総合トップ>SS一覧>SS No.5-082
作品名 |
作者名 |
カップリング |
作品発表日 |
作品保管日 |
大佐といっしょ |
ケン氏 |
ジェイド×アニス |
2006/04/29 |
2006/04/30 |
今日も又、マルクト船隻のタルタロスは世界を走る。
とは言っても、あまり騒音の少ない船でも、魔界から強制的に外核へ帰還した時には、
音機関のあちこちが起動しなくなり、ゴウゴウと謎めいた音を立てながら海を横断していた。
ベルケンドへ向かう途中、音機関の一部が故障しガイにより修理されたものの、思ったよりも時間がかかってしまい夜になってしまっていた。
近くには停泊できる港もなく、夜の海は危険ということもあり、比較的陸に近い浅瀬に船を寄せ、陽が登るまでしばしの休息となった。
□ ◆ ■ ◇
「あぁ〜アニスちゃんショックぅ〜!」
静かな海の上、導師守護役の少女は、奇怪な声をあげながら首をふるふると左右に振った。
「どうしたんですか?」
やや怒声の混じった声を宥めるかのような優しい声。おっとりとした少年は微笑みながら守護役の少女を眺め見た。
「ルークのことですよ!あんなに馬鹿だとは思ってませんでした」
「そうかもしれません・・・ですが、アクゼリュスのセフィロトに施されていたダアト式封呪を迂闊に解除した僕にも責任がありますから・・・」
のんびりとした物言いではありながら、その声は覇気がなくいつものような優しい声ではない。
導師はそのまま俯くと、守護役の少女を残し、部屋から出ていこうと足を進めた。
「イオン様、どこに行くんですか?」
「少し、夜風に当たってきます。一人でいてもこの中では問題ないでしょう」
「そうですね・・・でも、すぐに帰ってきてくださいね?」
「はい、わかりました」
導師イオンは割り当てられた船室を出て行く。残された守護役の少女――アニスは溜め息を吐きながら近くのベッドに座り込んだ。
「イオン様・・・」
小さく呟いた声も、イオンに聞こえることはなかった。
□ ◆ ■ ◇
「アニス、実は、お願いがありまして」
「はぁい、アニスちゃん、大佐の(地位とお金)の為ならなんでもしますよーv」
それまで静かに譜業に関する本を読んでいたジェイドが、涼しげな声で口を開いた。
それに応えるように、アニスはいつものように無邪気な笑顔と甘い声を出す。
「背中のトクナガを降ろして、ベッドに横になってくれませんか?」
「ベッドですか?!」
「はい、私の為ならなんでもするのでしょう?」
「はぅ・・・判りましたよぉ」
(・・・と言うか、このベッド、イオン様が使ってるやつ・・・)
一抹の不安を感じながら、アニス背中のトクナガを降ろした。
が――
刹那の出来事だった。
トクナガを降ろしたまさにその時、ジェイドに押し倒されていた。
足をばたつかせながら抵抗しようにも、組み敷かれた体は動く筈がない。
唯一抵抗する術を持つトクナガも離れた場所に転がっており、集中させて譜術を使用することもできない。
「大佐、何を!ふやぁ!」
一言抵抗の声を洩らす間、慣れた手つきで服を脱がされる。
「やはりアニスも初めては好きな人と・・・ですか」
解っているかのように口元を緩めながら涼しい顔をしながら笑う。アニスにとってその笑顔は悪魔のような微笑みでしかなかった。
「そんな、の、あた、り、前、ですぅ」
「ならば私を好きな人と思えばいかがですか?」
「はう・・・好きな、人・・・?」
「ええ、好きな人ですよ、アニス」
耳元に唇を寄せ、小さく囁くジェイドの声に混ざり、あの人の声がする。
『アニス』
おっとりとした、あの人の声。優しげでいつも自分に微笑みかけてくれる導師イオン。
「イオン、様・・・」
不意に呼んだ名前に意識を現実へと戻す。何故、好きな人で彼なのか。
今更ながらに気付かされるとは。しかし、今、自分を犯す男は彼ではなかった。
「おや、アニスの好きな人はイオン様でしたか」
「それは・・・あっ!」
なんと素早い手つきだろう。小さな膨らみに触れていた手は、既に下半身へと移動し、服の上から形をなぞるように指が動く。
その意図もしない指先がときどき強く押し付けられ、中途半端な感覚を生み出す度、アニスは小さく震えた。
「あまり淫らな声を出すと、あなたの愛しのイオン様に声を聴かれてしまいますよ」
