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「にっき」

○月×日
 今日、ぼくはにっきをかくことにしました。
 というのもさいきんぼくはゆめを見ることがおおいのですが、
あさになるとぼんやりとしかおぼえてません。
なつかしいかんじだけはおぼえているのですけど。
 そのことをえんがわで横になっていたすずおねえさまにおはなししたら、
「にっきをかけばおもいだすかもしれないわよ」
と、すずおねえさまはこたえてくださいました。
「にっきとはなんでしょうか?」
ぼくがたずねましたら、
 ぼくとすずおねえさまにおちゃをもってきたかかさまが
「にっきとは、きょうおこったことや、たいせつなことを
いちにちのおわりにかくじぶんのためのほんのことですよ。
かかさまも、ととさまのすてきなことをまいにちかいてますよ。」と
おしいれにいれてあったやまのようなのーとをみせてくださいました。

 すずおねえさまは、くちをぽかんとあけて
「とうこ!7ねんかんでこんだけかいたの〜」とおどろいてました。
 かかさまはかおをあかくしながら、
「だってそうひちさんとのすてきなひびをわすれたくありませんの〜」
とこたえました。
 りょうてをほほにあてて、かおはまっかです。
 ぼくは、かかさまがまたかんどうしすぎて、かべにひびをつくるのではないか、
しんぱいしました。
 ひびがはいったかべをなおすのは、いつもととさまとぼくなのですから。
 それにこうなってしまうと、なかなかへんじをくださらないので、すこしこまります。
 でもなんだかとてもすばらしいことみたいなので、
ぼくもにっきをかいてみたいなとおもいました。

 しかしそのためにはかかさまのへんじがひつようです。
かってにものをかってしまったら、ととさまにおこられてしまいます。
 どうやったらもとにもどるのでしょう。
ととさまみたいにかかさまからうまくなげられるじしんは、ぼくにはありません。
ととさまも3かいに1かいはうけみをとりそこなって、きぜつしてしまいます。
ぼくもととさまからくんれんをうけているとはいえ、
かかさまから、きぜつせずにうけみをとれるのでしょうか?
 ぼくがなやんでいると、すずねえさまはかってに
 「じゃあ、とうこ。わたし、しゅうげんくんのためののーとをかいにいくわね」
せんげんしてしまいました
 かかさまは、ぽやんとしながら。
 「ああ、いいです〜そこ、いいです〜」
さっきより、かおまっかにして、めをうるませながらへんじをしました。
 「とうこがゆるしたからね。いこう」
 でも、すずねえさま。あのへんじはぼくたちにむけたものではないようなきがします。
 しかしかかさまをもとにもどすには、ととさまがいないとできません。
ととさまは、いまおしごとにでかけてますので、かえりがよるになってしまいます。
 しかたがないので、ぼくはすずおねえさまにてをとられて、
まちへいっしょにかいものにでかけることにしました。
すずねえさまのてはやわらかくて、ととさまのてとも、かかさまのてともちがいます。
すこしどきどきしました。
 しょうてんがいにはいりますと、とーにゃさんとうらじみーるさんにあいました。
 とーにゃさんもうらじみーるさんもだんぼーるをむすびつけているかーとを、
ころころところがしてます。
 すこしこわいかおをしたすずおねえさまが、とーにゃさんにあいさつをしました。
 「あら、ごきげんよう。とーにゃさん。おかいものですか?」
 「いえいえ、あにのしごとのてつだいです。いべんとがおわったので、
そばでもたべようかとおもいまして。
すずさんはあいかわらず、こどもあいてにばかすれんしゅうですか?」
 「いえいえ、こどものきょういくのために、にっきちょうをかいにいくのですよ。
そこのたぬきむすめみたいにせいかくがわるくならないように」
 「そうですか〜おばさんというのはたいへんですね〜」
 すずおねえさまととーにゃさんのこめかみに、あおすじがうかびます。
いつもとーにゃさんがそれでちょうはつしているのに…なれないのでしょうか?
 それにぼくとすずおねえさまがおばになるのはじじつなのですけど…
でもまえにぼくがすずおばさまといったら、しっぽとみみをだすほどしょっくをあたえてしまいました。
それよりもすずおねえさまが、ものすごくかなしそうなかおをしてしまったので、
おばさまとよぶのをやめることにしました。
 あとでなぜかととさまがぼろぼろにさせられましたし。
 それにしても、とーにゃさんとすずおねえさんのふたりがいつもであうと、
くうきがゆがんだようなきがします。ととさまとくきせんせいがれんしゅうしあいしているときや、
かかさまと、ととさまがいっしょにれんしゅうしているときよりもゆがみがはげしいです。
ただ、ととさまがうちのりょうにいるおんなのひとにみとれているのをかかさまがみつけたときはべつですけど…

