ある日のアーカムシティ

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「いや〜平和だねぇ」
 と隣を歩く部下、ストーンに話し掛けるネスの声は心底幸せそうだった。
 彼の住んでいる街、アーカムは大黄金時代にして大混乱時代にして大暗黒時代。
 彼が赴任して以来事件が起こらなかった日など片手で数えれる位しかなかった。
 特に最近はブラックロッジの破壊ロボだけでなく、謎の青年と少女の二人組み
による破壊活動まで起こっている。
 気の休まる日などなかったのだ。
 だが今日は朝から事件の一つも無く街は平和だった。
「平和な事は良い事であります」
 少し遅れてストーンが答える。
 とその時見覚えのある顔がネスの横を通り過ぎた気がした。
 振り向くが確認する間も無く人ごみに消えていった。
「どうかしましたか、ネス警部」
「……いや、なんでもない」
 適当にごまかして、また歩き始める。
 ストーンはまだ訝っているようだったが、すぐに諦めたのか彼の後を追って歩
き始めた。
「平和が一番、さ」



 ネスの横を通り過ぎた青年と少女の二人組み。
 いわずもなが大十字九郎とアル・アジフだった。
 だが少し様子がおかしい。
 九郎はいつになく不敵な笑みを浮かべ、アルの手をしかと握りしめ引っ張るよう
にして歩いている。
 端から見ると変態ペド野郎が少女をかどわかして家に連れ込み無理やり■■■や
■■■■■を■■■■■■■■■■■■■■■■■(神様へこの部分は検閲されて
います)という風にしか見えない。
 だが九郎にはヒソヒソとこちらを見て話し合う人達が目に入らないのか、構わず
道をずんずん歩いていく。
 一方かどわかされている少女の方はというと、そんな男の様子を心配やら不安や
らの入り混じった表情で見ている。
(どうしてこんな事になってしまったのだろうか……)
 内心で自問自答する。
 事の発端について考えると、少し前まで遡らなければならない。

「……何だって?」
 覇道邸の応接間、九郎が間の抜けた声で聞き返す。
「聞こえませんでしたか?ではもう一度だけいいます。大十字さん、あなたの今月
分の給料はカットします」
 覇道瑠璃ははっきりと言い切った。
 静寂。
 アルの紅茶を啜る音と、高価そうなアンティーク時計の音がやけに大きく聞こえる。
 どれだけの時が経ったのであろうか。
 硬直の解けた九郎が訳のわからないと言った風に捲くし立てる。
「だから、何で!?理由を説明してくれ!!」
 悲痛な表情で訴える九郎にも、煩わしそうな態度の瑠璃。
「ウィンフィールド!」
「はい。では大十字様、私の方から説明させていただきます」
 執事の説明を簡潔に纏めると以下のようなものだった。
 最近のデモンベインの活躍は認めるが、街に出る被害が多すぎる。
 街に被害が出るたびに覇道財閥に苦情が寄せられる。
 って言うか寄せられすぎて仕事増えまくりでウザいので以前の赤貧生活に戻って
反省しやがれ。
「…………という事です」
「なんじゃそりゃぁぁぁぁっ!横暴だ!そんな事がまかり通ると思っているのか!?
っていうかウザいってなんだ〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」
「ああ〜、五月蝿いですわね!ウィンフィールドっ、お客様はお帰りですわよ!」
 すぐにウィンフィールドは暴れる九郎を取り押さえ、引きずっていく。
「申し訳ございません大十字様。どうかお引取り下さい」
「ちきしょうっ、離せ!離してくれ執事さんっ!ちくしょう、ちくしょ〜〜〜〜〜〜
〜〜訴えてやる〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!」
 紅茶を飲み終えたアルはそんな九郎を追ってをつまらなさそうに歩いていった。
 

