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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
復習 263氏(21スレ目) ガイ×ナタリア 2006/04/09 2006/04/09

「まったく、どうなってんだよ、このカースロットってのは…。」
グランコクマへと向かう途中で寄った宿屋、夜も遅くにガイは自分の部屋で自身の左肩
に刻まれた赤い痣を苦い表情で見続けていた。カースロットという呪いの痣、イオンによ
ると術者であるシンクから離れてさえいれば効果は無いらしい。しかし呪いの二次作用か
なにかなのか体に掛かる冷たい重圧、自身の体調の鈍りをガイはひしひしと感じ取ってい
た。思うように動かない体は戦闘でも迷惑をかけてばかりいた。
「……頼むよ。あと少しなんだ。みんなに迷惑をかけたくないんだ…。」
痣を強く押さえつける。イオンにも術の解除は出来るらしい。だが明日にはテオルの森に
入る。厳しい旅になることを考えれば、イオンに無理をさせたくはない。自分が少し耐え
ればいい、テオルさえ越えればすぐにグランコクマだ。そこでイオンの様子を見て解除し
てもらえば大丈夫だ。自分に強くきつく言い聞かせる。

そんな彼の悲痛な姿を記憶を介して窓の外、遠方から嘲笑う人影があった。術をかけた
張本人、シンクだ。
「ハハハッ。無理は良くないよ、ガルディオスのご子息様。」
カースロットの力によりガイの記憶はシンクに流れこみ、シンクの頭の中に蓄積されてい
た。ガイの過去もファブレ家にいる目的もヴァンとのつながりも全てがシンクに理解され
ていた。
「辛かったんだろうね、ガイ。苦しかったんだろうね。
 いいんだよ、もっと素直になって。自由に生きなよ。」
大切なものを全て奪ったファブレ家への復讐、しかし復讐の矛先であるルークを許しつつ
ある自分、往き場を失ったこの憎しみをどうしたらいいのか、悩み苦しめられ続けるガイ
への冷たい侮蔑の微笑み。
「ならさぁ…。アンタも奪えばいいじゃない、あいつの大切なものをさ。
 手伝ってあげるよ、ガイ。今のアンタには到底出来もしないだろうし。」
カースロットのもうひとつ力、それは対象の理性を奪うこと。獣のようにその目的のため
だけに動くことのできる活力を与えることが出来るのだ。
「女に触ることが出来ないんじゃこんな復讐の仕方を考えたことはなかったんだろうけど、
ボクは優しいから手を貸してあげるよ。せいぜい楽しむといいよ♪」
仮面の奥の瞳は麗しき偽りの姫君を見つめていた。

 今夜はあまりにもツキが悪かった。アニスは警護のためにイオンと同室だが連日の疲れ
で二人とも早めに就寝している。ガイと同室のルークはティアとジェイドに音素学を学び
に行ったまま、まだ部屋には帰ってきていない。例えシンクによるガイへのカースロット
の操作で音素が乱れようとテイアにもジェイドにも音素の扱いに未熟なルークの起こした
ものだと受け流されてしまう。つまり今ガイに異変があろうとも気づけるものは彼女しか
いないのだ。
「さぁ、ガイ…アンタのずっと待ち望んでいた復讐の始まりだ。一緒に楽しもう。」
シンクは目を閉じカースロットを解放させる。理性という楔が緩やかに外れ始めた。
「・・・くっ、・・・な、んだ? これ・・・。」
ガイは床に倒れこむ。強烈な頭痛、乱れる五感、この感覚は以前にも感じたことがある。
そう感じた直後、ガイの意識に濃い霧が、野生を解き放つ媚薬が撒かれた。

(なにが…、起こったんだ? 俺はどうなっているんだ…?)
ガイは宿屋の廊下をゆらりゆらりと進んでいた。呼吸は荒く、声が出ない。視界はぼや
け、廊下が歪んで見えるのに足だけはゆったりとだが確実にまっすぐに進んでいるのがわ
かる。そして耳からは静まった夜とは思えないほどの不気味な声が、酷く澱んだ自分の声
が流れてくる。
(……ナタリア・L・K・ランバルディア…。
 ルークの婚約者…、アッシュの大事な…。)
足が止まった。目はまだ上手く機能しない。目の前には扉、自分とルークの部屋と同じツ
インの部屋の扉が眼前にある。
(…勝手に体が動いてる? それに、ここは?)
ルームナンバーから見て自分の部屋から2,3室しか動いていない。どうやら仲間の部屋
のようだ。
(…でもどうして…。)
そんなことを考えるガイの意識とは別に右手がゆっくりとドアに握りこぶしを近づける。
コン…コンッ
不規則なリズムで鳴らされたノックにドアの奥から声が帰ってくる。
「ティア? 今開けますわ」
(…ナタリア? ここは二人の部屋か…。)
ロックを開く音がし、ドアが開かれる。視界には寝巻き姿のナタリアらしき人物の姿が映
し出された。

「あら? ガイ、なにか用ですの?」
カチューシャを外し寝巻きに着替えたナタリアの姿、まだ乾ききっていないブロンドの
髪、上気した瑞々しい白い肌、質素な寝巻き姿から垣間見える華奢な体躯、自分を直視す
る純粋な緑の瞳、湯上りの体からは石鹸の香、ナタリアから発するもの全てをガイの感覚
が狂ったように瞬時に集めとる。瞳孔はナタリアの全貌をはっきりと捉え、嗅覚はナタリ
アの芳しい香に酔い始めた。そしてだんだんと自分の体が熱くなってきていることにガイ
は気づく。
(…おかしい。…こんな近くに女性がいたら体が拒むはずなのに…。)
いつもなら女性に近づいただけで体は硬直してしまうはずなのに、今のガイの体は逆に熱
く猛り、興奮してきている。
「ガイ?」
何も話さないガイを不思議に思いナタリアが話しかけてきた。
(ナタリア! 離れ…)
自分の体の異常からガイは今の自分は危険と感じ、ナタリアに懸命に声をかけようとする。
「…ナタリア、相手も確認しないでドアを開けるのは危険だ。
 俺でよかったもののこのあたりなら不審者がでてもおかしくはない。
 今度からは気を付けたほうがいい。」
出てきた言葉は平然としたものでいつもどおりのガイの言葉だった。
(!?)
「…わかりましたわ。今度は気をつけます。」
いきなり注意されたことに少し不機嫌にナタリアは答えた。旅には慣れたとはいえまだま
だナタリアは常識が欠けているところがある。
「で、何の御用?」
「いや、ルークもティアもジェイドのとこだし、
ナタリアも暇してるかと思って、少し話でもしようかと来たんだけどいいかな?」
「ええ、私も退屈していたところですの。どうぞ、お入りになって。」
すらすらと会話が進むのをガイの意識が唖然と見ている。
(…どうなってるんだよ。これ…俺じゃない?)

