総合トップ>SS一覧>SS No.5-042
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作者名 |
カップリング |
作品発表日 |
作品保管日 |
死神と小さな悪魔 |
424氏(20スレ目) |
ディスト×アニス |
2006/02/14 |
2006/02/15 |
「ディーストー!ちょっと待ってよー」
ディストのはるか頭上から、かん高い声が降って来た。
ディストはその声の持ち主から逃れようと、椅子についている音機関を
フル活動して逃げようとする。だが、下まで降りると先にワープで回りこんでいた
その声の持ち主――アニス・タトリン奏長が待っていた。
「へっへー。このアニスちゃんから逃げようったって、そうはいかないんだから!」
そう言うとアニスはディストを見上げ、得意そうに胸を張ってみせる。
「…アニス、私に何か用ですか?私は新しい研究が……」
「まぁまぁ、そう言わずに。トクナガの事なんだけど〜…」
アニスはディストの言葉に全く耳を貸そうとしない。「ほらぁ」とディストに
強引にぬいぐるみを押し付けた。
「ここ、ちょっとほつれちゃったみたいだからぁ〜、なおしといてよね!後で
神託の盾本部まで取りに行くから。じゃあね♪」
「待ちなさい!」
アニスはディストの声を無視して、さっさとワープを使いイオンの私室へと戻ってゆく。
一人取り残されたディストは「ムキーーーー!!」と奇声を発すると椅子ごと
そのまま飛び上がり、教会の天井に頭をしたたか打ち付けた。
「まったくあの娘は…人がちょっと甘い顔をしたからって調子に乗って……。
こんな事ならこんな醜いぬいぐるみなど改造してやらなければ良かった……ブツブツ」
夜更け過ぎ、ディストはブツブツ呟きながらも、大きなボタンの瞳がついた人形を
繕っている。アニスがトクナガをディストに押し付けるのは、もうこれで18回目だ。
「ブツブツ…まったく…私は陰険ジェイドと共にネビリム先生を復活させるのが何よりの
目的なのに…第一私は泣く子も黙る六神将・薔薇のディストですよ?それなのに
どうしてこの私が!この私が!!よりにもよってこんな不細工なぬいぐるみを…
ブツブツ……」
そうは言ってるが、元々この不細工なぬいぐるみ――トクナガはディストが
アニスのために改造してやった物だ。神託の盾の食堂でディストが一人で食事を
している所に、アニスに声を掛けられたのが始まりだった。「…ディストってさぁ、
音機関とか譜業とか得意なんでしょ?だったら、私の人形を改造してくれないかな?
アニスちゃんが乗れるくらい大きくするとかぁ〜」とか何とか。その無邪気な笑顔に
一瞬惹かれ、ディストはつい頷いてしまった。だが、その愛らしい笑顔を持つ
少女は悪魔だった。しょっちゅうディストの前に現れては、無理難題を押し付ける。
「…ブツブツ…アニス…あなたの行動は全て私の復讐日記に書かせて…」
「…ほぇ?日記がどーしたの?ディスト」
「…え?」
振り返る。そこには今日の復讐日記の主役である、アニスが居た。
「!!!ぎ、ぎやあああああーーーーー」
「もー!そんなにビックリしなくてもいいでしょ!うるさいなー」
そう言って耳を押さえるアニスは白いネグリジェを着て、黒髪を肩に垂らしている。
「なっ、何なんですかあなたは!!勝手に人の部屋に入って来ないで下さい!!
第一何の用があって…」
「だーかーらー、わめかないでってば!トクナガ取りに来たんだけど、もう直ったぁ?」
「……ほら、これでいいでしょう!用が済んだらとっとと出てって下さい!!
