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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
子作りテイルズ 584氏(22スレ目) ルーク×ナタリア 2006/07/24 2006/08/07

「ルーク、あなたとわたくしで世継ぎをつくりましょう」
 ナタリアがとても真面目な顔をして変なことを言った。
 よくわからないが変なことを言った。そういえば俺を部屋に招き入れたときからなんだかナタリアは様子が変だった。
 話があるから部屋に来いと俺を呼び出すときもナタリアは様子が変だった。
 自分でケテルブルクのホテルに泊まりたいと提案しておきながらこいつの様子は変だった。
 そういえば最近ナタリアは挙動不審でなんだか変な感じだった。
 だから当然ナタリアはこの話を切り出すときもおかしくて変で、部屋に入ってきた俺を椅子に座らせるなり飲み物を二つ用意して、
 テーブルを挟んだ正面の椅子へ座り俺と向かい合い、しかしそれからというものすっかり黙り込んでしまったのだった。
 視線をきょろきょろと壁なり天井なりへと走らせ、消え入りそうな声で何かを言い出そうとしては止め、何かを言い出そうとしては止めていた。
 俺がカップに入った紅茶を全て飲み干すと、ナタリアは口を付けていない自分の分を俺に渡してからまた黙り込んだ。
 それも飲み終えると今度はおかわりを淹れて用意しそれを俺に飲むよう促したが、
 いいかげん俺も水分過剰摂取気味だったしもう夜も遅くて眠かったので、何か用があるなら言ってみろよとなるべく優しげに聴こえるよう言ってみた。
 どうやらナタリアはそれで決心がついたみたいで、手を胸の前で合わせもじもじしながら
 「まこと言いにくいことなのですが……」と本当に言いにくそうに言葉を繋いだ。
 その様子がまったくナタリアらしくなくて笑えるという意味でおかしかったが、
 ナタリアのおかしさは俺の予想していたおかしさをさらにぶっ飛ばしておかしかった。
「俺達で子供をつくるだって……?」
 俺は混乱した。ナタリアの頭のネジが数本外れてないかどうか心配した。
 ……なあお前、顔が赤いし熱でもあるんじゃないの。なんか最近様子がおかしかったけど俺でよかったら相談に乗るよ。
 俺バカだし世間知らずだけどお前の悩みを訊くぐらいならできるからさ。
「で、ですから今こうして思っていることを告白しているのでしょう」
「そうか……」
 ナタリア……ごめん、やっぱり俺バカだからわからないよ。俺は劣化レプリカだから、お前が何を言っているのかわからないよ。
 思考停止が俺の専売特許だから全然わからないよ。見てみたガールの考えていることはまったくわからないよ。

「ルーク? 訊いていまして?」
 俺が思考停止していると、いつしかナタリアが上目がちになって俺の顔を覗き込んでいた。
 その突然の急接近に俺は驚いたが、椅子に座っているため後退することも
 横に飛んでかわすこともフリーランで背後に回り込むこともできずナタリアと目が合ってしまった。
 こうして見ると、目の前にある見慣れた顔は小さくて存外可愛らしく、
 潤んだ瞳や柔らかそうな唇を見ているとなんだかまんざらでもない気持ちにならなくも――
「し、しっかり訊いてるよ。ちゃんと考えてるよ」
 俺は頭を振って雑念を追いやり、伏線も盛り上がりもドラマも何もない唐突なナタリアの告白に対してどう答えればいいのか考えることにした。
 夜中に部屋へ呼び出す? 子供をつくる? つまりナタリアは俺のことが好き?
 いやいやそれはない。許婚だけどそれはない。必ずしもないとは言えないけど必ずしもあるともいえない。
 だからきっとナタリアは混乱しているんだ。悪いモノでも拾って食べたに違いない。
 俺は深呼吸でなんとか心を落ち着かせてから、しどろもどろに身振り手振りで説得を試みた。
「その、なんだ……お前はアッシュが好きなんだろ。たしかに俺はあいつと似たようなものなのかもしれないけどよ、
 そういうのってこれまで二人が共有してきた思い出とか記憶とかが大事だろ。
 まぁたしかにアッシュはどこで何してるかわからないから、お、お前の気持ちもわからないでもないけどさ……
 なんだったら繋がったラインからあいつを呼び出せるかどうか試してみるからさ。俺頑張るからさ。不人気だからってあんまりヤケになるなよな」
「ち、違いますわ。これは別に好きだ惚れたの話ではなくて……ああ、なんて言ったらいいのか。……そうですわ」
 これはもっとシリアスな話なのだとナタリアは言った。よくわからなかったが俺はとりあえず頷いてから姿勢を正してみた。
 思考をシリアスな感じに切り替えようと努めた。これからたぶんえろい展開になるので
 シリアスで固くて難しい淫語を連発できる様、語り口が三人称になるよう努めた。

