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作品名 |
作者名 |
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作品発表日 |
作品保管日 |
無題 |
109氏(23スレ目) |
男×シャーリィ |
2006/11/11 |
2006/11/12 |
「シャーリィ、ただいま」
扉の裏から声がすると、調理中だったシャーリィは包丁を置いて玄関に迎えに行った
すると、セネルが海水に濡れた状態で立っていた。
「どうしたの? そんなに濡れちゃって」
「ちょっと敵に体当たりを食らってさ、海に落ちたんだ。悪いけど、タオルとってくれないか? このままだとシャーリィも嫌だろ?」
シャーリィはメルネスでありながら、滄我を受け入れられなかった。
それ以後、水の民でありながら海水に触れると身体に害が及び、動くこともままならなくなっていた。
そんな彼女を実の妹のように気遣うセネルと、同じく実の兄のように慕うシャーリィ、実の兄妹と変わらない絆があった。
ただ、シャーリイはセネルに対し恋心を持つようになっていた。だがそれを兄妹としての感情だと押しとどめ、認めようとしない
セネルはシャーリィの姉ステラの言葉通り、ヴァーツラフの魔の手からシャーリィを逃がすべく、人も滅多に来ない海岸沿いの小屋で暮らしている。
いつかここも嗅ぎつかれ、ヴァーツラフの命令で誰かが襲ってくるだろう、いつでも逃げる準備は出来ている
「今日は何かあったか?」
シャーリィの手料理をもふもふと食べるセネル、冷えた身体に温かい手料理は身も心も癒された
「ううん、何にもないよ」シャーリィは首を横に振って否定する。
仮に何かあった場合、シャーリィには抵抗する手段がない。セネルはその点が心配だった。仮に自分がいたとしても不安だ。
長年使っていた武器はもうぼろぼろで、いつ壊れてもおかしくない。だからといって、新しいものを買う金も無い
マリントルーパーという仕事は大して儲からない、シャーリィに今の生活維持に必要な金を渡すと自分の分は雑誌一冊買うぐらいしか残らない。
経済的に余裕はなかった。そういうセネルの悩みを、シャーリィは密かに考えていた。
「お兄ちゃん、もう少しで誕生日なんだよね」
「………あ、ああ? そういえばもうすぐ夏だから、そうだな(ん? まだ俺の誕生日まで二ヶ月近くあるな)」
「じゃあ、私がお兄ちゃんの誕生日に新しい武器買ってあげるね。いっつもお兄ちゃんからもらったお金、大分余ってるから」
「いいって! シャーリィの金なんだからシャーリィの好きなものを」
「お兄ちゃんの役に立つんだから私にとっても嬉しいの
約束するよ、『お兄ちゃんの誕生日に買ってあげる』って」
シャーリィはそういうと、セネルと指切りをした。
セネルは小指を離してもまだ不安な顔をしていたが、シャーリィはにこにこセネルに微笑みをあげていた。
実際のところ、シャーリィはあまりお金を持っていない。セネルの報酬は安い、
シャーリィはその僅かな金を工面して食事や雑貨などを買い、残りは自分のへそくりにしているが、使うのは数ヶ月前から我慢していた。
今は徐々に薄着になる季節だが、ほぼ半年前の厚着になる時期から溜め続けていた。
半年間の自分の欲を制御した結晶………それがタンスの中の下着入れの中に入っている。
「それじゃあ、行ってくる」「行ってらっしゃーい」 いくらになるのかは数えていないので、翌日セネルが出かけると確かめた
「これぐらいあれば、一番豪華なのは無理でも中くらいのなら買えるね
でもまだ二ヶ月あるから、もうちょっと節約して・・・」
まるで主婦のように細かく考え始めた。計画をたてるためにはまずは目標、
ダイエットだって「月に3キロ」と目標を定めるように、それにそって考えた
「久しぶりに町にいこっと。お兄ちゃんが帰ってくる前に、ささっと終わらせてくれば大丈夫」
実に久しぶりに、シャーリィは町に出てきた。いつもは買出しもセネルがやり、
シャーリィは極まれにしか行かない。ヴァーツラフ軍に目を付けられないためにだ。
本来ならシャーリィも来たくは無い。町中に村を襲ったヴァーツラフ軍がおり、
大抵はさぼっているので町の出入りなんぞ気にしてはいないのだが、
シャーリィからすればカエルが蛇の巣に入っていくようなことだ、恐怖が身体を隙間無く駆け巡る。
見つかったら姉のように殺されてしまうのだろう(実際は遺跡船の動力となっている)と思うと、15歳の少女には強いプレッシャーとなった。
「まったくかったるいよな。さっさと終わらせて飲みに行こうぜ」
「ほんとだな。ま、いんじゃね? こうやって突っ立っているだけで金もらえるんだからよ」
そうやってふざけている二人組みの兵士がいた。町を見回っているとたまたま片方がシャーリィを見つけ、もう一人に言った
「あの子あやしくねーか?」
ぎこちなさの目立つ歩き方をしたり、キョロキョロ辺りを見回し、誰かと目が合うとすぐに目をそらす。
「ん?」その挙動不審な様はヴァーツラフ軍にも目の着くものだった。すぐにシャーリィはヴァーツラフ軍の二人に止められた
逃げようかと思ったシャーリィだったが、入り口にも別の兵が立っていた。
逃げても無駄だと思い、「ひょっとしたら何もないかも」という期待をかけて事情聴取を受けた。
二人ともがっしりとした体格で、力では到底敵わない。逃げ出すことも出来そうになかった。
「お前この辺のものじゃないな。何しに来たんだ? 歳は? 保護者は? 住所は?」
「えと・・・あの・・」いっぺんに多くのことを聞かれてもシャーリィにはどれを答えればいいのか分からず、喉が詰まった。
もう一人の男が「そんなにいっぺんに言うなって、まずは住所どこ?」と聞いていた。
(やっ!)シャーリィの方がびくっと震えた。男は、シャーリィの肩にごつごつした自分の手を置き、鎖骨を擽るような手つきで質問をしてきた。