「ハハハッ♪ バカなお姫様。簡単に部屋にいれるなんて頭悪いんじゃないの?」
ガイを何の疑問もなく部屋に招き入れるナタリアの様子をガイの目を通じて見ていたシン
クが歪んだ笑みを見せる。
「さぁ、もう少し待っていなよ、ガイ。すぐに楽しませてあげるからね♪」

「えぇっと…、そうですわ! お茶を入れてまいりますわ。
 そこに腰掛けていてくださいな。」
ドアに施錠することも忘れて懸命に自分をもてなそうとバタバタと部屋を駆けるナタリア。
(ヤバイよ…。どうなってんだよ…。)
ガイの手はドアに鍵をかけ、足はお茶を入れようとティーポッドと奮戦しているナタリア
のほうへと歩みだした。ナタリアはティーセット一式との格闘でガイの接近にはまだ気づ
いていない。
「…えっと、たしか…。あっ、ガイ! お茶の入れ方ってたしかコレでよろし…」
ガバッ
ナタリアの華奢な体をガイは強く抱きしめた。

(―――っ!!)
「なっ!? ガっ、ガイ!?」
突然のことに驚くナタリア。同じようにガイの意識も混乱している
(なんで、なんで触れるんだ!?)
「ガイ! んっ、やめなさいっ! はなし、放しなさいぃ!!」
自分に触れることが出来ないはずのガイが今、自分を抱きしめている。ガイの思いがけな
い行動にナタリアは混乱しながらも望んでいない強引な抱擁に必死に拒絶の声をあげる。
(放さ・・・ないと。でも…。柔らかい…あたたかい…いい匂い…。)
彼女に触れることで直に伝わってくる感触がガイに残された理性をじわじわと削り取って
いく。ガイの呼吸は段々と激しくなり、興奮し昂ぶり始めた体は腕の中でじたばたと暴れ
る己の主人の婚約者を決して放そうとはしない。むしろより強い力でナタリアの体を抱き
しめる。
(…もっと触れたい…。もっと触りたい…。これが女の…ナタリアの体…。)

「もうそろそろいい頃合かな? じゃ、あとは二人で楽しむんだね。
 邪魔者は退散してじっくりとアンタの復讐を見物させてもらうよ。」
シンクは眼を閉じ、新たな譜術を施す。ガイを操っていた譜紋を解き、あとはガイの本能
による行動のみにさせるというもの。ガイの体は異性に触れることにもう何の抵抗も生じ
ない、罪悪感も背徳感も投げ捨てて目の前の少女を思いのままに蹂躙できる力を手に入れ
たのだ。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
シンクから解放されたガイは今まで満たされることのなかった性への欲望と復讐という怨
望を目の前の少女に重ねる。ガイの抑えてきた邪な想いがガイの体をさらに昂ぶらせる。
「やめなさい! 放しなさい!! いい加減に!!」
これ以上大きな声を出されたらさすがに部屋の外にも漏れる。だがガイの意識はそんな
ことどうでもよかった。ガイにはもうナタリアを辱めることにしか頭は機能しなくなって
いた。
(離す? 止める? 君は今まで嫌がる俺に何度触れようとしてきた!?
 何度俺を笑い、何度俺を苦しめた!?
敵国キムラスカの王女、ルークの婚約者、アッシュの想い人…。
ルークもアッシュもナタリアも怨敵・ファブレの血縁…。
君の体には俺から全てを奪った奴等の血が流れている…。
…のせいで…お前等のせいで…
お前等のせいで俺はずっと苦しめられているのに
お前等はのうのうと暮らしている!
奪ってやる!! お前等から全て! 全部を!!)

ナタリアの体を左手で引き込み自分の体に密着させる。
強引な抱擁に拒否の表情をし続けるナタリアの顔を右手で自分の顔の方へ無理矢理引き寄せる。
(…まずはその唇からだ。)
「嫌っ! い、やぁっ! ガイ! やめなさ、いぃ… んぐっ!? んん、んーっ!」
ナタリアが何をされるのか気づいたときにはもう手遅れだった。ガイは一方的で強引な口
付けをナタリアの唇に何度も刻みつける。
(これがナタリアの唇…コレが口付け、接吻…)
「んぁ… んん、やぁっ…」
初めて味わう接吻という行為にガイの高揚は止まらない。何度も何度もナタリアの唇をた
だ貪欲に求め続ける。唇に吸い付き、ナタリアから呼吸も、悲鳴も、抵抗する権利さえも
奪い取るかのように略奪していく。
初めての口付けをこんな形で力づくに奪うガイにナタリアはなんとか抗おうとするも、
力ではガイに敵うはずも無く、なんの状況の打開にもなりえなかった。目の前の状況を受
け入れたくないと必死に閉じた瞼の端から涙が零れてくる。
「はぁ、んんっ! んんーっ!! や、めなさ…いぃ…」
自分の前にいるガイはいつもの優しいガイではない。暴力的で餌に喰らいつく飢えた獣
のよう。力づくに押さえつけてくる男という獣にナタリアは恐怖し、拒む声は萎縮し、さ
っきまで抵抗を続けてきた力も徐々に弱まってきている。
一方のガイはいつも強気でいたナタリアが、今の自分に怯え抵抗できなくなってきてい
ることに興奮を覚える。抱きしめられた体勢からナタリアが怯え一歩下がり離れようとす
るたび、ガイはそれ以上に一歩踏み込み体を寄せてくる。そうして体は密着したまま、着
実に壁際へと追い込まれていった。

ドンッ
「はぁ、はぁ…」
もうナタリアに逃げ道はない。前にはガイの姿をした野獣が荒い呼吸をしながら右手で
頭を、左手で身体をしっかり押さえつけている。後ろには冷たい壁が背中に触れ、ナタリ
アの退路を完全に塞いでいた。ガイからの一方的な口付けでナタリアの呼吸は絶え絶えで、
乱暴にガイに振り回されたことで体は疲労し熱を帯び、恐怖から零れた涙が頬に流れた跡
を残し、唇の端からはどちらのものともわからない唾液の糸が垂れていた。残された力で
必死に細い両腕でガイを押し返そうとするも昂ぶったガイの硬い体には何の効果もなかっ
た。
「……はぁ……はぁっ…。 ぅん、ガイ、お願い…もう、やめ、て……。」
ナタリアは呼吸を落ち着かせ、ようやく小さいながらも懇願の声を発したが、ガイにはそ
んな言葉はもう聞こえていない。

(…次はその肢体だ……。)
ガイはもうナタリアの顔など見ていない、声など聞こえていない。その艶かしい身体しか
ガイの血走った眼には映っていない。汗ばみ、上気したことで桜色に色づいたナタリアの
肢体が呼吸を落ち着かせようと上下している。ガイは頭を抑えていた右手をナタリアの小
さな背中を伝わせ臀部へと持っていく。背中を這うガイの手に反応し、ナタリアの身体に
電気が流れる。
「はあぁっ!?」
硬直するナタリアを無視しガイの右手は寝巻き越しにナタリアの臀部をもみ始める。柔
らかなナタリアの形のいい臀部を手のひらが、ガイの五指が右往左往に触りたてる。
「はぁ、あぁ! んん、ぅん・・・ふあぁっ!」
ガイの手、指の動きに反応し、ナタリアの体からは嬌声が上がってしまう。
「ぅん! はあっ・・・。 ん、んん・・・ふああぁぁっ!」
必死に喘ぎ声を押し殺そうと耐えるナタリアの苦しげな顔をようやくガイは視界に捉えた。
しかし、自分の胸の中で自分の弄りに合わせて鳴く弱々しいナタリアの姿をガイは酷く濁
った笑みで見つめていた。
(ハハハ。そうか、こうすれば女は鳴くのか!?
いいぞ、ナタリア! もっと鳴くんだ! もっとだ!
 君はもう俺だけのものだ! 俺のためだけに鳴くんだ!)
ファブレ家の婚約者のために守り続けてきた純潔を奪い、その身体にたっぷりと男という
生き物の恐ろしさを刻み付ける。ナタリアに自分と同じ異性へのトラウマを植えつけ、自
分はナタリアの処女を味わい尽くす。怨望と性欲を同時に叶えるという最低な復讐方法を
ガイは思いつき、その名案に下賎な笑いが止まらなくなる。

