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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
無題 219氏(23スレ目) ミーシャ×アニー 2006/12/09 2006/12/10

「アニーさん」

少年の声が狭い部屋に響き、アニーの背中に一枚の毛布がかけられた。
その声は、何処かに幼さを残しつつも、凛とした強かさを感じさせる声だった。
アニーは、背中にかけられた、太陽の匂いの毛布に頬を摺り寄せた。
根を詰めて勉強していた所為で気付かなかったが、何時の間にか暖炉の火は消えている。
窓の外を眺めれば、雪さえも降っていた。
通りで寒い訳だと、アニーは今さらながら納得した。

「勉強熱心なのは感心しますけど、医者の不養生なんてダメですよ」

アニーが振り向くと、今度はホットミルクを渡されながら、そう言われた。
そのホットミルクをアニーが口に運ぶと、砂糖が多めでかなり甘い。
だが、今日はずっと机に噛り付いて勉強していたアニーからすれば、丁度良い甘さだった。

「ありがとうミーシャ。でも私はまだ医者じゃなくて、医者の卵よ。
本当の医者になったら、もっと自分の事を考えて休みを入れるわ……」

今、アニーはミナールで、キュリアの手伝いをしながら、医者の勉強をしていた。
その熱心さには、キュリアもミーシャも舌を巻くところだった。
だが、熱心すぎて、見る者を不安にさせる事もある。

「それじゃあダメですって。今日はもうこれぐらいにしましょう。
明日はキュリア先生と一緒に回診に行く予定もありますし」

ミーシャは言いながら、ホットミルクの入ったマグカップを持つアニーの手を、自分の手で包み込んだ。
その細い指先はとても冷えていて、毛皮越しにも冷たく感じた。
ミーシャは両手をアニーの手に重ね、温める。
一部のガジュマ特有の毛皮はホットミルクの熱を逃さず、アニーの冷えた指先を少しずつ温めていった。
その手の温もりに、アニーは微かに顔を赤らめた。
だが、ミーシャは笑顔を浮かべて、アニーの顔を覗き込み、そのまま顔を近付けていった。

「……ッ」

ちゅっと小さな音を立てて、唇が重ねられた。
アニーはそれに慌ててしまい、持っていたマグカップを取り落としそうになる。
だが、ミーシャはアニーの手とマグカップを両手で包み込んでいて、なんとか落とす事は無かった。
アニーが少し落ち着いたところで、ミーシャは両手を離した。
もう十分にアニーの手が温まっているとも感じた。

「もう、急にキスしたりするから……」
「すみません、アニーさんが可愛いからつい…」

ミーシャは頭を掻きながらそう言ったが、自分の言った言葉に恥ずかしくなり、少し後悔した。
恋愛小説なんかでよく見るフレーズだが、実際に言ってみるのにはかなりの覚悟が要る。
ミーシャの場合は、言う事は出来たが、言った後に耐えられなくなった。
そんな気持が表情に出てしまったようで、アニーに笑われた。

「ミーシャ、ごめん……ッ。照れてる顔が面白くて……」
「僕は本気で言ったんですよ。何も笑わなくたって……」
「だから、ごめんなさいって……フフッ」

アニーはミーシャが照れている場面を思い起こして、また笑う。
なんだかんだで、ミーシャもアニーも若く、恋愛経験など、今の相手が初めてだ。
少し気取ってみたくもなるし、それが恥ずかしくて堪らなくもなる。
そんな初々しさが、笑いを誘う事だってある。

「そんなに笑っていると、ホットミルクを吹き出しちゃいますよ」
「フフフ、そうね。だからせっかくあるのに飲めないの。ミーシャが飲む?」

アニーはまだクスクスと笑いながら、ミーシャにホットミルクを差し出す。
ミーシャはアニーの様子に釈然としないながらも、それを受け取った。
アニーが飲んでいた箇所と同じ箇所に口をつけ、ホットミルクをすする。
甘い味が口の中に広がり、自分で作った筈なのに違和感を覚えた。

「甘すぎませんでした?」
「私は疲れてたし、これくらいが丁度良かったかな。
それに……なんて言うかな……、ミーシャが作ってくれたモノなら、何でも美味しいわよ」

 顔を赤くしながら最後まで言い切るアニーに、今度はミーシャが笑った。
 ミーシャはホットミルクを机の上におくと、口元を押さえて笑いを堪えた。
 だが、一度出てしまった笑いを止めることができず、精一杯堪えても、くつくつと声が漏れた。
 アニーはさっき自分が同じことをしたにも関わらず、ミーシャの様子に頬を膨らませた。

