遊びたいお年頃

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「ユート様っ、ずるいですっ!!」
 青天の霹靂、とはこのことだろうか。俄かに轟いたその怒声は、厳しい訓練終了直後
の緩んだ空気を震わせた。それを聞いた『失望』のネリーは、小石を投げられた子猫の
ように身を竦ませた。
(い、いったい何事…?)
 ヘリオンは、ちょうど側にいた『赤光』のヒミカの陰に隠れて辺りを伺った。
 その場に居合わせたラキオス王国スピリット隊の面々は、みな判で押したように目を
丸くして、荒ぶる『静寂』のネリーを見やる。ただ一人、悠人の腰にしがみついている
オルファこと『理念』のオルファリルだけは、キッと眦を上げてネリーを睨み返した。
「ネ、ネリー……よしなよ…」
 ネリーと並んでいた双子の妹『孤独』のシアーが、真っ青な顔で姉の暴挙を窘めるが
時既に遅し。隊長補佐『献身』のエスペリアの表情が、見る見るうちに険しさを加えて
いく。
「ネリー! ユート様になんという口の聞き方をっ! スピリットとしての分を弁えな
さいと何度言えば…」
「エスペリア様は黙っててよっ!」
「なっ…」
 ネリーは、横合いから叱責する上官すらも一喝して退けた。そのただならぬ気迫に周
囲からはどよめきが上がる。
 そんな中、『存在』のアセリアが興味なさそうにその場を後にするのを、ヘリオンは
視界の端で捕らえていた。戦士のくせに、このような諍いが苦手なヘリオンもそれに倣
ってずらかろうと考えたが、なぜか悶着の行方が気になって、ヒミカを盾に恐る恐る視
線を戻した。
「……」
 普段は慈愛と、ほんの少しの憂いに満ちた微笑を絶やさないエスペリアの、その鬼の
ような形相を目の当たりにした途端、ヘリオンは自分の選択を悔やんだ。
「ネリーっ!!」
(……ひっ!)
 まるで叱責を受けるのが自分であるとばかりに身を強張らせ、顔を引っ込める。その
くせ、聞き耳を立てることは忘れていない。

「いい加減になさい。これ以上の狼藉は許しませんよ。隊規に照らして…」
「まあ、いいじゃないかエスペリア」
 ネリーに向かって踏み出しかけたエスペリアを、悠人が手で制した。不平を色濃く宿
した深碧の瞳に向かって笑いかけながら。
 その温かみのある声を聞いた瞬間。ヘリオンはほっと胸をなでおろす。
(ユート、様…)
「ユート様…」
「何度も言うけどさ、俺はスピリット隊の隊長になったからって、これまでとどこが変
わったつもりもないんだ。それより、もっとみんなの意見とか聞いてみたいからさ」
「……ユート様が、そうおっしゃるのでしたら」
 二度までも話の腰を折られて面目を無くしたエスペリアは、溜息と共に口をつぐむ。
 引き下がったエスペリアに労わりの微笑を向けた後、悠人は改めてネリーと向かい合
った。それまでずっとオルファと火花を散らしていたネリーは、それと気がついて目線
を上げる。悠人と目が合うや一瞬怯みの色を見せたものの、ここまで来ては引き下がれ
ないとばかりに、顔に「ケンカ上等」と上書きした。
 悠人は、思わず苦笑を禁じえなかった。
「む〜〜〜っ!」
「あのなあ、そう怖い顔するなって。で、俺がずるいってのは、どういうことだ?」
「……オルファばっかり…」
「は?」
 悠人は思わず、吐き捨てるように呟かれたその名前の主を見下ろした。燃え盛るよう
な赤毛の少女の手が、悠人の服をぎゅっと握り締めた。
「ほら、そうやって……!」
 ネリーは震える声を絞り出したあと、大きく息を吸い込んで堰を切った。
「オルファばっかり、ずるいよっ! ネリーも本当はユート様といっぱい遊びたいの
に、今までずっと我慢してきたんだよっ? エスペリア様が、ユート様はエラい人なん
だから、スピリットは服従しなくちゃいけないって言うから仕方なく!
「でも、ユート様はいつも、いっつも! オルファとばっかり遊んでるじゃないっ!
そんなの、おかしいよっ! どうしてオルファはよくって、ネリーたちは駄目なのっ
!?」