その手は兵士のいかつい外見に似合わず、中年の粘りっこいようなイメージのような手つきで、シャーリィの声は喉で止まり、外へ出なかった
「ん〜? どうしたんだい? 住所を早く言わないと」肩に置かれている男の手がシャーリィの身体を自分のほうへひきつけた。
「嫌ぁ! 離してっ」
シャーリィは力一杯男を押し出し男を自分から離そうと努力するが、男の力はそれ以上でいくら押しても離れず、
むしろ男はそれを楽しんでいるようだった。そして、逆に思いっきり近づけられ、シャーリィの穢れを知らない唇に男の唇が押さえつけられた
頭が真っ白になった・・・自分のファーストキスが、こんな名前も知らない男・・しかも憎むべきヴァーツラフ軍の下っ端のものにされた
男の分厚いの唇がシャーリィの薄い唇にべちゃっと張り付き、自分の思うがままに蹂躙しているのだ。
唾液で濡れたぶよぶよの皮が、シャーリィの唇をこれでもかと言うほど覆いつくし、
離れようと必死で抵抗するシャーリィを逆に無理に頭を押さえつけ離さずにしゃぶりつくした
唇を割り込み、舌が中に入ってくるのをシャーリィは必死に抗った。
もてる力の全てで抗った、しかし………無常にも男の舌はシャーリィの舌と触れ合い、一方的に貪り始めた。
シャーリィは、もう何も考えられなかった。現実と思いたくなかった。
抵抗をやめ、男の思い通りにされても、シャーリィはそれを否定することに精一杯・・・舌を通して伝わった悪感も、
飲まされた唾液の味も、全てが偽者だと思いたかった。
「ぷはぁ!」男はシャーリィの唇から数分の後に離れた。「けほっげほっ!」 唾液を飲まされたからか噎せ返るシャーリィは、
兵と目が合うと一度強く睨んだが、すぐに意図的に逸らした。その行動は兵にはそそるものがあった
「あれー? なにその目は? ひょっとして初めてだった?」
「………………」
屈辱的な質問に、知らん顔していたかった。
でもシャーリィは早くこの二人から開放されたかったため、首を縦にふった。二人はその後大した質問をせず、シャーリィを開放した
その後、武器屋に寄って自分が買えそうなものを見始めたが、気が動転したままからか見た側から忘れてしまう。
値段を書いて覚えようとしても手が震えて字が書けない。
幸いチラシのようなものがあり、それによって自分の持っている11万というお金で買えそうなものが分かった。
「あ・・・」
出口に、あの二人組みがいた。いやらしい目で自分の小さな胸や腰の辺りを見ているが話しかけたりはしてこない。
シャーリィは不気味な視線を感じつつも出口へと歩いていった・・・
が、通り過ぎようとしたところで「お嬢ちゃん、アンタぁひょっとして」と声をかけられ、
メルネスだということがバレたと思ったシャーリィは動きが止まった、逃げ出す勇気も出なかった
「ちょっと、こっち向いてくれねぇか? 逃げようとしたら刺すぞ」
凄みを利かせ、先ほどキスをした兵は言った。
シャーリィは恐る恐る後ろの兵を見た・・・半分ほど振り向いたとき、シャーリィの後頭部を大きな手が掴んだ!
「んぐっ!」
いきなり頭を強くつかまれ、無理矢理男の顔に近づけさせられた!
抗う術なく、シャーリィはもう一人の男に唇を奪われ、セカンドキスを奪われた
そして、再び口の中に男の舌が入り、先ほどと同じくざらざらでねちょねちょした
気味の悪い感触が永遠とも思える数分間に渡り、シャーリィの身体と精神を穢した
「ん〜♪ いい表情だねぇ」
帰り間際にもう一度唇に強烈なディープキスをされ、シャーリィは手で唇を押さえ込みながらその場に立ち尽くした
「ひぐっ・・・えぐっ・・
なんでこんな・・・・きたないよぉ・・」
シャーリィは、溢れ出てくる涙を止めることが出来なかった。袖で拭いても、何度でも大粒の涙は流れ出てきた
「ハハハハハハハ!! よかったな、『初めて』じゃなくて」
下卑た高笑いをあげると、二人の兵士はどこかへ消えていった
帰ろうと足を進めたシャーリィに、周りの町人の同情に満ちた視線が集中した。
普段からヴァーツラフ軍はこんなことをしているのだろう。
シャーリィの二度目の唇を奪った男は、シャーリィの口の中の余韻とそのときのシャーリィの反応を思い出し、舌なめずりをしていた。
帰っていく方向を確かめると、連れのもう一人の兵と話しだした
「あの娘見たか?」
「ああ、15歳ぐらいだろ。メルネスの娘ってやつには年齢的にはあうよな」
「この際モノホンでもニセモンでもどっちでもいいから、それっぽい奴を見つけたってことで強制家宅捜索させてもらわねーか?」
「またかよお前。いい加減にしないと軍をやめさせられちまうぞ」
「構うことはねーって。どうせバレねえよ」
「それもそうか!」
二人は、大笑いしたいのを堪えてシャーリィの後姿を追っていった。
ヴァーツラフ軍の肩書きの力は凄いものだ、勝手に人の家に入っても「メルネスらしい人物がいたから」というだけで合法的になってしまう。
また、婦女暴行しても年齢が15、6程度ならメルネスの可能性があり、
本人にメルネスだと言う事をはかせるための正当なる行為として許されてしまう。
もちろんいくつか条件はあるものの、報告書の提出の際に嘘でもいいから書いてしまえばいいだけだ
「もし本物のメルネスってやつだったらどうするんだ?」
「関係ねーよ。どうせ出来損ないだ。報告書を先に作っとこうぜ、あの女の住所はもうすぐ分かるだろうし」
「あの子、顔はいいんだけど髪形がな」
「若けーならいいだろ、ちょっとぐらい目を瞑れって。キスが初めてだっていうなら男も初めてだろうし、いいかげん娼婦のゆる〜い場所は嫌だろ」
「新鮮味ってか? いいねぇ〜」
小声で話す二人は、シャーリィが海岸沿いの小さな家に入っていったのを見つけると、「あそこだな」と言っていた。
今のうちにやろうという考えは無いようだ、非番の日でないとさすがに問題になる。
とはいえ、非番の日は明日であった。「やっべ今日俺寝れねーかも」と言う男は、明日が楽しみでしょうがなかったようだ。