「笑わなくてもいいのに……」
「すみません、こういうの、なんだか微笑ましいなって」

 ミーシャはまだ笑いを堪えている様子で、そう言った。
 こういう関係になっても、お互いに生真面目すぎる所為で、あまり時間はとれない。
 くわえて、二人ともがまだ若い。
 周りの大人から“まだ早い”なんて言われるのも嫌なので、誰にも秘密の関係だった。
 こういう時間を取れるのは、本当に少ない事だ。

 次第に笑いが収まってくると、二人はもう一度お互いの顔を見つめあう。
 だが、そうしていると先ほどの出来事を思い出して、二人して笑い出してしまった。
 仕方がないので、手を握り合いながら、お互いの気が済むまで笑い続ける。
 本当になんでこんなに面白いのか、二人には分からなかった。
 ただ、この相手の前にいると、意味もなく微笑ましい気分になり、自然と笑いがこぼれた。

「フフ、」
「アハハ、」

 相手を抱きしめると、まだまだ笑い続けながら、笑顔でお互いの顔を近づけていく。
 この笑いを止める方法は、ひとつだけしか思いつかなかった。
 二人はそのまま、静かな口付けを交わした。
 ヒューマとガジュマでかなり口の形が違うのが難点だ。
 一部の隙もないように口付けをするのは、それなりに難しい。
 だが、口付けということの雰囲気もあり、二人は笑うのをやめることができた。

「……」

自分から舌を差し込む勇気も無く、唇を重ねるだけの口付けを、延々と続ける。
つい先日こうなったばかりの2人にすれば、まだこれだけで満足できた。
いや、ミーシャの方は、少しぐらい我慢していた。
結局、男の性と言うモノを誤魔化す事は出来ない訳で、そろそろ、触れるだけの口付けや、次に繋がらない抱擁にヤキモキしている。
だがそれを口に出して言う事もできず、何かキッカケはないものかと願う日々だ。
そしてミーシャはそう願いながら口付けを終えて、赤くなったアニーの顔の全体を見る事が出来るまで後ろに退く。

「もう、ホットミルクを飲めるんじゃないですか?」
「うん。そろそろ大丈夫かな。ホットミルクは少し覚めちゃったみたいだけど……」

アニーが、机の上に置いてあったマグカップを掴むと、さっきよりも少し冷めてるのが分かった。
構わずに口に運んだが、やはり温くなっていて少し気の抜けた味だった。
だが、冷めたからといって飲まないでいる訳にもいかない。
アニーは温くなったホット(?)ミルクを一気に飲み干した。
しかし冷めているとはいえ、まだ完全にぬるま湯になってはいない。
暖かい飲み物を一気に飲むというのは、どうにも違和感のある事だった。
なんとかそれを飲み終わると、マグカップをまた机の上に置いた。

「御馳走さま。美味しかったわ」
「無理しなくてもいいですよ。冷めたホットミルクなんて、美味しくないですしね。
それよりも、もう寝る時間だと思いますよ。
夜遅くまで勉強しなくても、アニーさんなら医者になれます。
寧ろ、僕の方が医者の勉強を手伝ってもらいたいです」

ヒューマは知の種族と言われるだけあって、ガジュマに比べて勉強のできる者が多い。
ティトレイのような例外がいる事も、ミーシャには分かっているが、少なくともアニーは勉強の出来る人間だった。
ミーシャもガジュマの中では頭の良い方だったが、アニーはヒューマの中でさえかなり上位だ。
お互いに医者を志してはいても、アニーの方がミーシャより先に進んでいた。

「私なんて、まだまだよ。お父さんやキュリア先生のような医者には程遠いわ」
「そんな事はありませんよ。キュリア先生だって言っていました。
キュリア先生がアニーさんと同じ歳のときは、全然大した事なかったって。
アニーさんは凄いですよ。それなのに頑張り屋で、そんな所が大好きです」

ミーシャの言葉に、アニーはカーッと顔が熱くなるのを感じた。
そんな事を真顔で言われてしまっては、照れずにはいられない。

「だから僕は、アニーさんが身体を壊したりしたら、悲しいんです。
勉強はこれぐらいにして、ね?」
「……うん」

ミーシャの手を肩に置かれ、首を傾げながら『ね?』などと言われては、アニーも断れなかった。
机の上のランプの灯を消して、ミーシャに導かれるままに、ベッドまで歩く。
その途中で、アニーは大きく欠伸をした。
時間は深夜の一時をまわる頃で、勉強のし通しで疲れた目を瞑り、瞼の上から軽く擦った。
次に目を開けたときには、ランプの無い暗闇にも目が慣れて、窓から差し込む月明かりだけで、部屋の中を見回す事ができた。
しかしそれでも、自分の前を歩くミーシャの輪郭しか確認できず、アニーは不安になった。

