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P.C.さん「結果オーライとはこういうのを言うのでしょうか」 |
89氏(23スレ目) |
プレセア×ロイド |
2006/11/06 |
2006/11/06 |
「……約束……です。私を……置いて行かないで下さい」
「わかってる」
旅の終わりを前に、二人の間で約束が交わされた。
世界中のエクスフィアを回収する旅。
それはとても辛く、険しいものになるかもしれない。
あるいは、一生分の時間を費やしても終わらないかもしれない。
それでも二人でなら、プレセアが一緒ならきっと楽しい旅になる。
クラトスとの決着を控えた夜にロイドは空を見上げ、まだ見ぬ未来に思いを馳せた。
そして不意に、外に出てから随分と時間が経ってしまったことに気づく。
「そろそろ戻らないとな。それじゃプレセア、また明日」
「あ……」
「ん?」
プレセアの顔に焦りが見える。どうしたのかと訝るロイドを上目遣いに見つめるプレセアは、
言いにくそうに口を開いた。
「あの……実はお願いが……」
「お願い?」
プレセアが人に物を頼むことは滅多にない。プレセアに対してどことなく
保護者的な感情を抱いているロイドは、ここぞとばかりに胸を張る。
「プレセアにはいつも世話になってるからな、願い事なんていくらでも聞いてやるよ」
「ありがとうございます。それでは……」
プレセアは一度言葉を切った後、言った。
「今晩……一緒に寝てもいいですか?」
「ああ、いいよ。一緒に……って、ええ!?」
予想の範疇を遙かに外れるプレセアの『お願い』にロイドは目を丸くする。
「あ……嫌ならいいんです。自分でも無理な頼み事だって、わかってますから……」
「いや、そんなことは……」
申し訳なさそうにするプレセアを見て、ロイドは落ち着きを取り戻す。
別に不自然な願いだとは思わない。ロイドにとってのプレセアはまだ12歳の少女、人肌が恋しいのは当然であり、
またそうした甘えを見せてくれるほどに気を許してくれたことは素直に嬉しい。
「ごめん、いきなりだったから驚いちゃってさ……もちろん構わないよ、今夜は一緒に寝よう」
「あ……はい!」
プレセアは、それまでの気落ちした顔から一転、とびきりの笑顔をロイドに見せた。
「とは言ったものの……」
ロイドは自分の部屋のベッドを見て問題の難しさに気づく。
宿におけるロイドの部屋は個室、用意されているベッドは当然1つだけだった。
もちろんダブルベッドなどではなく、人一人が寝られるだけのスペースしかない。
「かなり狭くなるな、プレセアも狭いのは嫌だろ?」
「いえ、私はロイドさんさえ良ければ……」
かすかにプレセアが顔が赤くなる。が、ロイドはそれに気づかない。
「そっか、じゃあちょっと窮屈だけど、我慢してくれよ」
そう言って布団に潜り込むロイド。
「あ……」
「どうした、プレセア?」
「いえ……」
同じく、もそもそと布団に潜り込むプレセア。
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
部屋の明かりを消し、二人は早々に目を閉じた。
明日は大事な日、これ以上夜更かしはできない。
できないのだが……
「…………」
こんな状況では到底眠れる筈もなく、ロイドは必死で眠りにつこうと努力していた。
(ノイシュが22匹……ノイシュが23匹……ノイシュが24匹……ああ、エサ代が……)
脳内でひしめくノイシュの群れに苦悶の表情を浮かべるロイド。一方プレセアは……
(ロイドさん、辛そうな顔してる……やっぱり迷惑だったんだ……)
薄目でロイドの顔を見て後悔し、しかし今さらベッドを出る気にもなれなかったプレセアはロイドから
わずかに身を離した。こんなことでロイドの気が休まるとも思えなかったが、せめて少しでも多くの空間を
本来のベッドの主に返したいという消極的な心遣いだった。
しかし、元々距離を取って寝るなどという贅沢ができるほどベッドの大きさに余裕はなく……
「きゃっ!?」
プレセアの身体を支えていた力が消失する。
ベッドの端に寄りすぎたプレセアの身体は、そのままベッドの脇に転げ落ち……
「大丈夫かプレセア!?」
「あ……」
気がつけば、ロイドの腕がプレセアの身体を支えていた。
そしてロイドは、そのままプレセアを自分の方に抱き寄せる。
「────ッ!?」
「あんまり端によると落ちちゃうからさ、もっと寄らないと」
暗闇で見えないが、プレセアの顔は先ほどよりもさらに赤くなっている。
ロイドはそんなプレセアに対しヘラヘラとした笑みを見せる。
「寝返りでも打ったのか? 意外とそそっかしいなあ」
「…………」
違う、とは言い出せない雰囲気に飲まれてしまったプレセアは、その恥辱を甘んじて受けた。
「あ……でもこれじゃくっつきすぎか、もう少し……」
「せめて今だけは……」
「え?」
「いえ……このままでお願いします……」
「? まあ、また落ちたら大変だしな」
いつもとは違うプレセアの態度にロイドは疑問を感じるが、それを口には出さなかった。
なにより、腕の中で小さくなっているプレセアの感触は手放すにはあまりにも魅力的だった。
プレセアは妹みたいなもの、妹と一緒に寝るのに緊張する兄がどこにいる?