*       *        *

 それが強化タルタロスで地殻の傍まで行ったりした少し後の話だった。
 それからケテルブルクホテルの一室、長い台詞がしずしずと始まった。
 下記URLにその少し長くなってしまった前振り、つまりキムラスカランバルディア王国ファブレ伯爵嫡男、
 ルーク・フォン・ファブレの別段読まなくても支障のない栄光と挫折がhを抜いて置いてあるのだった。つまりリンク先はエロ無しだった。
 ttp://sspool.xxxxxxxx.jp/kodukuri.htm

 リンク先で述べられたナタリアの話は要約するといつ死ぬかわからないから二人で子供を作っておこうという類のものだった。
 その長台詞をルークは斜め読みしつつ深く考えずに了承した。
 しかしそれからどうやってすればいいかわからなかったので、二人は預言《スコア》を頼りに子作りすることにしたのだった。
 二人は失敗を経て預言通りに迷走を続けた。
 そしてここからが外殻大地を降下させたりするちょっと前の話だった。

*       *        *

 閑話休題。
 上記の経緯を経て、以前と同じくケテルブルクホテル個室。
 色々な宿の寝所で行為に及びながらも悉く失敗してきた二人だったが、
 やはりケテルブルクホテルがそういった事には一番適しているのではないかという結論に辿りついた。
 何しろ枕投げをしても回避スペースが余りあるくらいに広い。
 それに室内にはゆったり湯浴みできるバスルームがあり、
 個室だからドアに鍵さえ閉めておけばうっかりばったり誰かと鉢合わせするなんていうハプニングも起きない。
 室内の壁は厚くて隣接した部屋や階下に声が漏れてしまう心配もないから安心だ。
 だが他の宿ではこうはいかない。余所ではいつも危険と隣り合わせだった。
 元々人目から隠れての密会なため、こうして夜二人が会っていることを誰かに知られてしまってはいけない。
 正規ルートにはないので誰かに知られてしまってはいけない。
 二人がこうして夜中会っていることは混み入った国家問題であり、
 彼らがこれまで頑張って築き上げてきたパーティ関係――つまり人間の基本的尊厳に関わる重要な内密機密事項であり、誰かにバレてしまうわけにはいかなかった。
 だから店主が部屋のことは気にするなと言うような場所では駄目であり、ましてや相部屋なんていうのは論外であり、つまり安宿では心がざわざわして何処か落ち着かないのだった。
 そういった様々な要因を考慮に入れ、目的を果たすためにはガルドをケチってはいけないという結論に二人は辿り着いたのだった。
 しかし――だがしかし、現実というものは得てして厳しかった。現実という名の荒波は時として残酷な事実を突きつける。
 彼ら二人は共に貴族、それも王族というマグロの中でも大トロのような家柄の出だったが、
 今現在の彼らは何かと世を忍び身分を隠しているため、財布の中身にはどうしようもなく限りがあるのだった。
 つまり旅先で稼いだガルドしか持ち合わせがなかった。最近大きな買い物をしたため私財は残り少なかった。
 実を言うとケセドニアで半ば詐欺の品ドラゴンキラーを一桁値段を見間違えてつい買ってしまったためお金が全然なかった。

