総合トップ>SS一覧>SS No.5-058
作品名 |
作者名 |
カップリング |
作品発表日 |
作品保管日 |
学者 |
kahala氏 |
エロ無し |
2006/03/09 |
2006/03/09 |
「おおお!ゴージャス!美しいあなた。お名前は?」
コレットにいとも簡単に投げ飛ばされた男は、凝りもせずに、今度はリフィルに近寄る。
言い寄る男の顔に手を添え、リフィルは言った。
「お前・・・なかなかだな。どうだ、今夜付き合わないか」
「ね、ねえさん!何言ってるんだよ!」
「そうだぜ、先生!今はコレットの事が最優先だろ」
また悪い癖が出た・・・。
リフィルを二人は必死で止めに入る。
一刻を争うときに、彼らに寄り道などしている暇は無い。
「おお、これはこれは、美しいお姉様。せっかくのお誘いですが、私はこれから私用がございますゆえ・・・」
「む、そうか。残念だな。いずれ機会があったら」
「んじゃ、そーゆーことで。可愛い天使ちゃんも、またね」
事情を察してくれたのか、男はあっさりと引き下がり、そう言い残すと去っていった。
残念そうに見送る女教師を、安堵の表情で弟が見ている。
「姉さん、もうしないって言ったじゃないか・・・」
「あら、そうだったかしら。いいじゃない、私の趣味にケチつけないでよ」
「そーいう問題じゃないでしょ!」
いつものパターンで交わされる二人の会話。
ロイドは旅に出てから何度同じシーンを見ただろうか。
こんなときばかりは、心を失ったコレットが羨ましいと、悪いと思いながらもつい考えてしまう。
プレセアが仲間になりましたのシーンを挟んで
「お前ら何でこんなところにいるんだよ」
衛兵を突き飛ばして侵入した王の間には、さっき会った男が立っていた。
話によると、男はこの国の神子で、今は祈祷の準備をしているらしい・・・
が、そんな事はお構い無しに、また女教師が暴走を始める。
「あら、こんなに大勢で・・・。視姦プレイでもするのか?私は何でも構わないぞ」
「ね、姉さん!さっき言ったばかりじゃないか」
「うるさいぞ、ジーニアス。子供はもう寝ろ」
「まだお昼じゃないか。言ってることが滅茶苦茶過ぎるよ」
「チッ・・・邪魔くさい。おい、男。場所を変えるぞ」
「え、いや、そう言われても、俺さま困っちゃうんだけどな」
軟派に見えた男は、本気で困っているようだ。どうやらこーいう事態には慣れていないらしい。
今までに無い思わぬ面白い展開に、ロイドは部外者よろしくニヤついている。
「衛兵、コヤツ等を追い出せ!」
ストップは玉座の方からかかった。
彼らは神子と名乗る男と共に、あっと言う間に城外に追い出されてしまった。
目的はまだ何一つ果たされていないのに。
「どーするんだよ、先生」
「そーだよ、姉さん。手紙渡さないと、コレットが治らないじゃないか」
「私・・・帰りたい」
リフィルは無言のまま男の方に向きなおす。
「お前、名前は?」
「ゼロス・ワイルダー・・・・です」
「そうか。ゼロス、行くぞ」
「い、行くってどこによ。あっ、おい、ちょっと待て・・!」
男の言葉を無視し、男の首根っこを掴むと、無理矢理にそのまま街の方へと引きずっていった。
「おい!お前ら、黙って見てるなよ!!」
繁華街に消えていく二人を、いつもの様に黙って見送り、そしてまたいつもの会話が為される。
「どーしよう、ロイド・・・」
「どーしようったって、どーにもなんねぇだろ。明日、考えようぜ」
「ロイド・・・・慣れたね」
「ああ、慣れたくなかったけどな・・・」
「私・・・帰りたい」
いつもの様に暴走に振り回される弟。
すっかり馴らされてしまった教え子。
感情を失った代わりにこの事態から逃れられた女神子。
抵抗空しく連れ去られた男。
利用された挙句に巻き込まれた少女。
さあ一番不幸なのは誰だ
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