そう思うと心は軽くなり、ロイドはプレセアを抱えたまま緊張を解きほぐすことに成功する。
ほどなくして、ロイドは規則正しい寝息を立て始めた。
「…………」
しかし、プレセアに眠気は訪れない。
ロイドの胸板に顔を埋め、まるでなにかを待つようにしてじっと息を殺している。
「……ロイドさん、起きてますか?」
プレセアは小声で話しかけるが、返ってきたのは寝息だけだった。
「寝てるん……ですね」
プレセアの声色が沈む。
夜の散歩に誘い出し、こうしてロイドのベッドに潜り込むまでの間にプレセアは
途方もない勇気と決意を奮ってきた。
おかげで自分達の間柄はとても親しいものになったと、そう実感している。
しかしそれは、プレセアの望んだものとは若干異なっているようだった。
大事な戦いを前に、一組の男女が同衾する。
これでなにも起こらないというのはむしろ不自然ではないだろうか?
しかしその不自然な展開はプレセアの考え得るもっとも高い可能性の具現であり、
また彼女をもっとも落胆させる未来の姿でもあった。
すなわち──
「ここまでしてなにもないということは、私は本当に女性として見られていないということなんですね……」
特定の誰かに好意を抱いているわけではないことは、以前、ロイド本人の口から聞いていた。
コレットは幼馴染み、しいなは親友、リフィルは先生、プレセアは妹。
それを聞いた時はいかにもロイドらしい答えだと苦笑していたが、あれから時間が経ち、
ロイドに対する好意が募ってくると逆に笑えなくなってきた。
一番可能性がありそうなコレットとの関係が進展がなかったことは(コレットには申し訳ないが)幸いだった。
しかし裏を返せば、コレットですらロイドの気持ちを自分に向けさせることには成功していないということになる。
それをコレットのような明るさも、しいなのようなスタイルも、リフィルのような美貌も持たない自分が
どうにかできるとは思えない。
それでも諦めずにここまで来れたのは、彼女自身にとっては僥倖とも言える成果だった。
申し出た結果とは言えロイドによって寝所に招かれた時、プレセアの内心は不安と期待で一杯だった。
もしかしたら、もしかしたらロイドさんは自分を選んでくれたのかもしれない。
しかし、その期待はものの見事に裏切られたのだった。
苦節28年、未だ女として花開けず。
「でも……まだチャンスはある。この戦いが終わったら、私はロイドさんと一緒に旅をする。
そうなれば……機会はいくらでも……」
意気消沈はしたけれど、まだまだ諦めの境地は遠い。
ロイドから学んだ諦めの悪さが今はプレセアの力になっている。
それに、なんだかんだ言ってこの状況は結構おいしい。
今日のところは自分の頑張りを称えるに留め、プレセアは静かに目を閉じた。
「おやすみなさい、ロイドさん……」
無意識に漏らした声。プレセア自身はなんの返事も期待していなかったのだが……
「んん〜……」
ロイドの口からうめき声が漏れる。まさか起きたのかと目を開けるプレセアだったが、どうやらその気配はない。
実際はただ寝ぼけて、ほんの少し腕を動かしただけだった。しかし……
「あっ!?」
ロイドの腕がプレセアの胸をかすめた。不意の刺激にプレセアの口から声が漏れる。
「ロイドさん……寝ているんですよね?」
「…………」
今度も返事はない。と言うより、仮に起きていたとしてもロイドがこんなことをするとは考えにくい。
ならば、やはり寝ているということだろう。
それはプレセアも承知の上だった。先の言葉はむしろ確認の意味合いが強い。
なにしろ、「起きていては困る」と彼女の中の誰かがつぶやいているのだから。
さらにその声はこう続ける。
このまま寝てしまうのはあまりにも惜しい。もう少しだけこの時間を楽しんでもいいのではないか?