「うわ〜っ 伯爵様ってばいい趣味してるよ。
 お姫様もこんなヤツに純潔を奪われるなんて同情するよ。」
ガイの視点で様子を伺っていたシンクはケラケラと笑いながら心にも無い言葉を淡々と
吐き出した。ガイは知らない、本当に玩具を手に入れたのはこのシンクだということに。
今は自由に動くことを許されているだけで、いずれまたシンクに利用されることを。
「でもね、ガイ。アンタのその復讐は間違っているんだよ。」
シンクは知っている、この復讐は絶対に完遂できないことを。
「そう簡単に叶えたら面白くないだろ?
 せっかく過去も傷も苦しみも持ってるんだからもっと苦しみなよ。」

「はぁっ! くぅ・・・ぅん、ひぅ、ひゃぁっ!!・・・やぁっ!」
ガイの手は執拗にナタリアの臀部を責め立てる。寝巻きのズボンをずり下ろし、直接ナ
タリアの肌に触れる。ガイの無骨な指がその肌理細かな肌をなぞるたび、必死に声を押し
殺そうとこらえるナタリアだが、身体を他人に弄られる不快な感触に耐えられず虚しくも
本人の意思を無視して喘ぎ声が出てしまう。そんな自分にナタリアは羞恥し、うつむき体
を震わせる。その反応がガイの苛虐心を昂ぶらせる。
尻肉を一通り撫で回したガイの手はナタリアの下着をめくり、指を滑り込ませ、ナタリ
アの身体の未開の部分へ侵入していく。その新たなガイの挙動にナタリアの身体は激しい
反応を見せる。触ったことも触られたこともない部位に今、ガイの指が近づいてくる。何
をされるのかわからない恐怖、指が少し進むたびにナタリアの背中に電気が走り身体が痙
攣と震えを繰り返す。
「やっ、いやっ!」
(ここまできて止めたらもったいないだろ。さぁ、いい声で鳴くんだ、ナタリア。)
臀部の最深部、菊門へとガイの指は到達する。指で撫ぜるように触れれば、悲痛な喘ぎ声
とともにナタリアの反応は激しく震えは小刻みなものとなった。ガイは菊門を中心にナタ
リアの臀部を撫で回す。
「ふぁっ!?・・・はぁっ! ぃやぁ!・・・やめ・・・っ!・・・。」
望みどおりに苦しげに鳴いてくれるナタリアにガイは褒美に一指をアナルに挿入してみせ
る。無理矢理濡れてもいないアナルをこじ開けられ、身体の中に異物を挿入され、体はそ
の不快感、恐怖感、屈辱感から奥底から本能的な悲鳴を上げようとする。だが、ガイの手
が声の出口を封じ、吐き出せない苦痛がナタリアを苦しませる。
「んんーーーっ!?」
(ダメだろ、ナタリア。大声出したらルークたちに聞こえちまうだろ?
 まだまだこれからなんだ。君もまだこれでしまいにしたくないだろ?)
ガイにされるがまま、もうナタリアに自由などありはしなかった。
(コレは仕置きだ。)
「んんっ!?」
挿入された指が蠢き、中を掻き回され、ナタリアの身体に電撃が走る。
「んうっ!・・・うあぅっ!・・・ふあぁああぁっ!!」
異物が中で暴れたことに反応し、震え縮こまっていた身体はピンッと反り、俯いていた顔
が天井へ仰がれる。潤んだ瞳にガイの顔が映る。ガイは自分を嘲笑していた。

ガイの執拗な臀部への愛撫が終わり、ようやくナタリアはガイの腕の中から体を開放さ
れる。
「…はぁ、はぁ…んっ。」
だがナタリアにはもう逃げるだけの体力も叫びをあげるだけの気力も残されていない。壁
によりかかり、ふらつく両足でなんとか自立を維持している。
(上着は邪魔だな…。)
ガイは両手をナタリアの上着の襟元に手をかけ、その挙動に眼を追わせるナタリアなど歯
牙にもかけず力任せに一気に上着を横に引き裂いた。
「きゃあっ!」
ビリィッ
引き千切られた布きれやボタンが床に撒き散り、目の前で見せられたガイの暴行に怯え、
ナタリアの息が止まる。ガイの荒い呼吸だけが部屋に響く不気味な静寂の中、震えながら
もナタリアは呼吸を整え、露わになった素肌を隠そうと懸命に体に鞭打つ。
乱れた美しい金髪、自分の挙動に怯えた瞳、濡れた唇、縮こまり震えを隠せない華奢な
肢体、露わになった肌を隠そうと覆う細い腕と隙間から見える華やかな下着に赤く色付い
た肌、ズボンがずり下ろされたことで現れた美しい脚線美、眼に映る艶やかなナタリアの
姿がガイに更なる肉欲を募らせる。
(綺麗だよ、ナタリア。さぁもっと楽しませてくれよ)

ナタリアの涙で濡れた瞳にガイの不気味な笑顔が映る。そこに自分が脅えている姿にガ
イは喜んで笑っているのだと気づく。ガイは獣ではなかった。獣なら自分の欲望のまま、
最初に服を破り無理矢理にでも自分を辱めただろう。今のガイは悪魔なのだ。自分が苦し
む姿、怯える姿に興奮し、次はどう自分を辱めようかと今、考えをめぐらしている。目の
前にいるのはいつもの優しいガイではないのだ。この眼前の存在にこれ以上酷いことをさ
れるということを想像しただけで身体はがくがくと震え出す。逃げようとしても雄という
生き物の恐ろしさを叩き込まれた身体はいうことを聞いてくれない。何も出来ない絶望感
から枯れたと思った涙腺から涙が再び溢れてきた。

壁に寄りかかり震えるだけとなったナタリアに再びガイは接近する。
(さぁ。たっぷりと味あわせてくれよ、ナタリア。)
右腕で覆い隠されたナタリアの胸元を見つめながらガイは一歩一歩足を進めた。
「いやっ…、来ないで…。」
ナタリアが精一杯の拒絶の声を上げるもガイには聞こえていない。今のガイにはナタリア
の悲痛の声は欲情をただ燃え上がらすだけだ。胸元を抑えていた右手はガイの左手によっ
て容易に持ち上げられ、胸元を露わにさせられる。すぐさま左手で隠そうとするもガイの
右手のほうが速く、ナタリアの左の乳房はガイの手に包み込まれた。
「んんっ、やっ、止めなさい! ガイぃ!」
渾身の拒絶を示すもガイは止めるはずもなかった。下着越しに揉むというよりも握るよう
に潰されるナタリアの左の胸、今までの愛撫で火照ったナタリアの身体はそんな暴力的な
愛撫にも敏感に反応してしまう。
「ふあっ!・・・ ぃやあ! やぁっ・・・だっ、めぇ!」
(柔らかい…、気持ちいい…。いい体に育ったな、ナタリア…。)
下着と胸の隙間に手を押し込み、直接ナタリアの胸を揉みしごく。柔らかな肉感と伝わる
肌の熱さ。直に掴まれることでナタリアの嬌声はさらに悲痛なものとなる。
「いやっ・・・いやぁ!・・・あぁ・・・はああぁっ!」
(本当、大人の肢体になって…。俺はうれしいよ、ナタリア。)
直接触る充足感に浸り、十年近く一緒だった幼馴染の身体の成長に喜ぶガイ。背中にガイ
の手が回り、両胸を守っていた防壁がはずされる。紐が解かれ、しゅるりと下着が床に落
ちる。抗えないナタリアはその光景をなすすべも無く見つめるしかなかった。

