おまけシナリオ

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みんなでお茶を飲んでいた。

午後3時のホーネット。平日のこの時間、冒険者も町の者も店内にはまばらである。
なぜか集まった知り合い・・・マーチェリッカ、グランディア、ラネットとテーブルを囲み
世間話に華を咲かせていた。
リズィは保育園にノエルを迎えに行っている。もうまもなく帰って・・・。

「おとうさん、ただいま〜」
「ただいま〜」ノエルの声が、リズィの声が店内に響く。
「ノエル。お帰りー」
「マーチェリッカおねえちゃん、こんにちは」彼女はノエルを抱きかかえ膝に乗せる。
・・・マーチェリッカはノエルを自分の子供のように可愛がってくれている。
「いつも可愛いね、ノエルちゃん」グランディアの言葉にラネットと俺は、冷たい目
で答える。
「ラネット、こいつはロリコンなんだ」
「はい、マスター。いろんな意味でよくわかってます」
(お前も見かけからロリィだもんな)という言葉はやめておく。
「ちがうっす、兄貴。ラネット・・・勘弁してくれって」
「プンッ」ラネットがわざとらしく横を向いた。この2人も今じゃ立派な恋人同士だ。

「おにいちゃん、おねえちゃん・・・けんかしないでなかなおりしよ、ね?」
ちょっと心配そうにノエルが仲裁する。
マーチェリッカが笑いながら後に続ける。「うふふっ・・・大丈夫よ。けんかしてもすぐ
仲直りするから。ノエルのお父さんとお母さんみたいに」
(一同どっと笑う)
で済めばよかったのに・・・。

「あのね、おとうさんとおかあさんもきのうけんかをしてたの」思い出したようにノエルが
言った。
「あら、ノエル・・・嫌だわ見てたの・・・」リズィが恥ずかしそうにつぶやく。

(回想)
昨日のこと。
小遣いを少しあげてほしいと俺は要望した。
「物入りなんだ。商店街の若い者におごらなくちゃならないし・・・(自分でも遊んでるけど)」
リズィの言い分は「無駄遣いはいけません」とこうだ。
俺はなおも食い下がった。「リズィ・・・先週新しい服買っただろ(俺に内緒で)。あれは無駄
遣いじゃないのか」
ギクッ・・・とした表情のリズィ。
「で、でもあの服はずっと着られます。無くなっちゃうものじゃありません」
「そういう問題じゃなくてだな・・・」
(回想終わり)
昨日の喧嘩とはこのことか。

「どこで喧嘩してたの、おとうさんとおかあさんは?」ラネットが微笑みながら尋ねる。
それに対し、ノエルがこう答えた。
「えとね、夜ね・・・ベッドの上でとっくみあいのけんかしてた・・・はだかんぼで」
・・・待て、待ってくれ。固まる俺とリズィ。

笑顔のマーチェリッカが質問を引き継ぐ。
「そう・・・。おとうさんとおかあさん、どっちが勝ってたの?」
「うーん・・・」ポンと手を叩き、ノエルが叫ぶ。「おかあさんっ」
俯くラネット。笑いをこらえるグランディア。
やめさせなければ・・・。なのに、突然の恥ずかしさに体が動かなかった。

「ど、どうしておかあさんが勝ってたって判ったの?」嬉しげに質問するマーチェリッカ。
「おかあさんが上になってたから。きっと勝ってるってわかったの」
グランディアが涙ぐむ・・・「兄貴、すっかり弱くなっちまったんですね」。・・・馬鹿野郎。
ラネットが涙ぐむ・・・「銀のメンバーってエッチな人ばっかりなんですね」。・・・首だ首。


「でも、おとうさんとおかあさん。すぐになかなおりしたんだよ」
「あら、そうなの。よかったわね」哀れみをこめた目で俺を見ながらマーチェリッカが相槌
をうつ。
「あのね、おかあさん、おとうさんにいってたの『いっしょにいって、いっしょにいって』
って・・・。おとうさんも『ああ、いっしょにいこう』ってお約束したの」
・・・鬱死。
「だから、きょうは2人でおでかけしてたんだとおもうの」
リズィは涙ぐんでいた・・・俺も泣きたかった。

「あ、もうこんな時間。帰らなくちゃっ。じゃあねノエル」ノエルを膝から降ろし、マーチェ
リッカがそそくさと席を立つ。
「あ、お、俺も依頼の冒険に行くっすっ」グランディアが走り去る。
「マ、マスター。私も、お買い物っ」ラネットが瞬時に消える。

・・・閑散とした店内でノエルを抱きしめ、俺とリズィは声を殺して泣いたのだった。



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