総合トップ>SS一覧>SS No.6-004
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作品発表日 |
作品保管日 |
ふたつの想い―キルメル編― |
ケン氏 |
キール×メルディ |
2006/08/26 |
2006/08/28 |
その日は、旅の途中、久し振りに宿をに訪れたときのことだった。
月明かりが辺りを支配して数刻が経った頃、割り当てられた部屋で一人、部屋から出て行く影。
静寂が包み込む中、深緑のややくせっ毛のあるおかっぱの少女――ファラは、誰にも気が付かれぬよう、静かに部屋を後にした。
―――はずだった
「ん・・・ファラ?」
眠りが浅かったのだろう。部屋の扉を閉めた僅かな音に反応し、くるまっていた布団からもぞもぞと体を起こす。
「おトイレか・・・?」
それならそれで問題はない。
おろしている淡い紫色の髪の先を指で持て遊びながら、メルディはファラの帰りを待った。
しかし、半刻程待っても、ファラが部屋に戻って来る気配が感じられなかった。
紫色のフワフワの髪の少女は、自分の身を守る体術は持ち合わせていない。
だから、夜な夜な一人で出歩くなと仲間からくどいように言われていた。晶霊術師の彼女には隙が有りすぎるからだ。
それでも、それでも。
「捜しに行くくらいなら・・・いいよな?」
同じベッドの台で眠る小さな小動物を優しく撫で、メルディは部屋を後にした。
□ ◆ ■ ◇
メルディは部屋を出てすぐ、ファラを見つけた。
男女別に部屋を借りていたため、もしかしたらと思い、仲間の部屋に訪れたのだ。
気付かれぬように音を立てずゆっくりと扉を開ける。部屋の中の者たちは、メルディの存在に気が付いていないようだ。
(・・・リッドがファラ、二人でナニやってるか?)
彼女から見ても不可解な行動。
扉の隙間からはあまり見えないが、ベッドの上で、赤毛の髪の少年――リッドが、ファラに覆い被さっているように見えた。
「やっ・・・ん!リッドぉ・・・いいのぉ・・気もち、いぃのぉ!」
メルディが見ているのも知らず、リッドの腰が激しく揺れる。その動きに合わせて、ファラの甘い嬌声が部屋に響きわたった。
(な、ナニか?・・・これ・・・)
自分の知らない二人の行為に驚きながら、メルディは物音を立てずにその場に力無く座り込んだ。
動機が激しくなってきたことにも気が付かず、メルディは呆然と二人の行為眺めていた。
(えっ?)
ふと、後ろからの気配を感じると、気が付けば口を塞がれ、次にはズルズルと引かれるようにその場を後にした。
□ ◆ ■ ◇
(だ、ダレか・・・?)
半ば抱き寄せられた体制のまま、有無も言わずに部屋まで戻されると、腕で覆われていたの口が解放された。
何かを察知したのか、メルディのベッドで寝ていたはずのクィッキーの姿はない。
窓から差し込んだ月明かりで認めたキールの姿。
「はぁ・・・お前、あんなところで何やってたんだよ」
「あ・・・えっと・・・」
真正面に向かい、少し怒っているようで呆れている声を向けられ慌てて言葉を返す。
「ファラがな、部屋からいなくなって・・ゼンゼン戻って来なかった・・・捜したよ。そしたら・・・ファラがリッドとナニかしてて、気になって・・・」
「だからって見ても良いものでは無いことくらい判るだろう?!」
「だって・・・ホントにナニかわからなかったな・・・キールはナニかわかったか?」
「そ、それは・・・」
問いつめていた立場のキールは、逆に問いつめられる側に回る。ぐるぐると回る思考を整頓させながらひたすらに考え込んだ。
(と言うか、こいつあの二人の行為を見ても判らなかったのか?い、いや、こいつにそんなものが判るわけがない!
その前に、そんなことをぼく以外の・・・奴に訊いたりしないだろうな?!)
「なぁ、キールぅ。さっきのナニか教えてな」
「んなっ!・・・お、教えられるわけないだろ!」
「なんでかぁ〜!メルディ、今、キールが教えてホシイよぅ」
めまぐるしい思考の中、甘えた声が聴こえた。もはや、逃げる術はないようだ。
(あぁ・・・もぅ、こいつは!)