どうしてガイは自分に触れられるのだろう、どうしてこんな酷いことをするのだろう、
どうして笑顔で自分を辱めることが出来るのだろう。苦痛に耐えようする意識の中、そん
な疑問が浮かんでくる。ガイは女性に触れられない。女性が近づいただけで怯え、触れら
れたら体が発作的に拒否してしまう。今まで、そのガイの弱点を面白がって茶化したりも
していた。けれどコーラル城の一件でそれが辛い過去の傷跡だと知り、触れないように傷
つけないようにしてきたつもりだ。それでも今まで何度も傷つけてしまっていたことへの
仕返しなのだろうか。なら、いくらでも謝るから、いくらでも償うから、こんなことはも
うやめて欲しい。離して欲しい。こんな復讐のしかたは酷すぎる。
主従関係から離れ、一緒に旅し、改めて彼を見つめることが出来た。豊富な知識やたく
ましさは勿論のこと、分け隔ての無い優しさ、穏やかな物腰、些細な気配りの出来るその
性格、世間知らずですぐに感情的になり周りが見えなくなってしまう自分には見習うとこ
ろも多かった。従者というよりも紳士のような彼の姿に、自分に兄がいたらきっとこんな
感じなのだろうと思いもした。そんな彼を慕う気持ちを裏切るように今、ガイは自分を下
賎に嘲笑っている。これは悪い夢なのだ、目の前の存在はガイではないのだときつく自分
に思い込ませる。自分に何の抵抗も無く触れられ、笑顔で蹂躙を繰り返す眼前の存在をガ
イだと認めたくない。あの優しいガイを信じたい。心の端にそんな思いを残し、この陵辱
が終わることを祈った。

うつむき震え続ける小さな愛玩人形に言葉をガイは掛ける。
「……ナタリア…。」
微かに聞こえた久しぶりに聞くガイの声にナタリアは一筋の希望を得る。もしガイの奇行
に何か原因があるのなら、話が出来るのなら意志の疎通が出来るならガイを止めることが
出来るかも知れない。うつむいた顔をあげ、ガイに必死に訴えようと声をかける。
「ガイ! 私の声が!」
「ああ、聞こえているよ。もっと…もっと苦しげに切なそうに鳴いてくれ。
 俺はもっと満たされたいんだ。」
割って入ってきた声は絶望的なものだった。自分を嘲笑った表情で優しげに冷たい言葉を
ガイは返した。
「……ガイ…っ。」
「そうだ。そんな顔で苦しそうに頼むよ。」
彼には何も届かない。絶望するしかないナタリアをよそに晒された両胸をガイが掴みかか
る。衣服から開放され、ありのままの姿となった胸は思いのほか大きくガイの手を十二分
に満たしてくれる。掌の中心に感じる硬い双丘の頂を擦るように撫ぜれば、ナタリアの嬌
声が面白いほど良くあがる。
「んあぁ・・・はあぁ! ああぁ・・・ふああぁっ!」
更なる痛みを与えようとガイの両手が柔らかな胸を引っ張れるだけ引っ張り、押し潰せる
だけ押し潰し、握りつぶせるだけ握りつぶす。
「つっ・・・い、痛いぃ・・・んあぁっ・・・やあぁ!」
「…痛いかい? 苦しいかい? ナタリア。
 俺は…ずっと耐えてきたんだ、君が俺を面白がって触れてくるのを。」
ナタリアの胸を弄りながらガイの独白が始まる。
「いやっ!・・・だめぇ・・・はぁ、あぁ!・・・。」
「そんなふうに嫌がる俺に君はどうしていた?
 面白がって笑っていただろ? 茶化していただろ?」
「はぁ、はぁ・・・んんっ!・・・。」
「使用人だからと、君のほうが偉いからと何も仕返しされないと何度も何度も…
 俺は…本当は…俺は!」
「んあぁっ、やあぁ・・・はあぁ!」
「…聞いてないのか?」
喘いでばかりいるナタリアの姿に手を止める。
「・・・ぅん・・・くうっ・・・はぁ、はぁ。」
胸から来る痛みに意識が奪われガイの声など聞こえているはずも無かった。
「聞けよ!!」
いうことを聞かない玩具に苛立ち、怒鳴り声とともにひときわ強く乳房を握りつぶす。
「―――ッ!!」
激痛に声にならない悲痛な叫びがあがる。

「ん? 今、なにか聞こえなかったか?」
凄惨な陵辱が行われているナタリアの部屋から少し離れた別室、ジェイドの部屋で目を
閉じ集中していたルークがアッシュからの呼びかけとは違う、わずかに聞こえたなにかに
反応する。
「集中しなさいって言ってるでしょ。別に何も聞こえなかったわよ。」
今夜はなかなか音素の操作に上達しないルークにジェイドからアドバイスしてもらおうと
部屋まできたのに一向にその成果が表れない。苛立つティアが冷たく答える。
「まったく…ここまで集中力が無いとは…。ティアも苦労するはずですね。」
ジェイドからも冷たい答えが返ってくる。貴重な時間を潰して付き合っているのにこう無
駄に浪費されるとさすがにその才能の無さに呆れてくる。二人の冷たい視線がルークに突
き刺さってくる。
「だぁー! もぉー! 悪かったよ! ご・め・ん・な・さ・い!
つうか腹が減って集中できねぇんだよ!
なぁ〜、ティア〜腹減ったよ〜。なんか夜食作ってくれよ〜。
おにぎりでもいいからさぁ〜。」
子供のように懇願するルークにティアが重い腰を上げる。
「…はぁ、わかったわ。
 でもこれで本当に集中して終わりにさせて。ここ数日、全然先に進まないんだから。」
「やた! ティア先生〜ありがと〜♪」
自室に食材を取りに行こうと立ち上がるティアにジェイドが声をかける。
「あぁ、ティア。
三人分ぐらいのライスなら私のバッグにも入っていますからそれを使ってください。」
「三人分って…大佐と私の分もですか?」
「えぇ、私も苛々していたらお腹が空きました。
 夜食を摂ると太るといいますが背に腹は代えられません。
 苛々しっぱなしでおなかペコペコのティアももちろん食べるのでしょう?」
「い・り・ま・せ・ん!」

