総合トップ>SS一覧>SS No.7-037
作品名 |
作者名 |
カップリング |
作品発表日 |
作品保管日 |
無題 |
482氏(28スレ目) |
エロ無し |
2008/11/08 |
2008/11/30 |
ある夜。
ルークとティアは秋の彩りの感じるタタル渓谷に二人きりで佇んでいた。
満月の彩る淡い月明かりが二人の姿をうっすらと浮かび上がらせる。
ここは二人の始まりの地であり、終着の地でもあった。
ルークは、何年もの間自分を信じて待っていてくれた彼女に、伝えなくてはいけない事があったのだ。
それを伝えるのは、ここ以外浮かず、その為にわざわざティアを呼び出したのだ。
「すまないティア。こんな所に連れ出して」
「気にしないで。ここに来られて私も嬉しいもの」
すまなそうに謝るルークに、優しい笑みをたたえてティアは答える。
「でも、わざわざタタル渓谷まで連れて来るなんて余程大切な話なのね?」
他人には聞かせられないような重大な内容なのかと、ティアは真剣な表情で
ルークを見つめている。
「ああ。ティアにしか聞かせられない話があるんだ」
そう言うルークの顔は満月の明かりで、真っ赤な事が見てとれた。
「オレ、ティアに伝えなくちゃいけない事があるんだ…。オレ…ティアの事が…」
ルークが何を言いたいのかを察したティアは、彼同様に顔を真っ赤にして、
次に出てくる言葉を待った。
「す…す…すすっ…」
「すーはーすーはー…。すす…す…すす…」
あと一言、ルーク同様ティアも緊張と興奮のあまり握り締めた手から汗が滲んでくる。
ルークが最後まで言い終わるのを、ティアは息を殺して待ち続けた。
何度め目かの深呼吸の後、覚悟を決めたルークは、
「ティア…す…すすす…。好き…ススキってキレイだなぁ」
ヘタレなルークはまともに愛の告白ができず、意味不明な言葉を吐いてしまった。
「昔、満月の日にススキを飾って団子を食うっていう物語を読んだ事があったんだ」
照れ隠しの為に、どんどん言い訳を並べ立てるルークにティアは、
「ホーリーランス!」
攻撃譜術をルーク目掛けてぶたかましたのであった。
「ばか…でも好き…」
目を回している想い人に、ティアはそっと呟くのであった。
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