総合トップ>SS一覧>SS No.6-087
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作品発表日 |
作品保管日 |
世界再生のイヴ |
746氏(25スレ目) |
ロイド×コレット |
2008/03/31 |
2008/10/16 |
「ねえ、ロイド」
後ろから投げかれられた声に振り返ると、いつになく真剣な顔のコレットがいた。どうしたんだ、と言う前に
「今夜、一緒の部屋をとろう」
「・・・わかった」
周りにはゼロスとかリフィルがいる。こんな会話を聞かれたら間違いなく拷問行きだ。
なので、了解の返事だけ返し、あとは夜に任せようと思った。
現実は、一緒の部屋を希望した時点で激しく問いつめられたが。
コレットから言った、と事実を告げるとすぐに本人に確認、無罪確定。
そうして夜、彼女と同室に。
「どうしたんだ、コレット」
「・・・すごく」
二つあるベットのそれぞれに向かい合って座り、話をしている。
昼間から彼女はずっと元気がなかった。厳密には目に見えて沈みはじめたのが昼で、
数日前−−ミトスの輝石に乗っ取られたコレットを救出し、決戦への意志を固めてから、だ。
姉を想うあまり堕ちた勇者ミトスと世界に対する愛に満ちた女性マーテルの
二人共に一時期身体を奪われ、記憶と感情を共有した事で複雑な心境に陥っているのだ。
「辛いの。ミトスもマーテルもずっと悩んでいて、みんな泣いている。
悪い事だとは思うよ? でも、辛い目にあわされていて・・・」
「同情したくなる、のか?」
「うん・・・」
決戦を目の前に、悩んでいる。その気持ちはロイドも分かる。
実の父親である男と戦い、殺さねばならなかった時彼も悩んだ。
「このままじゃいけない。なら止めなくちゃならない。
もう言って聞く相手じゃないから力づくで・・・」
本当に、それしかないのか。
目的のためであっても犠牲を出すのは嫌だ。でも他に方法が見当たらない。
「負けたら、多分殺されちゃうよね」
ぐるぐる回り出した思考を断つように、コレットの言葉が入った。
「救いの塔も壊れて、ミトスはもう先の事を考えていないし・・・」
「大丈夫だ」
「え?」
「俺、そんなに信用ならないのか?」
ふわ、とコレットの身体が暖かいものに包まれる。
目の前には白いボタンと赤い服。
ロイドが、抱きしめてくれている。
「・・・・・・」
びっくりしたのとドキドキするのと心地よいのとで声が出ない。
「やるしかない。なら、勝つしかない。絶対に、」
頬に手を添え、顔と顔を合わせる。抱かれて赤く染まっている顔を見られ、更に染まる。
ロイドの顔が、迫る。唇に、ちょっと乾いていて温かいものが合わせられる。
「守ってみせるから」
世界の事なのかコレットの事なのかは言ってないが、きっと両方だ。
この二つはロイドにって比べられないもの。
選べと言われたら。
もう迷わない。
両方とも守る。
「安心した・・・ロイドに言って良かった・・・」
広い、自分を包み込んでくれる彼。その胸板に寄り掛かり、しばしの間動きを止める。普段こうして甘えるのは、
二人とも年頃故簡単に出来る事ではない。世界再生の旅の途中、泣く事の出来ない自分の代わりに
泣きながら抱きしめてくれた時は感覚がなくて、嬉しいけど温かさとかが伝わりきらなかった。
今は、全部伝わる。
「大好き」
今度は自分から唇を当て、気持ちを伝える。
しっとりとした女の子の唇の感触にさっきのコレットの様にロイドも赤くなる。
ちょっと逡巡してから、おそるおそる舌を出してみる。
コレットの口がロイドのそれを覆う形なのでこじ開けるまでもなく簡単に入る。
「ん!?」
舌を舌で小突かれ、驚きの声が上がる。それに反応してロイドの舌が引っ込んだ。
「ふやあややったほの」
嫌じゃないの、と言おうとしているのだが、全く伝わってない。
「あ、ごめんよ」
慌ててロイドが口を離した。ディープキスをしようとした事について、
というところまでは伝わっているようだが、一番肝心な所が伝わってない。
「ちがうよー」
もう一度、さっきより熱くロイドを奪う。
でもこれではまた言葉を発してもふがふが言葉にしかならず伝わらないだろう。
