総合トップSS一覧SS No.5-091
作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
無題 キルア氏 ロイド×コレット 2006/06/23 2006/07/11

今朝から調子がおかしかったのは自覚していた。
 けれど、大したことはないと思っていたのだ。
 この時は。


(疲れたのかな……。)

 身体が重い。
 今朝はそんなでもなかったので放っておいてしまっていたのだが、夕方になる頃には立っていることが辛くなってきた。
 皆には早く休むとだけ告げて、コレットは部屋に戻って横になる。

立っているよりも随分と楽だったので、やっぱり疲れが溜まっていたんだなと思って眠りについた。
 仲間達も、連戦続きだったしと納得して。
 特に注意を払わなかったのも、問題だったのかもしれない。

 次の日。 コレットが起きあがれなくなるまでは。

仲間達がコレットの異変に気付いたのは昼前のこと。
 旅の出向時間になっても起きてこないコレットに、仲間達は昨夜の様子を思い出して疲れているのだろうと気にもしなかった。
 ところが昼前になっても部屋から出てこない様子に、流石に不振に思って様子を見に行ってみると…… コレットの身体が動かなくなってしまっていたのだ。
 ベッドの上で横になったまま、起きあがることすら不可能で。
 意識ははっきりしているし、瞬きくらいは出来る様だが――どうやら、口を動かす事は出来ないらしい。
 とりあえずリフィルが回復呪文を片っ端からかけてみることにしたのだが……。

「先生!」

「どうなんだ? コレット様子は……。」

 リフィルがコレットの部屋から出てくるのを見て、子供達が駆け寄った。
 不安げな表情の子供達に、硬い表情でリフィルは顔を横に振った。
 それを見て、他の仲間達の表情も暗いものになる。

「どうしようかねぇ……。」

「まっさか、こんな事態になるとは思ってなかたからなー。」

「うむ。身体が動かなくなる病など、聞いたことがないからな。」

「はい…。」


「……アンタは、何か知らねーのかよ。天使様?
 一応、長生きしてんだったら心あたりくらいはあるんじゃねーの?」

 コレットの部屋から一番離れた所に立っていたクラトスは、皆の様子を黙って眺めていた。
 からかう様な口調でいながら探る様な視線で言った言葉に、仲間の視線が2人の魔剣士へと向けられる。
 普段と変わらず……いや、少し表情は硬く、何か考えている様にも見える。

知らないわけでもないが・・・
ないが?
私が知っている病気なら早くしないと危ないな
いつもながらだが冷静でいるクラトスにみんながため息をつく
まぁ早くしないと巫女の運命は・・・
もう言わなくてもわっかってよ
ああ・・・そうだな・・・
でも助かるんですよね・・・?
さっきも言ったように早くしないと命が危ない
早くしないと確実な・・・
死・・・・か?四大天使殿
うむ・・・
その言葉にその廊下の空気は絶対零度に氷ついた
私の思っている病気ならアルテスタが一番しっているだろう
その言葉と同時に皆はいっせいにアルテスタの家に行く準備をした

(大丈夫だよ。)

 コレットは、目の前で辛そうな表情のロイドに心の中で呼びかけた。

 事情はクラトスから全て聞いた。
 そんな重い病気だとは思わなかったが……。
アルテスタに視てもらったところ、クラトスの想像通りの病気だと彼も判断した。

(そんな辛いわけじゃないから……そんな悲しい顔しないでね。)

 放っておけば、あと数日で死んでしまう病気だとは思えない。
 最初は身体が重い程度だったが、今では痺れてしまった様に何も感じない。
 身体が動かないというのは確かに不便だし、話すことが出来ないのは……こういうときは困る。

 薬の材料は、貴重――というわけでもないが、繁栄世界でも簡単に手に入る物ではなかったらしい。
 全てがアルテスタの家にはないと聞き、仲間達が探しにいってくれている。
 大半が、神子であるゼロスと貴族で大会社を運営しているリーガルによって揃えられそうで、
 残りはミズホの里の情報網から在処を割り出してとってくるらしい。

