「見て見て！　あんなところに山小屋があるよ！」
　霧にけむる中に山小屋を見つけたカイルが喜びの声をあげた。
　僕も密かに、心の中で小躍りした。
　体力こそ疲弊していないが、恥ずかしいことにもよおすものがある。
「そうだな、今日はあそこで一休みするか」
「はぁ……わたし、疲れちゃった」
　僕を煩悶させる聖女が、ほとほとだるそうに言う。
　他の二人はどう見ているのか知らないが、彼女の姿は本当になやましい。
　可愛い容姿はきわめて端麗で、あどけなさと美しさが同居している。
　ピンクのネグリジュをまとった華奢な肢体は、僕にとって理想の線を描いているといっていい。
「ねぇねぇリアラ、早くいこうよ〜」
「ちょ、やだぁ……もう、カイルったら〜」
　……それにしても、あいつはリアラを見て何も感じないのだろうか？
　あんなに胸もとと背中が開いた服を同年代の美少女が着ているというのに、全く意識していなさそうに見えるのは気のせいだろうか……
「おいジューダス、なにボケっとしてんだよ。さっさと行かないと置いてかれるぞ」
　ロニが急かしてきた。
　丁度いい、こいつの性癖を確認しておくか。
「わかっている……ロニ、ひとつ訊いていいか？」
「あ？　ずいぶんしおらしいんだなジューダスちゃん。拾い食いでもしたのか？」
「それは僕のセリフだろう。……などと下らないやりとりはどうでもいい。おまえ、リアラについてどう思ってるんだ？」
　僕の言葉に、ロニはむずかしい顔をした。
「なんだ急に？　どう思うっても……別に、危なくはないんじゃないか？」
「違うっ！　女としての彼女をどう見るかと訊いているんだ！」
　これだから単細胞は……
　さて、普通に返答をよこすだろうか？
「女として……そうだな、俺の見立てでは、二十年後にはいい女になってるんじゃないか？」
　愕然とした。
　実年齢はともかく、どう見積もっても十二歳くらいにはみえる彼女を、二十年後とは……
　こいつ、年増好きなのか？！
「というか、お前がそんな事を訊くとはなぁ……やっぱり変なモン食ったんじゃねーの？」
「余計なお世話だ。おまえこそこの暑さに頭をやられないよう気をつけろよ」
「ここは暑くねぇだろうがっ！」
　僕はロニの突っ込みを華麗にスルーし、カイル達の後を追った。

　―――

「うわぁ……色んなものがあるね。オレ、山小屋って初めてなんだ！」
「ふわぁぁ……元気だねぇお前は」
　全くだ。
　ま、僕は大して疲れちゃあいないがな。
「明日は早い。僕が見張りをしておいてやるから、お前達は早く寝ろ」
「いいの？　ジューダスだって疲れているんじゃ……」
　リアラが潤んだ双眸で僕を見つめてくる。
　やめてくれ……たまらなくなってきてしまう。
「……大した事はない。いいから休め」
「ま、疲れたら俺が代わってやるから安心しろよ」
「欠伸をしていたお前にか？　信用できん……――安心しろ。僕とお前達とじゃ場数が比較にならん。本当につかれたら頼むから、それまでゆっくり眠っていろ」
　僕の物言いに反論してくると思ったが、ロニは意外にも立場をわきまえていた。
「わーったよ。悔しいが、確かにお前全然眠そうじゃねぇもんな」
　そう言うと、彼は奥の床に足を運ぶなり、すぐ横になった。
　その前に、既にカイルがいびきを立てているのだが……やはり、あいつの血を濃くひいているらしいな。
　と、またもやリアラがこちらを眺めている。
　覚えがありすぎるからもしやとは思うが、この僕の顔に見惚れてしまったのだろうか？
　だとしたら…………いやいや、彼女には相応しい人物がいる。
　僕が寝取るわけにはいかない。
「……お前も早く寝ろ。‘力’を使ってまだそう時間は経っていない。疲労を回復するためにも、横になっておけ」
「……はい」
　案外素直に首肯してくれた。
　そうでないと困る。
　このような機会、滅多に訪れはしないだろうからな……

