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超短編「暑い夏の日」

お金が溜まった。神沢に来てから使った分。これから二人で暮らすのに必要な貯えも別にちゃんとある。
神沢市の交通規制が緩和されて市外にでるのも比較的楽になった。(これでショタ鴉に借りを作らないですむ。)
少し迷う。もうドミニオンは無く、狙われているわけではない。
それでも迷う。あの人は数年前に出会った奇妙な強盗のことなどすべて忘れているはずだ。
しかしお金が盗まれたということは覚えているだろう。
会い、自分が数年前の強盗だと告げれば罵倒されるかもしれない。
それでもお金は返さなければならない。そしてきちんと謝らなければ俺たちは前には進めない。

お金をバックに詰め込み、すずに声をかける。
すずが「ようやく決心がついた?」とたずねる
俺はうなずき、それでも泣くかもしれないからとフォローを頼んだ。
「もう、しょうがないんかなあ双七くんは」すずが優しく微笑み頭を撫でる。

じゃあ、行こうか。あの人に会って、お金を返し、感謝の言葉を伝えるために。

暑い夏の日、二人で歩いていくための一歩を俺たちは踏み出した。

おっちゃんエンディングへとつづく。
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