「っ!」
「いいこですねぇ」
ジェイドは唇の端をにやりと持ち上げると、ショーツを脱がすと、アニスの秘所へと顔を近付けて行った。
□ ◆ ■ ◇
「ふあっ!あっ!」
思わず出してしまった声に体がびくりとする。淫らな声をイオンに聴かれるわけにはいかない。
望んではいない愛撫にも関わらず、ジェイドの絶妙な舌使いで生み出される快楽が、アニスの抵抗力を失わせていく。
「んっ、んー!」
口元に両手の平を強く押し付け、声が漏れないように必死に意識を研ぎすます。
「んふっ、ん、んん、んー!」
ぴちゃぴちゃとわわざと音を立てながら、中で円を書くようにして舌を侵入させ、たまに強い力で吸ってくる。
その度にアニスの体がびくびくと反応し、やがてジェイドの口周りを濡らす程の沢山の体液が中から溢れ出る。
押し殺した声のかわりにあらわれる、何よりも正直な反応。アニスが快楽に飲み込まれている証。
「アニスは悪いこですねぇ。ここをこんなに濡らしてしまうとは」
体液が溢れ出る秘所から唇を離し、顎に垂れた液を手で拭いながらアニスを見やる。
未だびくびくと震えながら荒い呼吸を繰り返し、焦点の合わない瞳が揺れた。
「たいさぁ・・・」
たりない。と言うように、アニスは甘えた声を出した。
よもや、快楽の虜になってしまったようだ。頬を染めながら小さく呟いた。
「もっとぉ・・・」
□ ◆ ■ ◇
どうやら本当に初めてらしい。秘所に入り込んだ異物は、壁に押し付けられかなりの窮屈感を覚える。
しかし、一つ突きを射れる度に聞こえる声が、ジェイドの快楽中枢へと運ばれる。
一方、アニスもだ。僅かながらに痛みは感じるものの、多々の経験があるのだろうジェイドにより未感の快楽を生ませてくれる。
「あはっ、あっ、イオンさまぁ」
大佐に犯されていることを理解していながらも、イオンと一つになっているかのように、ひたすら彼の名前を呼ぶ。
「あひっ、ふあぁ、ん、くひん」
先ほどまで、洩れる声を押し殺し、口元に当てていた手は、強く拳を握りしめ襲い狂う快楽に耐えていた。
もはや理性など消え失せている。
唯一残されている物は、ジェイドの動きを受け入れ声をあげることと、頭の中で絶えず浮かび上がるイオンの微笑みだけ。
「だめ・・・らめぇ!イオンさまぁ!!」
導師の名を叫びながら体を小刻みに震わせ、絶頂へと意識を飛ばすと、そのままくたりと崩れ落ちた。
「・・・やりすぎましたか」
快楽の証をたっぷりとアニスの中に注ぎ込み、自身を引き抜く。
処女特有の締め付けを堪能したジェイドは、未だ脈打つ自身を押さえつけながら素早く服を身に着けた。
そして、小さな寝息を立てる少女の着衣を丁寧に戻し、シーツを被せる。先程の情事を残さぬように。
もうすぐ戻って来るであろう。部屋の主に悟られぬよう。
いくら天然であっても賢い方だ。違和感があれば、気付かれてしまうだろう。少なからず、この少女に好意を抱いている筈だ。
「ま、いいでしょう」
彼女の初めてはいただきましたよ、イオン様。と小さく呟き、ジェイドは微笑みながら眉根を寄せ、部屋を後にした。
□ ◆ ■ ◇
「ふにゃ・・・」
深い眠りが浅くなり始めたとき、誰かの視線を感じたアニスは、寝ぼけ眼の瞳を開くと意味不明な言葉を口にする。
「おはようございます、アニス」
ゆるゆると働かせ始めた頭に響く声に意識が現実に引き戻される。
昨晩の情事の中、ずっと聴きたいと、見たいと願っていた導師の微笑み。その微笑みだけで、アニスの心は満たされた気分になった。
「すみません。ゆうべ、ずっと待っててくださったみたいですね。ジェイドから聴きましたよ」
「はえ?」
「疲れが溜まっていたんでしょう。起きられますか?」
「へっ?あ、はい!・・・い、痛っ!」
心配かけぬよう、笑顔を返す――が、それは叶わぬものとなった。
昨夜のジェイドとの行為により、下腹部に走る鈍い痛みが記憶を消し去ってはくれない。
「アニス?」
「あはは・・・ね、寝違えちゃったみたいです・・・あはは」
乾いた笑い声とともに、アニスは一つの復讐の念を散らす。
しかし――
再び襲われることになる導師守護役なのであった。
終(われ)
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