ドサッ
胸から手を離すと激痛に気を失ったナタリアの体は床に崩れ落ちた。
(やりすぎたか…。でも俺の話を聞かない君が悪いんだよ、ナタリア。)
倒れた体が息を返し、苦しそうに嗚咽しているのがわかる。眼下で苦しむナタリアの姿に
何の罪悪感も抱かない。ただ人形が少し壊れただけ、その程度にしか感じていない。横に
なったナタリアの体を抱え、ベッドに連れてゆく。ベッドに沈んだ体を仰向かせ、その肌
を隠す残りの衣服を剥ぎ取っていく。ナタリアは抵抗しようと手足をバタつかせるが、邪
魔なので片手で両腕の細い手首を掴み頭上で交差させ、両脚の間に膝を挟み脚を開かせる。
「ぃや、いや、いやぁ・・・。」
眼前に裸体に剥かれたナタリアの姿、今までの蹂躙で身体は疲れ果てているものの暴力的
な愛撫に反応し股間はぐっしょりと濡れている。薄い陰毛の先、露わになった秘部に見と
れながらその光景にはち切れそうな反応を示す己の性器を開放するためにベルトに手を掛
ける。取り出された赤黒く膨張したグロテスクなペニスの姿にナタリアの顔が引き攣る。
麻痺したように動かなくなったナタリアの体の上に覆いかぶさり、そのまま秘裂へと亀頭
を当てる。
「んあぁっ!?」
敏感になった陰唇は触れただけでも感じてしまうようだ。深く腰を沈め挿入を開始する。

「くぅ、んあぁぁっ! ひぅっ、っあぁっ・・・。い、いたいぃ・・・。」
膣は焼けそうなほど熱くきつく、狭くなかなか奥へと進まない。濡れているだけで開拓さ
れていない秘所には痛みのほうが勝って伝わるのだろう。貫かれていく痛みに苦しむナタ
リアの顔を見つめながら強引な挿入を続ける。
「ひぅ、かはっ・・・っあ! いゃ・・・やぁ!」
きつい肉道も挿入を繰り返すたびに切り開かれ、徐々にペニスを受け入れ始めてきた。悲
鳴は上がり続けているが、秘苑からは大量の愛液が零れている。熱い蜜は肉と肉とを絡ま
せる潤滑油となり滑らかな挿入を促していく。
「くあぁっ! んぁああぁぁっ!」
ピストンを繰り返していくとその進路が阻まれた。それは肉とは違う感触、ナタリアの処
女膜、ようやく到達した純潔の証。
(これで、これで果たされる!)
「はぁ、はぁ…。…行くぞ、ナタリア!」
喘ぐのに必死なナタリアに声をかけ、一気に腰を突き下ろす。
「んくぅっ、んあぁああぁぁっ!」
醜い悲鳴を上げ、貫かれたナタリアの体が爆ぜる。
「・・・ぁ、かっ、・・・」
破瓜した痛みに引き攣った体から陰茎を引くと、愛液とそれに混ざった赤い血が絡み付い
ていた。ナタリアを穢した満足感、達成感に酔い浸りながらもその先にある開通した膣道
の果て、子宮口へとペニスを向かわせる。押し込むように腰を叩きつけ、ナタリアを犯し
ていく。

「くぅ、んぁあっ、あぁ、はぁぁ、ん、んんぁっ、うあぁっ!」
秘部から零れる血をも潤滑させ、男根を奥へ奥へと進ませる。
「・・・くっ。」
初めて味わう性交の快感、ナタリアの極上の肢体にガイの肉体は溺れ、沸き立つ射精感に
もう耐えられそうに無い。両腕でナタリアの細い腰を掴み、程よく濡れた秘洞に暴発しそ
うな銃口を深く突き刺し、白濁液の弾丸を撃ち込む。
「いくぞ! ナタリア!!」
「ふぁ? あぁ、っんああぁぁああぁぁっ!」
熱い液体が注がれたナタリアの体が再び爆ぜる。欲望を吐き出した男根を抜き、腰を捕ま
えていた手を放すと放心した体がベッドに沈む。ぴくぴくと弱々しく震え苦しむ姿にまた
心が、体が昂ぶり始める。

「うっ、うぅ・・・。」
穢された、汚された。下腹部が痛くて熱い。ガイが自分を嬲り、精子を注いだのだ。ただ
悲しかった。自分は汚れてしまったのだ、こんな残酷なやり方で。涙でかすむ視界にガイ
の大きな手が映る。それがだんだんと近づいてくる。
「いゃ…。触らないで…。来ないで…。」
まだ拒もうとする玩具に苛立ち、強引に体を掴み、自分の胸に引き寄せる。禄に抵抗も出
来ない体を力で抑え、四つん這いにさせ腰を掴み再度挿入を始める。
「いやっ! いやぁっ!」
先程まで陰茎を受け入れていた秘苑は容易に挿入でき、スムーズに抽送をさせてくれる。
「あぁ、はぁぁっ・・・。」
激しく腰を振るとナタリアは苦しげに泣き散らすが、開拓された膣道は心地よい締め付け
で自分を迎えてくれる。ナタリアの綺麗な線で描かれた背中に舌を這わせ、両の手でピス
トンに合わせてたわわに揺れる乳房を揉み弄る。柔らかな肉感を堪能しながらも。指で果
実の先端をつまみ絞り上げる。
「んあぁっ! あぁ、んあ、くぁ、はぁ、んあぁぁっ!」
ぐちゃぐちゃと背後から淫猥な音が聞こえてくる。臀部が腰に当たり肉と肉が汚い音をた
てる。こんな音聞きたくない、耳を塞ぎたいのにガイに乱暴に扱われた体は言うことを聞
いてくれない。両腕はもう体を支えられない。ベッドに顔が沈み上手く呼吸ができない。
苦しい。どうしてこんなことになったのかもうわからない。延々と続くガイの蹂躙もこん
な獣のような野蛮な交わり方も悪夢であってほしいのに体中に走る痛みと熱さが、これが
現実だと告げてくる。

「うああぁっ、はああぁぁっ!」
膣内を掻き回すように動かし嬌声を無理矢理あげさせる。徐々に上がる嬌声に絶頂が近い
ことを知る。
(…君もこの気持ちよさを味わうといいよ。)
眼下で犬のように喚くナタリアに性交の気持ち良さを教えてやる。いっそう強い抽送を繰
り返す。
「イけ! イくんだ! ナタリア!」
「んあぁ、はああぁぁ、やっ、いやぁ、あっ、あぁ、んああぁあぁぁぁっ!!」
一段高い嬌声のあとに紐が切れたマリオネットのようにナタリアの体が崩れ落ちた。秘部
からは溢れるように蜜が零れ、太腿を伝ってシーツに染みを作っていた。
「はぁ・・・。あぁ・・・。」
「気持ちいいだろ? ナタリア。」
「・・・はぁ、はぁ・・・。」
ナタリアから返事は返ってこなかった。答えないならそれでも構わない。今度は自分の昂
ぶりを満たさせてもらう。ナタリアの体を掴み腰に乗せ、騎乗位の体勢をとる。ナタリア
の腰を浮かせ、蜜液を垂らす秘苑を直立した男根に向けて挿し下ろす。
「うあぁぁっ!」
痛みに耐えられなかったのか、ナタリアの口からは悲鳴が上がる。接合したまま腰を前後
させ秘部をくまなく弄りかける。激しく揺さぶられ、ナタリアの身体が乱れ散る。美しい
金髪はくしゃくしゃに乱れ、豊かな双丘が甘美に揺れる。

