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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
六神将秘録-烈風- 鶏氏 シンク×アリエッタ 2006/01/29 2006/01/30

憎い。
この顔、この声、この命。
僕は誰よりも何よりも、この星と、この命を憎む。
空っぽで何の意味もない命を生み出した、この星の記憶を―――――。

―――――バキィン!!

「……………ち」
やはり仮面を外すべきではなかったと、鏡を微塵に砕いてから思う。
そこに映ったモノを見れば、どうしようもない程の怒りに駆られるのは分かっていたというのに。
それでも仮面を外し、鏡を見たのは何の為か―――所詮は"無駄な足掻き"くらいのモノか。
「…………………………」
どうあったって覆らない事実。
僕はイオンのレプリカで。
生まれてすぐに、役立たず、屑と罵られ、生きながらにして地獄を見た、ゴミ。
生まれた意味など何一つとしてない、この世の屑。意思を持った肉塊にすぎない、空っぽの存在。

「………くそ……………僕は…僕は……!」

―――――ガタ、ッ。
「!」
物音と小さな悲鳴が、僕の意識を引き戻す。
やや開いたドアを睨むと、そこには―――影があった。
………この顔を見てはならない、人が。


「………イ、オ…ン、様……………?」


夜に溶ける黒衣―――同じ六神将のアリエッタが、そこに立ち竦んでいた。
その身体はガタガタと震え、信じられない、と言いたげな表情で。
―――最悪、と言っていい程の間の悪さに内心舌打ちをし、手早く仮面をつけ、再度アリエッタに目をやる。
「何の用だ、アリエッタ」
「………シンク……どういう…こと…です?」
震える質問に、もう一度舌打つ。アリエッタの行動は当然だが、真実を話す訳にはいかない。
「どうもないもない。僕はイオンによく似ている、それだけのことだよ」
我ながら薄っぺらな嘘だと内心思うが、これを突き通さなくてはならない。
…そもそも自分が導師イオンのレプリカだと隠す必要があるのは、このアリエッタ以外にはいない。
だからその事実を覆う為の嘘には慣れていない―――いや、初めてというのが正しい。

「嘘です!」

――耳を劈く、アリエッタの怒りを孕んだ声。
「そんなのありえない!ありえないっ!!あの顔はイオン様だった!アリエッタはイオン様とずっと一緒だったんだもの、間違えるはずないです!!」
「…じゃあアリエッタ。アンタは僕が導師イオンだって、そう思うのか?」
う、とアリエッタは声を詰まらせる。僕はそれを機に畳み掛ける。反論を許さないように。
「導師イオンは今、アニスと行動を共にしている。それはアンタも知っているはずだろう。
 ………つまり、アンタの考えはありえないんだ。わかったらさっさと部屋で休むんだ、いいな」
俯くアリエッタに言葉を浴びせ、さっさと出て行くように促す。

「………………………………」
「聞こえなかったのか、アリエッタ。僕らは休める時がそうそうない…」
「―――………イオンさまぁ……ぇぐ、…っく………イオン、さま……」

――――――――――その名に縋り泣きじゃくる姿に、何かが切れた。

意識による行動ではなかった。
がっ、とアリエッタの胸元を掴み、傍にあったベッドに投げ捨てる。
「きゃ―――!?」
「…おまえは………!」
ぎり、と怒りの音が軋む。どす黒い激情が猛る。
呻くアリエッタに馬乗りになって、拳を顔に突きつけ、僕は叫んだ。

「………僕はイオンじゃない!!僕はシンクだ…六神将"烈風"のシンクだ!!
 思い出せ、アリエッタ…おまえのイオン様は、おまえにこんなことをしたか!?」

ふざけるな。
僕はイオンじゃない。
僕を見て、イオンを思い出すな。
僕はイオンの代わりじゃない。僕は僕だ!
空っぽの命を憎む僕は、六神将・烈風のシンク。ローレライ教団の導師イオンじゃない………!!