覇道邸を追い出された二人は並んで帰途についていた。
 九郎は、
(いつかあの高慢ちきな女■■■してやる……)
 等と暗い情念に燃えていたが、それを落ち込んでいるとでも受け取ったのだろうか。
「まあよいではないか。あんな小娘なんぞに施しを受けなくても生きてはいける」
 と慰めるような事を言ってきた。
「そうは言ってもよ〜、ほぼ無一文なんだぜ今……」
 財布を逆さにして振って見せる。
「飯なら教会に行って食えば良かろう。電気代や水道代など少し位滞納しても問題ない。
十分生きていけよう」
 やけに生活臭い魔道書の慰めに少しは元気が出たのか、
「……そうだな、いつまでもグチグチ悩んでてもしょうがないか。良し、そうと決まれ
ばライカさんの所にたかりに行くか!」
 と言って走り出す。
「な、待て!妾を置いて行くな〜〜〜っ」


 だが悪い事は重なるものらしい。
 教会に辿り着いたアルが見たものは、テーブルの前で立ち尽くす九郎の姿だけだった。
 教会はもぬけの殻で、テーブルの上に置手紙が乗っているだけ。
 アルがそれを覗き込むと、
「九郎ちゃんへ。福引で旅行が当たっちゃったので皆で行って来ます(はぁと)」
 とだけ書いてあった。
 動かない九郎を心配してアルが九郎の顔を覗き込んだ。
「汝っ……」
 九郎は真っ白に燃え尽きていた。
 そしてこの日から九郎の苦行の日々が始まったのだった。



 一日経っても二日経ってもライカ達は帰ってこなかった。
 そして飢えを塩を嘗めて凌ぐ生活を続けて一週間を過ぎる。
 とうとう塩も尽きた。
 前回は食事の当てがあった。
 だが今回はそれすらも期待できそうにない。
 空腹感と絶望感に打ちのめされる。
 絶望は死に至る病、と言うが絶望で死ぬ前に餓死するだろう。
 ぷちっ。
 彼の中で何か大切なものが切れてしまった、その事を示唆する音が鳴り響く。
 この時九郎の目に怪しい光が燈り始めていた。

そして次の日の朝。
「そぉぉぉぉぉぉぉかっっ!解ったぞぉぉぉぉぉぉおおっ!!!」
「わわわわっ、わ〜っ」
 べちゃ。
 急に大声をだされて驚いたのか、アルはダンセイニの上からずり落ちた。
「な、なんだいきなり大声を出しおって……」
 起き上がって九郎の方を向く。
「今の生活から脱却する方法を思いついたんだっ!」
「ほ、ほう。それはよかったな……」
 あまりの九郎の勢いに少し腰が引けているアル。
「そう、その方法とは…………」
「…………方法とは?」
「競馬だぁっっっ!!!!!!」
「…………………………………」
「…………………………………」
「…………………………………」
 

 静寂が訪れる。
 数分後、我に返ったアルが呟く。
「……何故に?」
「良くぞ聞いてくれたっ!そうちょうどある晴れた日に屋上に行ったら電波的なお告げ
がビビビッと来たんだ!」
「な、汝っ……大丈夫か?」
 頭は、と言う言葉を飲み込む。
 この時に漸く九郎の目が正常でない事に気が付いた。
「そう、これはヒアデス星団辺りからシュリュズベリィ博士が旧神の知識を以ってして
俺に電波と言う形でお告げを送信していると確信するのは当然でないと誰が言えるであ
ろう、いや言えまいっ!」
 一気に捲くし立てられ、しどろもどろになるアル。
「だ、だから……」
「そうか、お前もそう思うかアルッ!よし、善は急げだ!」
「わきゃっ」
 そういって未だに床に座り込んでいたアルを抱き上げる。
 所謂お姫様抱っこと言う奴だ。
「ななななな汝ぇっ、いきなり何をするっ。離せ、離さんかっ!」
 だがアルの抗議も虚しく、
「いざ行かん、彼の地へっ!」
 そう宣言し、ドアを蹴破って走り出してしまった。