「……」
 ぶちまけられた思いの丈の威力は、彼女たちの対魔法サポートスキル「アイスヴァニ
ッシャー」にも匹敵した。文字通り凍り付かされた悠人は、数瞬の間二の句を告げるこ
とが出来なかった。
「ねえ、シアー!? シアーだって、そう思うよねっ!?」
「え……? う、うん…」
 それまで展開に圧倒され、金縛りに遭っていたシアーが、反射的に首を縦に振った。
 主体性に乏しいシアーが、このように姉の勢いに流されるのは日常茶飯事だったが、
今回ばかりは少し様子が違った。
「わ、わたしも……ユート様と、遊びたい…」
 消え入るような声ながらも、明確な意思表示。二人の少女にそこまで思い詰めさせて
いたなどとついの今までつゆ知らずと見えて、悠人はあからさまに泡を食っていた。
「ユート様、答えてよ! ネリーたちは、ユート様と遊んじゃ駄目なのっ!?」
「い、いや、そんなことは……」
「そんなの、駄目に決まってるじゃないっ!」
 気合負けしてしどろもどろの悠人に代わり、それまで無言を貫いていたオルファが横
槍を入れてきた。
「!?」
「だって、パパはオルファのパパなんだから、オルファと遊ぶのは当然だもん。他人の
ネリーは引っ込んでなさいっ!」
「こ、こら、オルファっ!」
 そう大見得を切って、オルファはこれ見よがしに悠人の腰へ腕を巻きつけた。あまつ
さえ、口から目一杯舌を出してネリーに向ける。この仕草の意味するところは、ファン
タズマゴリアとハイペリアで寸分も変わらない。
 全身で悠人の所有権を主張してみせる稚気は微笑ましくさえあるが、そんなオルファ
の幼稚な挑発にあっさり釣られるほど、ネリーもまた幼かった。耳まで真っ赤に茹で上
げたその様は、見事なレッドスピリットの誕生である。
「オルファ〜〜〜っ!! もうあったま来たっ! 今日と言う今日は決着をつけてやる
んだから、覚悟しなさいっ!!」
「ふんだ、返り討ちにしてあげるから、どこからでもかかってきなさいよ!」

「ちょ、ちょっと待てお前ら……」
 洗練の欠片も無い喧嘩口上を切り結ぶや否や、二人のスピリットは間合いを取って対
峙した。もはや悠人の声も耳には届かず、それぞれの手には、いつのまにか永遠神剣
『静寂』と『理念』が握られてさえいた。
 名前負けも甚だしい小さな主たちに対する神剣のぼやきとも取れない思念が周囲に伝
播し、微かな苦笑いが小波立った。
「あ、あの……止めなくて、いいんですか?」
 ヘリオンはヒミカの背中に思わず問い掛けた。
「どうして? 止める必要あるの?」
 落ち着き払った声で反問され、ヘリオンは鼻白む。
「だ、だって、その怪我すると危ないじゃないですか。それに、こんなの良くないと思
いますし…」
「別にいつものことだし、やらせておけばいいわ。鬱憤を溜め込むよりよっぽどいいじ
ゃない」
 ヘリオンからは見えなかったが、ヒミカが「ニヤニヤ」と笑っているのは間違いなか
った。見渡せば、当事者とユート様、それにエスペリア様を除けば、誰一人として真面
目に取り合っている風も無い。
 こう言うときこそ、『大樹』のハリオンが「ケンカはぁ、ダメですよぉ」とおっとり
仲裁に入ってもよさそうなものだが、今日に限って彼女は哨戒任務に出向いている。
 ネリーもオルファも、ヘリオンにとっては掛け替えのない戦友であり、その二人がこ
のようにいがみ合うのは、どうにも居たたまれない心地がする。それを傍観しているだ
けの先輩連にヘリオンはいささか失望したが、さりとて、自ら仲裁役を買って出る度胸
も無いのである。剥き出しの敵意に触れると、自分の意志とは無関係に気力が萎えてし
まうのだ。
「ふふ、大丈夫よ」
 自分の背後でやきもきしている後輩に向かって、ヒミカは太鼓判を押した。
「え?」
「ま、見れば分かるわ」
 言われるままに、ヘリオンは恐る恐る顔をヒミカの肩越しに覗かせた。