 それは金銭の機微に疎い初心者や貴族にはありがちなミスといえたが、事ここに至っては大きな痛手だった。
 些細なミスだったが有限だったチャンスがさらに絞られてしまった。
 事態は二階の窓からパラライボトルを数滴垂らしてもらって、下にいる自分がそれを口から飲み込み痺れ状態から回復するぐらい難解になってしまった。
 ……まったく微妙な剣を高値で店頭に並べておくなよなと彼は思った。まったくもう酷い話もあったものだと彼は思った。
 ああ、まったくもう自分で自分が嫌になる――
「――くどいっ!」
「……ルーク?」
「あ……いや何でもない。ただの気のせいだった」
 頼りない照明の元、二人は寝台に隣り合って腰掛けていた。
 取り留めなく浮かんだ雑念を打ち払うようにルークは頭を振った。
 気のせいでない回りくどい現状報告は収めてそろそろ本気で行かせて貰うとルークは覚悟を決めた。
 ホテル室内は控えめな明かりのみで薄暗かったが、もうそれにも目が慣れていたので横に目をやれば隣に座っているナタリアの表情はしっかりと見て取れた。
 彼女は肩に力を入れて国のため民のため使命に燃えているように見えた。俯きがちでどうやら緊張しているようにも見えた。
 なんだか丸くなって隣にいる彼女の身体は気のせいか小さく見えた。
「…………」
「…………」
 今回は趣向を変えて服を脱がすところから始めるという予定だった。
 これまでは了承を得てから後ろを振り返ると衣類を身に着けていない相手が佇んでいるというシュチュエーションだった。
 しかし、そろそろお互い少しだけ慣れてきたので着衣の状態から始めてみることにした。預言《スコア》にも脱ぎかけの方が何かといいと書いてあった。
 失敗続きの現状を打破するためこれまでとは違うやり方に挑戦してみることにしたのだった。預言はすっかり二人の行為を手助けする手ほどき本になっていた。
 ルークは心の中で小さく決意をしてから、まずは隣にいるナタリアに近づいて身を寄せてみた。
 互いの肩が触れると、二人の間にある緊張の糸がより一層張り詰めたような気がした。

 黙ったまま回り込んで、寝台に腰掛けているナタリアを後ろから抱きすくめた。
 目の前にある彼女の細い左肩にルークは顎を載せ、腕を回して身体を密着させる。
 腕の中にある身体は華奢な割にふかふかと柔らかく、抱き心地がよかった。
 耳を澄ませると息を吐き出す音が聴こえ、それに応じて彼女の胸が上下する様子を感じる。
 呼吸の度に金砂のような髪が揺れてルークの右頬をくすぐった。
「……これはこれで」ナタリアがぽつりと漏らした。「なんだか変な感じでドキドキしますわね……」
 ルークはそれに答えず預言手順に書いてあったことを思い出しながら、華奢な身体に回していた手の平で着衣越しに身体を撫ぜる。
 腰の辺りから徐々に上方へ移動させ、胸の膨らみにまで手の平を這わせるとナタリアの身体が一瞬ぴくりと強張った。
 彼女の緊張を感じ取りながら、身体のラインに沿って上着に包まれた双丘の在り処を探る。
 胸の膨らみには揉みしだく指を押し戻そうとする弾力があった。
「はあっ……」
 外側から円を描くようにして胸を揉み上げるとナタリアの口から吐息がこぼれた。
 そのまま右腕は服の上から乳房をまさぐり続け、もう片方の手は裾口からナタリアの上着の中へ滑り込ませた。そして腰の辺りを直接に撫で上げる。
 侵入した左手は多少寄り道をしながら右手との合流を目指し、上着をたくし上げナタリアの白い肌を薄明かりの元へと露出させていく。
 肌の感触を手の平に感じながら、胸を包んでいた下着ごと衣服を捲るとナタリアの丸みを帯びた左右一対の果実が露わになった。
 その事実に、ルークは自らの呼吸が荒くなっていくことを自覚した。
 無防備になった膨らみを包み込むように触れる。瑞々しい双丘は掴むと手の平に吸い付くような感触が残った。
 隆起のつけ根から持ち上げ、水鞠のような膨らみを手の中で左右非対称に揉みしだく。
 ナタリアは自らの肌に延ばされたルークの腕に手を添えて双乳が形を変える度に吐息を漏らす。
 やがて乳房周辺を撫で回していた指先は膨らみの先端へと辿り着いた。
 わずかに自己主張した突起を指の腹で挟むようにして摩擦し、爪で弾いて苛め、押え潰して弄んだ。
 外部から刺激を与えられ充血して尖った乳首を摘むと、ナタリアが苦しげに呻いた。