 アルの必死の説得によって(魔術でぶっ飛ばしたとも言う)何とか抱きかかえられたま
ま街中を走り回られると言う事態は回避したが、九郎の目は相も変わらずヤバイ光を放っ
たままだった。
 回想を終えたアルは既に競馬場に辿り着いてしまった事に気が付いた、存外長く物思い
に耽っていたらしい。
 もうこうなったらとことんやるしかない。
 そうさ、九郎も空腹で脳が腐っているだけ。何か食わせればきっと元に戻るはずだ。
 シュリュズベリィ博士でも何でもいいからとにかく勝って貰わなければ。
 そう開き直りアルは九郎に問い掛ける。
「それで汝、どう賭けるつもりなのだ?」
「1に単勝で全額だ、ルドウィク・プリン様がそう仰られている」
 なけなしの1ドル紙幣を握り締め答える。
 シュリュズベリィ博士じゃなかったんかいとかそんな蛆臭そうな奴のお告げは聞きたく
ない、等の突っ込みを飲み込む。
 今の九郎を下手に刺激しない方が良いと思ったからだ。
 だがその思いも虚しく直後その場に哄笑が響き渡った。
 このパターンはウェストとかいう■■■■か、とも思ったが声が違った。
「あははははははははは……」
 真後ろから聞こえてくる声に二人が振り向くと其処には、

「「マスターテリオンッ!!??」」
 そう、金色の髪、金色の眸、亀裂の様な笑顔。
 何故か少し薄汚れているがそんな事は彼の美貌を少しも損ねていない。
 紛う方なしのマスターテリオンだった。
 身構える二人。
 流石に脳が壊れている九郎でもマスターテリオンの怖さは解るらしい。
 アルの心配をよそに真っ当な反応を返す。
「貴様っ、何故こんな所にっ!?」
 緊張し震えた声を叩きつけた。
 それに対し彼の返答はとても軽いものだった。
「あはははははははは……笑止也、大十字九郎。競馬場に競馬以外の何をしにくるというのだ」
 嘲りを含んだ口調が逆に可笑しい。
 最初は何を言っているのか解らなかった二人だが、
「…………何故競馬?」
 当然の疑問がアルの口を衝いた。
「ブラックロッジの運営費用の捻出の為だ」
 事も無げに言い、持っていたスーツケースを開ける。
 其処には九郎が一生かかっても稼げるかどうかの紙幣の束束束。
「っていうかそんだけあるなら運営費用に回せよ」
 九郎が突っ込む。
「ふ、愚昧だな大十字九郎。費用がないから捻出せねばならんのだ。これはエセルドレ―ダ
を古本屋で換金した金だ。流石最古の魔術書と言った所か」
 相も変わらず口調は軽い。
「……ナコト写本を売ったぁ!?」
 暫く呆然としていたアルが素っ頓狂な声を上げた。
 まあ無理もないが。
 その横で九郎は何か感銘を受けたかのように考え込んでいた。


 静寂に包まれる。
 その沈黙を破ったのはマスターテリオンだった。
「それと一つだけ言っておいてやろう。次のレースに1は来ん」
「なんだとぉっ!?貴様俺のイホウンデー様を愚弄する気か!?」
 自分の(お告げの)意見を否定され怒り猛る九郎、どうやらまた壊れ九郎に戻ってしまっ
たらしい。
 コロコロ変わるお告げの主について言及するものは最早いなかった。
 アルはそろそろ自分の脳の方を疑い始めていた、これは悪い夢なのではないかと。
「3−4……それは宇宙の真理であり変えられない運命なのだよ」
「ならば俺は貴様に■ン■■ファイトを申し込むっ!!」
 思考停止に陥っているアルの願いも虚しくさらに悪夢は続き、九郎の発言の支離滅裂度は
鰻上りに上がっていった。
「そうか、余に挑戦すると言うのか大十字九郎。いいだろう受けてやる。だが勘違いするな。
貴公の矮小さを知らしめてやるために受けてやるのだ。精々もがき苦しむ様を見せつけてく
れるのだな」
 互いに意味不明な事を言い合った後仲良く馬券を買い終えた二人は固唾を飲んでスタートを待った。
 そして結果――――――――

