のマスターに俺と幼馴染『たまき』の関係を細かく話していた。
俺が始めてたまきの事を『タマ』って言うあだ名で呼び始めた日の事から、話し始め
あいつのいつもしてくれている事、
幼馴染というだけなのに、よく朝起こしに来てくれたり、弁当を飯を作ってくれたり
そして更には、「あんた、何するか分からないから目を離せない」と言って俺の学校
でのクラブのマネージャまでしてくれている。
しかも週末だけだと言え、バイトまでして忙しいのに、わざわざ俺の事をかまってくれて
いる毎日を・・・
一方的に俺が話し続け、気がつけば2時間程の時が過ぎていた。
その長い時間の間、マスターは、今日に限ってお客さんが少ないせいもあり、殆ど俺の前に
立っていて優しく相づちをうっているだけだった。

そして最後に一言、質問を付け加えた。
「タマって俺の事、男しても好きですかね?」

「とにかく、あなたの事が異性というカテゴリーの中では一番大切な人だと思っているはずですよ。
 本人自身はその事に気づいてないかもしませんが。
 詰まるところは、きっかけですよ。きっかけ。」

「やっぱ、キッカケだよな。」

238 :230:下級2・導入2 :04/08/31 23:57 ID:bzcOEUW7
客観的に見ても、タマの俺への接し方は深い好意があると思うし、なにより俺自身も
タマに対する愛情は誰にも負けていないという自信があった。
そして思春期に入った頃から、日を重ねるごとに、このままのあやふやな幼馴染と
いうだけの関係は嫌だという思いがが膨らんでいった。

俺はその関係をハッキリする計画は2年前から立てていた。
俺が18才になる年、つまり今年の4月4日に行動を起こす事を・・・
そんな事だったりして実を言えばマスターがなんと言おうとも、俺は今日の行動を取る気であった。
ただ単純に誰かに背中を軽く押して貰いたかっただけ、そしてその役をマスターに求めたのだ。
そのマスターという人物は、昔から俺とタマの事をよく知っているし、俺にとって数少ない尊敬の
出来る大人の一人だったんで、その役にはうってつけのだった。


「あの人は、俺とタマ事なんて、話さなくても全部知っているのにな・・・
 サンキュ、マスター」
マスターは、今日俺が決断している事に何となく気付いていて、その役を進んで買ってくれた事を、
俺は理解していた。

数時間前の出来事、そして今までの『あいつ』との大切な出来事を思い出しながら、その一歩を
踏み出すために俺はこの場所にいる。
「あいつ、覚えているかな・・・」
俺は小さくつぶやきながら、手の中に小さな箱を軽く握り締めていた。
その中には、子供の頃の約束を果たす為の指輪、そしてその思いを伝える為の手紙2枚が入っていた。


239 :230:下級2・導入3 :04/08/31 23:58 ID:bzcOEUW7
・・・しかし、帰って来てもおかしくない時間を幾ら過ぎても彼女は帰ってくる事は無かった。
それから俺は色々と手を尽くしたが、結局タマと連絡を取ることは出来ず、公園に来た時から
既に5時間以上が過ぎてしまった。


そして結局、その日の間中に俺とタマが出会う事は無かった。
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