学習したコレットは開いている手でロイドの手袋を外し手のひらを出させる。そして、
『嫌じゃないよ』
と書いた。
「・・・ん・・・!」
ロイドが目を見開く。普通の人なら手に文字を書かれても理解に時間がかかるが、
天使化が進んだコレットと何度もこうして意思疎通を諮った彼には全く問題ない。
『わかった』
人さし指で字を書いていたコレットの手を広げさせ、同じように字を書く。
今度は少し大胆に舌を入れる。コレットの口腔内で二人が踊る。
長い間口を合わせている間に唾液がたまってぬめりが増し、滑って踊りにくくなる。
コレットは段々呼吸がしづらくなってきた。唾液と他人の舌が侵入しているせいだ。
(えいっ)
思いきって、唾液をロイドに流し込む。不意打ちにロイドはその全てを受けきれず、隙間からだらだらと零れた。
それどころか、喉を通して変な器官に二人の混じった唾液が入り込み、
「ちょっ・・・げほ、げほっ」
思わず口を離す。咳き込む間にも飲み込みきれなかった分がだらだらと口の周りを汚す。
「あはは!」
「笑うなよ・・・お前もなかなかひどい顔だぞ」
「そうだねー」
この部屋に鏡はないし窓ガラスの映りこみでは輪郭程度しか認識できない。しかし、
手の甲で拭ってみると自分もどれだけ汚れているのかよくわかる。ちょっと可笑しくなってきた。
「ふふ・・・あはは!」
「ははは・・・はは!」
しばらく、お互い笑いが止まらなかった。気持ちが、楽になる。
「これじゃ、洗面所で洗っても時間がかかるな・・・」
長い間笑いあったあと、ロイドは苦笑した。そんな高い宿でもないので洗面所は一つだけだ。
二人ともが唾液まみれの顔を洗い終えるには相当時間がかかるだろう。
「じゃあさ、もっと汚れちゃってそのあとおふろに入ろう?」
コレットの無邪気な提案。顔だけ汚れていようが全身汚れていようが
最後には洗うというのは一緒だから、という事だろうが、彼女は『何がどうで更に汚れるのか』まで頭が回っていない。
「どこを、もっと汚す・・・?」
ロイドの頭は惚けてはいても回っていた。含みを持たせた質問をする。
コレットはというと、抱きしめてもらったのと激しいキスとでもうどうとでもなれ、といった状態だ。
彼の質問の意図もよく分かっていない。
「もう、どこでも・・・」
「服来てたら顔と手以外どうもできないから、脱がしてもいいか・・・?」
「うん・・・」
了承と言うより、聞かれたらとりあえず首を縦に振っている。
普段ならロイドもここで我を取り戻してきっちり確認をしなおすか
踏み止まるかするだろう。だが、彼もまたディープキスで気分がその方向に向かっていた。
白い上着を脱がせる。全身黒タイツの姿になったところで、ようやく状況にコレットが気付いた。
「あ、あぁ」
上半身、そして幼い胸が露出されたところで、慌てて両手を組んで隠す。胸は幼くとも心は十分成熟している。
「さっきかなり恥ずかしい事お前の方からしてきただろ」
「そ、そうだけどぉ・・・」
細い両腕を引き剥がすのはロイドの腕力をもってすれば簡単だ。だが、それではいけない気がする。
ロイドが対応に困っていると、
「じゃ、じゃあね・・・」
言いにくそうにコレットが切り出す。
「ロイドも恥ずかしい所見せてくれたら、腕、外してもいいよっ」
言った後になって、コレットは自分がかなり凄い発言をしたと気付いた。でも後には引けない。
「ど、どうよ」
「・・・・わかったよ!」
半ばやけでロイドも凄い事を了解した。
恥ずかしがってたらどうもできない。
世界記録級の早さでロイドはズボンと下着を下ろした。ぽい、と投げ捨てる。
「ほら、コレットも」
「う、うん・・・」
ロイドとは対照的に、慎重さなら同じく世界記録級でそっと離す。
発育途中の胸が露になる。桃色の乳首と白い肌の明るいコントラストが美しい。
暗い室内ではそれが更に引き立たされる。
が、彼の第一印象は
「やっぱ小さくて可愛いな」
「・・・うわああんっ!」
「え!?」
コレットの頭の中では『小さくて』が延々とエコーしている。そのあとの褒め言葉は聞こえていない。
「むぅ」
枕を一発ぶちまかしたあと、彼女はそっぽむいてしまった。
うわー・・・俺、怒らせちゃったよ。
どうしようか。服拾って、お開きにするか?
