ラバーズ×エロス

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「よいしょ……っと」
 ベッドのシーツを剥がし、新しいシーツをかけていく。
 大きなダブルベッド相手に、由女の小さな身体では、ちょっとした重労
働になってしまう。何度も左右に往復しながら、ぴん、とはっていく。
「はぁ……はぁ……ふぅ……」
 ようやく白いシーツの張ったベッドを見下ろしつつ、息を整える。袖で
汗を拭った。
「…………」
 ベッドと、床に丸めてある外したシーツとを交互に見る。少しして、胸
に手を当て、ふぅ、とため息をついた。
「…………はぁ……」
「何ため息ついてんだ」
 突然、後ろからかけられた声に、由女はびくっ、と身体を硬直させた。
 慌てて後ろを振り返ると、部屋の入り口のところに、悪司が立っている。
「あ、ああ、悪司さん、いつからそこに……っ!?」
 動揺して手足をバタバタとさせながら聞く。
「ついさっきだが……由女こそなんでこんな事やってるんだ?」
 言いながら、悪司は腕組みしたままで2、3歩歩み出る。
「いえ……」
 由女は多少、落ち着きを取り戻しながら、苦笑しつつ説明する。
「他の方もお忙しいでしょうから……これぐらいのことは私が……と思っ
て」
「まぁいいけどな、それよりさっきのため息のほうが気になるぞ」
「えっ……」
 悪司の指摘に、由女はドキッとしたように目を円くする。
「なんか……すげー思いつめた感じだったぞ」
「い、いえ、これは……いえ、このシーツの上で、悪司さんが他の女性を
抱いているのかな、と思うと、少し切なくなってしまって……」

 由女は多少俯きながらも、苦笑している感じで言ったのだが……
 がばっ
「きゃっ!?」
 不意にぎゅっ、と抱き締められたかと思うと、そのまま背後のベッドに
押し倒された。
「あ、悪司さん?」
 由女は目を白黒させてしまう。
「躰のことなら……わかってて嫁にした、つってるだろ?」
 目前に迫った悪司の顔が、不敵ににやりと笑って、そう言った。
「い、いえ」
 由女は困惑して焦ったように言う。
「頭ではわかってるんですが……その……アノ事を除いても、ここには魅
力的な方が多いじゃないですか」
 すると、言い終えたとたん、その口をキスで塞がれた。
「ん……んむ……っ」
 悪司の舌が由女の口腔に割り込んでくる。
「んぅ……」
 たっぷりと由女の口腔を愉しんだ後、ちゅぷ……と水音を立てながら唇
が離れていった。
「ただ胸だの尻だのデカきゃ魅力的ってワケじゃねぇぞ。お前だっていろ
いろこう、かわいらしいとこがいっぱいあるんだからよ」
 どこかとろん……としてしまっている由女の顔を、悪司がジッと見据え
ている。
「ふぁ……」
「それと……勘違いすんな。他の女とヤってんのは、必要があってのこっ
た。まぁ、嫌いじゃねぇのは認めるけどよ……本気でセックスしてんのは、
お前だけからよ」

 言葉だけでは苦しい言い訳にも聞こえるが、じっと鋭く、しかし敵意を
感じさせない視線を向けられ、由女はどこか安堵感を感じていた。
「はい」
 由女は、ほんのりと赤くなった顔で微笑んで、静かにそう応えた。
「おし……じゃ、すっか」
 なんてことない感じで悪司は言うが、それの意味するところは……
「え、ええ? 今からですか?」
 由女は半身を起こして、驚いたような声を上げる。
「おう。嫌か?」
「いえ……」
 由女は立ち上がり、自ら着衣をはだけた。
「お願い……します」
 真っ赤な顔になってしまいながらも、笑みを悪司に向けた。
「うし……じゃあ、こうすっか」
 自分も全裸になった悪司は、由女をくるっと後ろを向かせて、背中から
抱き上げた。
「あ……」
 そのまま、悪司の躰の上に由女を乗せるようにして、ベッドに横たわる。
「この姿勢は、嫌か?」
「いいえ……」
 悪司の問いに、由女は少し戸惑いの顔を見せながらも、そう応えた。
 ふにふに……っ
 悪司の手のひらが由女の慎ましやかな乳房を覆う。
「んっ……」
「じゅーぶんやわらけーじゃん、由女のおっぱいだってよ」
 悪司は少しからかい気味に、にやっと笑いながら言う。
「そっ……はぁう、はぁ……っ」