 本当に良い仲間に恵まれていると思う。

 コレット一人では何も出来ないということで誰か一人が残ろうということになったとき、ロイドが――当然のことながら――名乗り出て。
 こうして一緒にアルテスタの家に厄介になっているというわけだ。
 食事を食べさせてくれたり、(恥ずかしいけれども)身体を濡れたタオルで拭いてくれたり。
 文字通り甲斐甲斐しくコレットの世話をするロイドの様子に、アルテスタが驚いたのはいうまでもない。
 けれど、どんどんと時間がたち日付が変わっていっても。
 ロイドが不安にならなかったのは、コレットがいなくなったらどうしようという不安。

 ロイドを見てふっとコレットの瞳が緩んだのを見て、ロイドはコレットを優しく抱きしめた。
 病気のロイドの今の身体では、その体温すら感じなかったけれども。


――罰なのだと思った。
 自分が犯した、償いきれないほどの大罪への。


 私が以前の私を思い出した様に、ロイドもまたコレットの運命について考えていた。

 自分達が作り出した、運命という名のもとの支配。
 神託や精霊、天使達を用いて行った世界の操作。

 けれど、自分は他人事と思っていたのだと自覚する。
 私が人間らしさを失っていったときは、クルシスが行ったもの。
 封印を解放するたびに起こる変化は、自分にとっては当然の出来事だった。
 けれど、今、私の身体の自由を奪っているのは違う。
 容赦なく身体を蝕み、数日のうちに命の炎をかき消してしまうのだろう。

(ロイド・・・悲しい顔しないでね・・・)

 家族や想い人はどんな思いだったのだろう。
 大切な人を……死ぬ為の旅に出させなくてはならないとは。
 失敗でも成功でも、どちらにしろ届くのは愛しい者の死を意味する。

 今度は……自分の番なのだろうか。
 愛しい者を再び手放なそうをさせているのだろうか。

 そんな思いでコレットを見つめると、コレットの瞳がふっと緩んだ。
 大丈夫だ――…。
 そう言って自分を安心させようとしているのが伝わってくる。
 それを見て、思わずロイドはコレットの身体を抱きしめた。

 あぁ……コレットは、何と強いのだろう。
 今、自分に起きている病にも負けずに現状を受け止めようとしている。
 ただ嘆いているだけの自分とは違う。

「……コレット。」

 声をかけると、個えっとの意識がこちら向くのを感じた。
 それだけで、心に安らぎが広がる。

「おまえの病気は……必ず、俺が治してやる。」

 それは、自分への決意だったのかも知れない……。
 その言葉を聞いたコレットの瞳が、嬉しげに輝いた。

薬の材料は、数日で全て集まった。

 仲間達は、不眠不休で探し回ったらしい。
 アルテスタの家に戻ってきたときには、全員がフラフラの状態だった。

 材料がそろったのを見たアルテスタは、急いで薬を作り上げた。
 薬が出来上がったのを喜んだ仲間達は、それを受け取ったロイドが全て飲み干したのを見て不思議そうな顔をした。
 皆に休む様に告げてコレットの居る部屋へと戻っていったロイドを見て、その疑問はさらに深まった。

「なぁ……なんで、薬をハニーが飲むんだ?」

「さぁ……?」

「で、でも、アルテスタさんが止めなかったし……。」

「じゃぁ、薬が無くなったコレットさんはどうなるんですか・・・?」

 そんな会話をする仲間達に、アルテスタは不思議そうな顔で眺めたあと。
 納得した様に頷いた。

「あの病気の薬は病人で飲むんじゃないんじゃ。」

 そう言ったアルテスタに、皆の視線が集まる。
 病人が飲まない薬――という不思議な言葉に、ますます理解不能になったらしい。
 塗り薬というのならば、ロイドが飲んだ理由がわからない。
 そんな疑問に答える様に、アルテスタの解説が続く。