そう難しい事ではない。その後は自分は適当に他の男部屋に
乗り込む(ゼロスに確実に何か言われるのであくまでも最終手段だが)かロビーのソファで寝るかすればいい。
ただし、今すぐでも朝になってからでもとにかく謝らなくてはならない。気まずい時間は
短ければ短い程いい。ならばもう自分から謝るべきだ。言い方を選べなかったロイドに非がある。
「コレット」
「・・・・・・」
枕を抱きしめているコレットの背中に声をかける。ふて寝してしまったかとも思ったが、
頭が少し動いたのでそうではないようだ。ロイドは続ける。
「あの、ごめんな。そんなに傷付くとは思わなかった」
聞いてくれてはいるみたいだが、何の反応も返ってこない。
「せめて許すか許してくれないかだけハッキリしてくれないか?
一緒にいるのも嫌だったら、俺は部屋から出てロビーかどっかで寝るからさ」
やはり無言。沈黙を否定と受け取り、残念な気持ちでコレットの上着と自分の下着を拾う。
脱いだその形のままぐしゃぐしゃの服を簡単に畳んで、コレットの横に置いてやった。せめてもの償いだ。
靴を履いて、さて部屋から出ようかと戸に向かう。
が、前に進めない。首についている紐を後ろに引かれている。くいくいと引っ張る。
「ロイド・・・」
か細い声。紐の引きが止まる。
「私こそ、ごめんね。本当のことなのに」
「いや、今まで先生に散々言葉遣いには気をつけろって言われていたのに傷つけるような事言って」
「じゃあ、あいこだね。仲直り」
ようやく、振り向くのを許してもらえた気がして、微笑んでいるコレットの顔を見る事ができた。
ようやく仕切り直し、といったところでベッドの上で互いに全裸になった。進行形で脱いでいる様子を
見られるのは恥ずかしいので背中を向けあっている。
コレットはタイツに手間取っているようで、ロイドより遥かに遅い。間が持たないロイドは、
目の前の散らかされた服を畳んだ。
ボタンが多い服は踏んだりするととてつもなく痛い。ずいぶん前に踏んだ時の
ツボをきつく押されるようなあの痛みを思い出しながら、床に丁寧に置いた。
「ロイド、もういいよ」
「ん」
その場で180度回転し、正面向き合って座った。さっきよりは恥ずかしくない。学校のみんなで
リフィルの監視の元泥浴びをした頃を思い出す。幼き時代にはもう帰れないが先に進む事は出来る。
先に動いたのはロイドだ。ゆっくりとした動きで押し倒し、自分が上にコレットが下になる。
ロイドを見上げるコレットは年齢とか身長とはまた違う大きさを感じ、ほうっと見つめる。
それはロイドも同様だ。
今、コレットは自分だけの人。だからって乱暴にしてはいけない。あくまで優しく。
「きゃっ」
右手が彼女の胸に触れる。人さし指と中指で乳首を押してみる。
その周辺にある他と比べ固い器官−乳腺に興味が移り、そこもぐるぐるとなぞる。
男の俺にはないもの。
「やっぱ女性、って感じだな・・・」
「あまり、力は入れないでね」
彼女の言葉に従う。自分にはないもので加減は分からないから当然だ。下手に力を入れて
何かあったら、と思うと自然に『触る』が『触れる』にレベルダウンする。
それでも柔らかい物は柔らかく、興奮させる物は興奮する。
「あ、ロイドも、何か・・・」
女の私にはないもの。
ロイドの男根が存在を主張し出した。
勃起しているのがコレットに知られ、恥ずかしさで視線があさっての方にいってしまう。
手は止めていない。止まらない。ちゃんと見えていないので、ちょっと乱暴になる。
「あ、あぁっ、ああっ」
痛くなったら声で知らせてくれればいい。段々手の動きに強さが込められる。
ツンと張り出した乳首をつつき、とても柔らかい部分を揉む。右手には心臓の鼓動も伝わる。
「ああぁっ!」
声が出てしまう。上昇する体温、速まる鼓動は全部あの手に届いている。
すご、い。風邪での熱より熱いかも。とてもいい。
「ね、え。ロイド」
勝手に上がる声を制し、言葉になっている言葉を紡ぐ。中々難しい事だったが、
ちゃんと伝わったようで、ロイドの手が止まった。
「どうした? もしかして痛かった?」
痛くないよ、と首を横に振る。胸いじりが止まった事で、声を出すのが遥かに楽になった。
「ちょっと待ってて」
そう言い終えてから、ロイドの首に手を回す。ちょっと反動を付けて横方向に半回転し、上下を逆にした。
「っとと・・・」
そう横に長いベッドではない。半回転と言えど転がれば端から
落ちそうになるのが普通だ。何とかロイドが手を突っ張って踏み止まった。
「どう、ロイド?」
「どう、って」
