確認行為

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俺がナズナと付き合い始めてから、はや数ヶ月が経とうとしていた。

幼なじみで、かつての俺にとって、最も近しかった女の子――。
そんな彼女と再会した昨年の夏、俺たちは再び、お互いの心に触れ合うようになる。
古い絆を手繰る日々。それはやがて、俺たちの間の新しい絆になった。
しかし、それは決して、簡単な道のりではなかった。
人々の心の間は距離があるのだ。そう簡単に繋がらない。
すぐ傍に居るはずだったナズナとの距離は、思いのほか遠かった。
逃げるくせに。隠れるくせに。
ここだよ、私はここだよ。早く見つけて、早く助けて――と、か細い声で呼びかけてくる。
なんて厄介なやつ。そうも思った。
――でも。
そんなアイツは、俺のことを、むしろ俺自身よりもよく知っていたのかもしれない。
いや、むしろ気付かされた、というべきか。
俺の心が、こんなにも激しく、綾瀬ナズナという女の子を求めていたということを。
さながら俺は、興奮しきった闘牛だった。
小憎たらしく赤い布をはためかすナズナに、この角を、興奮のままに突き立ててしまいたい。
そんな激情に駆られ、距離を縮めようと猛りつつ走った。
不器用なやり方だった。俺も――そしてナズナも。
ナズナはナズナで、怖くてがたがた震えながら、俺を求めて必死に布を振っていたのだ。
ようやくの思いで追い詰めたとき。
俺は、欲望の赴くまま、好きなだけこの体を蹂躙してやろうと思ったが――同時に。
たまらないほどのいとおしさも覚えた。
ようやく触れ合うことができた、お互いの欲望。それはもはや、とどまることを知らなかった。

この数ヶ月というもの。
俺たちは、呆れるほどの勢いで、お互いの体を貪りあっていた。

「ひっ…! あっ、ふああっ! やあっ……! んはぁっ……」
 下着の上から、ナズナの陰部に舌を這わせる。
 ほんのりと湿り気を帯びていたそこは、俺の執拗な舌の責めを受け、すっかりと透けてしまっていた。
下着にぴっとりとくっついたナズナの性器の形がくっきりと浮かんでいる。
「ふっ…きッ…! ふやあああっ!」
 そんなグチュグチュになった下着の湿り気と匂いを楽しむため、俺は舌全体で性器をなぶるとともに、
鼻先をクリトリスのあたりに押し当て、ぐりぐりと強く擦りつけてみる。
「きひゃああっ! ダメぇ……ひっ! そ……そっ、そんなに激しくしたらだめえぇっ!」
 下半身に感じる俺の強引な動きに、ナズナは過敏に反応し、悲鳴をあげる。
 舌の方も、性器にこびりついている汁を全部すくい取るかのように大きく動かす。
その動きで、押し当てていた鼻が、陰毛の生えている部分へとずれてしまう。
下着越しでも、肌の上より幾分じょりじょりした感覚があった。
「すごいな、ナズナのおまんこの毛。
 ただでさえ剛毛なのに、スケベな汁でベトベトゴワゴワに絡まって、下着の上からでも痛いくらいだ」
「やっ……! やっやっ……やあああああ! そん…なことっ…! いっちゃやだ………くぅう!!」
 ここからでは見えないが、きっと、顔を真っ赤にして恥かしがっているだろう。
否定の言葉をあげさせないよう、舌の責めを激しくする。
「やあぁぁぁ! もお……っ、あそこっ、ぬるぬる……だよおっ……! 変になっちゃうよおっ……!」
 ナズナの下着をぐっしょりと濡らしているのは、もはや俺の唾液ではなく、ナズナ自身が分泌する、
強くぬめった白濁液であった。粘り気がかなりすごい。
 下着を引っ張り、尻の下から抜き取るような感じでずらした。
 にちゃあ…………!