　―――

　全員が寝静まったようだ。
　そう判ると、いや判る前から、僕の息遣いは荒くなっている。
　ふたりで話せる状況になっても、シャルはずっと黙ったままだった。
　今日があの日だと解っているのだろう……ありがたいことだ。
　僕は禁欲主義者である。
　初経を迎えた時から、僅か二回しか自涜に及んだことがない。
　それでも、彼女を見ていたら収まりがつかなくなった自分がいた。
　幼女趣味といえば過ぎた表現だが、僕は存外年下の少女を嗜むらしい。
　恥ずかしくないと言えば嘘になる。
　あのひとに……どちらの意味でとってもマリアンに勝る女性はいないと思っていた。
　だがリアラを一目見た瞬間、身体に電流を通されたような感覚が僕をおそった。
　ロニはいいにしても、カイルはこの少女を見て何も感じないのだろうか？

　ひらかれた平坦な胸やわずかにさらしている大腿部に、思わず視線を送ってしまったりしないのだろうか？
　今、彼女は僕のすぐ眼の前でぐっすり寝ている。
　なんともなまめかしく、無防備な姿だ。
　あお向けになり、左手を腹に、右手を頭の横において、可愛らしい寝息をたてている。
　僕は我慢できなくなった。
　せわしなく息を吐きながら、黒い脚衣に手をかけ、ゆったりとした手つきで下におろしてゆく。
　下着はない――即ち、僕のレイピアが天を刺したのである。
　無論、刃物のレイピアではない。
「はぁ……はぁ……」
　欲情をおさえきれない。
　眼前の聖女を視姦しつつ、自分の陰茎をにぎり、擦り始める――
「ん…………」
　僕の心臓が跳ね上がった。
　同時に硬直してしまった。
　リアラが身体をもぞもぞさせ……瞳が開き……
「…………っ！！！」
　少女の黒い眼が大きく見開かれた。
　当然だ。
　自分を見ながら自慰行為に精を出している僕を映してしまったのだから。
「………………」
「……リアラ」
　慌てて男の象徴をしまいながら、黙りこくってしまった彼女に助け舟を出すような形で喋りかけた。
　もっとも、呼びかけられた当人は固まってしまったのだが……
「……済まない。非礼ならば後でいくらでも詫びる。僕はもうやめるから、眠ってくれないか？」
　自分でも意外なほど落ち着いて、小さな声で口上をつむぐことができた。
　ところがだ。
　返ってきた言葉というと、もっと意外だった。
「……ジューダス、したいの？」
「な……何！？」
　思わずうわずった声で聞き返してしまう。
「だってジューダス、辛そうだったもん。ガマン、してたんでしょう？」
「…………していないと言えば、嘘になる」
　自分のセリフに、自分自身で驚いてしまった。
　何を正直に白状しているのか。
「じゃあ……わたしがしてあげるわ」
　……どういうことだろう？
　可能性としては、ひとつしか考えられない。
　やはり僕の容貌に惹かれ、欲したのだろう。
　そうでなければ、どこに好きこのんで自分を犯させる女がいるだろうか？