「……ルーク、その、少し痛い……」
「ご、ごめん」
 言われて胸から手を離した。自分の鼓動が思いのほか強く脈打っているのがわかった。肩越しにナタリアの乱れた呼吸音が聴こえてくる。
 少し強引だったかと思い、ナタリアに大丈夫かと訊ねた。
「……ええ、大事ありませんわ」
 そう言いつつ彼女の腕は胸を覆い隠す位置にあった。
 接触を拒む場所に自分の腕があることに彼女は気づいていないのかもしれない。胸を覆う腕は痛みからの無意識的な拒絶に思えた。
 そのことを指摘するとナタリアに怒られそうだったので言わないことにして、逡巡の末そっと肩を抱き、彼女の首筋に口付けた。
 首の辺りへ幾つか接吻を落としていき、時に深く唇を触れさせ吸ってみせたりする。
 唾液を絡めて舐め、そのままうなじから肩近くまで舌を這わせるとくすぐったそうに彼女の体が震えた。
 手を使わず鼻で彼女の後ろ髪を掻き分け、襟首へと頬をすりよせるようにするとナタリアの身体の香りが強く鼻腔を刺激した。
 さらさらとした感触の金髪が顔の上を流れる。生え際まで分け入って、うなじから垂れる繊毛とも呼べるそれを口に含んで咀嚼してみた。柔らかい食感だった。
「お止めになって……む、むず痒い」
 くす、と笑みを漏らしナタリアが言った。その言葉に従わずくすぐり続けていると、彼女は身を捻って肩を抱いていたルークの手からするりと抜け出した。
 自らの背中を向けたままのナタリアが横顔だけで振り向いて言う。
「……上、脱ぎますわね」
「うん、わかった」
 そう答えてルークはたくし上げられていたナタリアの上着に手を掛けた。
「え? それくらいは自分で――あっ」
「……両手あげて」
 その言葉に対しナタリアは渋々両手をあげる。他人の手で服を脱がさせられるのは抵抗があるようだった。
 たくし上げていた上着を首から通して脱がせ、胸の膨らみに引っかかっていた下着も一緒に剥ぎ取っていく。
 布地の下から現れた白磁めいた肌は上気して色づいていた。
 脱ぎかけの上着が頭を抜けるところに差し掛かった時、ナタリアはちょうど目隠しされるような状態になった。

 悪くない眺めだった。
 胸を覆うものは何もなく、両手をあげているため腋は無防備になって晒け出されている。
 その格好は酷く無防備で、どこか悪戯心をそそるものがあった。ルークはそこで一度脱衣させる手を止めた。
「……どうかしましたの?」
「…………」
 上着をそのままに放置して乳房の側面へとそっと顔を近づけ、そこへ舌先を触れさせようと試みてみた。
 しかしナタリアが身動ぎしたため、舌先は目標地点から僅か横にずれ腋へと接地した。
「ルーク? ひゃっ――」
 腋に触れた瞬間に跳ねて避けられた。
 とてつもない動きだった。ナタリアは脱ぎかけの上着で目隠しされた格好のまま、あらゆるこのを考慮に入れない一心な逃げ方で後退さった。
「……ルーク? そ、そんなところに触れる必要などないでしょう?」
「……ちょっと汗臭い?」
「なっ――あっ、お、お止めになって!」
 逃れようともがくナタリアの身体を背後から半ば取り押さえるようにした。
 腕を掴んで上に覆いかぶさっているため、寝台の上に組み敷いて押し倒すような体勢になっていた。
 自分の下にいるナタリアと視線が合う。彼女は口をぱくぱくさせて何かを言おうとしているようだった。
 ルークはそれから特にどうするか考えていなかったが、とりあえず先程の反応が何なのか確かめるため腋へと舌を這わせてみた。かすかな塩味が舌を刺激する。
 そのままちろちろと腋の下を味わっていると身体の下で押さえつけているナタリアからの抵抗が強まった。
 構わず腕の付け根から胸の側面までを舐め回し口内全体を使って彼女の身体を味わった。
「うぅう……」
「汗臭い味がする」
「う、嘘を仰らないで! 先程ちゃんと身を清め――ゃあっ!」
 わざと水音を立てて吸ってみると、景気のいい反応を見せて身悶えした。その反応が面白かったのでしばらく同じことを繰り返してみた。
 しかし暴れている内にナタリアは拘束から抜けていたようで、不意にルークの背中が彼女の指によって強くつねり上げられた。
「いででっ!」
 そしてルークが痛みで怯んだ隙に素早くナタリアは寝台を転がり距離を取った。
 その際に脱ぎかけていた上着は脱げて身体を離れてしまったが、それを気にせず彼女はごろごろと転がった。