まず見下ろすのが見上げるのに変わっただけで受け手の気分だ。だが、コレットが求めるのはそこではない。
服の上からでは全く見えていなかったあの小さな胸が重力に引かれ、その姿を大きく見せる。
寝転がっていたら内部が広がり小さく見える事の反対だ。
小さい物は小さい。しかし
「素敵だ、コレット」
そういや胸って簡単に形が変わるんだな、とロイドは思いながら手での攻撃を再開する。
外側から思いきって押してみると中央に集まり、小さな谷間が生まれる。暫く観賞していたが、
コレットの魅力はそうじゃないと思い直し手を離した。すぐに元のぺったんこに戻る。
「こっちの方がいいな」
巨乳のしいなが貧乳になるのが想像つかないように、コレットの大きな胸も考えられない。
ありのままの彼女がいいのだ。
「あ、ありがと・・・」
誉められているのは間違いなので、少々照れの混じった声だ。
少し、腕が疲れてきた。二刀流の剣士が何を言うか、と怒られそうだが、仕方ない。
重量のある物を縦横無尽に振るうのと中途半端に
手が浮いた状態を維持するのとでは、力の使い方が違う。
でも、まだまだ触りたい。感じたい。
「え、ちょっとロイド!」
辛くなってきた腕の代わりに腹筋に力を入れ、上半身を持ち上げる。そして、口を使いだす。
体温は感じにくいが、代わりに白い肌の絹のような感触がよく伝わる。
普段からしっかり鍛えてあるロイドの腹筋はしっかり上半身を支え、まだまだ崩れそうにない。
「うぅん・・・」
手なら転んだ拍子に 事 故 で(重要)触ってしまう事もないこともないが、
舌で触れるのは性的な行為以外ではまずない。
乳首など敏感な所をピンポイントで刺激してもらわないといまひとつ感じられないが、
いかにも今そういう事をしてるんだ、という実感が湧いて気持ちの上で盛り上がる。
「あぅんっ!」
わざと避けられてきた乳首に舌が達する。唾液の跡が空気に触れ、冷たさが気持ちいい。
「あぁっ、ロイド、ロイド・・・」
うわ言のように呼び掛ける。とてつもなく気持ちいい。
だが、こうも刺激を与えられるばかりだと段々申し訳ない思いが湧いてくる。
私も、ロイドのこと、気持ちよくしてあげたい。それにロイド、楽しそう。私も楽しんでみたい。
一旦息をつくためにロイドが動きを止めたのを見計らい、切り出す。
「ロイド、私も気持ちよくしてあげたい。どうしたらいいの?」
「あーー・・・」
どうしたらいいの?と聞かれても難しい。自分は単にやりたいようにやっていただけであって。
それに、「俺の『ココ』を手や口でやってくれ」なんて言えと言われてもなかなか言えない。
何も言わないロイドにコレットは頬を膨らませる。
「むー」
「えーーと・・・な、男は『ココ』をいじられると気持ちいいものだ、と、思」
最後の方は声がすぼんでしまっている。
要点は理解できたようで、コレットの視線がロイドの股間の方に向いた。
恥毛の茂みから男がいきり立っている。
病気でも何でもないしむしろ健康な事だが、
女の子にまっすぐ見つめられると恥ずかしさのあまり「じっと見るなよ」と言ってしまう。
「・・・・・・」
ロイドの声はもはや耳に届いていない様子のコレットが、そろり、と手を伸ばす。妙な緊張が二人の間に漂う。
人さし指一本で触れた。ぴく、びくっ。未知のモノに対する怯えで手が引っ込んだ。
(もう一回・・・)
天使になるのも同じように恐かったが、あれは世界を救うための義務であった。
自分一人の犠牲で世界を救えるなら、と自分を奮わせ、闘えた。
それに比べれば遥かに簡単なようだが、コレットがこれに触れなくても別に世界は滅ばない。
その安心感がどうしても手を引かせてしまう。
もう一度手を伸ばしても、結果は変わらなかった。
「い、いや無理しなくても大丈夫だよ。な」
「うん・・・ごめんね」
三回目に挑戦しようとしたが、多分できないと諦めた。目に見えて落胆している。
普通の少女は初めてで出来るものではないが、
「私にはできないの・・・? 私には他にも手段はないの?」
他の方法。あるにはある。というか、その為にペニスは存在しているのだ。
だが、躊躇いは捨てられない。そう気軽にできるような事ではない。
「ねえ、ダメなの」
「まあ、手は男が自分でするときに使うから。普通は・・・」
「?」
今のロイドの発言の中に明らかな失敗があるがコレットは気にしなかった。普通は、どうするのか。
真摯な表情で見つめるコレット。ロイドは言いにくそうに、でもしっかり続ける。
「その、俺のをコレットのな、中に・・・入れるんだ」
「入れる」
目の前の太くてかなりグロテスクなロイドのが、中に? どこの、中って?