―――す、と。
激昂する僕の仮面に、小さな手が伸びる。
気付いた時には既に遅く、仮面は部屋の隅でカランと冷たい音を立てた。

「………私のイオン様は、こんな乱暴じゃなかった…です。でも……顔…ううん、違う………おんなじ瞳をしてる、です」
「…同じ瞳……だと?」
「………すごく、さみしそうな瞳……」

その言葉に―――――また、何かが切れた。

「違う、違う違う違う!!僕はイオンじゃない………イオンじゃない!僕は、シンクだ!」
「…………………………」
「…フフフ、アハハハハ……………アハハハハッ!!!」

そうだ。
なら、教えてやればいいじゃないか。
僕はイオンなんかじゃない。あんな腑抜けた性格じゃないってことを分からせればいい。
そうすればアリエッタも、二度とあんな世迷言は言わないだろう。
「…アリエッタ。分かってないみたいだから教えてやるよ。
 ………僕はイオンなんかと全然違うってことを………分からせてやる」
「………ひ…っ!」
短い悲鳴が聞こえたが、そんなものもう構いやしない。
そう、あの甘ちゃんには絶対に出来ないことをしてやろう。


―――悲痛の類など、何も知りやしないこの身体を、穢してやる。


目の前には怯え震える少女が独り。
教団を守護する"神託の盾騎士団"、その中でも実力有る者にしか許されない『六神将』の冠。
―――それを、こんな子供が。

「………っ…!」
「ふぅん………いつもの人形のせいでわかんなかったけど…意外だな」
外見から察するよりも大き目の胸に、軽く触れる。
―――アニスがコイツを嫌う原因の一端は、おそらくこれだろうと邪推する。
「〜〜………!!」
「へぇ、悲鳴はあげないの?助けに来てもらうことを諦めたか、それとも…こんな姿、誰にも見られたくないからか?」
くっくっと、自然、愉悦が漏れる。
―――こんな嗤い方、アイツには出来ない。あの甘ちゃんには到底縁の無い邪悪さなんだから。
「ぁ…く、ぅ………」
「………そこまで子供でもないみたいだな、アリエッタ。感じてるのかい?」
「……………」
ぐ、と口を縛ってアリエッタは目を伏せる。どうも答えたくないらしい。

だけどさ、アリエッタ。
それは肯定を表す態度だってことくらい、分からないのかい?

「…いいさ、これは陵辱なんだ。アンタの身体なんざ知ったこっちゃない」
ぐっと力を込め、アリエッタの黒衣を破り捨てる。
「―――――!」
声にならない引き攣った悲鳴がわずかに聞こえた気がしたが、気にも留めない。
「…なるほどね。アニスがアンタを嫌うワケだ」
さらけ出してみれば、尚更だった。
白い、穢れを知らない身体。顔立ち、言動とはアンバランスなスタイル。
「……………」
その胸に顔を近づけ、先端を軽く咥える。
「ぁ―――!」
右手で、もう片方の胸先を弄る。
ぴんと起った、アリエッタの髪色と同じ桃色を、痛めるようにして弄ぶ。
「ゃ、ぁ………ぅ、ん……………!」
「……………………強情、だな…」
舌で転がしていた突起に、かり、と歯を立ててやる。
「あ―――――ぅ!」
それをスイッチに、華奢な身体がビクンと跳ねる。
閉じられた瞳からはボロボロと涙が零れ始めていて、頬は赤々と色付き出している。

「―――――……………アリエッタ、聞け」

手を止め、顔を離し眼下の少女に通告する。

「ここまですれば分かっただろう…アンタのイオン様は、アンタにこんなことをしなかっただろう?
 ―――――もう二度とあんなことを言わないと約束するなら、ここで僕はアンタを解放する」
「………シ、ン……ク…?」
「アンタは仲間だ。同じ志を持ち、総長の下で力を振るう『六神将』の一員だ。
 ……………僕をイオンと呼んだことは、今ので水に流してやるよ。だからもう、部屋に戻れ」
これ以上脅す必要もないから、出来るだけ優しい声で告げてやる。

