総合トップSS一覧SS No.6-047
作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
無題 なんと氏 男×アニス 2007/05/12 2007/05/14

「むうぅぅ………」

 ここはデータの世界。

 データというかストーリー上出番が無くなった(つまりは死んだ)キャラが呼ばれる場所。

 ストーリー上の重要なキャラのみが招かれる特別な部屋に、とてもとても低い声が木霊する。

「ぶるああぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!」

 周りに人がいれば、それこそ鼓膜が破れそうなくらい大きい声が轟く。

「くそぅ…なぜだ…なぜ俺は勝てないッ!?」

 先ほどからじたばたしたり叫んだりしているこの男。

 名を『バルバトス・ゲーティア』と言う。

 世間ではさまざまな通り名を持つ彼だが、非常に困っている。というか、悩んでいる。

 悩み事事態は複雑ではない。その解決策が見つからなくて悩んでいるのだ。

 その悩み事とは、『カイル・デュナミスとその仲間達に勝てない』というもの。

 最初は楽だった。むやみやたらとグミやらボトルやらを使ってくれるおかげで、

『アイテムなんぞ使ってんじゃねぇ!!』

 という反則気味なカウンター技が使えたからだ。

 しかし時が経つにつれ、だんだんと姑息な手を使ってくるようなってからはもう散々。

 まともに動きをとらせてもらえず、ひどい時はワンコンボで殺される時もある。

 データの存在なので、消えるということは無い。

 しかし、登場回数が増えるごとに自分が弱くなっていく気がしてならない。

 バルバトスにとっては、それがこの上なく屈辱だった。

 もちろん、彼が何もしなかったわけではない。

 必殺技だって開発したし、能力の底上げもした。

 でもダメだった。どうやっても『SB+POMコンボ』は打ち破れない。

 このままでは永遠に負け犬キャラになってしまう。

 それは彼のプライドが許さなかった。


 落ち着きを取り戻し、『カイル・デュナミス』を倒す作戦を考えていると、いつの間に呼び出されていたのか、見慣れた女性が目に入った。

 彼女の名は『エルレイン』。この世界でも屈指の能力を持つキャラである。

 しかしその彼女ですら、『SB+POMコンボ』は打ち破れないのだ。

 彼女もまた策を練っているようだったので、近づいて様子をみてみる。

 どうやら本を読んでいるようである。彼女の周りには見たことも無い本が散らばっている。

「……あら、何か用ですか?」

 本に没頭していたエルレインが振り返る。

「いや…何をしているのかと思ってな。」

「これはいくつもの世界に存在し、共通する『本』です。もしそうなら、どの世界にも共通する特徴があるはずです。」

「ふむ」

「ならば、人間の得意分野、もしくは弱点などが書かれている可能性もあることがわかりますね?」

「なるほど…お前の思いつきそうな事だ。」

 ちょうどバルバトスの足元にあった本を拾い上げて、見せる。

「例えば、これは『絵本』というものです。主に幼児向けの本ですね」

 エルレインに半ば強引に本を押し付けられ、しかたなくパラパラと流し見てみる。

 特に何の特徴も無い、バルバトスには縁のない物だった。

「ふん…お前の勧めるものにロクなものはないな。」

 絵本を適当に放り投げ、自分の目で見て探す。

 これでカイルを倒せる策が見つかれば苦労は無いのだが、だからこそ、エルレインもこうしてその道を模索しているのだ。


 ふと、他の本とは明らかに異質の本を発見した。

 普通のものより薄っぺらく、紙質もそれほどよくはない。

 ただなんとなく。そう、ただなんとなく。表紙に移っている女の子が気になった。

 年齢は12〜18くらいで、『少女』という印象が強い。

 バルバトスは初めて悪寒というものを感じた。

