総合トップ>SS一覧>SS No.7-030
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Tales of Drasty |
25氏(28スレ目) |
エロ無し |
2008/09/25 |
2008/10/29 |
あらすじ
昨夜ユーリに告白して晴れて結ばれたリタであったが
そのせいでエステルとの約束をすっぽかしたことになりそれはもうてんやわんやさ
リ「はぁ・・・・・・エステル怒ってるかな・・・・・・」
ユ「怒ってはいないだろ。まぁ向こうもなんだかんだで忙しそうだったし、実際難しかったんじゃないか?」
リ「だといいけど・・・・・・」
下町の噴水広場、もとい井戸広場に二人がさしかかったところでハンクスじいさんが現れた。
ユ「よ、じいさん生きてるか」
ハ「相変わらず口の減らんヤツじゃ・・・・・・なんじゃ、そっちの子は新しい彼女かの?」
ユ「多分」
リタがユーリの足を思い切りふんづけると鈍い音がした。
リ「こんにちわー」
リタはやや毒を含んだ笑顔をハンクスじいさんに向ける。
ハ「・・・・・・見事に尻にしかれておるようじゃのう、え?」
ユ「男の甲斐性は忍耐で決まる、ってね・・・・・・」
ル「ユーーーーーーーーリ・ローウェルーーーーーーー!」
背後からの突然の大声に驚き振り返るとそこには血眼になったルブラン隊長とその部下二人がいた。
ル「ユーーリ・ローーウェルーーーー!
貴様を18歳未満の女子と不純な交遊を持った疑いにより処刑、
ではなく逮捕する!」
ユ「ル、ルブラン隊!? な、なんでテメーらが!」
デ「ハンクスじいさんから聞いたのデアール」
ボ「聞いたのだ」
ユ「じじい、なんでンなこと知って、て、いや、そうじゃなく、うぁ……」
ハ「このバカ自白しよったわい」
ユ「じじい、吐け、吐くんだ、なんでテメーが知ってる!?」
ハ「窓など開けとくもんじゃから下町中の人間が昨夜眠れなかったんじゃ。自業自得じゃよ」
リ「いやあああああああああああああああああああ!!//////」
ハ「というのはウソで実際に言いふらしたのは宿屋の女将さんじゃ」
ユ「お、女将さんが、な、なんで・・・・・・」
ハ「二階がギシギシうるさくて眠れなかった腹いせだとかかんとか言うとったが」
リ「ぜ、全部あんたのせいよばかあああああ!!
あんたンちがボロいからこんなことになったのよ、責任取りなさいよ責任ーーー!!//////」
ユ「そ、それはオレのせいじゃないぞ・・・・・・い、息が・・・・・・」
ル「罪状は確定したようだな、ユーリ・ローウェル、今度こそ絞首刑に、いや、縛についてもらうぞ!」
リ「逃げるわよ! 異論は認めない!!」
ユ「おう・・・・・・」
リ「ここまでくれば・・・ハァ・・・多分安心のはず・・・・・・」
ユ「なんだ、城の前まで来ちまったのか・・・・・・」
リ「え、お城!?」
ユ「お前、自分で走ってて気付かなかったのか・・・・・・」
リ「なんかもういろいろ頭のなかごっちゃごちゃなのよ……」
ユ「まぁ、そうだろうな・・・・・・オレの頭の中もかなり悲惨だ」
リ「あたしなんてもっと悲惨よ! もしこのまま噂が広がっていったらあたしはもうこの国にはいられなくなるわ!」
ユ「それは言い過ぎだろ・・・・・・」
リ「あんたのせいよーーー! バカ! バカ! バカバカバカバカバカバカバカバカバカ!」
ユ「痛ッ、痛いって、あ、エステル」
リ「バカ! バカ! そんなことで誤魔化せると・・・・・・でも・・・・・・」
エ「リタ、ユーリ、おはようございます」
リ「ああぁ・・・・・・、ごめんね、エステル、あたしね、昨夜はその、
どうしてもやっとかなきゃいけない貴重ーな研究があってね、それでついね」
エ「もう知ってます。ルブランさん達が食堂で騒いでたのをたまたま聞いちゃって・・・・・・」
リ「あ・・・あう・・・あぅ・・・・・・」
リタの口が開かれたままむなしく上下する。
エ「それで、多分・・・・・・なんですけど、フレンの耳にも入っちゃったかもしれないです・・・・・・実質ルブランさん達の直属の上司ですから」
ユ「げ」