シャーリィは、泣き続けていたからか頭がズキンズキンと痛み、とても起きていられない。
ベッドに横たわり毛布を被って泣き続けたが、次第に泣きつかれて眠りについた。
「シャーリィ? シャーリィ!! いるか!!?」
数十メートル先の港から、自分の家が暗いことに気付くとセネルは全速力で走ってきた
シャーリィがさらわれたのかもしれないと思うと、このお兄ちゃんは頑張る。
家の扉を蹴り飛ばして中に入ると、シャーリィはベッドに入っていた。セネルが来たら「あ、おかえりお兄ちゃん」と言った。
セネルはほっとすると同時に、「何かあったのか?」と聞いた。
シャーリィは口がこもった…「キス奪われたの」などと言えるわけが無い、寝ているときに考えた嘘を適当に言って、その場はごまかした
メルネスと共に逃亡している以上は命を狙われてもおかしくない立場にあるのに、
セネルはとんでもなく鈍いので、セネルは赤子の手を捻るより簡単に騙された。
「そうか……よかった
明日から俺は三日ぐらい遠出に出るから、シャーリィも無事でいろよ」
「え? 三日間も? どうしてなの」
「けっこう遠い場所で魔物が暴れているそうだ。賞金がかかったから、そいつを倒して賞金で俺の新しい武器を買う
シャーリィは、新しい武器なんか買わなくていいからな! 誕生日は気持ちだけでいい、自分のものを買うんだ」
これはシャーリィの嘘のように騙されているわけではなく本当の話。
さっさとその魔物が出てくれれば三日も経たずに帰ってこれるとか。
一人家に残るシャーリィのことは気がかりだったが、セネルは「三日ぐらいなら」という気持ちでOKした。
「で・・・でも」
口をまごまごさせているシャーリィの額に、セネルは優しく手を当てた
「いいんだ。これ以上シャーリィに負担をかけると、ステラに申し訳ないだろ?」
セネルはそういうと、自分のベッドに移った。
明日が早いのかそれとも今日は疲れたのか、はたまた元からなのか分からないがぐぅぐぅ鼾を立てて寝始めた
その寝顔に、シャーリィはそっと顔を寄せた・・・そのまま頬にキスをしようとしたが、寸前で止めた
(………いけないよね、兄妹なんだから)
ましてや、自分の穢された唇などで………シャーリィはやっていないことでも罪悪感を感じていた。
その夜、シャーリィは夢の中にあの二人が出てくるような眠れない夜を過ごした。
夜中に目が覚めるたびに洗面所に行き、口を濯ぐことになった。
それが何度あっただろう・・・次の日、目が覚めたらもうセネルは出発していた。
書置きで「帰ってこれそうになったら連絡する」と書いていた。多分照明弾を撃つ気だろう。
心の中で「行ってらっしゃい」というと、シャーリィは昨日と同じ服を着ていることに気付いた。
(そういえば、昨日お風呂に入っていなかったかな………あったかいお風呂に入ろっと)
湯船に浸かり、前の日に入れなかった分、身体をしっかりと洗った。顔も洗顔剤を使い、唇の辺りを念入りに………
何度洗っても、昨日自分に起きたことが黴でもこびり付いたように嫌でも思い出された。
唇を通じて伝わる感触を思い出すと一日経った今でも涙が出てきた
バスタオル一枚で身体を纏い、ぽかぽかする身体を冷やしている最中にアイスを取り出し食べ始めた・・・が、
アイスがべたついて唇の周りに残っていくにつれ、昨日のことを思い出し・・・冷凍庫に戻した
昨日の自分を忘れるために、今日は元気に過ごそうと決めた。
彼女の一番のお気に入りの服を着ると、元気よく背伸びをした。
シャーリィは前の日にあったことをなるべく思い出さないように、家事をし始めた。
「昨日あったことは間違い、何でもないんだ」と自分を元気付けて。
掃除洗濯が終わり、3時になったので甘いお菓子を作って食べようと思い材料を探していたとき―――部屋の扉を誰かがこんこんとノックした
女の勘がした。この扉の向こう側は自分には不幸しかもたらさない相手だということを。
シャーリィは扉の反対側にある窓から逃げようと、窓を開けた
だがそこには昨日見たもう一人の男がいた、「あっ!」驚いたと同時に海水がかけられた!
シャーリィの身体には毒以外のなんでもない海水が少量とはいえ身体に触れてしまった
身体から力が抜けるようにシャーリィの身体は床に伏した。
そして、扉が壊れる音がシャーリィの耳に入った………動けないシャーリィには、それはどれほどの恐怖であっただろう
海水を浴び、高熱を帯びたシャーリィを二人の兵はギョッとした顔で観察していた
「マジ? ドッキリじゃないよな? 海水かけたら弱ったぜ!?
せっかく拘束しようとして持ってきたロープいらねーじゃん! 演技か? 証拠過多ってやつ?」
「マジだろマジ! モノホンのメルネスだって!
やったな、俺たち昇進するかもしれねーぜ」
「うっひゃあ!!」
二人は手をバンバン合わせて喜ぶと、うつ伏せになって呼吸荒く苦しむシャーリィに目をやった。
これから自分に起こることに関して恐怖を感じたシャーリィは、動かない身体を必死に動かそうとしているが努力空しく・・・
「もちろん本来の趣旨を忘れちゃいけないよな?」
「本来の趣旨ってのは・・・メルネス探しか? それとも強制取調べか?」
「後者。海水浴びて弱る奴は、他にもいるかもしれねえからな。本人が『はいそうです』と認めるまでその身体をいたぶっても不っ可抗力♪」
そういうと、男はシャーリィの身体に圧し掛かった!
「いやぁああああ!!!」
シャーリィの悲鳴が響いた! だがそれは兵士以外の誰の耳にも届かず、波の音との輪唱によって掻き消えた
男たちにとってのそれは自分たちの行動を促成させ、さらに速成する行動にしかならない。
赤子のようにか弱い今のシャーリィの力では男たちの欲望に任せた行動を抑止できず、腕を掴まれ頭の上でがっしりと固定された
「放して! お願いです、放してください!」
懇願するシャーリィを嘲笑うかのように、もう一人の男に服の上から胸を鷲掴みにされた!