 この紙一枚をめくれば、二度と戻ってこれない。そんな気がした。どこから、とかそんなことは分からない。ただ、本能的にそう感じた。

 しかし、これも打倒カイルの為、と意を決し、ペロリと表紙をめくる。


「……………………………」

 しばらく空いた口が塞がらなかった。

 なんと、そこには小学生の少女が陵辱されている絵が描かれているではないか。

 無論そちらの行為に興味が無かったわけではないが、『幼い』『少女』に対してそんなことをする気は全く無かった。

 ひと通り読み終わり、その本を床に置く。

 エルレインはというと、どうやらバルバトスに本のありがたみについて説いているようだった。←in her world

 だが、そんなことはバルバトスにとってはどうでもよかった。

 先ほどの本と同じオーラを放つものを、その肉欲に満ちた邪眼で探し当てる。

「(そこかぁぁぁ!!)」

 心の中で無意味な叫びを上げながら対象の本を手に取り、開く。

「(こ、これはっ!?)」

 そこにはまたしても少女が犯されている絵が。

 しかも今度は男のモノではない。いわゆる『触手』というヤツだ。

 未だかつて無い興奮に震えていると、エルレインがバルバトスの行動に気付いた。

「ん…? ああ、それは『同人誌』ですね。」

「? 『ドウジンシ』、だと?」


 エルレインは自身の本を読みながら解説する。

「それは、主に男性が妄想力をフルに稼動させ、特定のキャラクターに自分の思いついたストーリーを辿らせるものです。」

「ふ、ふむ…それで?」

「本来のストーリーでは成し得ない展開を具現化することで、さらにその作品を楽しむことができる、というものです。」

「な、なるほど…」

「ただ、それは建前の話。実際には、好きなシチュエーションでキャラクターをHな目にあわせる、といったものが多いでしょう。『それ』みたいに
ね。」

「……………」

 バルバトスは黙り込んだまま動かない。

「? どうしたのです?」

 珍しく黙っているバルバトスが気になったのだろう、視線をバルバトスに向けた。

「いや…なんでもない」

 本を地面に置くと、バルバトスは与えられた自室へ転移していった。

 その時の彼の顔は、歪んでいた。

 そう…彼は道を踏み外した。禁断の道へと進んでしまったのだ。

 こうしてバルバトスは称号「○○○○?」を手に入れた。


「はぁ〜…マズったなぁ…」

 人々に恐れられている『イニスタ湿原』。
 そのド真ん中に佇んでいる少女が一人。

「なんでこうもツイてないのかな〜…あたしって…」

 彼女はオラクル騎士団・導師守護役(フォンマスターガーディアン)所属『アニス・タトリン』総長。よく咬む。
 そもそもなんで彼女がこんな所にいるかというと…

「いくら放浪の旅とはいえ……」

 プルプルと小さな体が震える。

「こんな所まで旅しなくていいじゃん!!」

 ルーク一行はアテの無い旅をしていた。ガイが突然「旅に行きたい」と漏らしてしまったためだ。
 ルーク・ジェイドの二人は勝手に盛り上がり、ヴァンのことなども完全に忘れ、旅立った。
 いくらヴァンを軽くあしらえるとはいえ、流石に男性陣だけの旅はしのびない、ということで結局女性陣もついてきてしまったのだ。

 で、船を乗り継いだりしながら世界一周を目標に旅を続けて一週間。
 たどり着いたのがここ、『イニスタ湿原』である。
 ここは環境があまり人間によくない。そのせいで普段は人は出入りしていない。
 なにより、『危険』なのである。
 いくら彼女達が強くなっても、およそ人間に勝てる相手ではない。それぐらい『ベヒモス』は強いのだ。


「…うわ〜…また近づいてきてるし…」

 出来るだけ岩陰に体を隠しながら移動する。
 見つかってしまえばあとは逃げるしかない。
 本来ならヤツの苦手な花を持っているのだが、今道具を管理しているのはジェイドとティア。
 アニス本人ははぐれて迷子。おまけに相棒のトクナガも運悪くジェイドに預けてしまっている。
 というより戦闘用の道具類は一切持っていない。