「病人ではない別の成人男性が薬を飲むことで、あの病のワクチンが薬を飲んだ者の体内に作成される。
 その作成スピードは約10分ほどでワクチンが完成し、体内に数時間ほど存在し続ける。
 そのワクチンは男性特有の器官に溜まる性質を持つため、その薬を飲んだ者から病人へワクチンを注げば病は治る。
 但し、この病と薬は特殊なためか病人が薬を飲んでもワクチンが作成されず、
 必ず病人以外の者が薬を飲んでワクチンを作り出さねば病を治すことは出来ないのだ。
 また、体外にワクチンを出すとワクチンが死滅するために、必ず病人の体内に注ぎ込まねばならないがな。」

「「「「「「「………。」」」」」」」

 アルテスタの解説に。
 理解した者は赤面し、理解できなかった者は眉を潜めた。

「それは、つまり――病人以外のオトコが薬を飲んで、病人を抱けばいい……ってコトか?」

 あんまりにも分かり易すぎる訳し方に、発言した赤毛神子の頭にしいなとリフィルが一発ずつ教育的指導をお見舞いする。
 今回の説明でわかったのか、理解していなかった者も顔を赤らめた。

「ま、まぁ、これでクルシスが神子の病を治さなかった理由がわかりましたけれど。」

 マーテルの身体を見つけるのが目的の神子制度。
 シスコンレベル最強ともいえるミトスが、新たなマーテルの身体を(病を治すためとはいえ)誰かに抱かせるとは思えない。

 うらやましい……というゼロスの呟きを聞いて、しいなはゼロスが立ち上がれなくなるほどの制裁を与えた。
 人はこれを嫉妬と呼ぶ。

 扉の開け閉めする音で、眠っていたコレットは目を覚ました。
 辛うじて動く瞳を彷徨わせると、自分のいた部屋にロイドが入ってきたところだった。
 ロイドはそのまま真っ直ぐ自分の所へやってくると、腰をおろして自分と目線を合わせた。

「……大丈夫か?」

(うん。へーき…。)

 優しげな瞳で尋ねられ、コレットは瞳で答える。
 そんなコレットに、ロイドはそっと頭を撫でると良い知らせを告げた。

「おまえの病を治す薬が完成した。」

 驚くコレットに本当だと告げると、コレットにアルテスタと同じ薬の説明をする。
 意味がわからず困惑するコレットにくすりと笑うと、ロイドは立ち上がってベッドの横に腰に付けていた剣を外して置き、白い(布?)を脱ぎ始めた。
 ベッドでは、コレットが言われた意味を理解しようと考え込んでいる。


(え――っと、つまり、薬を飲んだロイドの身体の中に私の病気を治すワクチンってゆーのができてるんでしょ?でも、なんで病人の私が飲まないんだ……?)


 その説明もされているのだが、そのへんを理解していないのがコレットらしい。
 けれど、当の本人は一生懸命だ。

(で、ロイドの身体から私の身体にワクチンを入れれば私の身体は戻る……。
 ワクチンは、ロイドの身体の『男にしかない器官』に溜まっているっていうから…………――『男にしかない器官』!?

 ―――それって、もしかして………っ!?)

「――理解したみたいだな。」

 コレットの表情が変わったのを見て、ロイドは呟く。
 今のコレットは逃げ出したいのだろうが、身体の動かない状態ではどうしようもない。
 近付いて瞳を覗き込むと、恥ずかしさのあまりか涙が溜まっていた。

(……ウソ…でしょっ〜???。
 それって、つまり、ロイドが私を抱くってことで――。)

 この考えを否定したかったのだが、目の前にいるロイドは服を脱ぎさっていて。
 恥ずかしさのあまり、コレットは顔を赤らめた。
 目を背けたかったのだが、身体を動かせない状態ではそれすらも許されない。
 いや、今ではロイドの為すがままの状態とも言える。

「そんなに怯えることもないだろ? 初めてって言う訳ではないんだから♪。」

 ロイドに抱きしめられ、耳元で囁かれた言葉にコレットは恥ずかしくなる。
 確かに、自分はロイドとそういった行為をしたことがある。
 けれど、病を治すために行為をすることになるとは思ってもみなかった。

「それとも……俺ではなく、別の奴との方が良かったか?」

(違……っ!)