「キー・・・んっ?!」
彼女から発せられる名前を遮断するように、キールは噛みつくように唇を重ねた。
口付け自体は初めてではない。互いの想いを通じ合って、数えきれるくらいしかしてはいないけれど。
いつもの優しいものとは程遠く濃厚な口づけ。それでも辞めて欲しいとは思わない。互いの唇が離れても、また直ぐに口付ける。
キールがメルディを解放すると同時に、力をなくした体が、くたりと彼に崩れ落ちた。
「すまない」
「はぁ・・・ナゼ、アヤマルか?」
「いや、その・・・」
「メルディ、キールとなら・・・いいよ」
「メルディ・・・」
自分の腕の中で、紅潮した頬で哀願されるかたちとなったキールは、理性が吹き飛びそうになる思いがした。
□ ◆ ■ ◇
「ひゃあ、あっ・・・んん」
まだ幼い雰囲気を残す少女は、ベッドに座っている長身の少年の胸板に背中を預け膝の上に腰を降ろし、
ただただ、茂みにうごめく、白くて大きな長い指に合わせて声をあげる。
「あ・・あっ・ん・・・き、るぅ、あっ・・・」
キールは、左手をベッドにつけ、右手を彼女の足の付け根へと指を伸ばした。
「んっ、そこっ、いい・・あん!」
彼女の声に合わせ、徐々に大きくなっていく自分の欲望を耐えているのは、もはや男としてのプライドだけ。
彼女を押し倒し、今すぐその両足を押し開いて、中で果ててしまいたいという衝動に駆られる。
それでも。自分が求めている少女がおそらく初めてであろうため、傷つけたくないという想いで先の行為に進めないでいる。
―――そんなキールの思考を前に進めたのは、他ならぬメルディの言葉だった。
「キー・・ルぅ、もっと、して・・・な」
自分の中でうごめくキールの指に与えられる快感に耐えきれず、途切れ途切れに声を漏らす。
その言葉を合図にして、キールはそっと少女を押し倒した。
□ ◆ ■ ◇
ベッドに押し倒した少女に覆い被さると、暗闇の中ほのかに淡い光を放つエラーラにキスを落とす。
そしてそのまま紅潮した頬に唇をずらしていき、もう一度その桜色の唇に触れた。幾度も角度を変えながら口づけを交わす。
「メルディ・・・」
「ふ、はぁ・・・キールぅ」
まるで、愛おしいと言い合うかのように互いの名前を呼び合う。
キールはそのまま下腹部に指を移動させると、先程の愛撫で濡れぼそったメルディの秘洞に触れた。
「んっ・・・!」
全身がピクンと揺れる。どうやら、彼を受け入れる準備はすでに整っているようだ。
キールがメルディを貫くと、華奢な体が弓なりになり、苦痛で顔をしかめているのがよくわかった。
「力、抜け。大丈夫だ」
「ん・・・く、ん」
キールは耳元で安心させるように声を紡ぐと、応えるようにぎゅっと抱き締めてくる。
内側からの痛みに耐えきれず、メルディは彼の背中に爪を立てて必死になって耐えた。
「まだ痛いか?」
「ん、ダイジョウブ・・・」
心配かけぬよう作り笑いを浮かべるもののその表情はあまりにも痛々しい。
だが、今更やめるわけにもいかない。けなげに応えるメルディに長期の苦痛を与えるわけにはいかない。
そう考えたキールは、メルディの中でゆっくりと反復し始めた。
「ん、くっ、んんん」
時々、痛そうに眉をしかめる表情が、キールの思考を焦らせる。
微妙な体の反応と洩れる声で、感度の高いポイントを捜す。
「ふ、あっ?!あ、ひぁ、ゃあ」
(―――!?・・・ここなのか)
すると、先程まで苦痛の声しか洩らさなかった口から、明らかに快楽の声が洩れ始める。
キールがそのポイントを中心に突き始めると、メルディの表情が変化していた。
明らかに感じている。瞳を閉じて、必死に襲い狂う悦楽に耐えていた。
「ひゃっあ・・・!すごっ・・・な、んか、ヘンだ、よぉ」
「あ、くっ・・・!」
しかし、快楽に震えているのは彼女だけではない。キールもだ。ちぎれそうになる感覚とはこのようなことを言うのだろう。
きつく締め付けてくる秘洞が彼の快感をよりいっそうに膨らませる。
「きもち、いぃよぉ!キールぅ」
淫らな音と嬌声が、限界を訴えている。
「んっ!メル、ディ・・・も、ふぁぁ――!」
「く、はっ!」
一際高く鳴いたメルディに誘われるかのように、キールの意識も頂点に達した。
一足早く眠りこけた少女を抱き締めると、エラーラに軽く口付けを落とす。
そして、あとを追うようにしてキールも意識を飛ばした。
――翌朝
行き場をなくしたクィッキーが、メルディに発見されるまで窓の外で丸まっていたのは言うまでもない。
終(われ)
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