 性器と触れ合っていた布地は、まるで納豆のように粘りを引いていた。
 外気に晒された性器は、下着に糸を引き、すでに外側のビラビラがめくれ上がっていた。
中の膣口がヒクヒクと震えているのさえ見える。
「ふあっ…はぅっ……! やっ、やぁ……っ、や、やめっ……、そんな…に…見ない……で」
 ――もう、どれだけの回数、その部分を目にしたのか分からないのに――
 ナズナはそこへ視線を注がれるたび、羞恥の悲鳴をあげるのだ。
 下着に糸を引いている愛液を指に絡め、それを、軟膏でも塗るような感じで、ナズナの性器の周りに
塗りたくってみた。
「い……いやッ!! やっ、ぬるぬるっ……! ぬるぬるがぁっ……!」
 くるくると指を動かすうち、次第に膣口の付近に愛液が溢れてきた。興奮したナズナの奥から
沸き出てくる、気持ちが良くなってしまった証の淫汁だ。
 それをなるべく膣口に集め、泡を立てるかのように、激しく二本の指を動かした。
 くちゅくちゅぴちゅぶちゅぐちゅぷちゅぴちゅ!!!
 愛液にまみれたそこが、激しく水音をあげる。
「……や、止め……っ! そっ……そこっ、そっ、グチュグチュしたらダメぇぇっ!!」
「ダメ? こんなに自分でビチュビチュ汁を吹き出させてるのにか?
ほらすごいぞナズナ、この音、自分で聞こえるだろ!?」
「やああああああっ!! 音、おとぉぉっ!! ひうぅぅぅっ! ふううっ、
ほおっ……ひゃはぁぁっ!!」
 ホイップされて泡だった愛液が絡まった指を、クリトリスまで擦るように動かす。
そして、空いている親指を、ぱっくりとを空いたナズナの入り口に、ズブリと埋めた。
 その指で膣の中をほじくるとともに、クリトリスを一気に激しく擦り上げた。
「ひぐううっ!! ひっ…ふぎっ……ひぃやああああぁぁぁぁっ!!」
 ぱっくりと親指を咥え込んだナズナの体が、ビクン、ビクン、と震えをあげる。
 ぷぴっ、ぷぴっ、と愛液を、股の間から勢いよく吹き出させて、ナズナは体を硬直させた。
 しばしの間、ぶるぶると硬直が続き――そして脱力する。
「……はーーっ、はーーっ……はーっ……」
 荒い息づかいが、聞こえてきた。
「――ナズナ」
 俺はそんなナズナの体を、腰、腹、胸、と、上へ上へとキスして行き、いたわった。
「ん……ふ…………秀晃……」
 まだ半ば放心しているナズナの体を抱え、そして唇へとキスする。
「ん……んは……んっぶ…………じゅぷ、ぐぷ……」
 軽く、舌を絡めあう。
「ほら、指」
 いったん口を離して、べとべとの愛液がたっぷり絡みついた親指を、ナズナの口にもっていった。
「あぷっ……! ん……ちゅぷ、ぷぶ、んぶ……」
 ほとんど無意識のうちに、指にしゃぶりつき、舐め取り始めるナズナ。
「はふ……んぷぅ……ちゅ、ぴぷ……むぶっ」
 まるで、陰茎にでも奉仕するかのような、執拗な舌使いだった。
「ナズナが自分で出したスケベな汁――美味しいんだ?」
「――ん……もお……っ!」
 放っておくと、いつまででも舐め続けていそうなので、軽くからかってみた。
 案の定、咥えた指を離し、抗議の表情を見せてくれたナズナ。
「ものすごい量だったぞ」
「……ん、んうーーっ、は、恥かしいよう……!」
 ――している時は、俺が驚くぐらいに乱れてくれるくせに。
 ナズナはいつも、自分の痴態を、とても恥かしがる。
 俺が、恥かしがるナズナの姿を見るのが大好きだというのを、汲んでくれているのかも知れなかった。
「秀晃は、そうやって私のことをいつも苛める……!」
 ぷい、と後ろを向き、体育座りのように体を隠してしまうナズナ。
 しかし、尻の割れ目も、膝に押しつぶされた大きい乳房も覗けてしまうため、
その姿は十分過ぎるほどに扇情的だ。まだ、尻の割れ目周辺が、粘液でぬらぬらとしているのがよく見える。
「私、エッチな子なんかじゃないっ。君がエッチすぎるんだよ」