 今、身体が動かせたら思いっきり首を横に振っていただろう。
 自分だって、この行為をするならばロイドでなければダメだと思っているのだから。
 けれど、そんな思いも口にすることが出来ないことがもどかしい。
 そっと抱きしめられて嬉しかったけれど、それを感じることが出来ない身体が悲しかった。

「――大丈夫だ。」

 耳元で優しく告げられ、コレットがロイドに視線を向けようとすると。
 ロイドの方が動いて、コレットと視線を合わせてくれる。
 そんなさり気ない心配りが嬉しい。

「おまえがそう思っていないことはわかってる」
 不安なのかもしれないけど……俺は、おまえの病を治したい。
コレット。おまえを失いたくない。」

 真っ直ぐに見つめられて。
 そんな事を言われて、嬉しくないはずがない。

(うん……。ロイド。
信じてるから……。)

 見つめ返すと、ロイドが思ったことを読み取ったのか頷いた。
 そっと唇にキスを贈ると、ロイドはコレットの服を脱がし始めた。
 身体が動かせないコレットは、大人しくその行動を眺めていることしかできない。

(恥ずかしい……っ。)

 手際よく脱がせていき身体を隠している物全てを取り去ってしまうと、ロイドの前にコレットの全てを見せてしまう。
 その現実が恥ずかしかった。

(……ぁ。)

 ロイドは、コレットの秘部に手を這わせると指を一本挿入する。

(うそ……もぅ!?)

 濡れていない指をコレットの身体は簡単には受け入れられない。
 何度も出し入れをしながら全て入りきると、ナカを広げながら二本目を入れだした。

 いつもなら違和感を感じるこの行為も、何も感じることが出来ずコレットは悲しくなる。
 今、こうしてロイドは慣らしてくれているけれど……挿入の痛みも、身体を繋げた快感も感じないということになる。
 それは……やっぱり、悲しい。
 身体が動かないことよりも、何も感じないという方が何倍も辛いという現実がコレットを苦しめた。

普段の倍近い時間をかけて慣らし、何本もの指を受け入れられる様になった頃。
 ロイドは慣らす行為を止めて、指を全て引き抜いた。
 コレットの顔を見ると涙を流していて。
 頬をつたって流れる涙を唇で受け止めながら、ロイドはコレットを抱きしめた。

「……やっぱり……俺では嫌か?」

(違う……。)

「では、どうしてだ?」

(……私……。)

 何も感じられない自分が悔しかった。
 身体を重ねる行為は恥ずかしいけれども……けれど、やっぱり感じたい。
 ロイドが愛してくれるのに、抱かれる自分が何も感じることが出来ないのは失礼で。
 そして、自分も感じることを望んでいるのに。

(して……欲しいよ……。)

「――いいか?」

(……ぅん。)

 瞳を覗き込んでいたロイドは、コレットが受け入れる意思に変わったのを見て自身を蕾に押し当てた。
 それから、ゆっくりとナカへ押し入れていく。

 今は痛みを感じないだろうが、病が治り、身体が自由を取り戻したときに感触を取り戻す。
 身体に残る傷は、そのときになってコレットを襲う。
 そのことを考えて、ロイドはわざわざ何も感じない身体を慣らし、傷付けない様に身体を重ねるようにした。

(……っ…………ぁ。)

 何も感じないはずなのに。

(私……ヘンなのかも。)

 気持ちが重なっていく様な気がする。
 それは、ロイドと身体を重ねたときと一緒で。
 何も感じられなくても、思いは変わらないのだと。
感じることは出来なくても、一つになれるのだと。
そんな気がした。

 ロイドは、完全に奥へ押し切るとゆっくり出し入れを始める。
 優しく抱きしめると、コレットの瞳が緩むのを見てロイドも微笑む。
 身体では感じることが出来なくても、愛し合っているという行為自体で心が感じたらしい。
 その事実が、ロイドを満たした。

 抱きしめられたままキスを受け、ロイドと一つになっているということだけでコレットは満たされた気がした。
 ロイドの想いをナカで受け止めたとき、コレットは悲しみとは違った涙を流した。

(好きだよ。ロイド……。)