冷や汗で体温が急速に引き、心拍数の上昇で今度は変に熱くなる。
「・・・・・・」
沈黙、そして凝視。熱っぽい視線の晒され勃起は継続。
何やらかなり真剣に検討しているコレットに狼狽したロイドは、
「あ、いや自力でも何とか出来ると思うし、俺もよくわかんねーしっ」
実際、たまたま読んだ漫画にそういう描写が数コマあるのを見た程度の知識。
教師のリフィルは子供達が余計な知識を得るのをよしとしないので授業では
『女性は色々と大変だから大切にしてやれ』とか
『そういう感情を持つのは生物として自然な事なのであまり悩むな』などと
抽象的な事しか教えてくれなかった。
子供はどうして生まれるのか、と質問しても明確な答えをもらった事はない。
時々だが鋭いロイドは『答えない→都合が悪い事
→この前読んでたら捨てられたあの漫画にあったようなことか!?』と
見当は付けていたが、確かめようがないのであくまでも推測だ。
周囲に天使の子と大切に守られて育った神子と
田舎村の怪しげな知識しかない少年の組み合わせは、かなり心許ない。
「ううん・・・」
ようやく結論が出たらしく、コレットはちゃんと目と目を合わせて言った。
「だいじょぶ、私できるよ。多分」
「そ、そうか」
むしろ俺の方が不安だ、とは言えなかった。
「じゃ、じゃあ」
「よろしくね、ロイド」
ロイドが完全に自分をリードしてくれると思っているコレットはにこやかに笑う。
だんだん自信がなくなってきたロイドは汗だくだ。
ドワーフの誓いは暗唱できてもパルマコスタ憲章は暗記できない頭で必死に思い出す。
「えーー・・・仰向けになって、足、広げて」
「うん」
コレットはころん、と横になり指示に従う。しかし、向きが違う。
男の方に向けるべき足が窓の方に向いている。
目の前にディナーのように置かれた彼女の乳房をまた揉みたかったが、欲を抑え間違いを指摘した。
「ちがうちがう。俺の正面に座ってそのまま後ろに倒れる向き」
つまり、普段は女同士でも見せない部分をロイドに見せる向き。
「えぇっ! 恥ずかしいよぉ」
騎乗位や側位などの他のもあるが、残念ながらロイドは正常位以外は知らない。
知っていたとしても互いに初めてなので、マイナーなのは使わないだろうし、
しっかり見ないと上手く入れられないのでやはり変わらないだろう。
コレットも渋々だが体勢を整える。
「こ、こう?」
今度は上手くいっている。
髪など他の体毛と同じ色の縮れ毛に守られた処女の性器。十分ではないが、
胸への愛撫のお陰で愛液が分泌され、しっとり濡れている。
「・・・ロイド?」
黙りこくってしまった彼を訝しみ、頭を精一杯浮かせてコレットは呼び掛ける。
下方向に注がれる視線と互いの息遣いが存在感を増す。何も出来ずに何だか興奮も
おさまってきたコレットとは対照的にロイドの吐息、そして興奮は昇っていく。
「ねぇ、ロ」
「先に謝っとく。ごめん。我慢できない・・・!」
開かれた足の間には排泄器とは明らかに違う小さな穴があった。ここまで来れば分かった気がした。
そこに入れれば、絶頂は目の前。
メノマエニハ、絶頂ガアル。
「い・・・」
一方、コレットはまだわけが分からないまま。
「いたぁいっっっっつ!!」
愛液は、十分とは言えないが不足もしていない。だが、急すぎた。精神も身体も準備が出来ていない。
悲鳴をあげさせた鋭い痛みはすぐに通り過ぎたが、奥がずんずんと痛む。入り口も無理に広げられて辛い。
「・・・・・・!!」
ロイドはここでようやく自分のした事に思い至った。
自分一人の快感だけに目をくらませ、それよりも大切なものを傷つけた。
「ご、ごめん!!」