 それからいつものように、くちげんかをすずおねえさまととーにゃさんがつづいていると、
うらじみーるさんがぼくにはなしかけてきました。
 「おう!にっきちょう!そのためののーとがひつようね。
いべんとでかったびんせんとかどうね!」
 あめりかんなちょうしで(うらじみーるさんはろしあじんなのに)、
うらじみーるさんはだんぼーるのなかをごそごそさぐりだしはじめました。
きれいなうすっぺらなほん(あとでききましたが”どうじんし”というそうです)をかきわけて、
いらすとがたくさんはいったしろいのーと(ぐっずというそうです)をいろいろだしてきました。
 「どのこにもえるね?ま○ち?え○ん?ゆ○さん?あると○ねっと?」
 どれもぼくよりとしうえの、そのわりにはかわいらしいおんなのかたのいらすとがはいったのーとです。
なんとなく、じをかくばしょがせまくなっているのがきになりますけど…
 いろいろとみせてもらったもらったのですが、どれもぼくがいまほしくなるようなものはありません。
 それにもえって、なんでしょう?
 ぼくがかんがえこんでいると、とーにゃさんが
 「いたいけなこどもをじゃあくなみちへとみちびこうとするな!!」
 といって、すごいあっぱーをうらじみーるさんにくらわしました。
 かえるぱんちのあおきせんしゅもびっくりです。
 うらじみーるさんはおほしさまになってしまいました。
 それでもうらじみーるさんは、ながれぼしになってもどってくるのでしょう。
 そのそうどうですずさんもどくけがとれてしまいました。
 「やっぱまともなのーとをはやいところみつけなくてはだめね」
 すずおねえさまはためいきをつきます。
 「ええ、そうですね。できればへんなみちへとすすまないようなのーとがいいとおもいます」
 そんなにへんだったのかなあ。きれいなのーとだとおもいますけど。
 でもおふたりをしんぱいさせたくないので、くちにだすのはやめときます。
 なるほどにっきにはふだんおもっていても、くちにだせないこともかけるのです。これはべんりです

 わかれるときにとーにゃさんからぶんぼうぐやさんをおしえてもらったので、さっそくいくことにしました。
 「すみません。このこのためのノートをみせてほしいのですが?」
 そうするとてんいんさんは、
 「ええ、よろしいですよ」
といって、のーとおきばののーとをみせてもらうことになりました。
 そこには、たくさんののーとがあります。
 じどうしゃがかかれているのーと、ひこうきがかいてあるのーと、
うらじみーるさんがぼくにみせてくれたようなあにめやまんがのいらすとがかいてあるのーと、
ほんとうにたくさんあります。
 どれもよさそうなきがするのですけど、まよってしまいます。
 すずおねえさまならぜんぶかってしまいそうですけど、それはとてもわるいきがします。
やっぱりどれかひとつにきめないといけません。ま
 よっていると、ふとめについたのーとがあります。
 きつねのしっぽつけたおんなのことにんげんのおとこのこがまりつきをしているえがひょうしののーとです。
なんだかこれをみていると、すずおねえさまとあそんだひとかをおもいだしそうです。
 きめました。
 「すずおねえさま、これでよろしいです」
 「あら?そんなこんなかわいらしいのでいいの?しゅうげんくん?」
 すずねえさまは、いがいそうなかおをしてました。
 「ええ、いいのです。にっきとはきょうおこったいろいろなことをかくのですから、
このひょうしのようなたのしいことをかきたいのです。
 それにこのひょうしのおんなのこはすずおねえさまににてますので、これでいいのです」
 なんだかはずかしくなったので、ぼくはかおがあかくなってしまいました。どうしてでしょう。
 ただのーとをえらんだわけをはなしているだけなのに。
 「あのね、しゅうげんくん。わたしはこのこよりもかわいいわよ!それにこたろうみたいなことをいわない!!」
 でもすずおねえさまもかおがまっかです。
 そしてあわてたようにのーとをもってれじにいってしまいました。