「ん……ぁ、はぁっ……そこっ。」

「ここか?」

「うんっ………あ…あぁっ……っ!」

 身体を繋げたまま。
 手で愛撫を与え、唇で所有の印を刻む。
 その行為は、自由を取り戻してからもずっと続いていた。

 コレットの感じる場所を自身で刺激すると、高い悲鳴が上がる。
 笑って耳たぶを甘噛みすると、腕の中でびくんっと身体が跳ねた。
 感じやすいコレットの身体は、完全に元に戻っていた。

 その事実は、ロイドを燃えあがらせるには充分すぎて……。

「んんっ……ふぁっ………。」

 唇を重ねて、舌を絡ませて。
 すると、コレットも手を首に回してきて舌を差し出してくる。
 ロイドの行為に応えようと、コレットからも絡めてくる様子は快楽に従順で。
 下唇を軽く噛むと、それすらに感じてしまうのか身体が震えた。

 抱きしめていた手の右手だけを身体に這わせながら下ろしていき、立ち上がってしまっているコレット自身へ添えた。
 濡れている自身を手で上下に愛撫するだけで、コレットの身体がびくびくと震える。
 重なった唇から、快楽の鳴き声が漏れた。

(ロイド……もぅ、ダメだよ……っ。)

 抱きしめ合って、唇を重ねた状態で。
 身体を繋げて、自身を愛撫されて……。
 何度も何度もイかされた身体は、どこに触れられても敏感になってしまっていて。

(イきた…っ イきたいよ……っ。)

 耐えられなくなってきて抱きしめる力を強めると、限界に気付いたロイドは高見を目指すために身体を動かし始めた。
 何度も奥へと入るロイドに感じるところを触れられて、頭の中が真っ白になっていく。
 自身に与えられる愛撫は休み無く与えられて、口の中ではくちゅくちゅと舌が行き交う。

「……んっ……んんんっ……っふ……ん…。」

 ロイドがギリギリまで引き抜いて一気に奥へと押し入ったと同時に。
 コレット自身に添えられた手が先を刺激し。

「――――――っ!!」

 コレットは欲望を吐き出し、ロイドもコレットの中に熱を吐き出した。

 重ねていた唇を離すと、コレットの口からはぁはぁと荒い呼吸を繰り返した。
ロイドの口からも、荒い息が漏れる。
 ぐったりと横になったコレットの身体から、自身に添えられていた手を離す。
 その手を背にまわして、コレットを抱きしめた。

行為の後の気怠い時間……。

 しかし、その甘い時間はロイドの声によって消え去った。
 正確には、未だ繋いだままだった箇所に与えられた快楽によってあげた甘い悲鳴によって、だが。

「――っ、ロイドっ!
 そん……んあぁっ……ひゃっ……ま、まだヤる……の?」

 もう、数え切れないくらいイったのに……。

 病を治すために身体を重ねたときはしょうがないとして、その後に行為を続けたという事実は……まぁ、いい。
 何も感じることの出来なかったコレットにとっては、その方が嬉しい。
 薬が無事に効いたらしく。
 数十分たったころにはかなり自由が戻ってきたし、いろいろと感じる様にもなってきた。 
 1時間もすれば、コレットは完全に身体の自由を取り戻していた。
 もちろん、身体に与えられる刺激も感じられる様になった。
 だから、ロイドに告げたのだ。
 もう身体が自由になったから大丈夫だと。
 
 だが――。

「やぁっ……ロイ…っ………ちゃん……と感じられるか、調べ…あぁっ……だけって……言った、のにっ。」

「――不満、か?」

 その言葉を言われてから、何度イったことか。

 最初は嫌だと抵抗しても、結局快楽に負けてロイドの思うがままとなってしまっている気がする。
 身体を重ねること自体が久しぶりな気がするし……。
 ―――そこまで考えて、コレットは気が付いた。

(そういえば……。)