声が後悔の涙で震える。慌てて抜き取ろうと体を動かす。
「・・・ぅっ・・・」
だが、今は例え出すためであってもとにかく動かれるとまた痛みが走る状態だった。
動いていなければ疼痛だけで済むようで、痛ましくシーツを握るコレットの表情もまだ楽そうだ。
更にロイドを責めるように血が滲みだす。
「ロイド、ロイド・・・」
うわごとのようなコレットの声。
だが、腕を使い上半身を持ち上げている事からそうではないのが分かる。
「だいじょぶ、だいじょぶだから」
単語ごとに紡がれる言葉に合わせて、内部できゅ、きゅっと締め付けが起こる。
苦痛に悲鳴をあげ、いまなお堪える表情をしていても彼女はただただ彼に尽くそうとしている。
「コレットッ!」
泣き顔を隠そうとせず、健気な少女に対する愛しさ、申し訳なさで身体を抱きしめる。
「うん、怒ってないよ。へいき」
まるで幼い子供をあやす母親のように、とび色の髪を撫でつつ囁いた。
コレットの人生三回目の抱擁。その全てでロイドに抱かれていた。彼は心に澱んでいた不安を押し退けてくれた。
だから私も、ロイドの辛いもの、追い出してあげる。
「さっきはびっくりしちゃったけど、もう平気だから」
「本当に?」
「うん。ほら、動いても」
言いながら、腰で小さく円を描くような運動をする。
「だいじょうぶだから」
ほんとうは、まだちょっとジンジンする。でも大丈夫。ロイドとならいけると思う。
「分かった」
また痛い思いをさせないよう細かい表情の変化にも注意を注ぎ、少しだけロイドの方から動いてみる。
問題ないようなので、もう少し大きく。
腰を使って突き上げる。
「うぅん・・・」
コレットが声を漏らしたが、顔は痛みではなく快感で塗られている。
さっきの言葉に嘘はないと確信し、絶え間なく動くようになる。
ロイドの首に手を回しているコレットは全てを彼に預けている。
もう、はなれないよ。
言葉にもせず心の中にしまっていたが、心の動きに合わせて身体も動いた。膣が締め付けを増してくる。
――至福が二人を満たす。性器と性器の間の快感だけでなく、
胸板と乳房、心と心の間のあたたかさが二人をひとつにする――
「あ、あああぁ――」
「くっ――」
身体の芯でくすぶっているものが膨らむ。絶頂が近い。
「なんか、頭のなかが真っ白、というか変な感じ」
初めての気分。自慰すら行った事はないのだから知らないの当然だ。
ロイドは一応知っているが、今までと全く違う大きな感じだ。こんなに凄いものだっけ。
「あっ、あっあっ」
昇天。
コレットには他に表現が思い付かない。
「あ、あ――あああああっっっ!!」
初めての昇天。膣が意志に関わらず強く引き絞る。
「うわああぁっっっっ!!」
最大級の絶頂。白濁がロイドから出る。
コレットの子宮に入っていくロイドの命。
彼女はこの行為が小作りであることすら知らない。だが、無性に嬉しかった。
独特の虚脱感が部屋全体に漂う。
「疲れたな・・・」
「あ。そうか、ロイド動きっぱなしだったもんね」
精液を渡した代わりに愛液をもらったロイドがコレットから抜け落ちる。
「このまま寝たら風邪引くよ」
「大丈夫だよ。かけぶとんもあるし、・・・コレットが温かいし」
「ロイドも温かいよ。おやすみ」
「おやすみ」
互いに満ち足りた幸せな気持ちのまま眠りに落ちる。
明日はどうなるか、その時になるまで分からない。この世界に『絶対』なんて存在しない。
でも、この気持ちは、絶対。
心のつながりを示すように、二人の手は柔らかく握られていた。
FIN
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