 その刹那目に飛び込んできたのは、今にも刃を交えようと殺到するオルファとネリー
だった。
「いっくよおーーーーーーーっ!!!」
「てりゃあーーーーーーーっ!!!」
「……!?」
 ヘリオンが息を呑むと同時に、エスペリアが仲裁を試みようと踏み込んでいく。
 その手には物騒なオーラを纏った『献身』が構えられていた。
「もう、二人ともいい加減に……」
「いい加減にしろ、このバカっ!!」
 エスペリアの話の腰は三度目も折られた。
 激突寸前の二人の横合いから悠人のゲンコツが繰り出される。
 それは、立て続けに二人のつむじに炸裂する。
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
 声にならない絶叫が上がる。
 目から火花を飛び散らせて、オルファとネリーは頭を抑えてうずくまる。
 それを見た悠人はギョッとして、二人と自分の拳を順番に眺め回した。
「ユート様もまだまだね。激するあまりにご自分の力の制御を忘れているようじゃ…」
「あいたたたた…」
 冷静に論評するヒミカを尻目に、ヘリオンは思わず自分のつむじに手をやっていた。
第四位の永遠神剣を佩くエトランジェにしこたま殴られては、自分ならきっと死んでし
まうに違いない。
「ご、ごめんっ、大丈夫か、二人とも」
 先ほどまでの威勢はどこへやら。悠人は哀れを誘うほど狼狽して、二人の頭を恐る恐
るなで始めた。
「すまん、咄嗟に力の加減が出来なかった! 本当にごめんっ!」
「う……」
「……えぐっ」
「う? えぐっ?」
 二人が同時に発した意味をなさないうめきを悠人が反芻した瞬間。

「うわあああああああああああん、パパがぶったーーーーーーーーっ!!!」
「びえええええええええええん、ユートさまがバカっていったーーーーーーっ!!!」
「お、俺か!? 俺が悪いのかっ!?」
 火がついたように泣き出したオルファとネリーを前に悠人はすっかり周章狼狽気味。
 そして藁にも縋るような眼差しで、周囲を見渡した。
 彼の信頼すべき部下たちは、目も合わせようとせずに、三々五々散開していった。
「お、おい、みんなっ! なんとかしてくれよっ!! な、エスペリア?」
「いいんです、どうせ私の話なんて、誰も…」
 珍しく拗ねた様子のエスペリアが、そっぽを向いて悠人に肘鉄を食らわせた。
「なあ、セリア? ……うぐ、ひ、ヒミカ!?」
「申し訳ありません。『赤光』が手入れしろって前からしつこいもので、私はこれで」
 ヒミカは生真面目に一礼して、右往左往する悠人を置き去りにする。必然的にディフ
ェンダーを失ったヘリオンが、その矢面に立たされることになった。
「ヘリオン…だったね?」
「……へ? わ、私ですかっ?」
 ご指名を受け、物欲しそうな悠人の眼差しを一身に浴びて、ヘリオンは慌てて周囲を
見渡した。そこで初めて、自分だけが逃げ遅れたことに気がついた。
 一陣のつむじ風が、砂埃を巻き上げて通り過ぎていく。
「あの、その……どうすればいいんだ、俺は?」
「え? え? えと…」
 この状況を正確に把握したとき、ヘリオンの身体は異変を来たした。悠人に見つめら
れ、親しく話し掛けられている。それは、どんな敵と対峙したときよりも彼女のテンシ
ョンを高め切ってしまったのである。
「あ……そ、その……わ、わたしっ…」
 呂律が回らない。顔が真っ赤に火照る。心臓が早鐘のごとく連打する。視野が一気に
狭くなる。身体が震える。腰が抜けそうになる。
 ユート様が……ユート様が……ユート様が……!?
「ご、ごめんなさいっ!!」
「お、おいっ!?」
 悠人の質問の答えとしては全く意味をなさない謝罪を残して、ヘリオンは一目散に駆
け出していった。