「ロイドさん……」
プレセアの中に正体不明の感情がわき上がる。
心臓が早鐘を打ち、五感が研ぎ澄まされ、熱いほど顔が火照っているのに、頭の中は奇妙なほど冷静だった。
初めて味わう感覚。しかし、決して悪い気はしない。
「ん……」
プレセアはロイドの手を引き寄せると、それを自分の胸元に置いた。
「ロイドさん……私の胸、ドキドキしてるの……わかりますか?」
ささやくような声でロイドに問いかける。いや、これは独り言と言うべきか。
声には起こそうとする意志が欠片もないのだから。
「ロイドさんは……不思議な人です。あなたの傍にいると、いろんな感情が芽生えてくる。
空虚だった私の心が満たされていく……」
ロイドの腕を握る力が強まる。
「時間を奪われた怒りも、少しずつ消えていくのがわかります。失った物はあまりにも大きいけれど、
なにも失わなかったらきっと……こうしてあなたと身を寄せ合うことも、なかったから……」
プレセアは自分の服を捲り上げると、服と肌の隙間にロイドの手を滑りこませた。
「んく……私は、ロイドさんをもっと身近に感じたい。ロイドさんの温もりを感じたい。
私の温もりを、感じてほしい……」
ロイドの手がプレセアの乳房を撫でる。
「はぁ……ロイドさんの手、ごつごつして気持ちいいです……」
おそらく誰も見たことのない、恍惚とした表情を浮かべるプレセア。
いけないことだとわかっていても、いやわかっているからこそこの行為には得も言えぬ甘美さがある。
ロイドの手はプレセアの胸を押しこみ、時に円を描くようになで、プレセアが望む場所を這い回った。
「ふ……あ……」
プレセアの精神が昂ぶる。
ロイドの指によって固くなった乳首がはじかれ、その度にプレセアの脳を電気が走る。
「あん……ロイドさんが……ロイドさんの手が、こんなことを……」
日頃の疲れが出ているのか、元々の体質からか、ロイドの眠りは深く、まったく起きる気配がない。
それを鋭敏な注意力で悟ったプレセアはさらに大胆な行動に出た。
「ん……」
チュ……
家族以外との、初めてのキス。事実だけを見ればただ唇が触れ合うだけの行為でしかないが、
それはプレセアの中にあったなにかを芯までとろけさせた。
「んん……ちゅ……はぁ……ちゅう……」
夢中になってロイドの唇に吸いつくプレセア。
それを数分も続けた頃、プレセアは自分の股間にむず痒いような感触を覚えた。
「……?」
なにごとかと手を伸ばし、スパッツ越しに触れてみる。
「……え!?」
プレセアは、そこがかすかな湿り気を帯びていることに気づく。
すぐさまショーツの中に手を入れると、強い刺激と共にヌメヌメした触感が伝わってきた。
「これは……ひょっとして……」
女性の秘部は性的快感によって濡れる。
おぼろげな性知識であり、具体的にどういうことなのか今まで判然としなかったが、これでようやく理解できた。
しかし胸を触られ、キスをしただけでこうなったことを思うとプレセアは顔から湯気が出るほどの羞恥心に苛まれる。
とは言えこうなると話は早い。今のプレセアは自制心も、罪の意識も麻痺している。
プレセアは邪魔なスパッツとショーツをまとめて膝上まで下げた。
「ロイドさん、ごめんなさい……」
ロイドの腕を胸から離し、今度は股の間に差し入れる。
「ん……くぅ……!」
ロイドの指先がプレセアの秘裂をひっかいた。
途端、自分の指で触った時の何倍もの快感がプレセアを襲う。
「は……うぅ……ロイドさんの指……こすれてる……こんなの、初めて……」
ロイドの手を数度往復させると、そこからクチュクチュといった水音が響くようになる。
「あぅ……ロイドさんは……こんな私にも優しくしてくれたのに……
それなのに……私はロイドさんの気持ちを無視してこんなことをっ……!」
罪悪感が背徳感を生み、背徳感が快感に昇華される。
「く……うぅん……!」
プレセアはロイドの手を股に挟み、腰を前後させて擦りつけ始める。
「あぁ……!」
ロイドの手による愛撫、さらに時折ロイドの手がピクピクと蠢いて、プレセアをさらなる高みに導く。
やがて堪えきれなくなったプレセアは、空いた手でロイドの身体にしがみつく。
「あ……?」
プレセアの膝に固い物が当たる。
それがロイドの股間であることに気づいた時、またしてもプレセアの性知識が紐解かれる。
プレセアはロイドの寝顔を見、次のその股間を見て、目をとろんと潤ませる。
「ロイドさん……寝ているのに……興奮しているんですか……?