「ねえ、ミーシャ」
「なんですか?」
「ここって、私とあなたが初めて会った宿屋よね」
「そうでしたね。あのときの事を思い出すと、恥ずかしいですよ。
ちょっとした言葉で我を忘れて、駆け出しちゃって」

アニーをベッドの上に座らせながら、ミーシャはアニーとの出会いを思い出して、苦笑した。
アニーの事情も知らずに近付いて、ちょっとした事で暴走して。
その結果、周りの人たちに迷惑をかけてしまった。

「そういうふうには言わないで。私が悪かったんだから」

アニーは、自分がユージーンを誤解して、ガジュマを嫌っていたときの事を思い出すと、どうにもいたたまれなくなった。
医者を志していたくせに、命を差別していた。
しかし今はこうして、そのガジュマであるミーシャと恋仲になっている。
不思議だと思った。

「ねえ、ミーシャ。一人で自分の部屋に戻るのは寒くない?」
「大丈夫ですよ。毛皮がありますしね。……でも、そう言われると寒いかもしれません」
ミーシャの返事を聞いてから、アニーは消え入りそうな小さな声で言った。
「それなら、一緒に寝て……くれないかな。一人じゃ寒いから……」

ミーシャは目を見開いた。
今までずっと考えるだけで言葉に出来なかったのに、あっさりとアニーに言われた。
やはり女性と言うのは、いざとなればオトコよりも頼りになるらしいと、改めて認識した。
アニーといいキュリアといい、ミーシャの身の回りの女性は、頼れる相手ばかりだ。
ミーシャはつっかえそうなりながら、何とかアニーに返事をした。

「ええ、僕でいいなら……、温めてあげます」

ミーシャはそう言うと、アニーを布団に潜らせて、自分は上着のボタンに手をかけた。
どのタイミングで服を脱げばいいかなんて分からなかったので、最初に脱ぐ。
寒いので結構厚着していて、中々脱げない服を疎ましく思った。
少し時間が掛かったが、ようやく上半身を脱ぎ終わって、今度はズボンを脱ぎ始める。
ズボンの尻尾穴から尻尾を出してから、ズボンを脱いだ。
ちらりとアニーの方を見ると、ベッドに入ったばかりで、まだ寒さに震えていた。
布団の上からでも、アニーの震える肢体を十分に想像できる。
その想像で、気付けばミーシャの履いていたトランクスは、テントを張っていた。
ミーシャはそれに少し恥ずかしくなるが、これから行動に移すのに何を恥ずかしがっていると、自分を叱咤する。
最後にトランクスも脱いで、年齢が年齢なので当然だが、こっそりと包茎の皮を剥いた。

「アニーさん、じゃあ、入らせてもらいますね……」

ミーシャが恐る恐るといった様子で、布団の中に入っていく。
だが、ミーシャの生まれたままの姿に、アニーは目を見開いた。
そして驚きの余り、一言も喋る事が出来ないままに、ミーシャが布団に入ってくるのを見守った。
布団の中でミーシャに抱き締められたところで、ようやく自分の招いた誤解に気がついた。

「ミーシャ、そういう意味じゃなくて……」
「えっ…!?」

2人の間を、気不味い沈黙が支配した。
お互いに目を見開いたまま、呆けた表情で相手の顔を見詰めていた。
しかし、先に立ち直ったのはミーシャの方だった。

「す、すみませんっ! 僕が早とちりして馬鹿やっちゃって!!」

ミーシャは慌ててベッドから飛び出ると、床に散らばった自分の服を拾っていく。
いくら毛皮があっても、裸の身体は冬の刺すような寒さに襲われた。
ヒューマよりも夜目が利くとはいえ、あくまでもヒトの範疇でしかない。
床に散らばった服を拾うのは、中々難しい作業だった。
ミーシャはやっとの事で全ての服を拾うと、アニーの部屋から出ていこうとドアに走った。
だが、ミーシャの慌てる背中に、アニーがベッドから上半身を起こして声を掛ける。