リ「ちがうの、ちがうのエステルーーーー! これはもうなんていうか、あぁあーーーーーー」
がっくりとうなだれ地面に両手をつくリタ。
ユ「リタ、おまえ浮気を必死で弁解する彼氏、ってな感じになってるぞ・・・・・・」
エ「あの・・・・・・リタ、気にしなくていいですよ、その、約束のことでしたら」
リ「エ、エステルーーー・・・・・・」
ユ「リタの目にはエステルが天使かなにかに映ってそうだな・・・・・・ということはそろそろ悪魔が顔を出す頃合か」
フ「相変わらず察しがいいね、ユーリ」
ユ「まさか、悪魔がお前だったとはな、フレン」
フ「ボクも驚きだよ・・・・・・まさかまた君とこんな立ち位置になろうとはね」
フレンが騎士剣を静かに抜き放つと切先がギラリと光る。
フ「君を帝国の法を犯した罪人として処罰させてもらおう」
ユ「まさか、こんなところでやりあおうってのか?」
フ「君にもらった一敗をここで返させてもらうよ」
ユ「上等・・・・・・と言いたいところだが。リタ、逃げるぞ!」
ユーリは泣き崩れてメチャクチャになっているリタを抱き起こすとそのまま抱きかかえる。
リ「ちょ! あ、エステル、エステルーーーーーーー」
エ「リタ、あとは大丈夫です、噂のほうは私がなんとかしますからーー」
リ「エステルーーーーーーーー・・・・・・」
ユ「なんでおれが誘拐犯みたいになってるんだ・・・・・・」
残されたフレンは呟く。
フ「未成年の誘拐も追加・・・・・・だね。ユーリ」
エ「フレンも冗談が過ぎます・・・・・・」
フ「フフフ。すいません、エステリーゼ様。ただ今日はちょっと遊びたい気分なのですよ」
エ「あの・・・・・・もしかして団長業務でストレス溜まってます?」
フ「フフフ。大丈夫ですよ。フフフ」
リ「状況を整理するとこうよ。
あの三馬鹿ルブラン小隊とフレンと一部の下町の連中だけが知っているとみていいわ。
フレンはエステルがなんとかしてくれるとして、問題はあの三馬鹿よ。
あの三馬鹿をどうにかしてバレないように暗殺する必要があるわ。」
ユ「・・・・・・下町の連中はどうするんだ?」
リ「焼き払うわ」
ユ「ちょっっっっっっと待て!」
リ「仕方ないじゃない! いま、いますぐ! 焼き払うの! ぜんぶ、焼き払うの! 帝都ごと!
よくもよくも・・・・・・人の大事な時間をちゃかした罪は重いわよ・・・・・・」
ユ「まぁ下町連中は子供にまで言いふらすようなことはしないだろうし、良心ってのがあるだろうさ」
リ「だといいけど?」
ユ「問題はルブラン小隊だ」
リ「そうね・・・・・・あいつら街中でギャーギャー騒ぎ過ぎなのよ・・・・・・」
ユ「一刻も早く黙らせるには・・・・・・」
リ「暗殺ね、よかったわーあんた得意分野じゃない。まかせたわよ♪」
ユ「できればそれは勘弁してほしい・・・・・・」
リ「じゃぁ、どうするっていうの?」
ユ「ヨーデル殿下に恩赦をもらう」
リ「・・・・・・・・・・・・」
ユ「・・・・・・・・・・・・」
リ「ちょっといい?」
ユ「あぁ・・・・・・」
リ「すぅー・・・・・・恩赦もらうってことはあたしたちのしたことを
あんの天然殿下に教えるってことでしょうがああああああああああああ!!!/////」
ユ「このままルブラン達を野放しにできないだろうが!」
リ「だから、ほら、暗殺」
ユ「くどいっ!」
リ「あぁ、どうしてこんな目に・・・・・・かわいそうなあたし・・・・・・」
ユ「なんにせよ、なんとかして城の中に侵入しないとな・・・・・・」
リ「そうね、自己憐憫や責任追及の時間は残されてないわ。
もうこれは社会的生存をかけたサバイバルに近いもの。容赦しないわ」
ユ「とりあえず警備の程度を見とかないとな。一旦戻ろう」
ユ「最悪だ・・・・・・城の周り全部兵士でグルッと囲んでやがる」
リ「あんたどんだけ憎まれてるのよ・・・・・・」
ユ「可愛さ余ってってやつだろ・・・・・・おわ、ルブランだ、隠れろ」
兵「あの、ルブラン小隊長。こうも城の周りを厳重に警備する目的はなんなのでしょうか?」
ル「フレン団長殿のご命令に因り下手人ユーリ・ローウェルを捕縛する為である。」
兵「その罪状は・・・・・・」
