第二詰所
「悠人、スピリットの館に行ってみたいぞ」
光陰が小声で俺にささやいてきた。
「(気になっている娘がいるんだ!)」
目を光らせる光陰、大体言いたいことはわかる。
しかし、ターゲットにされている娘が多いから。
一体どうした物だろう?
やたらと張り切る光陰。
この浮かれようを見ていると、みんなの危機を感じる。
とはいえ駄目だといってもついて来るだろうし…。
俺は諦めて二人を館へ案内することにした。
第一詰所~本館~。
みんな出かけていて誰もいなかったりする。
不幸中の幸いというか、とにかく良かった。
「ということで残念だけれど、またの機会にしよう」
「悠人クン~、第二詰所、だっけか。そっちの方も行ってみたいな」
「そんなこと言ってもな、俺が暮らしてるのはこっちだし。
そうだ、今日子は別にいいだろ?」
「ん、べつにいいよ~興味あるし~」
俺が駄目なんだよ!
だいたい向こうの館の方が光陰の危険度が増してしょうがない!
複数のスピリットを援護するのは辛い。
何といっても相手は自分と同じエトランジェだ。
「さぁさぁレッツゴー!」
抵抗もむなしく第二詰所に向かって引きずられていく。
しかし、何故場所がわかるんだ光陰よ…。
「あれぇ~~。ユウト様~?」
「あぁハリオン、ちょっと友達の案内を」
「え~と~、キョウコ様とコウイン様ですね~。はじめましてぇ。
私ぃ、ハリオン・グリーンスピリットと申しますぅ。
よろしくお願いしますぅ~」
しばしの沈黙、そして…。
「あぁぁ、え~と今日子、岬今日子です!」
「俺は、碧光陰、はじめまして、美しいグリーンスピリットのお嬢さん」
「え~とぉ、美しいですかぁ?そうですかぁ?」
気取っている光陰に対して、いたってマイペースなハリオン。
光陰、残念だがハリオンにはその類の攻撃は一切通じないぞ!
「……ちょっと悠…」
「な、なんだよ」
「なんか、ただならぬ物を感じるんだけど?
あのスピリットは、いつもあんな感じなの?」
「ハリオンは、そーだな大体あんな感じじゃないかな?
ああ見えてもしっかりしているし、皆のお姉さんって感じかな」
「いい娘じゃないか、悠人!
あんなおしとやかな娘はマロリガンにはいなかったぞ!この幸せ者め!」
光陰が割って入ってくる、しかも妙に浮かれているし。
「くぅぅ羨ましいぞ悠人よ、お前たちのことは色々と調べていたつもりだが
まさか、こんないい娘がいるなんて!
マロリガンの諜報部もまだまだだな!あぁ実に惜しい!」
何が惜しいんだ、そもそも諜報部がスピリットの性格まで逐一報告するか?
光陰の浮かれようはともかく、
後で高まりつつある怒りのオーラを感じ取り俺はハリオンを連れて少し離れる。
ついでにハリオンに守りを支持する。
「ユウト様ぁ~どうしたんですかぁ~?」
「いいから、最大で構えるんだ!」
「わ、わかりましたぁ~」
直後、轟音が響く。
「こ~う~い~ん~く~ん~」
「うがぁぁああぁあぁぁぁ」
どごごごごごごぉぉぉん!!
雷をまとったハリセンが光陰に炸裂する。
「光陰、迷わず成仏しろよ…」
「~~?」
「何だかすっごい音がしたみたいだけど」
「………どうしたんだろう、ね?」
「あ~、パパこっちにいたんだ!」
「お兄ちゃん~」
「お兄さん…」
落雷と轟音で騒ぎを聞きつけたネリー、シアー、オルファが現れる。
ん?お兄ちゃん?お兄さん?
「ちょっと悠、何よパパとかお兄ちゃんって!」
「いや、そ、それは俺が聞きたいよ」
オルファがパパと呼ぶのはともかく、
ネリーとシアーが突然「お兄ちゃん(お兄さん)」と呼ぶのは俺も驚いている。
「ネリー、シアー、一体その呼び方は?」
「オルファだけがパパって呼ぶのがズルイから私たちもね、シアー」
「……は、はい。オルファからハイペリアの言葉を教えてもらって」
「言っとくけどパパって呼ぶのはオルファだけなんだからね!」
「わかってるわよ、うるさいな~」
「あぁ~せっかく教えてあげたのに、そんなこと言うんだ!」
「お、お姉ちゃんも、オルファも、落ち着いて…」
「あらあら~」
オルファとネリーが触発しそうな雰囲気へ、そこにシアーが止めに入る。
ハリオンは相変わらずマイペース。
とまぁそんな和やか(?)な光景をかなりイっている視線で眺める光陰。
いつの間に復活したんだ、こいつは?
「悠人、お前幸せだな~、いや絶対幸せだ!