 二人とも外れた。
 最後の生きる望みを失って真っ白になってる九郎の横、
「な、なんだと!?こんな事は今までに一度も無かった!!何故だ、何故こんな事が!?」
 今までに無いほどに狼狽するマスターテリオン。
 握っていた赤鉛筆をヘシ折ってしまった事にも気づいていないようだ。
 狼狽をを隠す余裕もないらしい。
 ブツブツと独り言とを言い始め、そして自己完結したのか放心している九郎にビシッと指した。
「そうか貴公の所為か大十字九郎っ、神を断つ剣!貴公の存在が運命の輪を狂わせたと言うの
か!?許さん、許さんぞっっ!!!これではエセルドレーダを買い戻せないではないかっ!!!!!」
 ■■■■のように好き勝手な事を捲くし立てながらマスターテリオンは魔力を集中させる。
 マスターテリオンの魔力に中てられてアルは正気に返った。
 一瞬の状況判断、マギウススタイルになる余裕はもう無い。
「間に合うか……?」
 結界を張り終えると同時に、
「殺ーーーーーーーーーーーーーーッ」
 閃光が二人を包んだ。


「い、生きてる……?」
「ア、アル。大丈夫か?」
 九郎が倒れているアルを抱き起こす。
「何とか……それより汝、正気に戻ったのか?」
「ん?ああ」
「そうかぁ……良かったぁ」
 九郎の正常な様子を確認し、心底嬉しそうな表情で息を吐いた。
「それにしても何で俺達無事なんだ?」
 九郎の疑問も当然だった。 
 マスターテリオンが相手なのだ。
 競馬場ごと吹き飛ばされる事も覚悟していたのだが、とばっちりを受け気絶している人
がいる位で、周りの被害も少ない。
 手加減をしたのだろうか、だがそんな理由も見つからない。
 思い悩むアルと九郎だがマスターテリオンの呻き声で我に帰る。
 一瞬の隙が死に繋がる相手なのだ。
 油断無くマスターテリオンを見つめる二人。


「何故だ、エセルドレーダ……?」
 そう呟き呆然としているマスターテリオンを尻目に九郎はアルに問い掛ける。
「……どういう事だ?」
 暫くマスターテリオンを観察していたアルだったが、
「どうやら今の奴はナコト写本との繋がりがないらしい。つまり魔術書がないので大した魔術が
使えない状態のようだな」
「ふ〜ん、つまり今のうちにタコ殴りにでもしておけと」
「そのようだな……」
 アルは頭痛を抑えるようなジェスチャーをしながら答えた。
 マギウススタイルになった九郎がゆっくりと近づいていく。
「はは、はははははは。あははははははははははは…………。大十字九郎、これも所詮は運命。
神の仕組んだ絡繰に過ぎんのだっ!!そして運命の輪は常に余の手中にあるっ!」
 錯乱気味のマスターテリオンはちょっと涙目だった。


 因みに自分の主がピンチの時、エセルドレーダはというと―――
 古本屋の隅で体操座りをして、
「……………………………………………………………………マスターのばか」
 いじけていた。

 マスターテリオンを昇滅させた二人は並んで歩いていた。
 愚痴を言いながら歩くアル。
「そもそも汝は空腹如きで我を失いおって。我が主として情けないとは思わんのかっ?」
「悪かった、悪かったよ」
「ちゃんと反省しておるのか?そもそも汝はなぁ……」
「解ったって、反省してる。それよりさ途中で寄っていきたいところがあるんだけどいいか?」
 九郎の問いに、はぁ〜っ、とため息で返す。
「本当に反省しておるのやら……まあ好きにするが良い」
 アルの答えに満面の笑顔で、
「そっか、じゃ行こうぜ。こっちだ」
 そう言ってアルの手を握り歩き出す。
 先程のように無理やりと言う感じではなく、優しく恋人をエスコートするかのように。
(なななな、何を考えておるのだ妾は……)
 自分の考えを打ち消す。
 最近の自分は何か変だ。
 この様な事は今まで一度たりともなかったと言うのに。
 九郎と一緒にいたい、九郎と話をしたい、気が付くとそんな事を考えている。
 最初はアルと愛称で呼ばれる事があんなに嫌だったのに、今ではそう呼ばれるだけで心臓が跳ねる。
 気分は昂揚して、だがすぐに冷めた。
 所詮自分は只の魔道書、人間ではない。
 いつもその事実に打ちのめされる。