「ひゃああぁあ!」
男はムニムニと揉み続け、小さいとはいえ形の整ったシャーリィの胸は一秒たりとも同じ形をとどめていなかった
「いっいたい!! 痛い痛いっ!!」
力一杯掴まれ、シャーリィの胸の膨らみではその痛みをやわらげるには役不足。
舌は海水を浴びていないからか、悲鳴をあげるには事足りた。そしてその悲鳴は皮肉にも更に男を刺激した
服の上からとはいえ、千切るつもりかと疑いたくなる力でつかまれると、シャーリィの頭には痛みだけが届き、
男にはシャーリィの胸を穢しているという征服感とイチモツを大きく硬くさせる効果があった……
ビリィ!!
邪魔な衣服を破りボロ雑巾のように背後へ捨て、ブラジャーを捲り上げた。
桃色の可憐な乳首が空気に触れ、シャーリィはその寒気で男に衣服を剥ぎ取られたと気づいた。
兵の舌と唇が空気と乳首を遮断し、痛みを感じるほど強く吸い付かれた
「ひぅうう…!」
穢れを知らなかった乳首は、男にとって吸いつかれ、啄ばまれ、舌で転がされ………数分後には赤く膨らんでいた。
男は軍服の中ではち切れそうなぐらいに大きくなったイチモツがズボンの内でぎちぎちしていた
二人ともそれを「外に出してぇな」と同時に思い、シャーリィの身体を跨いで二人は話し合った
「ちょっと早いけど、もう頂いちまうか?」
「おいおい、童貞じゃねーんだからそんなにがっつくなって
本番はゆっくりとやっちまえばいいだろ?」
「ピーピー泣き叫ぶからよ、みょ〜にソソるんだ。それに処女膜を破ったら、ど〜んな声を出すか楽しみじゃね?」
シャーリィの腕を掴み押さえつけていた男はその手を離し、ズボンのチャックを開けて自らの欲望のイチモツを外気に晒した
押さえつけなくても、元から身体が動かず逃げることが出来ないシャーリィは何をされるのかよく分からなかった
腕の戒めが解かれたことと胸を弄られるスピードがゆっくりになったことは分かり、
少しの間ほっとした―――そして目線を下げた瞬間、シャーリィの悲鳴が再び響いた
「きゃあああああああああ!!!!!」
目線の先には、男のイチモツが皮が剥けた状態で上を向いていた。
誓って、シャーリィはこれまで男のイチモツを見たことは無い。
親はすぐに死に別れたし、セネルと会った時にはもう性知識はないが見るのも見せるのも恥ずかしい年頃になっていたためだ
いつかは目にすると思っていたものが、想像していなかった状況と想像を遥かに超えるグロテスクな物体だったことに、シャーリィの目から涙が出てきた
(見ちゃった・・不気味すぎるよぉ)
僅か一秒にも満たない時間、シャーリィの眼に映ったイチモツは左に曲がっており、
色は他の皮膚とは違い赤黒く、先端は傘開いたような形をしてビクビク動いていた。
彼女が朝に洗った身体の匂いとはかけ離れたアンモニアの臭いがする
目を瞑ってもそれが瞼の裏に残り、シャーリィに地獄のような気分を味あわせた
身動きも難しい身体で必死に顔を背けることは、兵達を更に欲情させた
「こっち向けよ!」
「いた・・・あぁあ!」
男はシャーリィの三つ網を引っ張り無理矢理顔をあげ、固く膨れたイチモツを擦りつけた。
朝に必死に綺麗にした唇やほんのり桃色の頬、シャンプーの香りのする髪をアンモニア臭で穢した
シャーリィの苦しみの代わりに出る涙すらも、男は潤滑油の役割に変えてイチモツに塗りたくった
「やめ・・や・・・・やめて・・・・
もう・・・おねがいです・・・やめて・・・」
生温かく、イカのような異臭を放つ物体が何度も顔の上を這いずり、
その不気味なその感触によって齎された恐怖によって、シャーリィは壊れたCDのように同じ言葉を繰り返した
それは気が狂いそうなほど必死なことだったのだろう、自分に起きているもう一つの危険に気付かなかった
気がついたらシャーリィは自分の布団の上に横たわっていた。
僅かに布団に残る温かさを感じる暇すらない、顔にある不気味な感触が遠ざかるまでの数分間、シャーリィは枯れる寸前まで涙を流した。
ぱしゃっ!
男はシャーリィの三つ網を離して、もう一度柄杓で海水をかけた。
冷たい海水によって頭の混乱も落ち着いたシャーリィは、そのとき初めてもう一つの異変に気付いた
「あ・・・れ?」
妙に股間がスースーする。それなのに一点だけが火のついたように熱かった
自分の胸を弄んだ兵の手には、自分が先ほど身につけた下着がくしゃくしゃになって握られていた
「か、返し・・・て・・」 哀れむように、シャーリィは本気でお願いした。二人がそんなことを聞くわけが無い
むしろ、必死になるシャーリィに対して笑いがこみ上げてきた
「せっかくだ、今までずっと一緒だった処女がなくなる様を見させてやろうぜ」
「優しいなお前は〜」
二人は合致すると、身動き取れないシャーリィの上半身をおこし、彼女の視線を股間に固定した
「ひゃ・・」
同時に胸も揉み始め、再び苦痛がシャーリィの身体に電気のように流れた。
乳首をつままれ、先端をクリクリと母乳が出る場所を刺激した・・・それがシャーリィには息をするのも辛いほどに感じたが、更に上回る恐怖があった
将来子供を産むであろう神聖な処を見られている恥ずかしさはなく、犯されるという恐怖がシャーリィの思考の全てだった
「や・・・やめてッ!」
絞り出して大きな声を発したときには、既に男のイチモツが、シャーリィの貫かれたことのない割れ目に添えられていた
足がM字に無理矢理開かされ、股関節に鋭い痛みが走るがシャーリィはそれを意に介する余裕すらない
割れ目に沿ってイチモツをすりすりと擦られている不気味な感覚が全てだった
「一気に挿れちまえ」
急かす兵だが、シャーリィは「いや・・・いやぁ・・・」と苦しそうに呟いていた。
彼女と抱きかかえている兵、押し込めようとしている兵の三人の視線は共にシャーリィの股間に集中していた
ズムッ!
「………………………ッッッ!!!!!!!」
亀頭が一気にシャーリィの膣内に抉りこんだッ!