　しかし、今の僕は冷静な思考が可能な状態ではなかった。
「……いいのか？　リアラ」
　彼女は黙したまま傾首した。
「だって、わたしたち仲間でしょ？　困ってる時は、協力し合わなきゃね。ジューダスには沢山お世話になってるから……」
「確かにそうかもしれないが、しかし……」
「あ、でもわたしの貞操はダメよ。はじめては、わたしの英雄になってくれる人だって決めてるんだから」
　……僕は、それがカイルだと分かっているからいいが、彼女はもしルーティやフィリアが英雄だった場合、どうするつもりだったのだろうか？
　いやいや、そんな事を考えている場合ではない。
「……ではどうすると言うんだ？　その……上の方でしてくれるというのか？」
　僕も何を言っているのだろう……
「ジューダスが望むなら、してあげてもいいわよ」
「それはありがたいが……その、言いにくいんだが…………か、身体を好きに触れてもいいか？」
　口が勝手にうごく。
　僕の今の姿は、誰が見ても「らしくない」というかもしれない。
　自分でもそう思う。
「……いいわよ。それでジューダスがすっきり出来るのなら」
　それでも、リアラは僕が欲情していることを知っていながら、身体を預けようというのだ。
　さすがの僕も、今回ばかりは理性のたがを外そうと意を決した。
「ありがとう、リアラ……外に出るか？」
　今まで無意識に声をおさえながら会話していたが、近くにはカイルとロニがいる。
　小屋の中で情痴に及ぶのは自殺行為だ、と思ったが……
「大丈夫。ふたりとも深く寝入っているわ」
「わかるのか？」
「ええ。起きないようにしたの。安心して……」
「なるほど、‘力’か。便利なものだな……」
　そうと理解すると、僕の気持ちは先へ先へと逸っていた。
　へたりこむように座っているリアラのおもてが微かに赤らみ、憂いを帯びた姿が僕をふるい立たせる。
　ピンクのネグリジュドレスは、この華奢な肢体の少女をきわめて映えさせている。
　ふと、あどけない顔に視線を送ると、澄んだ黒い瞳と眼が合った。
　心臓の鼓動がはっきりと聞こえるくらいに脈打っているのが感じられる。
　僕は童貞だ。
　こういう事には興味が無い風を装っていたし（カイルほどではないが、実際大して執着はない）、生涯を通してそれでもいいとさえ思っていた。
　それがまさか……こんな誘惑に軽く屈するとは。
　情けないなと悔やみながらも、本能的な欲望に身を委ねる自分がいる。
　――唐突に、被っている仮面を取った。
　地面に置きながらリアラの顔を窺ってみたが、顔色はさして変わった様子はない。
　どうやら、本当に僕の容姿には眼中無しのようだ。
　……別に悔しくはない。
「リアラ……」
　呼びかけながら赤ん坊のように這って、リアラに近寄った。

　ご丁寧に、彼女は双眸を瞑ってくれている。
　礼儀に従うべきなのだろう。
　僕は少女の傍にたどりつくと、膝を立てた姿勢で、小さな顔を両手にとって――唇をうばった。
「っ…………」
　途息はもれない。
　それにしても彼女、さっきの口ぶりからして慣れているのかと思いきや、なかなかに初々しい。
　頬を染めて、身体をふるわせているのを見るに、やはり処女らしく緊張しているのか。
　僕はそんなリアラに、遠慮もなしに本能をぶつけることにした。
「……んぅ！　…………んっ」
　貪るように、少女の形のいい口を堪能しながら、両肩にかかるひもをおろしてやる。
　きめ細かく白い肌と、ほそい双肩がむきだしになった。
「うっ…………ん、むっ……」
　少女の口内に舌を入れてやると、それに応えるように彼女も舌を絡ませてきた。
　その間に、僕は少女の晒された肩を両手でつかんでやる。
「ふっ……！　んっ、ぅん…………っ！」
　ぷはっ、と互いの口を離すと、粘水の糸がゆるやかに落ちていった。
　荒く息をつくリアラの表情が、この上なく色めいている。
　そんな様子を見て、僕は自然と不敵な笑みを洩らした。
「……リアラ」
　低い声でよびかけながら、頭を沈ませて少女の双丘を見すえる。
「えっ？　……ちょっ……！！」
　ゆっくりとした手つきで、ネグリジュの胸もとをめくり上げた。
　――驚いたことに、下着をまとっていなかった。
　美しく平坦な乳房が、そのまま僕の視界に映し出されたのだ。
「ジュ、ジューダス……」
　とまどう彼女の様子もまたかわいい。
　いまや真っ赤になったリアラを一瞥すると、薄い胸に視線を戻して口を近づけ……
「んんっ！！　……あぁ！」
　ネグリジュと同じ色の突起を口に含み、ちゅううと吸いあげる。
　リアラの艶やかな嬌声が、立て続けに響いてくる。
「あん、あん。はぁぁ…………ひゃあ！！」
　右乳首を舐めつつ、左乳首を手でもてあそぶ。
　お互い初めてなのに、僕は積極的に攻めているし、リアラもそれに応えてくれている。
　情欲に身を任せながらも、彼女との具合が良いことが嬉しいと思っていた。
「やっ…………あっ、ふ……はぁん！」
　口に入れてぴちゃぴちゃ撫で遊んでいた乳首を離し、恍惚としているリアラを眺めつつ口を開く。
「どうだ、リアラ。気持ち良いか？」
　……はたしてこんな口上でいいのだろうか？
「はぁ、はぁ……うん。気持ちいいよ……ジューダス」
「フッ、そうか。じゃあ、下の口もいいだろう？」