いいよな~いいよな~、俺なんてさ、今日子がいたから
自慢のスピリット部隊にまったく手がだせn」
「ほほ~う、光陰君は私がいない方がようございましたか~?」
「ははははは、ま、まさか、そんなこと、あるわけないですよ、今日子さん」
「ふうぅぅ~~~ん」
「パパ、あのお姉ちゃん」
「す、凄いよ…」
「……マ、マナが…」
今日子の回りのマナが震え振動している…。
3人とも怯えている、さすがエトランジェというか。って言うかマズイ。
「みんな、守りを固めろ!」
「うん!」
「わかったよ!」
「……だ、大丈夫かな…」
「は~~い、来ますよ~~~」
どごごごごごごぉぉぉぉん。
本日2回目の爆雷が響いた。
「もうっ、うるさいわよ!」
リビングにニムが入ってきた。
しかも無茶苦茶怒っている気がする、では無く完璧切れている。
「まったく、さっきから何騒いでるの!
うるさくて本も読んでいられない!!」
部屋の中を見回すニムと目が合った…、何だか嫌な予感がする。
そして、こんな時の予感はだいたい的中する。
「ユウト様!ユウト様がいながら、どういうことですか!
スピリット隊の隊長なんですから、もっと皆をまとめてもらわないと困ります。
この際だから言いますけれど、ユウト様は回りに流されすぎです!
こんな子供のお守りも出来ないなんて!
意識とか責任とかわかっているんですか!!」
グサッ、た、たしかに流されすぎとは思うけれど…。
「こ、子供っていったなっ!」
「何よニムだって充分子供じゃない!」
「はいはい、お子様は黙っててね」
「うぅぅぅ~(×2)」
「だいたい騒いでいたのは私たちじゃないもん!」
「そーだそーだ!」
「とりけせー!」
「とりけせー!」
「ホントお子様はうるさいわね!」
オルファとネリーを軽く受け流すニム。
確かにこの娘は(この二人よりかは)子供じゃない。
単に面倒くさがりなのかもしれないが。
「ニムぅ~、お客様ですよぉ~、ご挨拶ご挨拶ぅ」
「?」
と、ここで部屋の中に見慣れない人物がいるのに気がつく。
そして自分に向けられている視線にも。
つーか回復早すぎだぞ、光陰。
だから「求め」の攻撃から復活したのかもしれないが。
いくらなんでも、あの攻撃を2発も喰らって無事とは。
「何?このイカニモ妖精趣味っぽいニンゲンは?」
グサグサグサッ、クリティカルヒットだ。
今、確かに光陰にクリティカルな攻撃が炸裂したのを俺は見た。
……今日子、笑っているし。
「それでしたら~、ユウト様も妖精趣味ですよ~
お城の兵隊さんたちも噂してますしぃ~」
ザシュザシュ!!
そ、そうなのか!イヤそんなことはない!断じてない!
しかし噂!?ってことは回りの人間は俺のことを、そんな目で…!?
「パパはヘンタイさん?」
「そう、ユウト様はヘンタイです!」
断言するニム。
ここはキチンと説明してはっきりさせないと!
「い、いいかニム。俺はヘンタイじゃない。
ただ、スピリットも人間も関係ないんだ!
皆、仲良くやっていけるんだよ!」
「ゆ、悠人よ。お前は俺と同類!ヘンタイなんだよ!」
「だ、そうですが?ユウト様?」
ぐはっ、光陰め余計なことを!ややこしくしやがって。
「かわいらしいお嬢さん方、気をつけるが良い、
悠人はヘンタイもヘンタイ、ドヘンタイなんだ!!
ヤツと長年つるんできた俺が言うんだから間違いない!」
「ユ、ユウト様はそんな人じゃありません!」
「あっ…えっと…ユ、ユウト様」
「うぅ!、ヘ、ヘリオンいつのまに!」
「ええっとですね、みなさん集まっていたみたいなので来てみたんですけれど
声がかけられなくて…、さっきからずっと…」
「ふぅ、ヘリオン、あんまりに気にしなくていいから、気軽に声をかけてくれよ」
「は、はいっ!」
「それよりも、ありがとうな、サンキュ!」
「い、いえそんなこと!私はユウト様のこと尊敬していますし!」
俺に気遣ってくれた(?)ヘリオンの頭をポンポンと撫でてやる。
目を細めて嬉しそうにしている。と、そこへ
「あぁ~~ヘリオン、ずっるういぃぃ!
パパ、パパ、私も撫でてよ!」
「お兄ちゃん、私も私もっ!」
「………え~と……私も……」
「って、誰も俺のことフォローしてくれなかったじゃないか!」
「そんなことないよ!パパはパパだもん!」
「お兄ちゃんは優しいよ~!」
「……お兄さんはいい人です…優しくて……」
「はい、いいでしょ!撫でて撫でて~!」
「あらあら~、ケンカは駄目ですよ~順番~順番~」
「モテモテね~悠ぅ~」
「はははははははは…」
「なんなら、俺が撫でてやってもいいんだぜ!」
「うるさいよ~妖精趣味の光陰君は~」
「ぐはっっ!!」
光陰へのとどめの攻撃は雷ではなく、悲痛な一言の言葉だったと。
光陰、今度こそ迷わず成仏しろい。
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