「ホンッッッット、ツイてないよ…」

 なぜなら――トイレ中の出来事だったからである。
 アニスが用を足そうと岩場に隠れてスカート中に手に入れた瞬間『ベヒモス』が現れたのである。
 しかも運悪く他のメンバーとの間に割り込まれてしまった上に狙いはアニス。もっぱら打つ手なし。
 そのまま湿原の中を逃げ回り、かれこれ1時間。未だにジェイド達には合流できていない。

「はぁ〜…どうしよ…」

 歩き疲れ、適当な場所に腰掛けようとした時だった。

「おっ! なんか女の子がいるぜ!」
「マジ!? うはwww俺らついてるジャンwww」

 頭に頭巾、手にはやや長めのナイフ。どうやら盗賊のようだ。どうせ湿原のお宝目当てだろう。休む暇も無い。
 相手は二人組で、こちらは戦闘道具無し。ならば逃げるだけだ。

「さよならっ!」

 ぱっ、と立ち上がりダッシュ。

「あ! コラ待ちやがれ!」
「逃がすか!」


 とりあえず相手から距離をとらなければ。
 確かに戦闘道具はない。だが戦う術(すべ)はある。
 アニスは追っ手を背に走りながら、自身の体で音素――『フォニム』を感じ、その力――『譜術』の詠唱を開始する。
 杖が無いため、必然的に『溜め』の時間は長くなってしまうが、幸い相手が油断しているおかげで余裕はあった。
 これなら――!

 詠唱開始から約5秒が経った時。

『歪められし扉――』

 普段のアニスの声とは違った、低い声が響き渡る。

「お、おい、まさか…」

 盗賊も気付いたようだ。だが、もう遅い。

『――今、開かれん――!!』

「くっ! ダメだ、間に合わねぇ!!」

 アニスは振り返り、高らかに叫ぶ。

『後悔しても遅いよっ! ――ネガティブゲイトぉぉぉぉぉ!!!』

 アニスの掛け声と同時に、盗賊二人の中心に禍々しい球体が出現する。

「ぎゃああぁぁぁあぁぁぁあぁ!!!」

 その球は二人を中心に引き込み、触れただけで体をズタズタにし、容赦なく討つ。
 もう片方の盗賊は、断末魔すらあげない。
 球が消えた後に残ったのは上半身がボロボロの、見るも無残な盗賊の姿だった。

「…………」


 五感を研ぎ澄まし、周囲に仲間がいないことを確認する。

「イッエーーイ! フォンマスターガーディアン所属、アニス・タトリン総長、しょーーーりっ!!」

 誰もいないあさっての方向。に向かってピースしたりガッツポーズしたり。ついさっきまで走っていたのに元気である。
 実のところ、結構危なかった。
 アニスが振り返った地点から約15メートルの場所。
 そこは大きな岩で完全に行き止まりだったのだ。

「ふぅ…さて、結構派手にやっちゃったし、アレが来る前に移動しよっと。」

 大きく2度深呼吸してから歩き出すアニス。
 しかし、警戒もせず盗賊の横を通り過ぎようとしたのは完全なミスだった。

「――えっ?」

 足が、動かない。
 倒れていたはずの盗賊の片手が、アニスの足首を掴んでいる。

「えっ…な、なんで…」
「あー、危なかったぜ…まさか譜術が使えるとは。よいしょっ、と」

 結構元気に立ち上がる盗賊。アニスは目の前の現状を理解できずに立ち尽くしていたので無条件で捕まってしまった。
 間違いなく手ごたえはあった。二人の様子からしても間違いなくHPは0のはずである。