 一瞬、何か言い返そうとした夢だったが、巧みな胸への刺激に、腰をく
ねらせるようにして良がり声を上げてしまう。
「こっちは……硬くなるみてーだけどな」
 きゅ……悪司は、あくまで優しく、由女のペニスを握り、扱きはじめる。
「ふぁ……ぁ……ぁ……ぁっ……!」
 ぴくん、ぴくんと反応しながら、悩ましげな表情になってしまう。
 だんだん、悪司の手の動きが速くなってくる。
「やっ、あ……そ、そんなにしたらっ、私……っ!!」
「このまま……イってみせてくれよ……」
 悲鳴に近い声を上げる由女に、悪司が耳元で優しく囁く。
「っ、そんな、あぁっ、ぁ、ぁぁっ……」
 どこか脱力したような声を上げつつ、由女はびくびくっと絶頂に身体を
跳ねさせながら、ペニスから精を放ってしまう。
「ふぁ……ぁ……はぁ……はぁ……」
 ――ちんまい女が出すってのも、見なれてくっと結構エロいよなぁ。
 悪司はそう思ったが、言うと由女を傷つけそうなので口にはしなかった。
「はぁ……はぁ……悪司、さん?」
 息を荒げながら、由女は悪司を振り返る。
「!?」
「んちゅ……っ」
 そのとたん、唇を奪われた。
「ふぁ……」
 重ねるだけのキスが離れていくと、由女は若干首を戻しただけで、悪司
の胸にしなだれかかる。
 くちゅ……っ
「んっ……!」
 びく……っと由女の身体が反応する。悪司の指が割れ目の方を開くと、
十二分に潤ったソコが水音が発された。

「そのまま、よっかかってな」
「ふぁ…はい……」
 由女が返事をするが速いか、悪司は由女の腰を軽く持ち上げた。
 自分のいきりたったペニスをあてがい、おろしながら由女のヴァギナの
中へ埋めていく。
「はぁ……ぁ……ぁぁ……っ!!」
 ぐぐっ……っと押し込まれていく過程の中で、萎えていた由女のペニス
がびくんっ、と跳ねるように立ち上がってしまう。
「やっ、こ、これ……っ……て!」
 由女が困惑した表情になって、上体を起こしかける。
「ああ……前立腺だな」
「前立腺?」
 悪司が言うと、由女は思わず反芻する。
「男のコレの根元に、気持ちいいモトがあるんだよ。由女はそのうらっか
たがソコだからよ、入れっと反応しちまうんだろうな」
 悪司は比較的真面目な表情のまま、おおざっぱな説明をした。
「……っ、そんな、それじゃ私……っ」
「露骨に嫌がんなくてもいーじゃねーか。俺は由女が気持ちいいのがわか
って嬉しいぞ」
 泣きそうな表情になってしまう由女に対し、悪司は耳元で囁くようにそ
う言って、そのまま耳たぶをかぷっ、と甘噛みした。
「ひゃんっ!」
「じゃあ……突き上げるからな……」
 顔を戻しつつ、悪司は由女のそれごと上体を軽く起こし、由女の腰を抱
えるようにして腰をぐっ、と突き出した。
「あ、はっ……」
 由女は首の下で手を組むようにして、良がり顔になってしまう。
 ずっ、ずずっ、ずっ、ずん……っ……

 ストロークは浅いが、強めの突き上げが由女の奥にまで伝わる。
「は……ぁ……はぁ……はぁぁ……はぁ……っ」
 その度に、由女の狭いヴァギナはぐっ……と悪司のペニスに絡み付いて
くる。
「くっ……これじゃ俺も……っ」
 ずんっ、ずんっ、ずっ、ずず……っ……
「ふぁぁ……はぁぁ……はぁ……はぁぁ……っ」
 由女の声は昂っていき、甘い悲鳴のようになっていく。
「も、もう、ぁ、わ、私い、……あ、ぁぁっ……!」
「俺も……だ……っ」
 びゅっ、びゅびゅっ、びゅくっ……
 由女のペニスから、虚空へと精液が放たれる。その脈動の度にきゅっ、
きゅきゅっ、とヴァギナが締まる。
「くぁぁっ……」
 どくっ、どくっ、どくっ、どくぅっ……!!
 悪司が呻き、大量の精液が由女の体内に送り込まれた。
「…………っ、はぁ……はぁ……はぁ……っ」
「ふぅ……はぁ……はぁ……」
 2人は躰を重ねたまま、ぐったりとベッドに寝そべる。
「なぁ……由女、よぉ……」
 息を整えながら、悪司は由女に声をかけた。
「はぁっ……はぁ……な、……なん、でしょう?」
 返事をする由女の息はまだ荒い。
「俺だってな……人並みに恋っつーもんをした事もあらぁ……ま、縁がな
くって別れたわけだけどよ」
「……………」
 ようやく息を静めた由女は、どこか神妙な面持ちで悪司の話を聞いてい
る。

「けどよ、今はもう、お前だけでいっぱいだわ……相性ってのとはちょっ
と違うけど、本命ってヤツ、今はお前以外考えられねー」
「悪司さん……」
「よっ、と……」
 悪司はやはり由女ごと起き上がると、自分の逸物を引き抜きながら由女
をベッドに座らせる。
「んぅっ……!」
 由女は引き抜かれた瞬間に声を上げたが、ベッドに直接腰がつくと、す
ぐに後ろを振り返った。
 その肩を、悪司が抱き寄せ、唇を重ねる。そして、今度はお互い向き合
うようにして抱き締めながら、再び寝そべっていく。
 やがて唇が離れる。
「結局、シーツまた汚しちまったな……」
 悪司が呟くように言いながら、由女の背中を優しく撫でる。
「そうですね……」
 由女も苦笑した。
 そして、由女は悪司の胸に頬を寄せる。そうして2人は、そのまままど
ろんでいった……


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