「んあぁ、ぁあぁっ、ふあぁぁっ!」
絶頂を迎えたばかりの身体は鋭敏に反応してくれる。
(この肢体、この反応にこの喘ぎ声…。
淫らではしたない。結構な淫乱だったんだな、ナタリア…。)
挿入を中断し、喘ぎ狂うナタリアの顔を掴み、眼前へと寄せる。腫れた瞳が自分に向けら
れるとナタリアが怯えた表情を見せる。
「あぁ、・・・はぁ・・・。」
「なぁ、気持ちいいだろ? ナタリア。」
「…っ、気持ちよくなど、…ありま、せん…。」
あそこまで乱れておきながらまだ拒む意思はあるようだ。震えた唇からかすかな声が零れ
てくる。
「お願いです、ガイ…。もうやめてください…許してください…。」
「だから、気持ちいいんだろ?」
「…お願いです。もう、もう……。」
「気持ちいいんだろ!?」
素直にならないナタリアに苛立ち、尻肉を掴み激しい上下運動を繰り返す。
「うあぁっ!?はぁ、あぁあっ、んああぁっ、ぃやぁ、やあぁ!」
「ほら、気持ちいいだろ? こんなに溢してこんなに声を上げてるんだから。」
「・・・うぅ、く・・・。」
呼吸を整えたナタリアからようやく答えが返ってきた。
パンッ
乾いた音が鳴り、頬に痛みが走る。視線がナタリアからずれた。視線を元に戻すとナタリ
アが自分を睨みつけていた。彼女の右手が自分の頬を叩いた。
「・・・離し、・・・なさい・・・。」
「……。このっ!」
プツンと何かが切れた。反抗してきた人形に腹が立った。腰の上のナタリアを再び押し倒
し、ベッドに沈んだその体に乗りかかる。

「く・・・。や、めな、さいぃ!」
どこにそんな力が残っていたのか、嬲られまいとじたばたと抵抗を繰り返してくる。
「おとなしく、しろっ!」
暴れる体を押さえつけ、無理矢理挿入を再開する。
「くうっ!」
唇を噛みしめ、湧き出る快楽に耐えようとしているのか、まだ自分を睨みつけてくる。そ
の目が気に喰わない。玩具の分際で主人に反抗する態度が鼻につく。苛立ちを眼下で抵抗
の意思を見せる人形に暴力という形でぶつける。
「くぅぁっ、んん、んあぁっ! は、離し、なさいぃ!」
「この、このっ!」
抗う力が抽送の邪魔をする。腹が立つ。奴隷は主人におとなしく従わっていればいい。
「ほら!鳴けよ!! さっきみたいに気持ちよさそうに!」
「んあぁっ、はあぁ!」
いくら抵抗しようが、力で勝てるわけが無い。圧し掛かった自分のほうがはるかに優位に
立てる。嫌がるナタリアに激しいピストンを繰り返す。嫌がる意思とは裏腹に膣はきつく
男根を締め付けてくる
「はぁ、はあぁ、ああぁっ!」
「いくぞ、ナタリア!!」
締め付けに再び膨張した陰茎が求めてくる。秘洞の奥に欲望の塊を注入する。
「あぁ、くっ、ふあぁ、んぁ、っああぁあぁぁっ!!」
再びナタリアが爆ぜ散る。

「・・・かっ、はぁ・・・。」
二度も膣内に注ぎ込まれ、咽ぶナタリアの顔を捕まえ、自分を直視させる。
「・・・ぁ、・・・あぁ・・・。」
「・・・なぁ、気持ちいいだろ?」
高揚に緩む笑みを零し、再度問いかける。おとなしく醜い痴態、厭らしい本性をさらせば
いい。
「・・・はぁ、ぁあ・・・。わ、たくしは・・・屈し、ません・・・。」
見つめる瞳にはまだ反抗の意思が見えた。
「……。」
呆れた。もう許してやらない。長く続いた蹂躙ももう終わりだ。はかない呼吸を繰り返す
喉に両の手を当て、その細い首を締め上げる。
「・・・かっ、はぁっ・・・。」
陵辱など生温かった。こんな汚れた血が流れる女に気遣いなど無意味だった。アッシュが、
ルークが一番悲しむのはナタリアの死、大事な人間の命を奪うことこそがファブレへの本
当の復讐になる。手に込める力を徐々に上げ、果てようとする命の様を堪能する。
「・・・ゃ、・・・めっ・・・。」
力が失せた両腕を振り、首を締める腕を解こうと必死に抵抗しているようだが、何の妨げ
にもならない。殺意に怯える表情を見つめていると再び体が昂ぶってきた。
「ガ、ぃ・・・。」
ナタリアの両手が左腕に絡んできた。その細い腕からは自身の命を奪わんとする凶器を掴
むことぐらいしか出来ない。
「・・・離し・・・て・・・。」

抗おうとする意思が最後の力を与え、手を伸ばした先に掴んだ左肩に爪を突き刺してきた。
「・・・っ!?」
視界がゆがむ。左肩の痣に爪が刺さった。呪いの譜陣に亀裂が入る。体の昂ぶりが止まり、
両腕にかかっていた力が抜ける。混乱する意識のなか、ようやく正気を取り戻したガイの
感覚が捉えたのは酷すぎる惨状だった。掌に感じる熱い肌の感触、その先にあるのは人の
顔、苦しそうに息を零す人物に自分は見覚えがある。
「・・・ナタリア?」
「・・・はな、し・・・て・・・。」
背筋が凍る。なにがどうなっているのか分からない。映し出された惨状から逃げようと体
が後ろへと引き下がる。
ゴンッ
体が崩れ、ベッドから転げ落ちた。ベッドの上にいたことすら分からなかった。
「・・・っ。」
痛みが混乱する頭を落ち着かせる。蘇る記憶が自分の蛮行を思い起こさせる。
「・・・ぁ、あぁ・・・。」
ナタリアが何故裸体なのか、何故泣いているのか、肌に残った感触と心に残った高揚感が
認めたくない現実を教えてくれる。ナタリアを散々嬲り辱め、殺そうとまでした事実を悲
鳴で掻き消そうとするも、それ以上に湧き出る吐き気が体を狂い壊す。うまく体が動かな
い。逃げたい一心で吐き気が押し寄せる体をなんとか従わせ、ドアへと這い逃げる。

翳む視界には天井が広がる。鬼のような形相で自分を見おろしていた彼の姿が見えない。
死を予感した体の震えは止まらず、首には酷い痛みが残り、上手く呼吸することが出来な
い。乱暴に扱われた体は悲鳴を上げている。幾許の時が流れたのだろう。ガイの蹂躙の手
は止まり、ようやく取り戻せた自由に少しずつ体が落ち着こうとしている。全身に纏わり
つく疲労感、そして体の奥に残る熱さと痛みが穢された現実を嫌というほど教えてくれる。
陵辱が終ったことへの歓喜か、辱められたことへの悲しみかまた涙腺が緩みだす。放心し
た脳裏に赤い髪の少年が浮かぶ。
(・・・ごめんなさい・・・。ごめんなさい・・・。)
強く唇をかみ締め、この辛い現実を受け止める。
「・・・っ。」
どこからか苦しそうな声が聞こえる。ガイはどこへ行ったのだろうか。彼を探そうと死に
掛けの体を起こし、周りを見渡す。彼はドアの前にうずくまり震えていた。
「・・・ガイ?」
悲痛な彼の姿に体が動いた。汚れたシーツで体を覆い、ガイのほうへ懸命に歩み寄る。