 ナタリアは周囲を警戒しつつぱっと起き上がり恨めしそうな視線をルークに向けた。
「そして目の端に汗を溜めながら言った」
「汗ではありません!」
 肩で息をしながら、彼女は律儀に声を上げて訂正した。
「悪い悪い」
「……全然悪いとお思いになっていなさそうですわね」
 ナタリアは腕で胸を隠し正面から睨んだ。
「ほんと悪かったって。緊張してて思わず」
「…………」
「もうしないから」
「……では傍へ寄らせて頂きますけれど、先程のようなことは絶対なさらないでくださいね」そう言って恐る恐るといった物腰でナタリアは一歩進み出た。
「あと鼻では呼吸をしないこと。いいですね?」
「できるわけないだろ」
 寝台の上をナタリアが猫のように四つ足歩きでそろそろと近づいてくる。
 ルークからも歩み寄り、手が届いたところで抱き寄せて正面から寝台へ倒した。
 腕をナタリアの背中に回して覆いかぶさり、仰向けになった彼女の身体が寝台のシーツになるべくゆっくりと沈むようにした。
「……ん」
 お互いの額同士が触れるかどうかの距離で静止した。下にいるナタリアと目線が絡む。吐息が当たぅて前髪が揺れる。
「あ。今鼻で息をしましたわね」
「……っおい鼻を摘むな」
「まあ、ここが鼻でしたのね」
「どう見てもお前が掴んでるのは鼻だっつーの」
 鼻腔を挟むナタリアの指を振りほどき、喉元に顔を埋め先程首筋にしたように唇を落とした。
 彼女の白肌に舌先を付ける。徐々に身体を下へと辿り、彼女の鎖骨から胸元までを唾液で汚した。
 唾液に塗れ、双丘に挟まれた胸の中心が薄明かりを反射してらてらと光って見えた。
 ルークは向かって右側にある膨らみの曲線をなぞり舐め上った。頂にある薄桜色をした乳首に口付け、それを囲う縁取りに沿って舌を這わした。
「ふぁ……」
 ナタリアの乳頭を唇で啄ばみ、吸い上げて口内で転がした。
 円を描くように弄くり、尖った先端を甘噛みする。隠しようもなく屹立した突起を抓り上げて責めていく。