「……えぇっ？！」
　一瞬きょとんとしてから素っ頓狂な声をあげたリアラを、僕は胸を押すようにあお向けに寝かせた。
　当惑した表情ながら抵抗はなく、両手を頭上に組んで僕を見つめている。
「リアラ……」
　優しく声をかけ、固く閉ざされた両足の膝に手をおいた。
　彼女はこれにも全く抗しようとしなかった。
　なぞるように、太ももに掌を滑らせると、脚はすんなりと開いていった。
　ピンクのスカートをたくし上げると、胸とは異なり、秘処は純白の下着によって隠されていた。
　……何か物足りない。
「……そんな無抵抗じゃ面白くないぞ。もう少しあばれてもいいんじゃないか？」
　ことさら意地悪く言ってみる。
　僕の言葉に、彼女は顔に紅葉を散らしながらそっぽを向いてしまった。
「……ジューダスのいじわる」
　！！　……まずい、萌える。
　人形のように沈黙しているよりは、少しでも反抗してくれたほうが好みだ。
　自分でも顔がだらしなく笑みくずれているのがわかった。
「いじわるで結構だ」
　言下に動かした手が、少女の秘部をおおう白布にのびる。
「っ！　んっ…………はぁぁ！！」
　リアラの下着を右手の二本指で、つつーっとなぞりあげた。
　既に水気をおびていて、彼女が濡れているのを察した。
　陰核にたどりつくと、微震動を加えながらそこを刺激し、それから膣の方へとおりてゆく。
「はぁん！！　…………あぁん！　やっ……気持ちい、やぁあん！！」
　最も敏感な突起を布越しに触れられるたび、リアラの肢体がぶるっと震えあがる。
　リアラが、何気なく自分の攻められている様を見つめているのが、僕を益々燃えあがらせる。
「良さそうじゃないか。中を直接触ってやろうか？」
「あぁ……ジューダスの、いじわっ……ひゃあん！」
　喋りながらも攻める手を休めることはない。
「いじわるで結構だと言った筈だ」
　言いながら、少女の小さな胸に軽くくちづけし、右手を白布の中へ忍ばせる――
「――ひゃん！？」
　ひときわ大きな嬌声がもれた。
　良い反応に愉しんだ僕は微笑をうかべながら、間をはさまず、リアラの陰部を直接さぐりはじめた。
「あっ……あぁん！　はん！　やぁあぅ、いやぁんっ！！　ひあぁぁあ……！！！」
　ぐちゅぐちゅとなり続ける水音と、少女が奏でる喘ぎ声が重なる。
　淫情に満ちた旋律が、僕の気持ちをさらに昂ぶらせてゆく。
「……もういいか？　我慢の……限界だ」
　リアラには答えるいとまも、余裕もない。
　それならと、僕はついに彼女の花弁を覆い隠す壁をとりさった。
　今は、初めて見る女性器をじっくり眺めようという気にはならない。