「俺ってついてるなぁ〜! コレだよ、コレ!」

 そういって腰のポーチから取り出したのは、木っ端微塵に砕け散った女神の像だった。

「ま、まさか、リバースドール!?」
「アニスちゃんと会うちょっと前に見つけてね。まさかこんな形で使うことになるとは…」

 ちゃっかり名前まで覚えられている。まぁあれだけ大きな声で叫べば当然だが。


「さて…そろそろお仕置きといこうかね、アニスちゃん♪」

 ポーチの中から液体の入ったボトルを取り出し、相棒の体に振り掛ける。
 すると、まるで何事も無かったかのようにむくりと立ち上がった。

「あぁ…痛かった…全く、やってくれるぜ。」

 アニスはなんとか逃げようと暴れるが、いかんせん体が小さいため、なんの意味も無い。

「おやおや…そんなに暴れると、スカートの中が見えちゃうよ?」

「――っ〜〜〜〜〜!!!」

 顔を真っ赤に染めるアニス。

「紺色かぁ! なかなかイイ眺め…!」

 下から覗き込む盗賊。ちなみに覗いているのはやや太り気味なほう。
 その瞬間ぶちっ、というゴムが切れた音がした。ゴムなんてどこにもないが。

「何してんのよこのヘンタイっ!!」

 うまい具合に位置調節したアニスのキック(つま先)が喉元にヒット。倒れて呼吸が極端に薄くなった。

「(この服装はアタシが選んだんじゃないもん! あんの人はぁ〜…!!)」

 アニスの中でグランコクマ皇帝陛下の評価が下がった。


「あらら…ホンッとに手間のかかる嬢ちゃんだな!」

 アニスを吊り上げていたもう一人が、岩もとへ投げ飛ばす。
 ダン、と決して聞き心地の良くない音。

「っ!! いっ……たぁ…」

 衝撃が強すぎたのか、すぐには立てなさそうだった。
 影がアニスの前に伸びる。
 アニスが痛みに顔を歪めながらも見上げると

「………」

 男のモノである。

「さ、舐めてもらおうか。」

 やや不機嫌な顔と声色だ。
 やはり先ほどの相棒へのキックが気に障ったのだろうか、雰囲気が若干変わっている。

「………」

 アニスは黙って男を睨みつけた。
 直後、アニスの耳スレスレのところを拳が通る。
 衝撃に耐えられなかった破片がパラパラと地面に落ちていく。

「…ぁ……」
「さぁ、舐めてもらおうか?」

 口調こそ気楽だが、表情は笑っていない。
 アニス自身は彼らを侮ってはいなかったかもしれない。
 ただ、彼らは本気では無かった。その力の一端ようやく表しただけかもしれない。
 もはや考えるまでも無く、アニスには男に従う以外に選択肢は無かった。


「ん…ん、んく、あむ…」
「ははっ! 意外とうまいじゃねぇか。まさか処女じゃないってことはないよなぁ?」
「んはっ! んん、はむ…」

 ちゅぱっ、ぺちゃっ、じゅっ、じゅぶっ。

 見た目からは想像もつかないほどのテクで、全体を愛撫するかのように舌を這わせ、男のモノを攻め立てる。
 すでにアニスの口周りは唾液と先走り汁でベトベトになってしまっている。

 アニスは答えないが、実のところ処女ではない。
 両親を盾に、いろいろとやられた過去がある。
 その時の経験で分かったことは、「さっさと終わらせる」ということだった。

 無駄に話していると、奉仕の時間が長くなることを身をもって体験していた。
 だからこそ身についたテクニックなのだが、褒められてもうれしくない。
 今だって、早く終わらせたいが為に本気で相手をしているのだ。
 だが本音を言ったところで状況がよくなるわけでもなく、ただひたすら行為に没頭するしかなかった。

「ふむっ、あむ、んっ、んあっ! …はぁっ、んむっ!」

 じゅぼっ、べちゃっ、じゅっ、ぺちゃっ。

「うおっ! くぁ…アニスちゃん、フェラうまいなぁ〜! だんだんノッてきたかな!?」

 突然男が腰を動かし始める。

「んぐっ! んんっ! んっ、ぐっ、はっ! んむぅ!!」

 腰の動きに合わせてアニスも顔を前後に振り出す。

「んむっ! んんっ! んっ! むっ! んっ!」

 アニスも男も徐々にペースを上げている。

「くっ! じゃ…そろ、そろ、いく…ぜっ…! ちゃんとっ、飲めよっ!」
「んぶっ! んぶ! 」

 じゅぶっ! べちゃっ! じゅぼっ! 