「待って」

ミーシャは耳をピクリと動かして、足を止めた。
尻尾をピンと立てており、緊張している事がよくわかる。
アニーは動きを止めたミーシャに、再度投げ掛けた。

「あの、待って。行かないで欲しいの……」

その言葉がとどめになったのか、ミーシャは前を隠しながら、アニーに近寄った。
アニーは顔を赤くしながら、ミーシャが近寄ってくるのを待った。

「私は、ミーシャの事が好きだから、その……それに、今日は一緒に寝てもらいたいの。
もしもミーシャが……なんていうか……したいってい言うなら……」

最後まで言わなくても、アニーの言いたい事はミーシャに伝わった。
ミーシャは深呼吸してから、更にベッドに近付いた。
そして布団に手をかけながら、アニーの顔を覗き込んで言った。
その表情は、珍しく子どもらしい不安そうな顔だった。

「僕、こういうの初めてですから、アニーさんに無理させちゃったり、
絶対に下手だったりしますよ。それでいいですか?」

半ば泣きそうになりながら言うミーシャに、アニーは相手が年下だと改めて自覚した。
ここでプライドを見せなければと、自分だって顔から火が出る思いなのに、無理をして返事をする。

「わ、私だって初めてよ。下手なのは、きっとお互い様だと思う」

こればかりは、ミーシャの顔を見たまま言う事は出来ず、アニーは視線を伏せながら言った。
だが、ミーシャにすればそれだけ言って貰えれば十分だった。
布団に潜り込むと、アニーの側に横になる。
さっきと同じようにアニーを抱き締めて、唇を重ねた。

「…ん……ッ」

初めてキスのときに舌を入れた。
ザラザラの舌でアニーの舌を絡め取り、ガムシャラに舐め回す。
今までの唇を重ねるだけのキスとは違って、ひどく昂奮する味わいがあった。
ミーシャは鼻息を荒くしながら、アニーの未成熟な胸に手を伸ばした。
アニーはまだ服を着ていたので、その上から鷲掴みにする。

「あ…ッ!」

そのショックで、アニーは一声鳴いた。
ミーシャはそれにも構わず手を動かしてアニーの胸を揉んだ。
その微妙な柔らかさがとても気持良くて、手の動きを止める事ができない。
さっきアニーが声を上げたときに離れてしまった唇を、もう一度重ね合わせる。
そして今度こそ何があっても離れないような、深い口付けをした。
また舌を差し込んで、アニーの舌と絡ませ会い、貪るようにアニーの口内を味わい尽くす。

「ぷはっ……。アニーさん、本当に大好きです。あなたの事が、世界で一番好きです」

長い口付けを終えて、肩で息をしながらも、ミーシャはアニーに向かってそう言った。
気持ちの全てを言葉で表せるとは思えないが、それでも少しでも多くを言葉にして伝えたかった。
渦巻くような欲情を抑える事が出来なくなる前に、愛しい気持ちを伝えたかった。

「ミーシャ、ありがとう。私も…、あなたの事が世界で一番好き」

そう言われて抱き締め返されて、ミーシャは黙ったまま目を擦った。
嬉しくて、嬉しくて、涙が零れそうになるのを、必死で堪えた。
要りもしないフォルス能力を持って、それが原因で母親に捨てられた。
自分を本気で必要としてくれる相手がいるなんて、信じられなかった。
だが、そんな不安を全て取り払ってくれる相手が出来た。

「お礼を言うのは僕です。本当にありがとう」

耐え切れなくて瞳から零れた涙を、腕で拭いながら言った。

「ところで、あの……アニーさん。……ズボン脱がしても、いいですか?」
「……ッ!」

アニーはミーシャの言葉に、一瞬だが硬直した、だが直ぐに気を取り直すよう努めた。
そして少し落ち着くと、ミーシャに応える。

「う、うん……。手が震えちゃって、自分じゃ出来そうにないから……」

室内とは言え、悴むような冬の寒さと、これから行なわれる行為への期待と不安で、アニーの手は震えた。
自分では服を脱ぐ事なんて出来そうになく、ミーシャに頼んだ。
『はい』 とミーシャの声が聞こえた後に、毛むくじゃらの手が太ももに触れた。
少しそこを撫でられた後、ズボンに手がかけられ、少しずつしたにおろされていく。
それと同時に、上半身の服も、アニーが自分で少しずつ脱いでいった。
震える手では、ボタンを思ったように外せなかったりするので、そのペースは遅い。
だが、ミーシャがアニーのパンティまで取り去った頃には、下着を除いては脱ぎ終わっていた。