 その日の夕食後。食器の群れが後片付けを待っている食卓で、今しがた自分が何を食
べたのかも良く覚えていないヘリオンがぼんやりとため息をついていると、突然背後か
ら声をかけられた。
「ねえ、ヘリオンもこれからユート様のところ、一緒に行かない?」
「ひゃうっ!?」
 ヘリオンが飛び上がると、声の主もカウンターで不意を突き返されたかのように飛び
退いた。
「な、なによ、びっくりさせないでよっ!」
「え? ああ、ネリーさんでしたか。その、済みません」
 同年代のはずの少女に対してもへりくだってしまうのは、もはや抜きがたい性分であ
ろうか。
「ま、いいけどね。で、ユート様のところに行かない?」
「へ? 私がですか?」
 ヘリオンはぱちくりと目を瞬いた。彼女の容貌を一層幼く見せるツインテールが微か
に揺れる。
「うん、そうだよっ。それとも、何か都合でも悪い?」
「都合……って、いえ、別にそう言うわけではありませんけど、どうして、ユ……ユー
ト様のところに?」
 自分はユート様の下へ伺う用事などないし、誘われていくというのも解せなかった。
 無論呼び出されたのであれば、何をさておいても出頭しなければなるまいが、ネリー
の口ぶりからはそれも違うように思われる。
 それ以前に、今日あのような形で別れた直後とあっては、気まずくて合わせる顔もな
いのだが。
 一人で訝るヘリオンに、ネリーは得意満面の笑顔を向けた。
「へへーっ、遊びに行くんだよ。もちろん、シアーも一緒にね」
「遊びに、行く…?」
 告げられたその言葉の意味を咀嚼して嚥下するのに、数秒を有した。消化吸収するの
に、さらに十数秒有した。

 一目散に逃げ出したヘリオンには知る由も無かったが、あの後ネリーの「求め」が適
う形で場が丸く収まったと思われる、と理解するころには、ネリーは焦れ始めていた。
「ねえ、どうする? 行こうよー。今までユート様と遊べなかった分取り戻すのっ!」
「あ、その……ごめんなさい、私、皿洗いの当番があるから…」
 咄嗟に頭を下げて口をついて出てきたのは、心にもなかった台詞だった。
 事実彼女は今日の当番ではあった。けれどそれを言い終わった途端、気が滅入るよう
な後味が染み渡ってくる気がした。
「ふーん。それじゃしょうがないか。じゃ、またねっ」
 そう告げるが早いか、ネリーはヘリオンの気も知らず、戦場でも見せないような鋭い
踏み込みでその場を離脱した。目指すはもちろん、悠人の館。ネリーのあまりの切り替
えの早さに、ヘリオンは舌を巻いた。
「ユート様、か…」
 一つため息をついて気を落ち着かせたあと、もう影も形もないネリーの後姿を追う眼
差しには、明らかに羨望と後悔の微粒子が溶け込んでいた。
「あなたも行って来れば? 当番代わってあげるから」
「ひっ! ヒミカさんっ!?」
 またしても不意に声をかけられ、ヘリオンは動転してしまう。不意打ちを得意とする
黒スピリットが一日にこう何度も不意を突かれるようでは、商売上がったりである。己
の未熟を恥じ入るように俯いて、ヘリオンは応えた。
「いえ、その……私は当番がありますし……それに…」
「それに?」
 俯いて飲み込んでしまった先を促す。
「私は、ユート様に許しを得ていませんから…」
 そう。悠人に直接許可をもらったのは、ネリーとシアーの二人だけ。だから、そうで
ない自分に悠人の部屋に行くことはできない。
 道理である。