私は忙しいんですから」
ディストはアニスに投げつけるようにトクナガを渡すと、アニスは呆れ顔で両手を広げた。
「変なディスト…。ま、いいや」
アニスはせっかく直ったトクナガを放り投げると、後ろ手で部屋の鍵を閉めた。
カチリ、と乾いた音がする。
「…まだ、何か用ですか!!」
「そーんな怖い顔しないでよぉ、ディ・ス・ト。このアニスちゃんが、ご褒美
あげるからさあ。ね?」
アニスの唇の端が上がる。見覚えのある笑い方だ。悪魔の微笑みだと、ディストは思った。
「な、何ですかご褒美って!大体私はあなたに貰うものなど……!!!んっ…」
アニスが近づいてきたと思った瞬間、ディストの薄い唇はアニスによって奪われる。
初めて触れるアニスの唇は、ふにゃふにゃと柔らかく頼りない感触で湿っていた。
「……っ!!」
訳がわからないまま、ディストはアニスを思い切り突き飛ばす。アニスの小さな身体は
あっけなく吹き飛ばされ、離れた。
「いったいなぁ…何すんのよ!!」
「それはこちらのセリフです!」
「あのねー!この可愛いアニスちゃんがご褒美あげようとしてるんだから、大人しく
受け取りなさいよ!!それとも何?私の事が嫌いなわけ?」
「…………」
ディストは一瞬沈黙する。元々トクナガの事だって、アニスを気に入っていなければ
改造なんてしていなかった。アニスの性格はどうあれ、少なくとも彼女は自分に親しげに
話しかけてくれる唯一の人間なのだ。その彼女を失ってしまうのは嫌だったし、それに
先ほど一瞬だけ触れた、アニスの唇はとても柔らかかった。アニスは「ご褒美」と言った。
「ご褒美」――その言葉の持つ響きは、今まで研究一筋に生きてきたディストにとって
くらくらするほど魅惑的だった。そんなまさか。でももしかして。ひょっとしたら。
昔自分よりもはるかに天才で容姿にも恵まれた親友が、美女をとっかえひっかえ連れ
歩いていた事が頭をよぎる。自分には関係ない話だと、とうに諦めていたと言うのに――
「ね…ディスト……」
アニスは考え込んでいるディストの頬に唇を押し付けた。
「私の事…きらい?」
返事のかわりに、ディストは力任せにアニスに口付ける。カチッ、と歯がぶつかる音が
して、唇が切れる感触と鉄の味がした。
「――つぅ、イタタタタッ!!」
ディストにとって、人生で2番目のキスだった。
「……いったいなぁ…。そんな乱暴にするから、切れちゃったじゃない」
血の滲む唇を何度も舐め、アニスはディストを睨む。
「あ…あの…ごめんなさい。わ…私は実は、研究に忙しくてあんまりこういうのは…」
「えぇ〜、そうなの?じゃあもしかしてディストってばキスした事も無かったんだー!」
「なっ!それが悪い事だとでも言うんですか!ムキーーー」
「あ〜、ごめんってば」
アニスはディストの顔に手を伸ばし、そっと眼鏡を外した。
「…こーゆー時はさぁ、やっぱ眼鏡を外さないと。ね?」
再びディストの頬に触れ、ゆっくりとキスをする。たっぷりと唾液をつけた舌で、
ディストの唇を何度も舐めた。いつのまにか、ディストの意思とは関係なく勝手に
舌が動き出しアニスの舌を追いかけ始めた。唾液がいくらでも溢れ、舌が絡まる。
唇からはみ出した舌は、重なりあい、もつれ合ってもがいた。想像以上の淫らさに、
アニスとディストの呼吸は荒くなる。その呼吸すらどちらの物なのか、既に
ディストにはわからなくなっていた。
「…んぐっ!…ん……ふぁ……」
アニスの指先がゆっくりとディストの開いた胸元に触れ、シャツのボタンを
外し始める。その瞬間身体は打たれたように敏感にはね、ディストの病的なまでに
生気の無い肌は赤く上気した。
長く絡まっていた舌がようやく離れると、アニスはディストの手を自分の寝巻きに
導いた。真白なコットンのネグリジェはフリルが付いていて、小さなボタンが並んでいる。
「脱がせてよぉ…」
アニスの囁きに誘われるように、恐る恐る白く小さなボタンに手を伸ばす。
ディストの指は、はっきりわかるほど震えていた。
「アニス…」
一つ。また一つと、指の震えを押さえながらボタンを外していく。その度にアニスの
小麦色をした肌が剥き出しになった。ボタンを全て外すと、アニスのあらわな裸身が
現れる。まだまだあどけなさが残る身体はほっそりとして、胸の先端だけが淡い
ピンク色をしていた。すべすべと柔らかそうな肌や丸みのある肩、コットンの
ショーツに包まれた内腿。まだ肌に触れてもいないのに、ディストは射精しそう
になる衝動を押さえるのに必死だった。
「…触ってって、言わないと触ってもくれないの?ぶーぶー」
「……す、すみません……」
ディストはアニスのほとんど膨らんでいない胸に手を伸ばす。最初はこわごわ触れ、
その柔らかな感触に手の動きがどんどん激しくなる。ディストはアニスの頬をつかみ、
耳元に何度もキスを繰り返した。それから滑らかな首筋。顎。胸元。舌で
アニスの肌を追うたびに、アニスの小さな唇から嬌声が漏れる。
「――やっ……んんっ…。あっ!やだあ……」
自分の膝の上で身をよじって喘ぐアニス。ディストは夢中でアニスの身体をまさぐった。
「……やだあ!もっ、もうやだっ!!」
アニスは大きく息をつき、不意にディストの腕から逃れる。