　中指を膣に侵入させながら、顔を淫核に近づけ、なめあげる――
「ひゃああぁあっっ！！！」
　今までで一番高く響く嬌声だ。
　華奢な身体がびくびく震動を繰り返し、弓なりの姿勢になったリアラの眼から涙がつたい落ちている。
　と、僕はあわてて攻めを中断した。
　これ以上やっていたら、達してしまうかもしれなかったからだ。
「…………はぁっ、あぁっ！　ぁあ、はぅ……はぁ……」
　十六歳とは思えない、色っぽく激しい息遣いが発されている。
　ここまできて僕は少し、挿れたいという思いにかられた。
　だが、約束は約束だ。
　意志の力でその欲望を排除しながら、快感覚めやらぬリアラに提案することにした。
「…………リアラ」
「ジューダス……はぁ、はぁ……早く、早くしてよぉ」
「そう焦るな。僕たち、同時に果てようじゃないか？」
　言うなり、僕はごろんとあお向けに寝転がって見せた。
　それから黒い脚衣を降ろし、惜しげもなく自らのレイピアをさらしあげる。
　朱に染まったリアラの顔が、天を刺す僕の男を見つめてぽかんとしている。
「え……？」
「知らないか？　僕はリアラの女性器を、リアラは僕の男性器を。お互いに口淫しあうんだ」
　即座に理解したのか、肩で息を継ぎながらも明瞭に頷いた。
「なら、早くして欲しいな。こう見えて僕も我慢しているんだ」
　情けないことに、攻める側であった僕も息が荒い。
　もしかしたらものの数秒で達してしまうかもしれない。
「ジューダス…………じゃあ、いくわよ」
　微笑みながら首を縦に振った。
　あお向けになっている僕の顔に、足を大きくひらいたリアラの股間が近づいてくる。
　同時に、リアラの口がそそりたつ僕の陰茎をつつみこんだ――
「う゛っ！！！」
　予想以上の快感がおそってきた。
　これは相当力を入れないと、すぐに射精してしまいそうだ。
　だが僕も負けじと、眼前にある少女の後ろの穴に舌を這わせる。
「あぁん！！」
　一気に攻め手がゆるんだ。
　機を逃さずにぴちゃぴちゃ舐めつつ、小さな秘唇に指を挿入する。
「あっ！！　だめっ、やだぁっ！！　……イく！！　ほんとにイっちゃうぅ……！！！」
　リアラの言うとおり、指に感じる穴の奥は水浸しというくらいにぐちゃぐちゃな状態だった。
　絶頂に近いながらも彼女は陰茎を攻めていて、僕も力を抜けば出そうな感じだ。
「リアラぁ……くあっ！！」
「ジュー、ダス……あぁん！！」

　相手の存在を一緒に強く確かめる。
　同時に気持ちよくなりたい――ふたりの意志は一緒だ。
「あぁぁあっ！　だめぇえ！！　……くるっ！！　きちゃうよぉおお！！！」
　僕はそれこそ全力で指を出し入れした。
　激しい水音がいやらしく鳴り渡り、垂れてくる半透明の液体が僕の顔を濡らす。
「イく…………あんっ！！　あんっ！！！　あんっ！！！　………………――あぁああぁぁんっっ……！！！！」
　立て続けに稚い嬌声を散らしながら、リアラは沢山の愛液を噴出して絶頂をむかえた。
　僕の男も限界まで押さえつけていたが……もう無理だ！
「――くぁあっ！　あはぁああ！！！」
　わき上がる快楽とともに、僕は一気に果てた。
　お互いの情液を口に放ったことになる。
「はぁ……はぁ…………はぁ……」
「あぅ……あ……は…………」
　リアラは息遣いを整えつつ、僕の身体から降りて横たわった。
　愉悦の余韻が続いているのか、未だ気持ちよさそうに可愛い途息を洩らしている。
　こういう時、僕は女性が羨ましいなと思う。
　男はほんの数秒の快感で余韻も殆どないどころか、負の感情すら襲ってくる。
　比べて、個人差こそあれ女性は絶頂後の悦楽がとても長いらしい。
　幼い聖女の愉楽の顔を見つめながら、僕は事後処理を呼びかけることにした。