激痛と苦しみがシャーリィの不安と恐怖を上回り、その口からはあまりのショックのために何の言葉も出なかった
肉壁が男のイチモツが入ろうとするのを拒みがっしりと閉じるが、最前線は既に死んで男のイチモツを受け入れていた
「きつゥ〜!!!」
邪魔な処女膜をさっさと取り除いてしまおうと、男はまだ入っていない部分を押し込めようと更に強く打ち付けた。
僅か一ミリ動いてもシャーリィの膣内の膣内のヒダを千切り、更なる激痛を与えている
シャーリィは眼を背けようとしても、ガッチリと男の腕に顔を固定されて強制的に処女喪失………いや、処女強奪の瞬間をまざまざと見せられた
到底入りえない程巨大で左に曲がっているイチモツ、その中でも特に色が濃い亀頭がカサを僅かに残してズブリと埋まっていた。
それだけでシャーリィは一生分苦しむ。自分でも後ろめたさがあり、
触れることすら洗うときと生理のときぐらいの場所に残酷にも男のイチモツが激痛と血と共に少しずつ入ってきている
奥へ進めば進むほどシャーリィの膣内の圧迫と熱が強く、男は最奥へと最後の一突きをした!
イチモツがぷちぷちと何かを引き千切っていくのが分かり、処女膜に守られていた誰も入ったことのないシャーリィの膣内の最奥へと到達した
「ひゃあぁあ!!!!!」
突き入れられると同時にシャーリィは大きく震え、腰がびくびく小さく痙攣し始めた
その瞬間を、シャーリィは穢れのない瞳で見らされた。
シャーリィの顔は男に固定されたまま………最後まで自分の処女が散らされるのを無理矢理見せ付けられた。
「ぁ……ぁあ………」
男のイチモツの横から、破瓜の血が滲み出てくると頭が真っ白になった。
かろうじて動く頭で、ほんの数秒前までは先の部分しか入っていなかった異物が、今は我が物顔で股間を蹂躙していることが分かった
枯れたのか、もう涙が流れなかった。自由が効かない身体で受け入れさせられた。
いくら抵抗しても無駄と知ると、抵抗する気もなくなり大人しくなった………黙っていれば苦しむ必要は無い、あるがままを受け入れてしまおうと・・・
乙女の最後の砦であった処女膜が引き裂かれ、強制的に大人にさせられた瞬間―――――シャーリィは諦めた
海水に濡れ冷えた身体に比べると、男のイチモツを受け入れている股間は殺戮的に熱く、痛い。
想像以上の痛みに何も出来ない、泣き叫ぶことすら無理だった。もう乱暴にしないでほしいことしか望むことは無い。
何を言っても、この男達は聞いてくれない…シャーリィは挿れられるともうどうでもよくなった。
今更引き抜かれても最早戻ってくるものはないのだから・・・数十秒前までの自分とは、完全に違う体になってしまった
ぐったりとうなだれたシャーリィはそれ以降叫ばなくなった。
男のイチモツが直接子宮口に届きそうな激しいピストン運動でも小さく「あ……ぅ………」 と呟くだけで、生命の糸が千切れたように男に全てを委ねていた
ぬちゅ
徐々に愛液が遅れて流れ出し、処女膜が千切れた箇所から滲み出た血と混ざり合った。
「もう押さえる必要はねーな!」
後ろでシャーリィを押さえていた男はシャーリィを放した。
「拘束する必要はもうないか、今だったら何をしても抵抗はねえな」と思った男は、放心したように黙っているシャーリィの小さく開いた口に目をつけた
「ここでも使うか」
言うが早いか、男は自分のイチモツを扱いて更に膨張させて、シャーリィの唇に亀頭を埋めた
シャーリィは驚く様子も無く、生温かくビクビク動く物体があるのを受け入れた。
昨日までは他人の唇すら知らなかった場所なのに、穢れを一度知ってしまうとあっという間だ
もっと入れやすいように口を開く等の協力はしなかったが、男が無理矢理口を開かせてくることを拒む力もない。
舌とは比べ物にならないほど穢れた存在が今、口の中を陵辱しているが抵抗する手立ては無い。
顔を振ることも口を閉じることも歯を立てることも、何もかも海水と穢れに塗れた自分では不可能だ
今のシャーリィは舌も動かない、男は快感を得るためにシャーリィの頬の内側に擦り付けたり、喉の奥まで押し込んだりした。
元々早漏気味のため、男はその程度の刺激でもすぐに射精の気配がしてきた!
うっすらとする意識の中で、シャーリィは自分の口の中にあるイチモツが大きく振るえ、熱い何かを出したことが感じ取れた
普段の彼女だったらどんなことがあってもそれを吐き出していた、決して自分の体の中に吸収してしまうことはなかった。
しかし………髣髴とする意識の中でそれはシャーリィの喉より奥へ流れ込んで行った。
唾液やアイスなどと同じく、自分の養分となっていくと思うと悲しくなる
「けほっ…けほっ」
「ん〜そうやって苦しむ顔は可愛いね♪」
咳き込むシャーリィの顔を見て、男はそういうと、その『可愛い顔』で精液がついて汚れているイチモツを拭いた。
顔のところどころに男の精液がこびり付いたが、それを拭く力すらシャーリィには絞り出せなかった
ぼーっとする頭で、顔の上のところどころに熱く残る精液の汚らわしさを考えていた
男が腰を打ちつける度に痛みは増す―――それなのにシャーリィはときどき思い出したように声をあげるだけで抵抗もしなかった。
「こうやって・・・何にも抵抗しないってのも犯してるって気がしないなオイ」
シャーリィの膣口に数十回に渡って出し入れし、強烈な圧迫感に今にも射精そうになっているのに贅沢を言った。
処女を失ったばかりのシャーリィの膣内は痛いほどに男のイチモツを包み込んでいた。
先ほどまでフェラをさせていた男は、今はシャーリィの小さい胸に自分のイチモツを擦りつけ、
乳首がカリに当たるゾクゾクとした感触や僅かな膨らみによる快感を得ていた
その男は、「いいんじゃね? どんな女だってあんまり犯し続けるとだんまり決め込むじゃん」 といっていた
「それも・・・・そうだな! うっ!