「ムキーー!わ、私はあなたがいいって言ったから……!」
急に拒絶され、訳がわからないディストは奇声を上げた。アニスも負けじと大声を上げる。
「そうじゃないよお!そうじゃないけど……」
アニスはディストの耳に囁く。
「えっと、えっと……。あ、あのさ……下も…触って…欲しいなぁ、とか…」
「あ……」
多分かなり恥ずかしかったのだろう、髪に隠れていて表情はわからないが
アニスの首筋は真っ赤に染まっていた。うなだれたままで、ディストの手を引く。
傍らのベッドを指差した。
「…ほら、おいでよぉ」
改めてベッドに横たわり、ディストはアニスを強く抱きしめた。まだ震えの
収まらない手でアニスの真っ白なショーツをはがす。指先で撫で回すと、粘り気の
ある液体が指にたっぷりと絡み付いてきた。まだ毛も生えていない、殻を剥かれた
ゆで卵のようにつるんとした感触。すべすべした襞。小さな突起。クチュクチュと
粘り気のあるいやらしい音が響いた。
「あっダメっ…やだ…あっ!音なんか、立てないで…ひゃっ」
中に指を侵入させてみる。そこは熱く蕩けるような感触で、痙攣するような動きで
ディストの指を迎えた。ディストは欲望のまま、その中をかき回す。
「あうっ…あっやあ……もう……っやだ、やめてよおっ…」
すると、奥の方からぼたぼたと粘液が垂れるように降り注いでくる。アニスの喘ぎ声が、
どんどん高くなった。
「はうっ!あっ、あふっ…ひゃっ!!ああああああっ」
ビクンビクンとアニスは大きく身体を震わせると、ぐったりと身体をディストに
預けてくる。指が入ったままのアニスの中はさらに熱くビクビクとディストの
指を締め付けた。
もう、我慢も限界だった。
ディストは引き千切る様に自分の服を脱ぐと、まだベッドに沈み込んでいるアニスに
覆い被さる。一秒でも早く繋がらないと、気が狂いそうだった。
「やっ…ちょっ、ちょっと!何やってんのよディスト!!何か怖いんだけど……」
「だっ、大体あなたが誘ってきたんじゃないですか!そんな、今さら止めるなんて
私は出来ませんよ!!」
ディストは叫ぶと、アニスを強引に腕の下へ組み敷く。先ほど指から伝わったアニスの
感触を思い出しながらペニスをあてがう。知らず知らずのうちに腰が動き、先端が
アニスを貫きはじめた。
「やだあーーー!イタッ、痛い!いたいよぉ!!死神ディストのバカぁーーー!!」
「死神ではありません!薔薇です!バ・ラ!――くっ、はっ…き、きつい……」
泣きわめくアニスを押さえつけ、腰を進める。ディストは蕩けるような感触を
覚えながら、ゆっくりと腰を動かす。アニスの泣き声と抵抗が、いっそう激しくなった。
ディストの背にアニスの腕が回され、思いきり爪を立てられる。ガリリ、と皮膚が
切り裂かれる小さな音がした。
「大人しく…して…なさいって、言ってるでしょう…うぎゃっ!!」
背中に走る鋭い痛みに一瞬萎えそうになる。ディストは慌ててアニスの腕を
引き剥がして押さえつけた。全く、どこまでも自分の思い通りにならない娘だ。
ディストは抵抗を抑え、「痛い」と「いや」を繰り返すアニスの唇を封じた。
くぐもった泣き声が、部屋に響く。
「んっ、んーーっ!んむっ…ふぐっ…んんっ」
舌を下へ這わせてゆく。首筋、それから胸元。はっきりと起立した乳首を
何度も舐めながら、何度もピストン運動を繰り返し、アニスを揺さぶった。
その度にディストのペニスはぬるりと甘くふやけるような質感に迎えられ、
射精しそうになる快感をおぼえ、それを必死でこらえた。
「ひゃっ!やだぁ…やだって…言ってる、のに…、あっ……ディストぉ…」
いつの間にかアニスの泣き声は、痛みを訴える泣き声からどこか甘く、淫らな声に
変化していた。クチャクチャと、まるでガムでも噛んでるみたいな音が部屋中に響く。
ディストはもうどうしていいか分からないまま、ひたすら快楽を求め腰を動かした。
「もぅ…ダメ、ダメなのにぃ――ああっ、壊れちゃう、壊れちゃうよっ…!」
アニスが我慢しきれないように大きな声を上げる。ディストの快楽も極限まで高まる。
「も、もう…無理、です……アニス…」
ディストはそう呟くとアニスをきつく抱きしめ、全てをアニスの中に吐き出し果てた。
「あー痛かった!もう、鼻垂れディストの癖に生意気過ぎ〜」
裸のままディストを睨むアニス。ディストはどうしていいかわからず、ベッドの
上で小さくなる。
「ね、ディスト。これからもトクナガをよろしくね!…また、ご褒美あげるから」
アニスは悪戯っぽく笑って囁くと、ディストの腕に絡まった。
「……そ、それは……。…………。はい……」
その笑顔を見て、やっぱり悪魔の笑みだとディストは思う。わがままで生意気で、
何一つ自分の思う通りにならない、小さな悪魔。
そして、ディストの復讐日記にはしばらくアニスの事ばかりが記載され、椅子に
乗ったまま執拗にアニスを追いかけるディストの姿が神託の盾本部のあちこちで
目撃されたという。
ディストとアニスが互いの目的のために戦う事になる、少し前のおはなし。
おしまい
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