ル「一般にはとても言えないようなとんでもない大犯罪だ!」
兵「そうですか・・・・・・」
ユ「最悪だ。なんだかもう国家規模の犯罪みたいに言われてやがる。
ただ、世間に言いふらすほどあいつらの口も軽くはなかったか・・・・・・」
リ「どっちにしろ最悪なんだけど・・・・・・
もうどうにかしてあいつらの記憶を消す装置を発明するしかないわ
ユ「死人に口無し一号とかか?」
リ「そういう結果も覚悟しておく必要があるわね・・・・・・」
ユ「・・・・・・言うんじゃなかった。しかし、何かうまい手を考えないとな・・・・・・」
リ「それならあるわよ。はい、これ」
ユ「・・・・・・なんだ、このヒラヒラのドレスは。どこからこんなものを・・・・・・」
リ「そこの貴族の家」
ユ「まさかこれ着ろってんじゃぁ」
リ「そのまさかよ」
ユ「じょうっっっっっだんじゃねぇ! オレは絶対こんなの着ないからな!!」
リ「そう言って結局ウサミミだってつけてたじゃない」
ユ「あれは無理やりつけさせられたんだ! 決してオレ個人の意思じゃない!」
リ「じゃぁ今度も無理やり着せられたい・・・・・・?」
ユ「・・・・・・自分で着ることにする」
リ「素直でよろしい」
ユ「あの・・・・・・すいません」
兵「(なんだこのご婦人は……もじもじしててなんだか可愛いぞ……)
はい、なんでしょう・・・・・・」
ユ「あの、ヨーデル殿下の御用があって・・・・・・その・・・・・・こちら通していただきたいのですが」
兵「はぁ、平時でしたらそれはかまわないのですが、何分今は厳戒態勢中なものでして。
また日を改めて来ていただけると・・・・・・」
ユ「どうしてもヨーデル殿下にお渡ししたいものがあったのですが・・・・・・」
兵「ならばこちらでお預かりしましょう」
ユ「いえ、どうしても直接渡さないといけない品物なので・・・・・・」
兵「ハッ、まさか・・・・・・あなた自身がその品物という……わけですか」
ユ「(ッンでそうなるんだよ!!!)え、えぇ…まぁ…そういうわけですので・・・・・・」
兵「で、ですが今は何分厳戒態勢中ですので……」
ユ「(仕方ねぇ・・・・・・)あなたにもサービスさせていただきますので・・・・・・」
兵「え、ホントですか! ぁ、オホン、そういうことならば、まぁ、通さないでもない」
ユ「ではあちらの茂みに・・・・・・」
兵「あぁ、なんという役得だろう」
ユ「死ね!」
渾身の一撃を脳天にいただき雑兵は気絶した。
ユ「今だ、リタ、奴らの視界は凄まじく悪い、今ならバレずに……っておい」
リ「お腹が・・・・・・お腹痛い・・・・・・お腹痛いってば・・・・・・」
笑い涙を目じりに溜めてリタがよたよたと歩いてくる。
幸い兵士の注意は集めなかったようだ。
ユ「こんなのいつまでも着てられるか・・・・・・急ぐぞ」
リ「似合って……似合ってたわよー・・・・・・にあ・・・・・・にゃ・・・・・・あははははは!」
ユ「頼むから静かに侵入してくれ!」
リ「ここが皇帝執務室ね・・・・・・」
ユ「入るぞ・・・・・・」
ヨ「どなたですか? あれ、お二人共どうされたんですか?」
リ・ユ「恩赦くださいっ!」
ヨ「え、えと、あの、どういうことでしょう」
リ「何も聞かず、何も聞かずに恩赦をください、お願いします! お願いですから!」
ユ「頼む、もうほんと困ってるんだ、頼むから恩赦をくれぇえっ!」
ヨ「えっと、それはいいのですが、というかまた難題に遭遇したんですね。お察しします。
恩赦自体出すのはいいのですが、いくら皇帝権限とはいえ何についての恩赦かを明記しないと」
リ「め、明記?」
ヨ「えぇ、書類に残りますから」
リ「にゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!/////」
ユ「書類にまで・・・・・・書類にまで残っちゃあもう終わりだ! 終わりなんだ!」
ヨ「あ、あの・・・・・・人に知られるとまずいような危ないようなそんなことなのですか・・・・・・」
ユ「リタ、どうする、もう選ぶしかないぞ。事情を話して一人、っつっても皇帝の記憶に残すか、
それともこのまま強行して帝都の記録に半永久的に刻み付けられるか!