出る…出る出る! 膣内にめっちゃ出るぅ!!」
人形のように揺れるシャーリィの身体を、壊さん勢いで犯し続けた男だったがついに限界が来たようだ!
本来の子作りという役割を果たす最後の仕事としての射精を出すために、男は今まで以上に強く激しく腰を振った!
「・・・・……うおっ…!!」
男の身体が一度大きく動いた後、連動してシャーリィの身体が震えた・・・表情は相変わらずだが、目には再び涙が流れていた
そして同時にシャーリィの体の中へ白い液体が大量に流れ込んだ。
まだ熟したとは言えない未熟な膣内は、全ての精液を受け入れるほどの大きさではなく、入り口の端からトロトロ零し、陰毛を濡らした。
子宮全体を満たしてもなおこぼれるほどの精液を膣内に出されてもシャーリィの顔は変わらなかった―――既にこれ以上ないほど惨めな顔となっているからだ
男は、満足したようにシャーリィの膣からイチモツを抜いた。
再びごぷっと出てくる精液を見て「お〜出た出た、すげぇ量だな。こりゃ孕むかもよ」とシャーリィにも聞こえるように言った
『孕む』の意味が分からないシャーリィでも、その言葉の響きは自分にとって耐えられないような屈辱的なことなのだろうと言う事は
後になって理解した・・・言われた直後には、それすらも頭に入らなかった
膣からイチモツを抜かれて数秒でシャーリィは気絶した。
今まで意識を保っていられたのは、男があまりにも強引に犯したための強烈な痛みや苦しみといったもので、
それが射精という終わりを迎えると共に消えた。僅かに膣に残る痛みは、シャーリィの意識を繋ぎとめるにはあまりにも非力だ。
男たちはメルネスであるシャーリィを運び、軍に連れて行こうと思っていたが、
口や股間が精液で汚れているシャーリィを見ると、この先この女を犯せなくなると考え、勿体無くなった
「いつでも報告できるんだから、飽きるまで毎週休みの日は可愛がらせてもらうか?」
「そうだな。逃亡防止に写真撮っておこうぜ」
「決まりだ!」
もちろん、カメラは数種類を持参している。
兵達は満足しながらシャーリィの股や顔を中心にフィルムが尽きるまでの何十枚も………それだけで写真集が作成できるだけのヘアヌード写真を撮った。
これを現像したときの写真に映っている精液まみれの少女は、自分たちが犯したものと考えたらそれだけでイってしまいそうだ
満足した二人は、「俺たちは優しいんだ、せめてこれぐらいはしてやる」 といってシャーリィに布団をかけて出て行った。
そして、その傍らにはシャーリィのヘアヌード写真とメッセージを残していた
―――そうして、シャーリィの初体験は終わった
翌日
「嫌ァ!!!!
・・・・・!?」
シャーリィは、男に犯された夢で目が覚めた。
間違いなく人生で最悪の目覚めだろう、すぐにシャーリィは昨日起きたことを思い出し、恐る恐る股間を見た。
夢であって欲しい、心の底からそう思った。「宝くじが当たって欲しい」 という願望とは天と地の差があるその思いは、現実の二文字によって崩れ落ちた
トロ…
「そ・・そんな・・・」
夢ではない、破瓜の血と精液が混ざり一夜経った現在も乾かずに残っていた
昨日の災厄の証は股間だけではない。
枕カバーに口や顔から零れた精液が染みこんで異臭を放っていたこと、
しばらく愛用していたお気に入りの服が乱暴に扱われたために一部が破れていたこと、シーツに破瓜の血が染み込んでいたこと
胸が捲り上げられて胸が布団の中で露出していたこと、下着が丸められ布団の横に捨てられていたこと、
朦朧としていたときに口の中に出された精液が喉の奥や頬の内側にねっちょりと粘りつくように残っていること
大分薄れたが、フェラ・顔射・中だしなどが記憶の中にまだ鮮烈に残っていること
様々なことが自分の体に起きたことを示す証拠だ、そして自分の成れの果ての姿が残されていた写真とメッセージは何よりもシャーリィを苦しめた
『もし逃げたり誰かにしゃべれば、この写真をばらまく』
安易というか典型的な脅しだ。単純であるがゆえ効力は強い。シャーリィをどんな手段よりも確実に苦しめられた
脅しの道具もまた、昨日されたことを示したものだ。一夜経って大分記憶が薄れたのにそれを全て呼び戻されたシャーリィは、再び涙が流れた
「痛い・・」
少しでも動くと股間が割れたように痛んだ。
その痛みを堪えて布団から出ると、シャーリィは身体をよろめかせた。昨日の海水の影響がまだ残っているからだ
「お風呂に入ろう………少しでも汚れが落ちてくれればいいけど」
唇とは汚された範囲が違う。どこをどう洗えば少しでも多く汚れが落ちるか分からない。ただ分かることはシャワーで洗うということだけだ
風呂のお湯で自分の体で固まっていた精液が溶けて、湯に溶けるのは避けたかった。そんなお湯で身体が清くなるわけがない
「っぁ!」
膣口に湯がかかると、傷口も同然なその敏感な部位に激痛が走り、シャーリィは顔を歪めた―――それでも穢れを取るために熱いシャワーを浴びた。
身体を洗って、目に見える部分だけでも綺麗にしておいた。しかし、まだ股間に触れるとネバネバした感触が残っている。
ただひたすらシャーリィは妊娠していないことを祈った。
自分はまだ15だ、母親になるにはあまりにも早すぎる。未熟な子宮でまともな子供が育ってくるかどうかも分からない。
なによりも、あんな男達の子供を産むということは死ぬよりも嫌だった
そして、セネルにもこのことは内緒にしていたい。自分がこんなことをされたと知ったらセネルの性格はおそらくヴァーツラフ軍に特攻するだろう
セネル一人で生きて帰ってこれるわけが無い。
バレないように証拠は全て捨てておこうと思った。
精液が染み込んだ服は、お気に入りの服だったが火をつけて燃やした。
破瓜の血がついたシーツも、自分が犯された直後の写真も、精液が染みこんでいた枕カバーも全て焼き捨てた。
どれもこれも、セネルには直接関係のない物ばかりだ、バレることは無いだろう。
(昨日のことは、もう終わったことなんだから前を向いていないとダメだね。うん! 終わり終わり。もう大丈夫)
と、自分の中でレイプされたことは終わらせた。誰にも話す必要はないし、我慢すればいいことなんだと言い聞かせた