「寒くありませんか?」
「うーん……やっぱり寒いけど、毛布もあるし、ミーシャは暖かくて気持ちいいな」

ヒューマなのでミーシャのような毛皮もなく、アニーはブルブルと寒さに身体を震わせて、ミーシャに抱き着いた。
服が無いので直に触れるミーシャの毛皮を触って、モフモフとした感触を味わう。
中々気持がいい。
ミーシャはそんなふうに抱き締められ、毛皮をもふもふとされて、抑えられなくなった。
さっきまでは、アニーが望むならいくらでもモフらせようと思っていたが、自分の意志の弱さに溜め息を吐いた。

「アニーさん、僕もう…我慢出来なくて……ッ」

そう言うなり、ミーシャはアニーの腕の中から抜け出した。
そして毛布をどかしてアニーの裸体をよく見えるようにする。
さっきでも十分に寒かったのに、毛布まで取られて、アニーは身震いをした。
反射的に閉じられたアニーの脚を、ミーシャは両手で広げ、その間に入る。
 薄く毛の生えたそこが、暗闇の中でかろうじて見えた。

「……こうなってたんですね。知ってるだけで、見たのは初めてで……」
「や…ッ、そんなところ、見ないでよ……」

 よく見ようとして、ミーシャは顔を近付ける。
アニーは両手でミーシャの頭を押さえるが、思うように力が入らず、押し留める事はできなかった。
ミーシャはアニーの太ももに手を置いて、足を閉めさせないようにする。
そしてアニーの恥部に魅入られるようにしながら、更に顔を近付けていった。
くんくんと鼻を鳴らして匂いを嗅ぐと、今まで嗅いだ事の無い、女の匂いがした。
なにかとてつもなく巨大な、抗う事の出来ない力を感じた。
男である限り、絶対に抗う事のできない力だ。

「ん…ッ…ちゅ…」
「ひぁッ!?」

ミーシャはそのまま顔を近付けて、アニーの恥部にかぶりついた。
ミーシャの舌のざらっとした感触を恥部に感じて、アニーはビクッと身体を跳ねさせた。
何とか逃れようとして、アニーは脚を閉めるが、ミーシャの頭を挟むだけで、状況は何も変わらない。
今まで感じた事の無い感覚に襲われ、アニーは焦りと一緒に、頭の芯からとろけそうになるのを感じた。
今まで知らなかった悦びを知るのは、期待感と共に、大きな不安を伴う。
まるで楽しみにしている目的地の途中に、真っ暗闇が待っているかのような、そんな不安だ。

「ひっ……あッ…、み、ミーシャぁ……、だ…めぇ……」

アニー自身も驚くほどに、口から出る声は危険な甘さを含んでいた。
ミーシャはその声に更に昂奮しつつ、少しずつ濡れ始める恥部を、嘗め回した。
今まで味わった事のない、妙な味がしたが、それが病み付きになるようで、やめられない。
ぺちゃぺちゃと音を立てて、ちゅうちゅうと吸いたてて、鼻面を擦り付ける。
それだけでミーシャの肉棒が痛いほどに勃起してしまう。
挿れたくて堪らないが、いきなり挿れるのは悪い。だが挿れたい。
挿れてしまったら、それまでの関係とは違ってしまうような。
ここまで来て、尻込みしてしまう。

「あ…、はぁ…う……ッ!」

ミーシャはアニーのクリトリスを口にくわえて、吸い付いた。
アニーの身体がこれまでになく大きくしなる。
それに合わせてミーシャの体位も少し変化する。
そのときにミーシャの肉棒がシーツに擦れた。

「…ッ」

シーツに先走りの液体が付着する。
無色透明だが、高い粘性を持って、亀頭の先まで糸を引いた。
今にも射精してしまいそうなほどの快感が、それだけで押し寄せ、ミーシャはついに我慢できなくなった。
アニーの恥部に吸い付くために、うつ伏せの状態でいたが、立ち上がる。
ようやく執拗な愛撫が中断し、アニーは一息ついた。
だが、すぐにまた息を張り詰めさせる事になる。

「アニーさん、綺麗です……」

ミーシャはアニーの上に覆い被さり、そう言ってアニーの頬を舐めた。
アニーの未成熟な胸の突起をくわえて、べろべろと舌で舐める。
そうしながら、年齢相応の大きさを持った肉棒で、アニーの恥部を突付いた。
慣れない所為で狙いが定まらず、数度に渡って挿れそこねたが、繰り返すうちに、ピッタリとはまった。