「俺のせいにするかなあ……」
 どっちもどっちだと、内心では思っている。
 たぶん、お互いに。
「あと、剛毛でもない」
「それはどうだろう」
「ほ、本当だよぉ!」
 だって、他のをじっくりと見たことなんてないし。
「もうっ、知らない!」
 ごろりと横になり、こちらを拒絶するそぶり。
 うーむ。このまま放置されるというのも、なんというか、収まりが。
 下半身の。
「ナズナ」
 そうはさせじと、丸めた背中ごと、抱きしめてみた。
 びくん、びくんと蠢く怒張ごと、体をぎゅっと密着させる。
 ――んっ、と、ナズナが身を震わせたのが分かった。
「……やぁ。もう、背中に当たってるよぉ……」
「ナズナがエッチに悶える姿を見て、こんなになっちゃってるんだ」
「ばっ、馬鹿ぁ」
 身をよじらせる。抵抗しているつもりなのだろう。
 ただ、むしろ擦れて気持ちいいのだが――そこまでは考えているかどうか。
 もう少し、追い詰めてやることにした。
「すごいな、ナズナの体、背中に当たっているだけで気持ちいい。分かるだろ、チンポ、ピクピクいてるの」
「なっ! ち、ちょっ……そ、そんな……!」
 言葉で苛める。
 ナズナは、体を直接責められるもの弱いが、こういう言葉や視線による羞恥にも、敏感に反応する。
 というか、ぶっちゃけ俺が、こういう責め方を好んでいるのだった。
「ナズナのグチョグチョに汁を出すスケベな穴に、入りたい、入りたいって言ってるんだ」
「やあっ! そっ、そういう風に言うの、やっ、やめっ、止めてぇ……っ! はあっ!?」
 こっそりと腕を伸ばして、膝で隠している胸を刺激する。
「……ふっ、ふうぅんっ……! やっ……くっ、んああっ!」
 揉みしだいたり、摘んだりはしない。乳頭の、一番先端の部分を、軽く、
触れるか触れないかという感じで、つま先で弄ぶ。
 乳首が、びくびくと硬くしこってきた。そんな乳首を、ぴん、と指で弾いてみる。
「ひっ、ひやぁあうぅっ!!」
 急な刺激に耐えられなかったのか、ナズナは悲鳴をあげた。

「へえ。乳首だけでそんな声が出ちゃうのか。ナズナって、本当にエロいな。
口も、乳首も、アソコも。全部エロ過ぎる」
「やあ……や……ぐすっ……ゃぁ……っ……」
 くすぐるような刺激を与えられ続けてたためか、ナズナの声には涙が混じり、
ほとんど消え入りそうだった。
 そんな責めを続けている間にも俺は、ナズナの尻に、すっかり怒張しきった肉棒を擦りつけることを忘れない。
 こんなエロい体のせいで、俺のモノは、こんなになってしまってるんだぞ――と、体で直に伝えるために。
「さ、どうして欲しい?」
 耳元で、息を吹きかけるかのように囁いてみる。
「ど……どうしてって……」
「今、ナズナの尻に擦りつけているモノを、どうしたらいいのかなーって」
「そっ、そんなこと、言われたって……ひやぁう!?」
 つう、と、背筋をつま先で軽くなぞってみると、それに反応し、ビクン、と体をのけぞらせた。
「はああああっ!」
 何度も指を行ったり来たりさせると、とうとう、感極まった声を漏らし始めた。
「やぁ……はぁっ! や、やめてぇ……そ、そんっ……な、いっ、いじわるっ、しないでぇ……!」
 息も絶え絶えのナズナ。
 あまりにも辛そうなので、いったん手を休めることにした。
「はっ…はっ………はあっ……。も、もぉぉ……っ! ひ、秀晃の、馬鹿ぁ!」
 怒られるも、その声や仕草に、力が入っていない。
「悪い。くすぐったかったか?」
「ん……く、くすぐったいというか……か、感じすぎて……」
 はーっ、はーっ、と、息をすっかり乱していた。
 見ると、もじもじと内股を擦り合わせている。
「……そんなに私のこと、苛めたい……?」
「うん」
 ナズナの問いかけに、俺は即答する。
「ナズナの口から、スケベな言葉が聞きたい」