　―――

　白雲の尾根も峠に差し掛かったところ。
「ふっ！　はっ！　飛連斬！！」
　眼前の雑魚を剣技で斬り捨て、次の標的を見る。
「フン、手ごたえがないやつらだ」
「っておいジューダス！　上だ！！」
　――何っ！？
　僕としたことが、自分の頭上から襲いくるモンスターを認識できないとは……
「はっ！　蒼破刃！！」
　しかし、カイルが空中で放った蒼破刃が、見事ウィッチを撃墜した。
　この機を逃さない。
「ふっ！」
「あぁっ！」
「はっ！」
「あぁっ！」
「……粉塵裂破衝！！」
「あぁあっ！！」

　奥義が炸裂し、ウィッチを倒した。
　……僕としたことが、ウィッチの悲鳴ごときで動きが遅れてしまうとは……
「時間の無駄だ」
「ああ、確かにな」
　僕の決め台詞に野暮な突っ込みがはいる。
「……なんだロニ、なにか文句でもあるのか？」
「いや、文句じゃねえけどよ。今日のおまえ、なんか精彩に欠けてるような気がしてな」
　意外に鋭いやつだ。
　何しろ精を放ったのは約一年ぶりだ。
　身体がだるくなるのは当然だが、睡眠不足なのを含めて僕は言い訳などする気は毛頭ない。
「……済まなかったな。以後修正する」
　しおらしく詫びた僕が相当おかしく映ったのか、ロニは口をあんぐりと開けて、
「……やっぱ暑さにやられたろ？」
　とのたまってきた。
　僕はおおげさなまでのため息をついてから、こう言ってやった。
「僕の言い回しをそのまま模倣するんじゃない。折角馬鹿なんだから、少しはおもしろく改変しろ」
「な、なんだとっ！？」
「だいたいお前の方こそ、動きにも頭にも精彩がない。僕ほどは望まんが、巨躯に見合った働きくらいしろ」
「て、てんめぇっ！　ガキの癖に好き放題言いやがって！！」
「む？　あんなところに絶世の熟女が……」
「なにぃっ！　どこだ？　どこだ？　早く教えろ！！」
　……単細胞も過ぎると、本人も周りも苦労するものだな。
　ロニの騒がしい言葉を受け流しながら、リアラの方に視線を送ってみる。
　カイルと一緒に、なにやら談笑していた。
　――ふと、彼女の目線と僕の目線とが交じりあった。
　なんのことはない。
　リアラはにこっと微笑みかけきて、僕はそれに憮然とした表情で応えるだけだ。
　いつも通りだ。
「……ねぇリアラ〜、オレもう疲れたよ〜」
　カイルのやつが、馬鹿にリアラに甘えている。
「ちょ、ちょっと、カイルってば……」
「肩組んでよ、ねぇ〜」
　……さて、カイルが本当に異性を意識しないのか、いよいよもって疑わしくなってきたが。
　どちらにせよ、後悔しないで済んだ。
　未来の英雄の彼女の貞操を奪わなくて……
　とはいえ、触れ合ったという事実は残ってしまうのだがなorz 〜完〜

前のページへ戻る

�y�V���o�C��[UNLIMIT��������1�~] EC�i�r���|�C���� Yahoo �y�V LINE���f�[�^�����[�������z500�~�`�I

�����z�[���y�[�W �������N���W�b�g�J�[�h �C�O�i���q���� �����������O�~�y�������������z �C�O���s�����������I �C�O�z�e��