内鍵の掛かったドアがこの惨状からの退路を冷たく閉ざす。痺れに倒れた体は内鍵に手
を掛けることもできない。ここに居たくない。全てが夢であってほしい。そう願い、懇願
する中、背後から何かが落ちた振動と音が伝わる。振り返ると、ベッドのほうから人影が
ふらふらと拙い足取りでよってくる。
「・・・く、るなッ!」
ナタリアが近づいてくることに体がまた震えだす。彼女を辱め、殺そうとしたことへの復
讐だ。今度は自分が殺される番だ。一歩一歩近づくナタリアの姿に体中に恐怖が駆け巡る。
「・・・来る、な・・・ッ。」
眼に映る恐怖をかき消そうと痺れた手を振るも空振りが繰り返される。ナタリアが眼前に
立ち尽くす。迫る影に瞼を閉じ、死を覚悟する。

「くそっ! ……やってくれたな、あの偽者…。」
呪印を強引に解かれ、その反動がシンクに襲った。遮断されたガイへの操作、暗転した視
界、苦々しい痛みを堪え、仮面の奥から惨劇が繰り広げられた部屋の方向に憎しみをこめ
た視線を送る。
「…フフッ。まぁ、いいさ。ガイもこれで満足しただろうし、そこそこ楽しめたよ。」
荒ぶった息を整え、嘲笑う。偽姫の体に貪りつくバカな男の姿も、裏切られ辱められた哀
れな女の姿も、実に滑稽で笑いが止まらなかった。
「いい思い出が出来たよ♪ 感謝するよ、二人とも。」
侮蔑の笑みを零し終えると背後の巨大な人影に視線を移す。
「…で、なにしてんのさ? さっきから気が散るんだけどね、ラルゴ。」
「それは俺の台詞だ。姿が見えぬと思えばここで何を?」
「…別に。導師さま御一行の姿が見えたから監視していただけさ。
導師さまのかわいい寝顔を覗いてね。アンタも覗くかい? かわいいアンタの…。」
「導師達など今は放っておけ。目的を違えるな。」
そう言い残してあっさりとラルゴは退く。コイツもアイツ等も過去に縛られ生きている。
辛い過去に苛まれ続ければいい。過去を持たないシンクの過去を持つ者達への復讐はとり
あえずの終わりを見せる。
「また、遊ばせてもらうからね、ガイ。」

頭は今の状況に混乱し、体はただ震えを刻んでいる。今、ナタリアは自分を優しく抱き締
めている。
「……大丈夫です。……怖くはありませんわ、ガイ…。」
「・・・ナタリ、ア?」
優しげな囁きが零れ、痺れた体にナタリアの肌のあたたかさと柔らかさが伝わる。何故ナ
タリアがこんなことするのかわからなかった。
(どうしてまた触れてくる!? どうして自分を苦しめるの!?
近づくな! 触るな! こんな偽善は必要ない!
触れられることがどんな辛いのか君は知らないから…。)
いらない優しさで包んでくるナタリアの腕を残った力で振りほどく。
「――っ!」
「きゃぁ!!」
高い悲鳴を発したナタリアのほうに目がいく。彼女は震えていた。自分と同じように異性
に恐怖して。さっきの抱擁で震えていたのは自分だけではなかったのか。
「あ・・・、あぁ・・・。」
間違った復讐は遂げられた。ナタリアは自分に、男という生き物に怯えている。彼女の悲
痛な姿から目を逸らし、死に物狂いの勢いでドアを開け、惨状の部屋から逃げ出した。


二人にとって悪夢のような一夜が過ぎ、一行は予定通りテオルの森へと入っていた。森
の奥から聞こえた悲鳴を調べるため、マルクト兵の目を掻い潜り、奥へ奥へと進んでいく。
ガイは一睡も出来なかった。あのあと自分の部屋に逃げ、ベッドに潜り込み、悪夢から
目が覚めることを祈ったが、ナタリアを弄った感触は本物で、ナタリアを陵辱した事実は
真実で、彼女を深く傷つけた罪の意識に一晩中苛まれ続けた。脳裏に焼きついたナタリア
のあられもない姿、それを愉快気に辱めた自分の昨夜の蛮行を思い出すたびに心臓をえぐ
りたくなる。
幸いなのか、昨日の事件はルークたちには知られていない。あのあと心身ともにボロボ
ロだったはずのナタリアが部屋の惨状をどうにかティアに知られないように片付けたらし
い。その姿を想像しただけで胸が締め付けられる。自分は目の前の現実から逃げようとし
ていたのに、被害者であるナタリアはその苦しみを誰にも話せず、助けも呼べず、たった
一人で辱めを受けた現実と対峙したというのに。

「おい、ナタリア! なにやってんだよ。」
「えっ?」
ナタリアの手がルークに引かれる。最後尾でもたついていたナタリアを崖下へと連れてく
る。あと少し遅れていたらナタリアの姿が兵士の視界に入るところだった。
「ったく、見つからないようにしろって言っただろ。」
ルークが小声でナタリアに注意する。兵士達に見つからないように進むため、慎重で迅速
な行動が求められる。一人の遅れが大事に繋がるかもしれない。
「……は、な…して……。」
「ん? なんか言ったか?」
俯いたナタリアから声が漏れる。ルークと繋いだままの華奢な手は震えていた。
「……っ、離してください!」
ルークの手を振りほどく。ルークに握られた手をぎゅっと握り震えを止めようとするも震
えは全身に及んでいる。ナタリアの顔はルークに怯え、今にも泣きそうだった。
「あ…。わ、わりィ…。」
「…い、いえ 違うんです…。…ごめんなさい、ルーク…。」
ルークと距離を取り、震えた声で謝るナタリア。いつもと様子が違うナタリアに心配にな
り声をかけるルーク。
「おい、大丈夫かよ?」
「……私は…大丈夫ですから…。」
縮み震えているその姿に明らかに無理をしているのは誰から見ても容易にわかる。
「全然大丈夫に見えないってば。顔真っ青だよ。具合悪いの?」
「無理しないで、ナタリア。どこか辛いなら言ってちょうだい」
その様子を見ていたアニスもティアも心配げな表情でナタリアに寄ってくる。同じように
心配そうにしていたイオンが近づいてくる。
「ナタリア、本当に大丈夫ですか? 調子が悪いのなら…」
「……っ! 来ないで!!」
歩み寄ってきたイオンに恐怖し、ナタリアが拒絶の声を上げる。周囲にいたルークたちは
驚き、イオンは突然のことに訳もわからず謝罪する。
「す、すみません…。」
「……ちがいます、…ちがうのです…。イオンのせいでは…ありません。
 …ごめんなさい…。ごめんなさい…。」
イオンを拒んでしまった罪悪感にナタリアの瞳から大粒の涙が零れてきた。ルーク達はそ
の姿をただ不安げに見つめているしかなかった。