 あまりにも率直な言葉に、ナズナは思わず、ぷっと笑いを漏らした。
「もう……馬鹿」
 せっかく高めた気分を、冷ましてしまったかも知れない。
 でも、これでいい。
 別に、本当に苛めたいというわけではないのだ。
 お互いに、気分を盛り上げて愛しあえれば、それで良かった。
 刺激も必要ではあるが、それ以上に大切なものがある。
 ましてや、俺がこうして、ナズナを言葉で責めるのはいつものことで――
 それはもう、「いつもの行為」の確認のようなものだった。
 俺が求めている行為に、ナズナが、答えてくれる。
 それは――好意の、確認作業だった。
「あんまり……じっと見ないで……ね」
 ナズナは、上体を起こすと、こちらに尻を向けて四つんばいになった。
 尻を、高く持ち上げる。
 ぱっくりと割れた双丘の間から、菊座と、べっとりと愛液をこびり付かせた、
開きっぱなしの性器が丸見えになった。
「お……お願い……します……」
 恥かしそうに眉をひそめつつ、ナズナは、ゆっくりと言葉を発した。
「わ、私の……おまんこに……、秀晃の…を………入れて、下さい…」
 もう、いちいち言わなくても、俺の求める言葉で、迎え入れようとしてくれる。
 いとおしさと共に、ちょっとした感動さえ覚えた。
 ――いつもならば、クリトリスに亀頭を擦りつけたりと、さんざん焦らすところなのだが。
 ナズナの豊かな双丘を掴み、陰茎を入り口にあてがうと。
「ナズナ――っ」
「んっ――んはああああぁぁっ!」
 ゆっくりと、熱くぬめった肉壁の中に、陰茎を埋めていった。
「はあああっ! ああっ! ひっ、ふああっ」
 軽く腰を動かす。もう十分に高まっていたナズナには、それだけで十分に刺激が来るようだ。
 じっとりと湿り、ひくひくと蠢くナズナの膣内。
 その中の、肉壁のあちこちを、亀頭のカリの部分でひっかき回すように、小刻みに、
ぐりぐりとかき回しつつ、出し入れを繰り返す。
「うくうっ! ひやあっ……、はあっ、ふうん、ひぐぅうううっ!」
 ナズナの喘ぎ声とともに、ずっちゅ、ぶちゅ、びちゅ、と、粘着質な音が響き渡る。
 結合部に手をやると、びっくりするほどの量の粘液が絡みついた。
「はあああっ! ひっ、ほっ……ふきっ! ……ひっ、ひあああっ、んあっ!」
 ぬるぬるの結合部周囲を、特にクリトリスを中心にいじくり回す。
 結合部からはすでに、ぽたぽたと、次から次へと愛液が滴っていた。そんな粘液をたっぷりと絡ませ、
クリトリスを擦り上げてみる。
「ひいいいいいいっ!! ひぐっ! ひゃああぁぅっ!!」 
 感じすぎるのか、ナズナはほとんど絶叫のような声を上げた。
 そうしながらも、陰茎で膣内を執拗にかき回すことは忘れない。
 もともと、ナズナの愛液は、かなり粘っこく、濃い目の白濁をしている。
 激しい動きの結合部でそれがかき回されるので、ナズナの尻から俺の陰毛にかけては、
にちゃにちゃと白く泡立った愛液が、びっとりとこびり付いている状態だった。
 ひどく淫らな光景に、俺はますます興奮し、さらに腰の動きを激しくした。
「やぁああああぁっっ!!
 だっ、だめだよお、そっ、そん――そんらにつよくしたらだめえぇぇぇっっ!!
 ひっ! ひあうああぁぁっ! んあああっ!」
 涎を撒き散らしながら、悶え狂うナズナ。
 ――もうちょっと、優しくしたいのに――加減できない。
 止められない。
 このままでは俺も、あっという間に達してしまうのは分かっているというのに、
その動きを止めようとは、どうしても思えなかった。
「ひあうあうあぁぁぁっ! もう……もう、もうっ!」
「ナズナ――! ナズナ、ナズナ、ナズナ、ナズナっ!」
 狂ったように腰を打ち付けつつ、後ろから、豊かな胸を鷲づかみにして、力の限り抱きしめる。
「んはああっ!! ひぎっ、いい、イイッ、気持ちいい、おまんこ、気持ちいいよぉっ!!
