総合トップSS一覧SS No.6-041
作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
無題 150氏(24スレ目) スタン×リオン 2007/03/26 2007/03/26

 ここはフィッツガルド大陸の首都、ノイシュタット。
その中でも一際大きい、イレーヌ・レンブラントの屋敷に、スタンたち一行は居た。
「はーぁ、やっと髪が洗えた。」
 羊飼いに使うという長い金髪をがしがしとタオルで拭きながら、スタン・エルロンは来客用のソファに腰を下ろした。
謎の武装船団を退治し、グレバムの側近バティスタを捕らえたこの日、戦闘の舞台は船の上であった。
身なりには無頓着なほうのスタンだったし、疲労の溜まった身体を一刻も早く布団の中に収めたかったが、
潮風にべたついた髪をそのままにしておくことは不快だったので髪だけでも洗ってからにしたのだった。
 このままソファに横になりたかったが、そんなことをすれば風邪を引くのは目に見えているし、
そうなれば小言の多い炎の剣に何を言われるか分かった物ではない。
「ふぁーあ・・・そろそろ戻るか・・・ん?」
部屋に戻ろうと立ち上がったとき、テーブルに何か置いてあるのを見つける。
「これ、リオンの首飾りじゃないか。」
スタンが見つけたのは、仲間の天才剣士、リオン・マグナスが何時も身に着けている、プレートが連なった形をした首飾りだった。
忘れ物なんて、あいつにしては珍しいなと思いながら、返しに行こうと思い、それを手に取った時。
小さな文字が、目に入った。
普通の人ならば瞬間的に読めるような文字ではないが、大自然に囲まれて育った男の動体視力を侮る無かれ。
そこにはこう書かれていた。
「『オベロン社製、レンズ共鳴式変声機』・・・?なんでこんなもんリオンが持ってるんだ?」
面白そうなのでちょっと遊ぼうかと思ったその時。
「くそ、どこにあるんだ・・・」

廊下のほうから、聞き慣れない、『女の声』がした。

 普段なら聞き間違いで済ませられるのだが、そうは行かないのが今の状況だ。
バティスタの救助か、自分達への襲撃に来たグレバム派の人間かもしれない。
あるいはただのこそ泥かも知れないが、どちらにせよ放って置いて良い物ではない。
スタンは軽く身構え、ドアを少し開けて、様子を見た。
しかし、そこに居たのは。
「・・・リオン?・・・」
スタンの手にある首飾りの持ち主である少年剣士が、そこに居た。
しかもかなり焦っている。
「ああもう、あれが無いと・・・」
(ん?)
スタンの聴覚が、異変を告げた。
先ほど聞こえた女の声は、今、リオンの居る辺りから聞こえる。しかし他に気配は無い。
(・・・はっはーん、そういうことか。)
スタンの中でなにか、この状況の説明が出来上がったようだ。

「リオン、探し物はこれか?」
「っ!?か、返せ!!」
スタンの言葉の意味を理解するなり、神速の速さで手の中の物をひったくるリオン。
その声は、普段聞いている物よりも1オクターブほど高い。
親の仇でも睨みつけるようにスタンを睨むリオンだが、今日は動じないばかりかやたらとにんまりしているスタンが気になる。
「いや、まさかリオンがそんなこと隠してたとは知らなかったな。」
「!?な、なんだ!?」
「俺さっき見ちゃったんだけど、それ、オベロン社の変声機だってな。」
「う・・・」
スタンが、面白い物を見つけた子供のように後を続ける。
「でさ、俺分かったんだよ。お前本当は・・・」
「っ・・・!」
リオンが、泣きそうな顔で目を瞑る。しかしスタンは構わず続ける。

「・・・変声期がまだなんだろ!」
「・・・は?」
まるで難しい問題を解いたあとの様に誇らしげな顔で、スタンが言う。
「だから、まだ声が低くなってなくて、それが嫌で、変声機なんか使ってたんだろ?」
きょとんとした顔でスタンを見ていたリオンだったが、やがて何か思い出したように喋り始める。
「あ、ああ、そうなんだ!十六歳にもなって声がまだ高いのは少し抵抗があってな!」
そのテンパリ具合は普段のリオンからは想像出来ないほどである。
これを聞いているのがルーティ辺りだったら何かに気付いたのだろうが、なにぶん相手がスタンである。何も分かるはずが無い。
「そっかー、確かにそれは恥ずかしいよなー。お前のその格好に高い声じゃ女に間違われちゃうもんな。」
「は、はははは・・・」
「ま、でも、あんまり仲間に隠し事しても、いろいろと大変だぞ?あんまり隠し事はしないでくれよ、大切な仲間なんだから。」
「・・・ああ、わかった。」
 その後、スタンが寝室に入ったのを見届けてから、リオンは独りごちた。
「仲間、か・・・姉さんが居る限り、それ以上にはなれないようだな・・・」
『危なかったですね、『お嬢様』?でも、想い人だけが知っているというのもなかなかロマンチックだと思いますけど・・・思い切って言っちゃえば良かったのでは?』
「///・・・・・・シャル、この場でコアクリスタルを砕いてやってもいいんだぞ?」
『わ、冗談ですよ冗談。』
額に青スジを浮かばせながら短剣を取り出したマスターに、人格を宿した曲刀は慌てて静止の声を掛ける。
 幸い他のソーディアンは休眠状態になっていたため、その会話は二人にしか聞こえなかった。


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