 アニスもペースを最高まで上げ、男を絶頂へといざなう。

「…くっ、出るッ!」
「んむっ! んんんん!」

 男のモノがアニスの口内ではじけ、精液が射出される。

「んっ…んくっ…」

 とにかく苦い。だが、男に飲めといわれた以上、飲むしかない。
 長い時間をかけ、ようやく最後のゴクン、という音が聞こえた。

「っっ!! はぁっ! はぁっ! はぁっ! んっ…はぁっ…」

 頬は真っ赤に染まり、息も上がっている。

「ようし…ちゃんと飲んだな?」

 こくりと頷くと同時に、先ほどまで倒れていた太っているほうの男が起き上がった。


「あぐ…くそっ、なんでこんな――」

「『ガキんちょ』にっ…!」

 ぷちん。

 リミッター第一段階解除。

「お、ようやく起きたか。だが、アッチの技術は大したモンだぜ? そこいらの女よりはるかにうまかったぞ? まだ『ガキ』だってのに。」

 ぶっちん。

 リミッター第二段階解除。

「なっ!? もうしたのか!? くそう、この『ガキんちょ』は俺が一番にヤろうと思ってたのにっ!」

 ぴーーーーーーーーーーーーーーー。

 リミッター第三段階解除。

「フフフフフフフフフフ……」
「「ん?」」

 二人が同時に振り向いた。

「アハハハハハハハハハハハ!!」

 声の主はアニスだ。壊れたように笑っている。

「おやおや、壊れちゃったのかな〜?? んじゃ今度は俺が――」

 ふとっちょがアニスに触れようとした瞬間。


 ピキィィィィン!

 アニスの眼が光る。音は表現ではなく、マジで。

 ふとっちょの、その先の言葉は続かなかった。
 アニスによって、阻まれたから。
 指があと5センチまで接近した瞬間、オーバーリミッツ発動。
 しかも、発動時の衝撃をキャンセル。

『いぃぃやろぉテメェブッ殺ぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉおおぉぉおぉおぉぉす!!!!!!』

 バキッ! ドガッ! ブゴッ! ガキッ! ベゴッ! ヌチャッ! ベチョッ!

「……いや、音おかしいだろ。主に後半。」

 謎の擬音が混じった殺撃舞荒拳。その最後のフィニッシュ。

「なんで…奥義無しで秘お――」

「だぁぁぁあぁまああぁぁぁれえぇぇぇぇぇぇえっ!!!!」

 大爆発。

「ぎゃあああぁぁぁあぁぁぁ」

 ふとっちょは空高く飛んでいった。

「あ〜あ…」

 呆然とするアホが一人。

「って、なんでトクナガがいないのに打撃ができ――!?」

 アニスは振り返った場所にはいなかった。
 代わりに上方から眼を光らせた『神』が。

 ドスン!!
 重く、耳鳴りがするほどの衝撃によって男が上空に打ち上げられる。

「うおあああああっ!」

 そしてアニスの足下には譜陣が展開されている。

「黙れっていったよね♪」

 男が聞いたアニスの声の中で、一番さわやかな声だった。

『十六夜天ぶぅぅるぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁ!!!!!』

 男は声を発する前に、星になった。


 ひゅ〜………どすん。
 長い時間をかけ、ようやく空から死体が(死んでないが)落ちてきた。

 アニスは先ほどの恨みを晴らすことを思いつき、ニヤリと笑みを浮かべた。

「さ〜ってと! 敵を倒したらやることは一つ!!」

 そう言って死体(違う)に近づくと、ナイフを取り出し慣れた手つきで剥ぎ取り始める。
 シャク、シャク、シャク…
 ドゥドゥドゥン!

