マブミズ

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朝のホ―ムル―ム前、教室は生徒達がダべったり笑ったり怒ったりしていてなかなか騒がしい。
純夏は冥夜とお喋り。武も友人、尊人とバカ話しに興じて「あひぁはは」などど大口開けて笑っている。

「はい、みんな席について」
と、若い女教師がそう言いながら教室に入ってきた。ロングスカ―トに美脚を包んだ美貌の女教師だ。
このクラスの担当、神宮司まりもである。

「おっ!転入生か?」
「すげぇ、巨乳・・・巨乳だ!!」
「おいおい、委員長とどっちがデカイ?」
などど、一部の男子学生徒が盛り上がっている。
それというのも、女教師の後ろにくっついて、他校の制服の少女が入って来たからだ。
ちなみに委員長というのは、このクラスのリーダー的存在な生徒、榊千鶴である。

「皆さんに新しいお友達を紹介するわね、こちら・・神津麻美さん」
女教師に促され、転校生----神津麻美は恥かしそうに微笑みながら挨拶した。
確かに高校生にしてはずいぶんとわがままなバディ―をお持ちのようだ。
その胸のふくらみは、どうしたって隠しようがなく彼女はそれが恥かしくてたまらない、といった感じで少し猫背になっている。

「・・・は・・はじめまして・・・神津麻美です・仲良く・・してください・・・ふるふるふる・・・・」
どっと拍手が起こり、口笛を吹き鳴らす奴まで出た。女子は「やめなよ」とか言ってるがアホなノリは一向に静まらない。
そういうお調子者がこのクラスにはやたらと多いのだ。
武も「きゃっほ〜」などど言いつつ、周りの者に混じってはしゃぐ---。
なにが「きゃっほ〜」なんだかと思いつつ、純夏と冥夜も拍手だけはしている。

しかし男子生徒が騒ぐのも無理はない。麻美はヤロウどもにとって、それほどの上玉だった。
童顔で巨乳の美少女というのだから、これはたまらない。ただでさえ、純夏、冥夜、千鶴、まりも先生と、学園内の
キレイドコロが集中しているこのクラスに、またも期待のル―キ―が出現したのだ。
ヤロウどもが、他のクラス連中に自慢できるネタがまた一つ増えたことになる。

それゆえ嬉しさのあまりお猿になってしまうのも、まあうなずける。
とは言え、はしゃぎ過ぎなことは確かで、隣りのクラスの教師は・・・・
「また・・・・まりもさんのクラスは・・」などど思っているに違いないのだ。

クラスにはそれぞれバラバラなクラス、妙に団結力のあるクラス、やたらと静かなクラスなど、様々なカラ-が現れる。
で、このクラスの場合は、妙に可愛い子が多く、そしてお調子者が多いクラス、というわけだ。
----と、不意に後ろの戸が開き、女生徒が一人、入ってきた。

「・・また遅刻・・・ったく・・いいかげんにしてよね」
委員長である千鶴がその生徒を注意した。口調にはどこか皮肉めいたものが感じられる。
責任感が非常に強い千鶴にとって、ゴーイングマイウェーな感覚を持つ彼女とはソリが合わないらしい。
「・・・・・・」
遅刻してきた女生徒----彩峰慧は能面のように冷たい表情で無言のまま、さっさと自分の席についてしまった。
途中、慧は教壇横の麻美に視線を投げる。
麻美は慧の視線に気づき「にこり」と微笑み返したが、慧はやはり無表情のまま顔をそむけカバンを机の横にぶらさげた。

「それじゃあ、席は・・・・・と。ああ、武君の後ろに椅子と机が余っているでしょう。・・そう、それをあなたの横にならべて」
まりもがそう指示すると、またも歓声があがった。
「ひゅ―ひゅ―」とか「よ―よ―」とかいった、意味の薄いひやかしの雄たけびだ。
武はあからさまに嬉しそうに、後ろから椅子と机を引っ張ってきて、自分の席の横に並べた。
むろん備品の雑巾で埃をはらうことも忘れない。

「・・・・ふるふるふる・・・ありがとう・・武君」
すぐそばで、麻美が媚びるような笑顔を浮かべている。本能的にそういった表情のできる少女らしいのだ。
「あ・・いや・・うんっ、どうも・・・」
などど、武はいっちょまえに照れながら、なんだかわからない返事をした。
そんな武のだらしない顔を見た純夏と冥夜は「ムッ」する---。


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