「ナタリアのここ、さっきより大きくなってきた……」
「……へ、変なこと仰らないで」
 ルークが口を離すと色づいた先端は天井を向いて判然とその存在を示していた。
 今度は左側の膨らみへと目標を移し、右胸にしたのと同じようにする。
 乳房への口唇愛撫を続けながら、ルークの右手は下肢へと伸ばされていた。
 腰からへその下辺りを撫ぜた手の平は太腿の内側を目指し、ナタリアの下半身を包んでいる布地の中に侵入した。
 脚線をなぞりナタリアの秘所を包んでいるショーツを探り当て、ショーツのきめ細かな手触りを感じながら、股下の中心地に指を滑らせた。
 薄布一枚越しで柔肉に触れた。やや湿ったそこを手の平で包み、軽く指を引っ掛けた。
 指の腹でショーツの濡れた箇所を上下に擦り、布地の上から指を食い込ませたりする。
「んんっ……」
 ルークは胸へ埋めていた顔を上げ、ナタリアを窺うように彼女へと視線を向けた。
 時折声を上げるナタリアの表情は前髪で隠れていて見えない。その中で彼女の唇がやけに色づいて艶かしく映った。
「ナタリア、こっち向いて……」
 その言葉に従順に応えナタリアは横へ俯けていた顔を上げた。
 向けられた顔と視線が合わさる。彼女の頬は僅かに紅潮して瞳は切なげに潤んでいた。
 それを視界に入れながら、預言に書いてあった通りに「可愛いよ」なんて言ってみたりしてみた。
「下も、脱ごうか……」
「……わかりましたわ」
「少し腰を上げて」
 ルークはナタリアの下肢を覆う肌着に両手をかけた。
 彼女が腰を浮かせた間に捲くり下ろすようにして脱がせる。果物の皮が剥かれるように、白い太腿が露出していく。
 足首から肌着を抜けさせて、脱がせたものは寝台の下へ放った。
 秘所を包んでいるショーツの中心にはじんわりと細長い卑猥な染みができていた。
 ナタリアの下腹部に一枚だけ残された薄布も脱がそうとルークは腕を伸ばす。
 ショーツの隅に指を添えてするすると下ろしていき、やがて布地が取り払われると、
 へその下から続く窪みに薄っすらと生え揃った茂みが現れた。それを透かして繊細な丘がぷくりと盛り上がっている。
 逆三角形の終わりから丘には溝が穿たれ、閉じられた大腿の間へと続いて陰影を形作っていた。

 ルークは下肢に手を添え、内股へと右手を走らせる。張りのある健康的な太腿を撫でながら繊毛に縁取られた裂け目に近づいていく。
 恥丘まで指を這わせ、生え揃った柔らかな毛先を手櫛ですきながら茂みを分け入った。太腿の谷間に秘所がその姿を半ば覗かせていた。
「ナタリア……脚、開いて」
 両腿が躊躇いを含み、そろそろと開かれていく。
 開脚された内側にルークは回り込み、ナタリアの両脚の根元に手を添えた。
 膝が大きく開かれると、それまで陰になって見えなかった部分が現れた。
 薄桃色の花弁は左右揃い閉じ、密やかに息づいていた。閉じた赤貝を指で押さえ左右に広げて中身を暴くと、
 普段外気に晒されていないナタリアの隠された部位が露わになった。
 秘所は僅かに濡れていて、粘性のある液体が淡い明かりを反射して膣口の在り処を指し示していた。
 その上部には尿道口、そして陰唇の上端の果てに包皮に包まれたクリトリスが佇んでいる。
 それら割れ目の内側はほのかに赤く潤んでいて、鼻で嗅ぐとそこから強い雌の匂いを感じた。
「んんっ……」
 間近にあった局部に吐息が当たり、ナタリアはくすぐったそうに身体をよじらせた。
 ルークはすぐ間近にある女性器に顔をうずめ軽く触れるだけの口付けを落とした。
 そのまま秘裂に沿って下から舐め上げ愛液を味わい、陰唇の上端に到達すると、その先にある包皮に包まれた陰核を啄ばんで口内に含んだ。
 陰核の感触を確かめながら舌先で剥いていく。やがて勃ち上った陰核から唇を離し、
 舌を花弁へと往復させ一心に愛撫を繰り返した。瑞々しい色合いのそこを縦横に舌で嬲る。
「っぁ……んっ……」
 視界の端で白い太腿が力なく震えた。ナタリアは秘裂に施される行為に反応して身じろぎし、こみ上げるものを堪えているのか時折押し殺した声を漏らした。
 ルークは埋めていた顔を上げ、濡れそぼった膣口を目指して柔肉に指を這わせた。
 秘裂の最奥を探り当てると人差し指と中指、それら二本を突き立て挿入する。指先がゆっくりと秘裂に沈んでいった。
「痛くないか、ナタリア?」
「……大丈夫ですわ」