「…ライフボトル…」

 パーティ一人では全く意味のない物だった。

「ええいっ! 次!」

 シャク、シャク、シャク…
 ドゥドゥドゥン!

「メイス…しかもこれ、オモチャ…?」

 なんの戦力にもならなかった。

「……まぁ無いよりはマシ…だよね?」

 不満だらけの剥ぎ取り内容ではあったが、とりあえずその場を離れた。


 少し離れたところにある泉。この湿地帯では唯一キレイな水だった。
 そこで顔を洗い、うがいなども済ませる。

「はぁ…」

 さっきのことを思い出したのか、頬がほんのり赤い。

「んっ…なんで…私…」

 息が荒い。

「また…こんな…にぃ…はぁ…」

 体が熱い。

「ふあ…あぁ…んんっ」

 体が火照る。

「あぁん…やぁ…だめぇ…」

 弱々しい声。
 しかしその手は確実な意思を持って、胸と秘部に触れている。

「こんな…ところでぇ…らめぇ…なのにぃ…」

 すでに呂律が回らなくなっている。

「らめ…なのに…んぁ…はぁ…」

 胸と秘部、触れている手は、もはや触れているなどというレベルではない。
 胸の手は尖った乳首を痛くないぎりぎりの力で摘んでいる。
 秘部は下着が愛液ですでにびちょびちょになっており、逆にイヤらしい音を奏でている。

「もう…らめぇ!」

 理性のタガが外れたのか、もはやすでにフォンマスターガーディアンなどではなく、一人――いや、一匹のメスに過ぎなかった。
 すっかり顔は蕩けきり、胸を弄っていた手で下着をずらし、秘部を弄っていた指はアニスのナカへと入っていった。

「ふぁあぁあぁ! い、イイ! 気持ちイイよぉ!」

 ぐちゃっ、ぐちゃっ、にちゃっ。
 イヤらしい音がこれでもかと周囲に響き渡る。

「はぁん! らめ! らめぇ! イク! イッちゃうううぅうぅぅぅっ!!!」

 周りに誰もいない湿原の片隅で、一人アニスは果ててしまった。


「あ〜…ここどこぉ〜?」

 アレから1時間くらい経っただろうか。一向に仲間が見つからないでいる。
 だんだんと、疲れもたまってきた。
 遠い目をしながらトボトボと歩いていると、岩と岩の間に橋が掛かっている。

「出口!? やったぁ〜!」

 うれしさで走り出す。
 が、数歩で足を止める。

 みんなはどうしているのだろうか?
 まだこの湿原内で探してくれているのではないか?

 5分程唸ってから、結論を出した。

「よしっ! 街まで戻って情報収集!」

 なにせ防具が無いのではモンスターに襲われたら大変だ。ガルドの稼ぎ方くらいならいくらでもある。
 そうと決まれば行動は早い。
 再び足を動かす。
 その直後。

 ズン ズン ズン ズン

「…マジ?」

 ベヒモスだ。
 しかも出口に行こうとすると100%視界に入ってしまう位置にいる。

「どうしよう…?」

 残念ながら、装備があったとしても一人で敵う相手ではない。
 今の状態では時間稼ぎも厳しい。

「………」

 ただ、アニスは一刻も早く湿原から出たかった。
 その想いがアニスの眼に光を宿らせた。

「(よし…!)」

 岩場に隠れながら譜術を開始する。
 上級の譜術だけあって詠唱時間も長いが、それくらいでないとベヒモスには効果が無いだろう。
 十分な詠唱はした。
 これだけ溜めができれば言葉の詠唱は要らない。