「…さっき破った服の代わりだ、僕の上着を貸してや―――――」


―――――言葉の続きは、抱きついてきたアリエッタによって遮られた。

「あ、アリ…エッ、タ?」
「………どうして…どうして………!」
アリエッタの顔は見えない。
ただ、その声に怒りめいたものを孕んでいることだけは分かった。
「……………」
「分かってる!イオン様はイオン様で、シンクはシンクだって、そんなの分かってる!!
 ………だけど、どうして……………どうして、シンクは…―――――

―――――イオン様とおんなじくらい、やさしいの…!?

「………な…?」
悲痛の色すら込められたその一言に、僕の芯が崩れる。

「最初はすごく怖かった!あんな風にされて、どうなっちゃうか…本当に怖かった!!
 だけど―――――そのあとは、全然………本当に、怖くなくて―――――

―――――イオン様に愛されているんだって、そう思えるくらいだった!

「―――――!」
やめろ、と。
そう言おうとして、叶わなかった。心臓が狂い始め、呼吸が激しく乱れだす。

「………ぐすっ……アリエッタだって、そんなの認めたく、ない……です…。
 …イオン様は、あの…とっても優しい…導師イオンは、あの人だけだって………アニスがとっちゃった、あの人だけだって…」

でも、とアリエッタは言葉を切って、僕から離れその瞳を向ける。

「……………どうして、こんなにも…イオン様と、同じ瞳なの………?」
「―――――やめろ!!!」

号、と空気を震わせる。纏わりつく言葉を弾き飛ばす。

「………言ったはずだ、アリエッタ。僕をイオンと言わないのなら、解放してやるってさぁ………忘れたなんて言わせないよ?」
目一杯の力で、ふざけたことを抜かしたアリエッタを押し倒す。もう一度、脅すために。

―――――だが、今度は勝手が違った。

「……………じゃあ、アリエッタをどうする…です?」
キッと、アリエッタは睨み返してくる。意志の宿った、強い眼差しを向けてくる。
「………続きをして、教えるまでさ。僕がイオンと違うっていう証明をね。それ以外に何があるっていうんだ?」
僕とて怯みはしない。分からせてやらなくてはいけない。僕はイオンじゃない。僕は―――。

「…それなら、やればいいです。アリエッタだって、あんなの………認めたく、ないです。
 だから、続けて………そして、証明してください。………です」

その瞳は、真剣だった。
『六神将』として相応しい、覚悟の眼差し。
魔物と心を通わせ、意のままに使役する―――『妖獣』の冠を被った、軍人。

………愛する人の幻像を大切に抱いている、一人の女。


「……………いいだろう。後悔したところで、僕は止めてやらないからな」
「………だから、そんな優しさを見せないで………です。りょーじょく、なんでしょ…?」
「…………………………チッ」

―――――………シンクは、嘘つきです。

「ふ、ぁ…ん、く………っ」
「…随分と感じてるじゃないか。こんなに濡れてる…アリエッタ。アンタ意外と淫乱なんだね」
「…ゃ、ぁ…」
「こんな調子じゃ、身体に言うこと聞かせるよりも………あぁ。誰かにバラせば一番効果的かな」
「―――――あっ、く!」
「ふぅん…指もすんなり入るね。もうぐしゃぐしゃだから、当然か………」

…どうして、そんなふうになっているのかって。
―――きづいて、ない。

「く、ぅっ…あぁっ!」
「………」

ねぇ、どうして―――――あんなこと、いった、のに。
それでも、どうして、シンク、は………。

「や、あ、ううっ…ぅんっ!」
「すごいね、アリエッタ。どんどん溢れてくるじゃないか。無理矢理に犯されているっていうのに、アンタは………」
「ち、がっ…!」
「ッハハハ………。違うって、何がどう違うのさ?こんなに濡れて、それでも感じてないって言い張るのかい?」