「ぅあ…あ……ッ!!」

ミーシャの肉棒が、まだ男を知らないアニーの恥部に押し入ってくる。
まだ口で刺激されたのみで、馴らされてもいない恥部に挿れられ、処女膜を突き破られ、膣内を掻き回される。
その痛みにアニーは震え、どうする事も出来ず、下半身が強張った。
その所為でミーシャの肉棒は強く締め付けられ、それに耐えるには自慰の経験すら少なすぎた。

「うっ……」

ミーシャは挿れたばかりと言うのに、アニーの中に射精する。
そこまでの量はなかったが、熱い液体を注ぎ込まれる感覚に、アニーの恥部はヒクヒクと痙攣した。
その締め付けに、射精したばかりのミーシャの肉棒も、また堅くなる。
中に出した精液を潤滑油にして、休む事なくピストン運動を続けた。
2人の腰が離れ、また打ち付けられる繰り返し。
愛液と精液、そして破瓜の際に出た血とが混ざった液体が、結合部から零れる。
それはミーシャの毛皮を濡らして、アニーの腰とぶつかる度に、ばちゃばちゃと音がした。

「は……あぁ……ッ」

気付けば、アニーはミーシャを強く抱き締めていた。
ミーシャの背中に腕を回して、手で毛皮を強く握った。
何かにしがみついたり、掴んでいると、多少ながら不安の気休めになった。
だが、ヒューマよりも高いミーシャの体温と、触り心地の良い毛皮は、アニーを落ち着かせてくれた。
アニーは口を半開きにして、そこから甘い喘ぎ声を漏らす。
ミーシャはその口を塞ぐようにキスをした。
また舌を挿入されて、上も下も両方をメチャクチャに掻き回される。
アニーの瞳に溜まった涙が一粒、頬を伝って落ち、シーツに染み込んだ。

「ん…、んぅ……!」

舌を絡ませあって動かし、お互いの唾液を交換する。
その間にもピストン運動は続き、今まで感じた事のない熱を、お互いが感じた。
身体が汗ばみ、真冬とは思えないほど熱くなる。
最初は激しく痛んでいたアニーの恥部も、徐々に馴れて、痛み以外の感覚を覚え始めた。

「ん……ぷはっ。…あ、アニーさん…。も、もう僕ぅ…」

最初の射精と同様に、亀頭へと何かが集まってくる感覚に襲われる。
さっき出した事もあり、ミーシャは『子どもが出来てしまわないだろうか』と不安になる。
だが、ピストン運動を自分の意志で止める事ができない。
最後には、子どもができようが周りに知られようが構わないと思ってしまう。
ミーシャはいよいよ限界に近付くと、アニーと腰をピッタリと密着させた。

「あ、あぅっ!」

出来る限り最も奥まで肉棒を突き入れて、射精をする。
アニーの子宮まで届く勢いで、白濁色の熱い液体を注ぎ込む。
そして二度目の射精を終えて、ようやくミーシャも落ち着いた。
肩で息をしながら、ずぽっと音を立てて、柔らかくなってきた肉棒を引き抜く。
そうすると、愛液と精液と血が混ざった、ピンク色の液体がシーツに零れた。
ミーシャは息を落ち着かせながら、アニーの横に寝転がった。
シングルサイズのベッドなので、お互いの身体をピッタリとくっつけなければならなかった。

「アニーさん、大丈夫でしたか……?」

今さらになって深い罪悪感に見舞われながら、ミーシャが尋ねた。
アニーは随分と消耗していたようで、しばらくはその問いに答える事ができなかった。

「アニー……さん?」

返事が遅い事が不安になり、ミーシャは体を起こしてアニーの顔を覗き込んだ。
すると、アニーは余程疲れたのか、寝息を立てていた。
ミーシャは苦笑いをしながら、ポリポリと頭を掻く。
いつの間にか床に落ちていた毛布を拾うと、それを自分とアニーの上にかける。
身体は温まっていて、毛布まで被ると少し熱かった。
だが、毛布なしでしかも裸で眠れば、確実に体を壊すだろう。

ミーシャは目を瞑る前に、もう一度アニーの方を見る。
すーすーと寝息を立てている。

「本当に大好きですよ。世界で一番大好きです」

アニーの頬にそっと口付けて、目を瞑った。
ミーシャもかなり疲れていたのは確かで、眠るのに時間は掛からなかった。



終わり


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