 ひやあああぁっ!」
 忘我の狂態。すでにナズナの体にはほとんど力が入っておらず、俺の力だけで体を起こしている。
 抱えられたまま後ろから俺の陰茎で性器を貫かれ、体をびくびくと痙攣させているような状態だ。
「やあああっ! いく、イク、わたしっ、もうっ! い、いぐううううっっ!!」
「俺も、イクぞ、ナズナ――!」
「……う、うんっ! ……来て、来てぇっ、秀晃、ひであきのっ、私の中に、
 せ、せいし、精子ぃ、いっぱいだしてぇぇぇっ!!」
 ――どくん!
「ん――んはああああああああぁぁぁ……っっ!!」
 どくっ、びゅく、びゅぶ、びゅぐ――!
 ナズナの、一番奥に、盛大に精子を噴出させた。
「はあぁ……ふぅっ、ふああうう……はあっ……」
 ひとしきり、ナズナの膣全体が、俺を搾り取るかのように激しく収縮する。
 俺は、ナズナの子宮に、残さず精子を注ぎ込もうと、さらに奥へと脈動する陰茎を押し込んだ。
 絶頂がお互いに収まると――性器を繋げたまま、俺たちはベッドへ、どうと倒れこむ。
「はっ…………はっ…………はっ…………はっ…………」
 息をするのが、精一杯というほどに。
 抱く力だけを、保つ。
 陰茎で感じる、ナズナの中の感触。
 こうして外から抱く、柔らかいナズナの肉体の感触。
 首筋から薫る体臭。荒い息遣い。
 すべてを、堪能した。
 しばらくの間、余韻を味わってから。
「秀晃……」
 お互いの、愛情の確認を、再び求めた。
「秀晃は、ケダモノ」
「あのなあ……」
 ――それから。
 5回戦(!)にも及ぶ、全力の求め合いを経た後のベッドで、俺はケダモノ認定を受けていた。
「いや、そんなこと言って、お前こそ」
「あー、ひっどーい。私……あんなことも、こんなことも……君がやれって言うから、仕方なく……」
「うう……」
 そんな泣きそうな声で言われては、なんとも言い返せなくなる。たとえ露骨に演技だとしても。
 確かに、行為のほとんどに関して、表面上は俺が強要したという形にはなっているのだが。
「あんな恥かしい格好させられて……あんなエッチな言葉を喋らされて……私、もうお嫁に行けないよ……!」
 泣きまねをしながら、そんなことを言ってくれる。
 しかも――
「秀晃が……秀晃が、責任…………とってくれるんだよねー?」
 そんなことまで言われなければならないというのか。
(おまけに、途中で泣きまねを止めやがった)
 だいたい、お互い合意のうえでの行為というか……むしろナズナの方から求めたのも多いというか……。
 ……しかしまあ。
 行為の最中は、俺がナズナを一方的に弄んでいるというのに、いざ終わると、
どうしてこうも立場が逆転するんだろう……それも、毎回必ず、だ。
「真似してあげよっか? エッチの最中の、君の台詞」
「う、うわ、絶対やめれ」
「『ふふふ、俺の、ナズナのエッチな体で、こんなになっちゃってるんだ』だってー。
うわー、恥かしー。よくこんな台詞、真顔で言えるよねー」
「やめろと言うのに!」
「やーめない。ほんっと、秀晃ってエッチなんだ。普段はそんなそぶりも見せないのに。
なーに、これって、むっつりスケベって言うんじゃないのー?」
「このっ」
「きゃー、助けてー。秀晃に犯されちゃうー」
 畜生、本当に犯すぞ。
 ……ごめんなさい。もう、弾ありません。
 当然、それを知っての挑発だ。ああ、この女ときたら。
「いいよ……私のこと、犯したいんだったら……何度だって……」
 うっわ、本当に切なげに潤んだ目で誘惑してきた。
 おまけに、全裸の上にシーツをまとって、チラリズムまでご披露してくれる。
 まったく、本当のスケベは、どっちなんだか。
 さすがにもう、下半身的には限界だけど――。
「きゃっ」
 抱きしめて、その感触を味わうことだけなら、いくらでもできる。
「次の時、覚えてやがれよ」
「うん。――覚えてる、ね」
 ――こうして、呆れ返るほどの回数、体を重ねたとしても。
 きっと、飽きることなんてないのだろう。
 お互いの愛情を、確かめ合う行為には。
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