その一方で、シャーリィはこの心の苦しみを誰かに打ち明けたかった。
穢された自分の苦しみを少しでも誰かに話して、すっきりさせたかった。
兄以外の誰か、自分の信頼できる人に・・・それは現実には出来ない。彼女が心の許せる存在はセネルだけだ。
姉を始めとする水の民は消息不明―――彼女には、兄しかいない。決してレイプされたことは言わないが、どうしても彼には居て欲しかった
「おにいちゃん・・・早く帰ってきて」
しんと静まっている家の中で、シャーリィは呟いた。
汚されて………三日が経った。
この日はセネルが帰ってくると言う日なのに大時化だった
傘をさすと、骨組みまで飛ばされそうになるような強風であり、船が転覆してもおかしくない悪天候ゆえ、本当なら家でじっとしているべきなのかもしれない
しかし、シャーリィはその中で、少しでも早くセネルに会いたいがためにレインコートを着て海が見渡せる崖の上に立っていた
潮風にすら自分の体には毒だ。雨だけなら大して問題はないが海水の混じったものが触れると徐々に弱っていくのが分かった
立っているのも辛い中、セネルの乗った船の光が見えるのをいまやいまやと待ち望んでいた。
「やっとお兄ちゃんに会える」そう思うとシャーリィは家の中でじっとはしていられなかった
だが、いつまで待っていてもセネルの船は一向に見えなかった。次第にシャーリィにも不安の文字が浮かぶ
「お兄ちゃーーん!」
力の限り大声で叫んだが、その声は誰の耳にも届かず荒波の中で掻き消えた。昨日までの家の静寂感も嫌だが、こんなうるさいのもお断りだ
ザー ザザー ザー ザザー ザー ザー ザー ザー
雨はますます強くなり、海水を含んだ水飛沫もシャーリィに今まで以上に強く激しくかかった
彼女も立つのは限界―――土の上にどしゃっと倒れこんだ。それでも立ち上がる力は残っているから、疲労はあるが耐えられないわけではない。
それでも彼女は健気に待っていた。レインコートで今まで以上にがっしりと構えていればあと一時間ぐらいはこうしていても大丈夫だというのは体が知っていた
死体でセネルを迎えるわけにもいかない、あと30分待っていてもこなかったら、一度家に戻ってお湯をかぶって元の体に戻してからまた来ようと思っていた
シャーリィは、こうやって倒れている最中に海をじーっと見ていた。
荒れ狂う海をずっとずっっと見ていると、自分がいかに滄我に嫌われていたのか考え始めていた
滄我に嫌われたから・・・自分はこうやって海にいることは出来ない身体になっている。
海水をかけられて弱る身体になんかならない、逆に力を貰えるような身体になれていたはずだった
滄我の力があったらレイプなんかされなかった。
三日前の忌まわしい事件は自分の体と心を最低のラインまで穢し、心と身体に一生消えない傷と恐怖、屈辱を刻み付けた
三日経った今でも、毎日の目覚めは二匹の獣が自分の体を犯す悪夢。最悪の目覚めであったそれはいまや日課となってしまった
喉の気持ち悪さはまだ抜けずに飲み物もまともに飲めない。ミルクのように白い液体は見るだけで吐き気がする。
早く生理が来てほしいと毎日望み、以前の月に生理があった日をずっと待っている。
何もしていないのに、男のイチモツが自分の中に挿入されていくことを思い出すこともあった。食事中でもお構いなしに。
荒ぶる海は暴力的な姿から、シャーリィにあの光景を思い出させた。雨水に混じって、シャーリィの涙がつぅと一粒零れ落ちた
穢れた身体では、今後一生滄我に認められることはないだろうと、そんな考えが頭をよぎった。
シャーリィは・・・遠くを見ていた目を下にずらした。
シャーリィのいる崖の下は岩に囲まれ、その中に海水が魔女の大釜の中のように狂っていた。落ちたら絶対に助からないだろう。
「あそこに落ちたら、この苦しみも一緒に消えるかな・・・・・お兄ちゃんもヴァーツラフに追われることはないし・・・・」
心の中でそう思うと、シャーリィの頭の中は真っ黒になった。
よろめいた足取りで崖の先端に立ち、そこでじっとしていた。下を見ても、不思議と怖くなかった。
落ちたら死んでしまうかもしれないのに、海水は自分にとっては毒以外のなんでもないのに。
恐怖は、彼女の中では死んだように麻痺していた。
15の短い人生を終えることに何も後悔はないかのように、一時の感情に身を振り回された。
自殺しようと、シャーリィは犯されたときから考えていた。
認めはしなかったがそれは確かに彼女の頭の片隅にあり、今までは躊躇によって実行されなかっただけだ
しかし、雰囲気の力とは強い。滄我が荒れ狂うように舞い渋く今の天候に、
自分の生きる場所はないと思わせていた―――今の彼女は心の底から死にたいと思っていた。
これから先の人生でどんないいことがあっても、三日前にレイプされた苦しみから逃げられるのだったら死んでも構わなかった。
彼女の唯一の心の支えとなっているセネルも、まだ見えない。
セネルが帰ってくるのを待っている間は、帰ってきたセネルとの会話を想像したりして耐えることが出来た。
だが、そのセネルが帰ってこないという現状で、彼女の希望は断ち切られたも同然――――彼女を止めるものは・・・・・無い。
数分前の考えも、何もかもがシャーリィの頭の中から消えていた。
心が壊れそうだった。
そして……………………彼女は崖から飛び降りた
猛る滄我は、気が狂うほどに冷たかった。
水の民といえどこの冷たさでは長く持たない
数年ぶりに自分の意思で飛び込んだ海水の中は三日前にレイプされたときと似ていた。
自分の意思など捨てられるように激しく動かされ、自由など無かった
だんだん自分の頭と身体が離れていく気がした。
頭の中では恐怖も感じない、疲れたように身体はぐったりとしたままだ
意識も薄れ、苦しいのが当たり前のような錯覚にまで陥った。
今までの出来事がよみがえる走馬灯というのも体験した
姉と暮らしていた時や、セネルが初めて自分達の村に来た時・・・滄我の力を得られずに期待を裏切ってしまった時
セネルが頼れるお兄ちゃんから次第に恋愛の対象になっていった時