ごめんなさい……私ばっかり……」
プレセアはなんの躊躇いもなくロイドのズボンに手を入れると、その中にある固い棒に手を触れた。
「これがロイドさんの……熱くて……それに太い……」
起きるかもしれない、という思考はすでにない。プレセアは手にした肉の棒を慈しむようになで回す。
そうしている間も腰の動きは止まらず、すでにシーツには大きなシミができ上がっていた。
「ふ……うっく……ロ、ロイ……さ……あっ……!」
口元から垂れる涎も拭わず、プレセアはロイドの寝顔を見ながら一心不乱に快楽を貪る。
「ごめんなさい……ロイドさんも私みたいな女、嫌ですよね……?
こんな非道いことをする、異常な女……でも、私は……んっ!」
プレセアの腰を振る動きが速くなる。それに合わせるように口元から漏れる呼吸の間隔が次第に短くなる。
「私はあなたが……あなたのことがあ! も……ダメ……ダメです……ロイドォ……!」
身体の内側から突き上げてくるなにかを感じ、プレセアは最後のスパートをかける。
「ん〜?」
その時、ロイドが再び身じろぎをした。プレセアによって拘束された手が蠢き、指先が表層から内部へ侵入した。
「ふあっ!?」
ほんのわずかの挿入、しかしそれはプレセアにとって最後の一手に等しかった。
プレセアはとっさにシーツを噛みしめる。
「────ッ!!」
部屋全体に無音の悲鳴が響き渡った。
ビクンビクンと身体全体を大きく痙攣させながら、プレセアは荒れ狂う快楽の奔流に耐え続ける。
片手はロイドの背に回され、片手はロイドの男根を握り、両脚はロイドの手を挟み、
そうして必死にロイドにしがみついたプレセアがようやく身体を弛緩させたのは、
それからしばらく経ってのことだった。
「ふうっ……ふうっ……ふうっ……」
絶頂が過ぎ去り、猛烈な脱力感と快楽の余韻に浸されたプレセアはシーツを口から離して、仰向けに寝転がった。
「はぁ……はぁ……はぁー……」
やっちゃった……。
今のプレセアの心境を一言で表現するならそんなところだろうか。
欲望を発散し、一度冷静になると凄まじい罪悪感が押し寄せてくる。
「私は……最低です。こんな最低な人間……生きてる価値もありません……」
先刻とは一転、後ろ向きな気持ちに飲まれていくプレセア。
だが、不意に自分の手に違和感を感じるとその思考も中断された。
「これは……?」
ロイドの男性器を握っていた手、そこにはなぜか異様な臭いを放つ粘ついた液体が付着していた。
「ロイドさん……まさか……」
いや、まさかということはない。これほどのことをしたのだからむしろ当然と言うべきか。
ロイドの顔は相変わらずの寝顔……ではなく、目蓋に必要以上の力がこめられていた。
「…………」
「…………」
その後、二人がどんなやり取りを交わしたのかは定かではない。
ただ翌日、昨夜のことを二人だけの秘密にすることで合意したらしいが
宿屋の主人にシーツが汚れていたことを指摘されて、速攻で仲間内にバレたとか。
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