ちがう。ちがう。
こんな、ふうに、やさしく………こんなの―――りょうじょく、って、いわないよ………。
あなたは、ことば、だけで。
ひどいことは、なにも、してこない。


―――――やだ。


こんな。
こんなの。

「……………ちがう、のに…」
「…泣けばいいさ、好きなだけ。それでも僕は止めやしないんだから」
「………うぅ、ぐすっ………えぐっ……………」
「…………………………」

ぼろぼろと、なみだが、とまらない。
シンクのかおも、よく、みえない。

―――――なのに。
なのに、シンクが、すごくかなしそうなかおをしてるって、わかっちゃう。

「……………僕は………僕は…」
「………ゃだ、よぅ…こんな………」
「……………」

ふくをぬいでいくおとが、きこえる。
―――――おねがい、だから。せめて、それだけでも、ひどく、して。

「…アリエッタ。よく、覚えておけよ。僕をイオンと呼んだら、どうなるかって………こ、と…を、な…!」
「―――あ、あっ……ぃ…!!」

―――はい、って、くる。
すごく、あつい……………わすれかけていた、あつい、もの、が。

「く…っ!意外と、き、つ………い、な」
「ぁ…あ………シ、ン……!」
「………チッ。動く、ぞ…!」
「ふぁ!?あ、んっ、くぁ…っ!ど、う……しっ、てっ…」

―――――そん、な、にも…あの、ひと、の………よ、うに……………―――――。

「…この、まま、出して、やるよっ………」
「ぁんっ、ぅ、っあ…ひぁっ!?シンクっ、な、か…は、だめぇっ…!」
「……………これは、アンタへの、罰、なんだっ…!!」
「い、ゃ………ぁ………あ、んっ、ふあぁ!」

『アリエッタ。僕は、君と―――――』

「………刻み込め、アリエッタ。僕を、二度と、イオンと、呼ばないように、なぁッ!!」
「や、あぁっ、ふああ、あああああっ―――!!!」
「…くっ―――――!!」

―――からだに、あついものが、かか―――って、る。
―――――もう、なにも、かんがえ、られ………な、い………。


「             」


「………は、ぁっ……………はぁっ…」
ぐっと身体に力を込め、身体を起こす。
穢れた白に塗れたアリエッタを一瞥し、吐き捨てる。
「……………アンタは…最後まで、分からずじまいだったね…この、馬鹿め」
目を閉じて息を荒げている―――どうやら気を失ったらしい。おそらくこのまま朝まで眠り続けるだろう。
「…まぁいいさ。僕の目的は遂げられた。僕はイオンの代わりじゃないってことを、これで証明できたんだからな…」
白濁に穢れたあられもない姿を眼下に捉え、僕は自分のしたことを具に感じる。
「………六神将にいられなくなるのも、時間の問題か………。
 いや、ヴァンのことだ。どうせアリエッタが何かを言ったところで、聞きはしないだろう」
脳裏に過ぎるのは、あの男の冷えた声色と嗤い。
…アイツに情などというものは、欠片も存在しないだろうから。

手近にあった布切れで、自身とアリエッタの汚れを適当に拭ってやる。
…この夜を覚えている限り、コイツは僕をイオンと呼ぶことはしないだろう。
さっきのはあくまで一時的な混濁に過ぎない。朝になれば、恐怖心の類から自然と口は塞がるはずだ。

「………アンタのイオンは、もういない。僕は導師イオンの代わりなんてゴメンだ。
 だから僕は僕を―――僕を生んだこの星を憎み続ける。この空っぽの生命で、預言を消滅させてやるんだ…!」

それが、空っぽの僕の、たったひとつの生きる意味。
導師イオンの代用品…それすらも出来なかった屑の、存在理由なんだ。
この無意味で、空っぽの―――――。

「………じゃあな、アリエッタ。
 せいぜい僕を恨むといい。そうすればアンタも、二度と馬鹿な勘違いをしなくなるだろう」
そう言い残して衣服を正し、隅に捨てられた仮面を被ってから部屋を出る。