 でも。
 太ももの前で組み合わせた手に無意識に力がこもる。自分は何か、とてもくだらない
ことを言っているような気がして、訳も無く涙が零れ落ちそうだった。
「あ、お皿、下げないと…」
 取り繕うように、ヘリオンは汚れ物をかき集め出した。第2館は人数が多い分、食器
の数も半端ではない。
 作業に没頭して余計な雑念を頭から追い払おう、とヘリオンは腕まくりをする。手始
めにと手近な大皿に手を伸ばすが、掴もうとした寸前それはするりと逃げていった。
「え……?」
 大皿は、なぜかヒミカの手にあった。
 驚きの眼を向けてくるヘリオンには目もくれず、ヒミカは鼻歌交じりで食器をてきぱ
きと集めていく。その手並みの鮮やかさは、やはり日ごろの鍛え方の違いだろうか。
「聞こえなかったの? 私は当番代わるから、行ってらっしゃいって言ったのよ。なに
ぐずぐずしてるの?」
 手を休めずにヒミカは再度促した。
「で、でも、私は……」
 なおも言い淀むヘリオンに、ヒミカは「ふーん」と鼻を鳴らす。
「だとしたら、ずいぶん不公平な隊長さんね。オルファたちには許可して、貴女にはく
れないなんて。そんな人の下で今後戦っていかなければならないなんて、私たちも先が
暗いわね」
「ゆ、ユート様はそんなこと、される方ではありません!!」
 どんっ! がしゃんっ! 木を打ち付ける鈍い音と、磁器の擦れ合う甲高い音が不協
和音を奏でた。
「あ……え、えと、その…」
 余りの音の大きさに驚いて、ヘリオンはテーブルを叩いた手を胸の前でさすり合わせ
る。集められた皿の山が崩れたのを見て肝を冷やしたが、割れた様子はなくほっと息を
吐いた。
 ヒミカは、何食わぬ顔で皿集めを再開した。むしろ笑みすら零しているではないか。
 そのニヤニヤ笑いを見て、ヘリオンは一杯食わされたことに気づかされた。そして自
分の今しがたの台詞をまざまざと思い返し、カーっと頬を真っ赤に染める。

「そ。なら、貴女にも許可をくれるはずでしょ、公平無私な隊長さんは。許可をもらっ
てないなら、もらいに行けばいいのよ。違うかしら?」
「あ……う……」
 自分の本心を偽るために用意していた切り札をあっさりと切り崩され、ヘリオンは心
の崖っぷちに追い詰められた。そこでは、前から真っ黒なスフィアハィロゥを伴い暗黒
闘気全開のヒミカがにじり寄り、後ろの崖下の限りなき深遠からは、黒いウィングハィ
ロゥを広げたユート様が耳まで口を裂き、『求め』を振り回しながら彼女が落ちてくる
のを舌なめずりして待ち構えているという、よく分からない地獄絵が繰り広げられてい
た。
「ほら……早く行かないと、ネリーとシアーにユート様を取られちゃうわよ?」
「!!」
 今のは致命傷だった。心の中のダークヒミカが懐に飛び込んでのトリプルスイング三
連発。見事にK.O.されたヘリオンは、ダークユート様の待つ奈落の底へとまっ逆さまに
落ちていった。
「わ、私……行って来ますっ!」
 言うが早いか、ヘリオンは今まで戦場でも見せたことないほどの鋭い踏み込みで食堂
を後にした。
「まったく。男の部屋に遊びに行く程度のことで、近頃の若い子たちと来たら大袈裟極
まりないわね…」
 軋みを上げ前後に揺れるドアを呆れたように見やり、ヒミカは軽く肩をすくめた。
 一度も男の部屋に遊びに行ったことの無い自分のことは、無論食器と一緒に棚に上
げておいた。

(終わってしまえ

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