 作戦は隠れながら譜術を喰らわせ、ベヒモスを現在の位置から離れさせる。
 その隙に出口へ直行、というものだ。

『ブラッディ――ハウリング!!!』

 突如ベヒモスの足元に現れる漆黒の渦。
 そこから闇の吹雪が上方に吹き上がる。

「グゥゥオォオオォォ!!!」

「よし…少しは効いてる…なら次――」

 次の詠唱は、無理だった。
 アニスが隠れている大きな岩。それがベヒモスのパンチによって砕かれた。

「きゃあぁぁあぁああ!!!」

 危機感に動かされ、走り出す。
 もうこの場所はばれているのだ。ひたすら逃げるしかない。

「はぁっ! はぁっ! はぁっ!」

 後ろから迫ってくる巨体。
 必死に逃げるアニス。
 しかしベヒモスはその巨体に似合わず、凄まじいスピードで追いかける。

「くっ…!」
『……くらえ!――光の鉄槌!!』
『リミテッドっ!!』

 アニスの中で最も詠唱が早い譜術を叩き込む。


 ガスン!

「グォォォォォォオォォ!!!!」
「効いてない〜!!」

 直撃だったが、ベヒモスは気にもとめず追いかけてくる。
 威力が低すぎるのだ。

「はぁっ! はぁっ!…えっ!?」

 何も考えられずただ闇雲に逃げていたのが仇となった。
 完全に行き止まりだ。
 後ろを振り向くと、行き止まりであることを無視して突っ込んでくるベヒモスが眼に映る。

「………」

 ここで…終わり?

 アニスは自問自答する。しかし答えは出ない。
 自分に出来ることはもう無い。

「…みんな…大佐ぁ…イオン様ぁ…!」

 もうベヒモスは目の前。
 アニスは固く眼を閉じ、心の中で仲間へ別れの言葉を告げた。

 そしてアニスの小さな体は巨体に吹き飛ばされ、意識を失った。


「……え?」

 光を感じ、自分の隣を見てみる。
 そこには白い光が歪んで渦を作っていた。
 そして、そこから人影が見える。

「な…なに、これ…?」

 渦からはさらに光が発せられ、思わず眼を瞑ってしまった。

 10秒くらいは眼を瞑っていた。光が弱まったのを朧げに感じ眼を開けると、光は完全に消えていた。
 渦が出来る前と違うのは、目の前に男がいたということだ。
 その男は右手に豪快な斧を持ち、青い長髪をなびかせている。

「ククク…この程度か、野獣よ…早く立つがいい…」

 まるでベヒモスを挑発するようだ。
 あまりに無謀すぎる。
 ベヒモスは真っ当な人間が勝てる相手ではない。
 だが、前後関係からして、この男がベヒモスを吹っ飛ばした、ということ以外は考えられない。

「あ、あのっ…」

 恐る恐る話しかけてみる。
 すると先ほどよりほんのちょっぴり柔らかい声で、アニスを見ずに言った。

「…少し待っているがいい…」
「………」

 なんとなくだが、顔が想像できた。多分王子様ではない。アニスは女の勘で理解した。
 見てくれもなんだかゴツゴツしているし、声も相当低い。一見すると悪者だ。
 ただ、自分を助けてくれるということは明白のようだ。
 事実、男はアニスをかばうようにして仁王立ちしている。

 やがて、ベヒモスがゆっくりと起き上がる。


「グゥウゥゥウゥゥウゥゥゥゥ…」
「ふん…どうした? 早くかかってこい…」
「グゥゥゥウゥゥ…グゥアァァァァァァァアァァ!」

 雄たけびをあげるベヒモス。その衝撃は凄まじく、アニスの体が倒れてしまうほどだった。

「はうあっ!!」

 顔から地面に突っ込みそうになるアニスを支える、異様に大きい手。

「…大丈夫か?」
「は…はい…」

 予想どうり、顔は悪かった。
 ただ、自分の味方であることは明白だったため、それほど恐怖心はわかなかった。

 不意に、ベヒモスが譜術の詠唱を始めた。

「はうあっ! 超ぴんちっ!」
「―――ッッ!!!」

 凄まじい勢いで男の目が開かれる。
 そしておよそ人間には不可能なスピードで振り向き、

「――晶術なんぞ使ってんじゃねぇっ――」
『エア・プレッシシャァァァァ!!!!』

 地面に亀裂が走る勢いで手を叩きつけると、ベヒモスが詠唱を完了するよりもはるかに早く晶術なるモノを叩き込んだ。
 譜術ではない力に驚きを隠せないアニスだったが、一番驚いたのはベヒモスをいとも容易くひるませていたことだった。