 肉襞が指をきゅうきゅうと隙間なく包み込む。
 涎を垂らした蜜壷は抵抗なく二本の指を奥まで招き入れたが、膣壁の締め付けで時々指が外へ押し出されそうになった。
「ん……くっ……」
「……ナタリアのなか、すごくきつきつだ」
 ルークは秘洞の内部に押し入った指を縦に動かしてみせた。粘液で塗れた膣内を指先で掻き混ぜ、水音をたてながら秘所を泡立て指を出し入れした。
「んん……っ」
 膣内の奥まで指を突き立てると内部が切なげに痙攣しているのがわかった。それに呼応させるように指を出し入れする速度を徐々に高めていく。
 指先で掬い取った蜜を膣壁へと塗り込めるように動かす。
「くうっ……!」
 苦しげな呻き声が聴こえてきた。
 押し広げられた膣口は二本の指を咥え込み、激しく出し入れされる度、
 肉襞がうねって膣内に収まりきらなくなった蜜が溢れる。内壁の粘膜が波打って纏わりつく。
 やがて秘洞から指を引き抜くと濁った液体が垂下した。ふやけた指先から膣口へと粘液が糸を引いてシーツに落ちた。
「ふぁ……ぁあ……」
 ふいに秘所から指を引き抜かれ、ナタリアは脱力した様子でうな垂れて力ない声を漏らした。
「ナタリア、俺、もう……」
 名前を呼びかけて、強く脈打ち張り詰めた自身を暗に示す。布地越しに解るほどルークの怒張は強く勃ち上っていた。
「ええ……どうぞ、いらして……」
 ナタリアは乱れた呼吸で視線を彷徨わせ、肌着を脱ぎ捨てたルークの上半身を、両腕を開いて迎えた。
 促されるまま仰向けになっている彼女の身体へと覆い重なった。
 ルークは自身を包んでいる下穿きから張り詰めた逸物を取り出し、固い先端をナタリアの秘所へと添える。
 陰茎の先を濡れた縦筋へとなぞらせ、竿の腹を擦りつけてお互いの性器から滲み出る愛液を絡めて混ぜ合った。
 膣口に反り返った男根の先をあてがう。蕩けるような柔肉は添えられた亀頭を飲み込もうとひくひくと蠢いている。

「……行くよ」
 開始の合図を告げる声に、こくりとナタリアが細い顎を上下に振って頷いた。
 腰を落として圧力を加えていき、先端で陰唇を割って挿入った。
「ぅ……ん……入って、くる……」
 肉襞からの圧迫感を押し拡げながら奥へ進み、窮屈な内側を抉って陰茎の根元まで捻じ込む。
 ルークは深く腰を前方へ埋め、膣内に怒張を突き立て奥まで貫いた。
「…………っ!」
 ぴくん、とナタリアの身体が僅かに震えて仰け反った。
「……全部、入ったよ」
「ええ……ルークのものが、なかに……」
 ナタリアの秘所が突き立てられた肉棒を根元まで咥え込んで締め付けている。繋ぎ目が溢れた愛液で泡立っていた。
「……動いても大丈夫?」
 問いかけに答えるように、そっと頬に手を添えらえた。力なく微笑んで頷いた彼女から伸ばされた手を掴んで繋いだ。
 緩やかな速度で腰の抽送を開始して、そのまま正常位で交わった。腰を引き戻し、弓を引き絞るようにしならせてから打ち付ける。
「っぁ……んんっ……」
 肉と肉のぶつかり合う乾いた音が響いた。
 幾度も侵入を繰り返し、合わせ目を抉る。蕩けるようなナタリアの柔肉に何度も自身を突き入れた。
 彼女はその度、熱の籠もった息を吐き、胸を激しく上下させる。
「んぅ……はあっ……」
 ナタリアは唇をきつく閉じ声を押し殺しているようだった。苦しげに眉根を寄せて頬を薄っすら紅潮させている。
 ルークが小刻みに腰を振ると、身体が跳ねて目の前にある白い乳房がたわわに揺れた。
 間隔を置かずに掻き混ぜられ、結合部から水音が足早に響き、吐息が彼女の口から細かく漏れる。
「んっ、んっ、んっ、んっ……」
 抽送された怒張を巻きついた肉壁が波打って受け止める。絡みついた粘膜が引き戻される肉棒を離すまいと締め付ける。