 本に懸想した人間など聞いた事も無い。
 所詮は実らぬ……
「どうしたんだアル?そんな泣きそうな顔して」
「ななな何でもないっ!」
 顔を覗き込んできた九郎から慌てて顔を背ける。
「そうか、ならいいんだけどな」
 そう言ってきゅっと手を握りなおす。
 とくん。 
 心臓が高鳴る。
 実らぬ恋なのかも知れぬ、道ならぬ恋かもしれぬ。
 だが此奴なら、大十字九郎なら、妾を受け止めてくれるやも――――
「やっぱお前変だぞ、今度は顔が赤い。熱でもあんのか?」
「う、うるさいっ。それよりまだ目的地に着かんのかっ!?」
 照れ隠しに大声を出して誤魔化す。
 そんなアルに対し、
「もうすぐだ」
 と言ってこちらに笑顔を向けてきた。
 その笑顔を見たらあれこれ考えていた事が馬鹿らしくなってくる。
 何も答えを急ぐ事もあるまい。
 この男が本に懸想をするような変人じゃないとも言い切れまい。
 それにこんな朴念仁に寄ってくる輩など……輩などいないとは言わないが妾の方がずっと良い女さ。
 きっといつかは他の女共を蹴散らして、九郎を篭絡してみせよう。
 そう心の中で誓うと気分が晴れてきた。
 時間はまだあるのだから、急ぐ必要などないのだ。
 夕焼けの街を仲睦まじく二人は歩いていた。

 ストーンは隣で大あくびをしているネス警部を睨み付けていた。
 彼はネスが有能なのにやる気が足りないと言う事に不満を持っていた。
 もっとちゃんとしていれば尊敬できる上司なのに、と。
「いや〜平和だねぇ、ストーン君」
 今日何度目かの警部の台詞。
 確かに今日はこの管轄で事件が起きなかった。
 その意味では平和だったと言えるだろう。
 しかし結局今日も事件は起きていた。
 アーカム中央競馬場で傷害事件があったらしい。
 金色の髪の少年が病院に半死半生で担ぎ込まれたそうだ。
 そう、気を抜いてもらっては困るのだ。
 いつ何時事件が起こるとも知れないのだから。


「ネス警部、しゃきっとして下さい」
「ふわぁぁぁっ、いいじゃないかストーン君。どうせ今日は何も起こらんよ」
 またあくびをしながら答える。
 これ以上言っても無駄、そう判断したストーンはため息一つつくと押し黙った。
 ちょうど出来たその沈黙、それを狙い済ましたかのように少女の叫び声が静寂を引き裂いた。
「汝ぇぇぇぇぇっっ!!!!!!!全然正気に返ってないではないかぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 直後大爆音が響く。
 すぐ向こうの区画で爆発があったようだ。
「ネス警部っ!事件でありますっ!!現場に急行しましょうっ!!!」
「わかった、わかったから引っ張らないでくれ。はぁっ、アーカムには事件のない日はないのかね」
 ネス警部がぼやく。
 そう此処はアーカム。大黄金時代にして大混乱時代にして大暗黒時代。
 事件は尽きない。
 だからこそこの仕事はやりがいがある、ストーンはそう思っていた。
「で、爆発が起きたのはどこらへんかねストーン君?」
「向かいのブロックの……ちょうど古本屋があるところだと思われます」
「古本屋?そんなものあったっけ?」
「警部、ちゃんと巡回場所の地理を……って喋ってる暇があったら早く現場に向かうでありますっ!」
「……わかったよ」
 前を走るストーンの後ろをだるそうにネスが続く。
 こうしてアーカムの比較的平和な一日は騒乱の内に終わりを告げたのだった。

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