「すご…」
「フン…」

 が、ベヒモスも負けてはいなかった。なんと、無詠唱で譜術を発動させたのだ。

「グゥウゥアアアアァァァァァ!!!」

 アニスと、男に足元に巨大な渦が現れる。

「ムッ!?」
「ヤバ…はうあっ!?」

 アニスが男に吹き飛ばされる。
 一瞬ナニすんだ! とか思ったが、自分を譜術――ブラッディハウリングの効果範囲から遠ざけたことに気付いた。

「あ……」

 またしても、空いた口が塞がらなかった。
 自分を助けた恩人が、あの巨大な悪魔の譜術をもろに喰らってしまったのだ。
 いくらなんでも、これは…。
 しかし、そんなアニスの心配は無用だった。

「ぶるぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!」

 信じられなかった。
 その男は、ブラッディハウリングを力技でねじ伏せたのだ。
 しかも特別なことをした形跡も無く、だ。

「このオレに対して、その程度の攻撃が通用すると思ったか? 野獣よ…」
「グウゥゥゥ…」
「貴様に教えてやる…闇属性の晶術とは、こういうものだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 男の足元に見たことも無い陣が現れる。
 現れた、と思ったら、なんとすでに詠唱は完了していた。

『断罪の――エクセキューションンッッッ!!!!!』


 ベヒモスの上下に男のものと同じ陣が浮かび上がり、足下はベヒモス前方、頭上は後方へと移動していく。
 その際に生じる歪みがベヒモスを苦しめていく。

「グゥァァアッァアッァァッァァアッァ!!」

 歪みが最高潮に達した瞬間、本来の陣の位置の中心に柱が現れ、ベヒモスを吹き飛ばした。
 吹き飛ばされたベヒモスは岩場へと突っ込み、瓦礫に埋もれた。

「さて…まだ来るか? 野獣…」

 しばらく男は動かずにいた。
 そして、瓦礫に埋もれていたベヒモスは、アニスを追いかけていた時よりもさらに早いスピードで男に突進した。
 そのスピードは凄まじく、回避は不可能と思われた。
 男も動こうとはしなかった。
 が、そのかわりに男は手に持っていた斧を構えていた。

「…そろそろ飽きた。終わりだ。」
「グゥァアァァァァァァッァァアァァァァッァァ!!!!」
「微塵に砕けろぉうぃっ!!!」
『ジェノサイド・ブレイブァァァァァァ!!!!!』

 男はベヒモスに斧を突き刺し、そこから闘氣を放出した。
 その光は一瞬でベヒモスを包み込み、肉片も残さず消滅させてしまった。

「…………」
「フン…弱い…人々に恐れられた野獣といえど、この程度か…」

 アニスは言葉を発することが出来なかった。
 自分の仲間も、十分に強い。
 だが、この男の強さは尋常でなはかった。
 その男が、手を差し伸べた。

「…立てるか?」
「あ…はい…あの…」
「…ん?」
「ありがとうございましたっ!!」

 自分に出来る限りの最大の礼をした。
 男は気にも留めず話す。

「…君の名前は、なんという?」
「あ、はい! アニス・タトリンです! えっと…」
「オレの名か? …オレの名は――」

 男は、夢見る少女アニスですら見とれるほど、低いはずなのに澄んだ声で言った。

「――バルバトス・ゲーティアだ。」


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