 ぶじにのーとをかえましたので、じんじゃのもとにかえりました。
 げんかんのくつをみてみると、ととさまのくつがありました。おもったよりもかえりがはやかったようです。
 でもただいまといったのに、へんじがありません。
 いつもならおかえりなさいと、ととさまかかかさまがこたえますのに。
 すずねえさまもふしぎそうなかおをしてます。いったいどうしたんでしょうか?
ぞくがしのびこんだのでしょうか?
 ぼくとすずおねえさまはきんちょうします。
 これでもぼくは”いちのたにりゅう”と”くきりゅう”をしゅぎょうしているみです。あいてにすきをつくることができるはずです。
 でもととさまとかかさまにかてるようなぞくにぼくはかてるのでしょうか?
 いまでなにやらひとのこえがします。ぼくはちからでもぞうとうをとりよせます。
すずおねえさまもこわいめでいつでもことだまをだせるように、じゅんびします。
 あしをひそめて、いまをのぞきます。どうやらぞくはいないようです。ほっとしました。
 でもなぜ、ぼくとすずおねえさまのきたくにきづかなかったのでしょう?
 ととさまがかかさまになにかのーとをよんでいるようです。
 「『そうひちさんがやさしくわたくしのなかにいれてくださると、わたくしはまるでてんにのぼるかのようなきがします。
なんどもなんどもけいけんしても、あきることがなく、すばらしいのはなぜでしょう…』」
 「やめてください!やめてください!」
 かかさまはととさまをぽかぽかとなぐっています。よかった。かべにひびがはいらなくて。
 あ、かかさまがととさまからのーとをうばいとりました。
 「もう、しゅみがわるいですよ、あなた。いじわるなんですから」
 「ごめん、ごめん。でもうれしかったよ。こんなにおれのことをおもってくれるなんて。
とうこさんがかんじていることをおれはこんなふうにあらわすことはできないから…」
 「あなた…」
 ふたりとめをうるませています。なんとなくかかさまのかおもあかいですけど、いやがっているかんじではありません。
 こんなときにはどうすればいいのでしょう?
ととさまとかかさまのわざをみきるよりもむづかしいです。