オレにはとても決められない、お前が選ぶんだ!」
リ「どっちもいやああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!/////」
フ「なりません、陛下。この罪人に恩赦など与えてはなりません」
ヨ「フ、フレン団長。それにエステリーゼも」
エ「あ、あの、フレン、もうやめたほうが・・・・・・」
フ「ユーリ、君は必ずここに辿りつくと想っていたよ・・・・・・」
エステルの静止も聞かずにフレンはユーリただ一人を睨みつける。
ユ「フレン・・・・・・てめぇ、何のつもりだ」
抜き身の切先が眉間を掠め、ユーリもとっさに抜刀する。剣撃が絡み合う。
フ「君とはここで決着をつける!」
ユ「ッんでだよ! 仮にも騎士団長様が皇帝陛下の御前でやることかよ!」
フ「うるさい、ボクが用があるのは君ただ一人だ!」
ユ「わかんねぇ・・・お前がどうしてそんな風になっちまったのかわかんねぇよ!」
フ「まだわからないのかい、ユーリ、ボクは、ボクは君のことが!」
一瞬部屋中の空気がゾフェル氷刃海と化したのは錯覚であった。
フ「うらやましいんだ!」
一同「は?」
フ「ボクがこんなに苦心して帝都の為に働いているのに君は年下の彼女とよろしくニャンニャン
楽しそうにしているなんて・・・・・・君とボクの道はどこでたがえてしまったんだろうね!」
ユ「で、ホントのところは?」
フ「ただのウサばらしさ」
ユ「そうか・・・・・・お前も大変なんだな・・・・・・」
フ「分かってくれたかい・・・・・・ユーリ・・・・・・これでボクも・・・・・・安心して・・・・・・」
ユ・エ「「フレン!」」
エステルは突然倒れこんだフレンにかけよる。
エ「・・・・・・眠っています・・・・・・アレクセイといい・・・・・・
団長の責務というものはこうも人を変えてしまうものなのでしょうか・・・・・・」
ユ「いや、単に過剰な疲れから素のフレンと建前のフレンが混ざり合って
一時的にとんでもなくなっただけな気がするが・・・・・・」
エ「もう少し、寝かせておいてあげます・・・・・・」
ユ「なんだフレン。お前だって姫様の膝枕で高いびきとは、いいご身分じゃねぇか」
リ「あぁ、もう、決めた! 天然、じゃなくてヨーデル殿下、じつはかくかくしかじかこれこれで」
ヨ「わかりました・・・・・・兵士には私から通達しておきます」
リ「あ、それとルブラン小隊は死刑にしていいから」
ヨ「それはちょっと・・・・・・確約できかねますね」
リ「さー終わった終わったぁ、帰るわよー。もうくったくただし・・・・・・」
ユ「あぁ、そうするか。じゃぁな、エステル。フレンのことよろしくな」
エ「はい」
ヨ「あんまり気の毒ですので、彼が目覚めて覚えていないようでしたら、
今日のことは私達だけの秘密ということに・・・・・・」
エ「ありがとうございます、陛下……」
フレンの静かな寝息だけが後に残されたのだった。
リ「まったくもう、ほんとあんたといるとロクな目に遭わないわ。やっぱ取り憑かれてるのよ、何かに」
帰りの道中リタは心の底から面倒くさそうに愚痴を言う。
ユーリは一瞬ムッとするものの過去の歴々たる事実が反論をためらわせ、諦めさせる。
ユ「つくづくそうかもしれないと思う・・・・・・」
リタはそんなユーリの反応に満足してフフンと鼻を鳴らす。
リ「ま、その代わり」
ユ「その代わり?」
リ「退屈しないで済むわね。面倒くさいけど」
さっきまでのことも今となっては楽しい思い出だと言わんばかりの
リタの笑みにユーリも笑うしかなかった。
ユ「またこんなバカなことが起こるかもしれないぞ?」
リ「バカに付き合うのには慣れてるわよ。バカばっかりじゃ、大変でしょう。
一人くらい賢い人間が混じってないと」
ユ「だな・・・・・・んなわけで、これからもよろしくな」
リ「ったく、しょうがないわねー」
ユーリが差し出した手を、リタは笑顔のままめんどくさそうに掴むのだった。
リ「こちらこそ、よろしく」
おまけ
ル「見つけたぞユーリ・ローウェル!」
デ「見つけたのデアール!」
ボ「見つけたのだ!」
ユーリとリタは互いを見合わせると息を合わせて構え
リ・ユ「「いいかげんに死ね!!!」」
三つの命を天に還したのだった。
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