(……俺のせいだろ…。)
近づくことも声をかけることも出来ないガイはその様子をただ遠くから見ていることし
か出来なかった。それでも今のナタリアの姿は見ていられない。今のナタリアには近づく
男性が皆、恐怖でしかない。ルークやイオンの純粋な優しさすら体が勝手に拒んでしまう。
それに対する罪悪感が彼女の心を苦しめる。その苦しみは、痛みは自分が一番良く知って
いるはずだった。それなのに…。
「ナタリアさん…変ですの。なんだかガイさんみたいですの…。」
沈んだ空気の中、ミュウが痛いほど的を射た発言をする。
(俺のせいだって言ってくれよ、ナタリア。…『ガイのせいだ』って言ってくれ。
俺を咎めてくれよ……。俺を責めてくれよ…。
 俺が君を泣かせた、襲った、嬲った、辱めた、弄んだ、純潔を奪った…。
俺と同じ苦しみを、傷を君に刻み込んだんだ…。
 もし孕んでしまっていたら…、君は…。
 俺は罰せられるべきなんだ…。償う方法なんてない…、償いきれる罪じゃない…。)
混乱した意識の中で逃げた場所は自分の部屋ではなかったと後悔する。仲間を、友を、大
切な人を傷つけたのだ。その罪は何より重い。
(グランコクマについたら俺は降りよう、この旅から…。
 もうここは俺の居場所じゃない…。)
その悲痛な決意に追い討ちを掛けるようにガイはシンクに再び操作される。今度はルーク
に復讐の刃を振るうという最悪の形で。

「では、ガイ。なにかあったらアニスに言ってください。僕も…少し休みますので。」
悪夢から目が覚めると体はベッドに寝かされていた。体はまだ動かない。イオンによると
体はまだ麻痺状態でこれから徐々に動くようになるらしい。ベッドの横に座るイオンに顔
を向け、どうにか動く喉を震わせて感謝と謝罪の言葉を掛ける。
「…すまないな、イオン。俺なんかのために…。」
「そんな、僕がもっと早く解呪していれば…。」
「も〜、イオン様もガイも暗くならないでくださいよ〜!
 ほらほら、イオン様、おまけにガイ、何か食べたいものとかありませんか?
 な〜んでも言ってくださいね。アニス頑張っちゃいますよ♪」
重い雰囲気にアニスの明るい声が響く。
「…俺はオマケかよ。…ありがとな、アニス。」
自分達を気遣う優しさに素直に感謝する。同じようにイオンも笑みをこぼす。こうやって
アニス達といられなくなるのは寂しい。だがまだヴァンを止め、世界を救うためになにか
できるはずだ。せめてもの償いのためにこれから進むべき道を決める。

コンコン
ドアからノックが聞こえた。恐らくルーク達だろう。離別の時が来たことに覚悟する。ア
ニスがドアへと向かう。
「は〜い、あっ、ナタリア!」
(ナタリア!?)
予想外の人物に動かない体が震えた。
「話は終わったの? 大佐たちは?」
「はい、私だけ先に…。あの、ガイはもう大丈夫ですか?」
「うん。今はちょっっと体が動かないんだけどもう大丈夫だよ♪ で、どうしたの?」
「少しガイと話をしたくて…。」
「う〜ん、話ぐらいなら大丈夫だと思うけど…。ねぇ、イオン様?」
「はい、大丈夫ですよね? ガイ。」
「えっ、いや、俺は…。」
視線をドアのほうへ向けるとナタリアが真剣な顔をしているのが見えた。
「…あぁ、わかった。すまないけど二人ともちょっと出ていてもらえるかい?」
「えっ、でもイオン様…。」
「僕は大丈夫ですよ。さぁ、アニス。」
「…は〜い。」

イオンとアニスが退室する。ドアが閉まり、あの夜以来の二人きりになる。ナタリアが
ベッドのほうへ向かってくる。もう逃げはしない。ナタリアは無言でイオンの座っていた
椅子に座る。視線をこちらに向け、何度か口を開き、言葉を掛けようと試みるも喉から声
は出てこない。
「……ガイ。」
「……はい。」
ようやく出た自分の名に息を呑み、返事を返す。
「……イオンに聞きました。…教えてください。あの夜、あなたは…。」
「……はい、テオルの時と同じように
体が自分の意思ではなく何かに操れるような感覚がしました…。
 恐らく、あの夜もシンクに……。
 本当に!本当にすみません!! 謝って許されるわけがありません!
…だけど、だけどッ!」
言い切れない懺悔と謝辞の言葉を掛ける中、ナタリアの頬を涙が伝う
「……よかった…。」
「……?」
泣きながら笑顔を見せるナタリア。
「…よかった。…あの夜のガイは、あなたではないのですね。」
「……ですが…。」
理性の楔を外し、本能のまま積年の怨望と情欲を彼女にぶつけてしまった。
「ガイ、私ずっとあなたに酷い事をしてきたのですね。
知りませんでした、あんなに、異性に触れられるのが怖いことだなんて…。」
「ナタリア…様…。」
「…私は、もう大丈夫ですから。」

イオン達からその後の経緯を聞いた。ラルゴとシンクの襲撃の際、ナタリアが自分を救っ
てくれたことを、仲間のために刻みこまれた恐怖に立ち向かい、克服したことを。
「ガイ、あなたが謝ることも、気に病む必要もありません。
今まであなたの苦しみをわかろうとしなかった私が悪いのですから…。」
「違う! 君のせいじゃない! 俺が…、俺が……。」
死体のように冷めた体が熱くなる。自分に非があると考え、責任を内に溜め込むのはナタ
リアの悪い癖だ。どう考えても辱めた自分が悪いに決まっている。
「ですが、私を恨んでいなければ、あんなことには…。」
「君を恨んでなんかいない…。気にしてなんかない。
 俺が恨んでいたのは…。」
「ガイ!」
その先にでる言葉をナタリアの声が止めにかかる。
「…駄目です、ガイ。その先を言っては…。」
ルークに剣を向けた自分の姿はまたナタリアを深く傷つけていたはずだ。

「……俺はこの旅を降ります。
 …もうあなたと、ルーク達といてはいけないんです。」
「それは…駄目ですわ。私が絶対に許しません。」
「ですが…。」
「もし、償おうと思うのでしたら、お願いです。ルークのそばにいてあげて下さい。
 いま、あなたにいなくなられたら、きっとルークは…。」
「…だけど。」
「ガイ、私はもう一度あなたを信じたい。
あの時のあなたが、本当のあなたではないことを、言葉だけではなくあなたの生き方で。」
「……ナタリア。…わかったよ。」
これが自分の贖罪の道なのだろう。ナタリアが自分を信じてくれるのなら、その想いに答
えたい。
「ありがとう、ナタリア。…ごめん、本当に。」
「ガイ…。」
ナタリアの優しさに救われた。いや、ずっと昔から彼女の優しさに救われていたことに気
づいていなかっただけだ。彼女が自国や他国の民をも想い、人のために尽力する姿をずっ
と見ていた。ファブレ家、キムラスカへの復讐心は彼女の純粋な慈愛の心の前に消えよう
としていた。それをこんな形で蘇らせてしまった自分、それなのに許してくれるといった
ナタリア。
「約束…ですわね。」
「ああ、約束する。」
ルークのように指を交わし、誓うことは今の自分にはできない。だが言葉に込められた想
いは本物だ。せめて、自分を信じようとしてくれる彼女のこの笑顔だけは守りたい。その
願いを胸にこの旅に残る決意を誓う。


終


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