村が襲われたときに姉を残してセネルと共に逃げた時、新しい生活をし始めた時
最後に………自分を無理矢理に汚したあの男達の顔が思い出された。
よりによって人生の最後に思い出されてしまうのが、こんなことだった
しばらく海にもまれるとシャーリィはぐったりとしたまま動かなくなった。
一度は拒まれた海に、今度は全て受け渡して何もかも回帰してしまう
自分の存在も記憶も何もかもが海に溶ける――――そのとき、シャーリィの手を何かが掴んで水面へと動いていった
既に気を失っていたシャーリィには分からなかったが、それはセネルだった
「シャーリィ! しっかりしろ!!」
海の中で声に出しても伝わるわけが無い、セネルは無駄に空気を消費してしまったことに気付くと急いで水面に上がった
「シャーリィ! シャーリィ!!」
聞き覚えのある声が、うっすらとした意識の中ではっきりと響いた
待ち望んでいた声だった。死んだと思っていたのに、はっきりと聞こえた。
「・・・おに・・い・・ちゃん・・・?」
「目を覚ましたか!? よかった、一時はどうなるかと心配したんだ」
シャーリィは、あの世に首まで埋まったところだったが助かった。あと少しでも遅れていたらダメだったかもしれない。
目が覚めたときは、自分たちの住んでいる見慣れた小屋だった。海に落ちてからのことは記憶にない。
死に損なったこととセネルが目の前で名前を呼んでくれたことが同時に頭に流れ込み、どうすればいいのか分からなかった
ぼーっとする頭でその場から何もせずにいたら、セネルが話しかけてきた
「今はゆっくり休むんだ、あんまり旨くないけど、お粥作ったからさ」
といってセネルが渡したお粥を見ると、半透明で透き通っていた。
やや白い色をしていて精液を思い出してしまったが、兄の作ってくれたものだから何とか飲み込めそうだった。
どろっとした感覚はやはりシャーリィにとってはあのことを思い出させてしまうが、そんなことをセネルに言えるわけが無い。
「うん、お兄ちゃんの作ってくれたお粥美味しいよ」
作り笑いをして言った。
妹の作り笑いを疑うことなく受け止め、セネルはほっとした様子だ
「無理するなよ。どうかしているぞ、海の中に落ちるなんて。あれほど海は苦手だったろ?」
「少し疲れてたみたい・・・ふらふら〜って、いつの間にか海に落ちちゃってたの」
本当のことなど言えるわけがない。自分もよく覚えていないのだ。
セネルに深い詮索を入れられる前に、こちらから気になっていたことを質問した
「いつ帰ってきたの? ずっと待ってたけど、照明弾もお兄ちゃんの船見えなかったよ」
「ちょっと流されたんだ。こっちに帰ってくる最中にエンジンが壊れててさ、修理しているうちに航路を軽く外れて
・・・・結局、ここから南に500メートルぐらい遠くに座礁した形になったんだ。照明弾も壊れてさ
あの時化だったらしょうがないかな。しばらくは船の修理に時間をかけることになりそうだ」
そしてそこから走って帰ってきたそうだ、いくらシャーリィが海を探していても見えるわけがない。
セネルは少しがっくりした顔をした
「敵を倒すのも、もうちょっとだと思ったんだ
だけど海も荒れたし、けっこう厄介な敵だったから一度出直すことにしたんだ。
金とか名誉よりも、命の方が大切だろ?」
「命の方が大切」。その一言はシャーリィにはかなり贅沢な言葉だ。
少なくともシャーリィは飛び降りたとき命は捨てていた。捨ててもいいと思わせられることを体験したのだから。
だが、セネルの存在は一度死のうと思った彼女には支えであることを再確認した。
自分が汚されたことを知らないから、汚される前と変わらぬ扱いをしてくれる。変に気遣いがない
いつもなら言っているのに、今回はまだ言っていない言葉があった。シャーリィはセネルに微笑んで「お帰り」と言った。
セネルはいつもと変わりなく「ただいま」と返した
シャーリィはそのときレイプされて以来初めて笑ったような気がした
一週間後、シャーリィを慰んだ兵達が再びその目的で来たが、セネルが居たので逆に半殺しにあった。
そのときはシャーリィをメルネスだと思って来たという説明をした。もし本当のことを言ったら、首をコキャされても仕方ない
「もう一度来たり、誰かにここをしゃべってみろ! こんなもんじゃすまないからな!!」
殺気立っているセネルを前にして、男たちは「もう二度と来ねぇよ!!」 と、情けなく帰っていった
船が故障して、しかも一人で直すためセネルはしばらくの間マリントルーパーは休業することにした。
しばらくの間はセネルと一緒にいられることで、次第にシャーリィにも笑顔が戻っていた。そうして前の生活が戻ったと思っていた。
だが、セネルの表情は険しかった
「シャーリィ、急いで引越しの準備をしてくれ。俺は船の修理を終わらせてくる
あいつら、言っていないといいけど、用心に越したことは無いしな」
セネルの予想は当たった。
シャーリィを犯した男達は、シャーリィを犯した直後の写真を仲間に売り、ちょっとした小銭稼ぎをしていたのだが、
それが上司の目に留まり、トリプルカイツ、ヴァーツラフにも届いていた。
メルネスの娘の場所を知っておきながら、それを伝えないばかりか、
死んでもおかしくないようなことをしたことにより、遺跡船や滄我砲を狙っているヴァーツラフの怒りを買い、二人の兵は処刑された。
すぐにヴァーツラフ軍がセネルたちの家を取り囲んだが、既にもぬけの殻となっており、ホタテ一個ありはしなかった
しかし、外にとめてあるはずの船も無いことから、逃げ道は海と分かった。
ヴァーツラフはすぐに自分の軍隊を率いて海に出た
そのころ、セネルたちは途方に暮れていた。
ヴァーツラフの魔の手からは逃れられたが、急ピッチで直したためか、エンジンの調子が悪い。
船は、海の上で孤立していた。
「くそっ!」
叩いても蹴っても、煙も呻りも出なかった。
そのまま数日間、船は海の上を彷徨い続けた・・・
その後、遺跡船にたどり着くことになるとは、彼らは知る由も無かった・・・・・
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