この手は障害を討つ為に在る/他者を導くための手じゃあない。
この力は障害を消す為に在る/他者を救うための力じゃあない。


僕の、二つ名は。
ヴァンの、僕の目的を邪魔するモノを、切り刻む―――――。

「……………神託の盾騎士団『六神将』………僕は"烈風"のシンクだ……………!!」

―――――いつものように、目が覚めた。

「………ぁ」
「クル……ル…」
ちょんちょんと優しく頬をつついて起こしてくれる、おともだちの姿。
眠たいのとだるいのをガマンして、起きてみる。
「………ええ、と……………あ、そう…だっけ…」
見渡しても、ここがどこなのか分からなかった―――――でも、すぐに思い出す。
「シンク…いない、の?」
呼んでも返事はない。
………ここにいるのはアリエッタとこのコだけだと分かった。
「クルル………」
「ありがとう。わざわざ探して起こしてくれたんだね、いいコ…」
お礼にアタマをなでなでしてあげると、嬉しそうにノドを鳴らしてくれた。

「……………」
自分の身体を見る。
―――昨日あんなことがあってすぐ眠っちゃったのに、ぜんぜん汚れてない。
しかも…きっと冷えないようにって、ちゃんとおふとんが掛けられてた。
服はダメになっちゃったけど、部屋に戻るまでの間に合わせにシンクの上着を借りればだいじょうぶだと思う。

「………っ……………!!!」

―――シンクは、ほんとうに最後までやさしかった。いちども、痛いことをしなかった。
『僕はイオンと違うんだ』って言って、ひどいことするって言ったくせに。
口だけは気取ってて、でも、やったことはひとつもひどいことなんかじゃなくって。

―――――逆に、やさしかったところが、イオン様とそっくりで。

「…アリエッタも、イヤだって、言ったのに………!なのに、それでもシンクは………ずっ、と、やさしくって、………っ!
 イヤ………もう……あんなに切なくて、こんなに苦しいえっちは、もう………イヤ……………うあぁぁんっ…!」

枕に顔をうずめて、思いっきり泣きつづけた。
―――――ほんの少しだけ感じたのは、なつかしい―――――イオン様の匂い。

「イオンさまっ………会いたい、ですっ………!
 また、アリエッタに…泣いちゃダメだよって、しかって、ほしいです………ぇぐ、ひっく………うわああああんっ!!!」

◇  ◇  ◇

「―――――ラルゴか。アンタが帰ってきたってことは、決着がついたんだな?」
「そうだ」
「……………敗れたのか」
「六神将の名に恥じぬ、誇らしい闘いだった。年端もゆかぬ少女なれど、天晴れな最期だったよ」
「…亡骸はどうした?」
「かつてライガの棲み処だった森…今では焼けてしまったがな。そこに埋葬した。
 レプリカのフェレス島より、あの場所のほうが彼女の生まれた地として相応しいだろう」
「ふん、アンタにしては気の利くことをしたじゃないか…。それで?アリエッタの仇は討つのかい?」
「無論。もとより奴らとの戦いは避けられぬ。ならば同志としてその無念を晴らすのが道理だろう」
「……………無念か。そうだろうね」
「……………………次は全力で奴らを潰す。久方ぶりにあの武具を持ち出すことにしよう」

黒獅子は背を向け、己が信念の為に歩み出す。
烈風は空を仰ぎ、散りばめられた譜石を―――――否、遥か彼方を見詰める。

「………アリエッタ、そこで本物と見物してなよ」

大気が震える。浮遊大地が嘶く。
烈風の二つ名を持つ少年の瞳に、妖獣の如き焔が点る。

「もうすぐだ………もうすぐ、僕らは遂げてみせる……………!!」

烈風もまた歩き出す。
空っぽの生命を生み出した諸悪の根源を、それを解放せんとする邪魔者を、その手で微塵に切り裂く為に。


―――――六神将秘録-烈風-・了。


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