 ある事実を思い出して。
 思い返してみると、そうだったかもしれない。

「――コレット。」

「……え?」

「ずいぶんと余裕だな。
 行為の間に、考え事なんて。」

「――!?
 えっ、いやっ、そ、そーいうわけじゃなくて……その……ロイドが考え事してから、初めてだったんだなぁって。
 こういうこと……するの……。」

 その言葉に、ロイドは納得する。
 最後に身体を重ねたのは……確か、救いの塔へ行く前夜だった。
 体内のマナを放出した反動から自分の身体が弱っていたこともあってか、戻ってきてからは一度も身体を重ねていなかった、
 コレットが、こういった関係になるのを避けていたせいもある。

「前に私を抱いたときに怖い顔してたの……私の将来考えてくれたからだったからなんだね。」

 ぽつりとこぼしたコレットの呟きに、ロイドは苦笑する。

「……顔に出してたつもりはなかったんだがな。」

「いつも、私を抱くとき悲しい瞳だったけど……あの時は、泣きそうな顔だったから……。
 なんていうか……私に許しを請う様な眼だった。
 
「そうか……。」

 その事実を知ることを恐れたのは、きっとこうした関係を否定されるのが怖かったからだと思うコレットは酷く困惑していたのがわかって。
 恋人でもない
 友達、という仲間の一人として接してきていた。
 だから、ロイドもそれ以上の関係に踏み込もうとはしなかった。

「……う、うまくは言えないけど。

 私、ロイドと会えて良かったと思う。
 物の作り方のコツとか教えてもらったりして。一緒に戦って。時々……怒られて。
 口げんかして、口聞かなくなったりもした。
 けど……全部、私の為にしてくれたんだってわかってるから。
 私は、そんなロイドが好きだから……私は、ロイドが望むままに応えたい。」

考えながら言葉を紡いでいくコレットは、本当に心の中の事を知ってもらおうとしていて。
 それを見ているだけで、愛しさが溢れてくる。
 ロイドの口が笑みの形へと変わる。

「こゆこと、すんの。……恥ずかしいけど。
 でも、私、気持ちいいと思うし。嫌いじゃないから。

 それに――。」

 今はまだ無理だけど、ちゃんとロイドのこと・・・・やっぱりなんでもない!


 その言葉は、意外だったし。
 同時に、とても嬉しいものだった。
 コレットはコレットなりの葛藤があった様だ。
 そう告げた子の顔は、恥ずかしさのあまりに真っ赤になっている。

 固まってしまったコレットを抱きしめて。
 キスを額に落として。
 それから……。

「手加減はしないからな。」

そう耳元で宣言して。
 身体を動かすと、コレットの口から再び甘い悲鳴があがりだした。
 身体を震わせ、口吻を交わし合い、本来ならば受け入れる場所ではないところで受け入れ。
 容赦なく打ちつけられるロイドを、コレットは快楽に溺れながら受け止めるしか出来ないのだ。

 快楽を知り、抱かれる立場を選んだコレットには。
 否定することなど、出来はしないのだから……。



「あ――…ぜったい、ロイドのせいだからね!」

 夜明けまで続いた儀式は……当然の結果ながら、コレットの腰痛を生んだ。
 抱いた立場のロイドが何も代償を払わなくていいのは、いつもながら不公平だと思う。
 快楽をわかちあっているはずなのに。
その後の苦しみをかかえるのは、いつもコレットの方だ。
 結局、今日もベッドから出られなくなったコレットは、傍にいるロイドに文句を言うことくらいしかできない。

「だから……すまないっていってるだろー!」

「――毎回、その言葉を言うけど、その次に手加減されたことってないんだよね・・・・。」

 毎回……容赦なく愛されてしまっている気がするのは、コレットの気のせいではないはずだ。
 それだけ愛されていると思えば嬉しくないとは言えないのだが。
 そのたびにこの痛みが襲うのならば、それはそれで困りもの。

(まぁ……いっか。)

 身体は元に戻ったし。
 それで、今回は水に流そう。
 コレットは微笑んだ。
 後少しくらいは――こうして、ふたりきりで……。



 そのあと。
 起きあがれる様になったコレットが、皆が治療法を聞いたと知って。
 恥ずかしさのあまり脱走をするのだが。
 それは、まだ別の話。



                   END


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