「……くぅ……ぁあ……!」
 求めるまま深く腰を埋めた。ナタリアを組み敷く形で腰を早めていく。
 奥底から湧き上がる欲求に意識が飲み込まれていき、徐々に深いところからこみ上げるような射精感がせり上がってくる。
 ナタリアの華奢な腰肉を掴んで激しく腰を打ち付けた。 
「……愛してますわ。……愛していますわ、ルーク」
 ナタリアは喘ぎが交じった声で、上言のように預言通り何度も愛していると繰り返し呟いた。
 自身の限界が近い中、ルークはその甘い声を訊きながら、ふと彼女が本当に自分を見てくれているのだろうかと気になった。
 本当にレプリカルークの名前を呼んでいるのかどうかと考えた。
 勿論これら一連のルークの思索活動は全部気になったフリ、考えているフリだ。
 事実がどうであったところでそれはどうでもよく何にも関係しない。
 それでもナタリアの瞳に映っているのは自分ではない誰かなのではないかと思うと精神がざわざわして落ち着かないような気がした。
 気がしたがそれも勿論気にしているフリだった。それにそんなものの判別はわかるはずがなかった。
 わからないので自分もナタリアを一番愛していると彼女の耳元で囁いてみた。
 そうすると自身を包んでいる膣内の締め付けがきゅぅと強くなって出し入れしたとき気持ちよかった。
 背筋がぞくぞくして頭の中が真っ白になった。何度も彼女の名前を呼んだ。
「んんっ、はぁっ……ルーク、ルーク……!」
 求めるように粘液を混ぜ合いながら徐々に絶頂へと昇り詰めていった。
 ルークは奥底から迸る感覚に身を委ね、ナタリアの膣内へと精を吐き出した。
 その最中虚脱感に苛まれた頭の端で、ただのフリでもいいから今は自分だけを見ていて欲しいと思ったがそれも当然思ったフリだった。

*       *        *

 そうして、彼ら二人はどうやら今夜、本件における最大目的を達成したようだった。
 ミッションコンプリートするための必要過程、つまり子作りプロセスのほとんどを終了させたようだった。
 ルークがしばらくその成功の余韻に浸っていると、やがて裸体をシーツにくるめさせたナタリアが口を開いた。改まって姿勢を正して言った。
「ルーク、わたくしの我が儘に最後までお付き合いくださってありがとう。本当にありがとう。これでわたくしは――」
 彼女が言い終える前に横槍を入れた。
「べ、別にお前のためじゃねーよ! 国の繁栄のためだよ、キムラスカランバルディア王国のためだよ!」
 しかしそれを訊くことなくナアリアは自分の言いたいことだけ言ってすやすや寝息をたて始めていた。
 そのマイペースさがどこまでもナタリアらしくておかしかったが、きまりの悪い思いをしたルークは邪気のない寝顔をぐっと睨んだ。
 ぐぐっと眉間に皺を寄せ半目で睨んだが空しくなってきたのでそれも十秒で止めた。
 そうして自分も寝台へ横になった。
 ケテルブルク豪華ホテルの寝台はふかふか柔らかくその感触はなかなかどうして悪くなく、しかしなぜだか少しも眠れそうになかった。
 眠れないので自分の隣で寝息をたてているナタリアを見ていた。
 その無防備な寝顔を眺めながら、もし何かの間違いや気の迷いでこの女と結婚してしまったときは
 ちゃんとしっかり責任を持って一生大事にしようと意味もなく心に決めた――がそれも勿論心に決めたフリの悪い冗談であり、
 親が敷いた許婚の約束も外殻大地を降下させたら制度廃止することになりそうな預言も律儀に守る気は全然さらさらなく別に結婚するつもりもまったくなかったが、
 この後彼女が目を覚ましたらケテルブルクの寒い寒い白銀世界の中を二人大きめな厚手のコートを羽織り手を繋いで一緒に歩こうと、そんなことを一人思った。


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