 そんなことをかんがえているうちに、すずねえさまがずかずかとはいってきます。
 「ただいま!とうこ、そうひちくん!!」
 「「どぅわ!!」」
 ととさまもかかさまもかたまっています。
 「あらあら、ふたりきりのほうがよかったのかしら〜
やたがらすのいえでしゅうげんくんでごはんをたべてきたほうがよかったかも〜」
 「す、すずさん!すぐにごはんのじゅんびにとりかかります!!」
 かかさまはあわてて、だいどころにむかいました。
 ととさまはかんがえこんでいるぼくをみつけると、くしゃくしゃとぼくのあたまをなでました。
 「おかえり、しゅうげん。すずになんかかってもらったのか?」
 うれしくなったぼくは、
 「はい!!すずおねえさまに、にっきちょうをかってもらいました!
たのしかったこと、おぼえておきたいことをたくさんかきたいとおもいます!!」
 そうこたえました。
 「うれしいこと、おぼえておきたいことか…たくさんかけるといいな…」
 ととさまはそういうと、なみだぐみます。ぼくがたのしそうなことをすれば、いつもです。
いつものようにととさまがなく。それはあたりまえのことなのに。
なぜかぼくは、にっきにかかないといけないとおもいました。
 なぜなんだろう?おおきくなれば、ぼくにもわかるのかな。
 へやがかかさまのにっきちょうにちらばっているので、
ととさまと、すずおねえさまで、かたづけることになりました。
 すずおねえさまがかかさまのにっきをのぞこうとすると、ととさまはすずおねえさまにちょっぷをします。
 「おい、いくらなんでもまずいだろ」
 「そうひちくんをよめがどうおもっているかをしるのは、あねのぎむでしょ?」
 「なら、すずもにっきをかけよ」
 「めんどくさいから、いや」
 「だー、それなのにしゅうげんにはかかせるきなのか!むじゅんしているぞ!」
 そんなことをいいながらかたづけます。
 そのあいだに、ぼくは、じぶんのへやでかってもらったのーとにきょうあったことをかいていました。
 やがておしいれににっきをかたづけると、かかさまのおりょうりのじゅんびもできたようです。

 ばんごはんはととさまとぼくのこうぶつのにくじゃがに、きゅうりのさんはいず、あじのひもの、みそしるにごはんでした。
 わいわいと、ととさまとかかさまとおねえさまときょうあったことやこれからのことを、
たべながらでおしゃべりをしました。
 どうやらそとからのりゅうがくせいさんがうちのりょうをつかうことになりそうです。
かんげいかいのじゅんびもしなくてはいけないようです。
かかさまもりょうりのうでのふるいがいがあると、うれしそうです。
 わがやはじんじゃのほかに、けいないのはなれにりょうもけいえいしてますので、りょうせいがおおくくるのはありがたいことです。
 ごはんをたべておわりますと、からすさんがすずおねえさまをむかえにきました。
どうやらこんばんは、おかしらさまのところですずおねえさまがおとまりになるようです。
 「しゅうげんくんもくる?」とたずねましたが、
 ととさまが、
 「こいつもおれもしゅぎょうしなくちゃいけないからな。そうだろう?しゅうげん?」
とへんじをします。
 そうです。いまはまだよわいですけど、ぼくはおいえげいのいちのたにりゅうをおさめなくてはいけません。
 「はい、しゅぎょうさせていただきます!」
と、げんきよくへんじをしました。
 ちょっとざんねんそうなかおをすずおねえさまはしましたけど、ほほえんでぼくをだきしめると
 「そう、がんばってつよくなるのよ。おやすみ!」
 といって、りむじんにのっていきました。
 それからぼくは、じゅんびうんどうののちいちのたにりゅうのかたのひとりげいこをおこないます。
ぼくはひとよりちからはつよいですけど、まだかかさまほどつよくはありません。
 それにれんしゅうようのいあいとうがぼくがじょうずにふると、いあいとうがたのしそうにわらうのです。
 「がんばれ、がんばれ。そのちょうし。ぼくをじょうじにまわして」
 ぼくがうまいかたをすれば、わらってくれるようです。
 きょうはちょっとぼくがうかれているため、あまりわらってくれませんでした。すこし、はんせい。

れんしゅうがおわったあと、ととさまももうひとつのしごとにくぎりをおえたようです。
どうやらととさまはそつぎょうしたりょうせいのおいていったものをなおしていたようです。つなぎをきてましたから。
 「しゅうげん?おまえもいっしょにふろにはいろうか」
 「はい!わかりました」
 ふろのなかでは、おたがいのせなかをながしたり、
ととさまがなおしてくれたおもちゃのみずでっぽうでうちあいをしたりします。
でももうすぐぼくはしょうがくいちねんせいです。こどもっぽいなあというきもします。
 そうこうしているうちによるの9じです。こどもはねないといけません。
 でもにっきののこりをかかないといけません。
 あわてて30ぷんぐらいでのこりのにっきをかきおえました。
 あしたのれんしゅうはねむくならないといいな。
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