総合トップ>SS一覧>SS No.4-074
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作品発表日 |
作品保管日 |
お願いティア先生 |
541氏(17スレ目) |
ルーク×ティア |
2005/12/22 |
2005/12/30 |
「え?好きあう二人が互いに願ったときに天使が運んできてくれるんだろ?」
ルークの一言にジェイドの表情が笑顔で固まった。
そのままくるりと同じように固まったままのガイのほうを向くと、その表情のままつかつかと近寄る。
(ガイ〜?いけませんねぇ、ちゃんと性教育をしておかないと)
(いや、さすがにそういうことは家庭教師から聞いてると思ってたんだよ!!)
事の起こりは、タルタロスの改修が済むまでと立ち寄ったジェイドの故郷であるケテルブルグの宿屋にて、
たまたまチーグルの生殖行為についてどういう風に子を繁殖させるか、とルークがミュウに聞いたことだった。
ミュウは顔を真っ赤にしてちょこちょことベッドの下に隠れてしまったのだが、
そのミュウに対してキョトンとしているルークを怪訝に思ったジェイドがルークに子供の作り方を聞いてみると出た言葉が冒頭の一言である。
冗談のようではなく、素直に答えたその言葉にジェイドは軽く頭痛を覚えた。
(何も知らないとは思っていましたがこうまでとはねぇ……)
天然記念物を見るかのような目でじーっとルークを眺めると、その視線に何か変なことを言ったのだと感づいたルークがしゅん、とうつむいた。
「あ……ちがう…のか?ごめん、俺ほんとに何も知らないんだな……はは、情けないや」
「いえいえ、こういう事はなかなか教えづらい事ですからね……そうだ!!ぜひとも今日教えてあげましょう!!」
「ほんとか!?ありがとう、ジェイド!!」
ぱあっと顔が明るくなるルーク、対してガタンッと立ち上がりあせった表情でガイは叫ぶ。
「うぇ!?だ、旦那……お、教えるってどうするんだよ……ま、まさか…旦那が自分でルークを…」
「 抉りますよ?
そんなわけないでしょう……カジノの裏口は娼館になっているんです、そこでまぁ適当に1時間200ガルドくらいの除き穴か何かで、ね」
「あ、なるほど……って、最初からそれって刺激強すぎじゃないか?」
「いえいえ、そこはちゃんとフツーのを選びますよ、フツーのを」
「フツーってなんだよ…」
ルークをほったらかしでひそひそ話を続けるジェイドとガイだったが、ルーク自身は新たに知識を得られることの喜びでウキウキしているという様だった。
結局、夕食を女性陣、イオンたち皆で摂った後、夜の街に繰り出すということに落ち着いた三人。
待ち合わせは九時だということだが、ガイは調子の悪かった刀の止め具の調整を店に頼むため、ジェイドは昔なじみに呼ばれたため先にホテルを出た。
「子供ってどうやって出来るのかなー…ミュウ知ってるんだろ?教えてくれよ?」
「だ、だめですの!」
「なんだよ、ケチだなー……」
真っ赤になったミュウの耳をいじくりながら、窓の外の銀世界を眺めていたルークだったが、ふと時計を見ると8時45分を刺していた。
防寒具を着込んで身支度を済ませると、割り当てられた部屋を出たルーク。
廊下を進んでエレベーターを待っていると、向こうからティアが歩いてくるのを捉えた。
「あら、ルーク、おでかけ?」
「うん、ジェイドとガイと待ち合わせしてるんだ」
「ふぅん……カジノ?ちゃんと考えてお金使わないとダメよ?」
あの二人はいい大人ではあるけれど、ちょっと教育上悪いことも平気で教えることもありそうだと心配してティアは声をかけたが、
ルークの答えは彼女の心配の遥かに斜め上を行ったものだった。
「カジノなんて行かないよ!ジェイドが『子供の作り方』を教えてくれるっていうから一緒にいくんだ」
ティアの顔がピシッと固まって、直後、顔が真っ赤に燃えた。
(『子供の作り方』……それって、え?あれ?あのこと…よね?それを教えるって……ええええ!?)
頭の中がぐるぐると混乱したティアは、怪訝そうなルークの視線にも構わずあー、とかうーとかうなっている。
そこに、チーンという音が響いて、エレベーターが到着した。
「じゃあティア、俺行ってくるから」
「ま、まちなさい!!だ、だめよそんなの!」
「え?……でも、俺、ジェイドとガイを待たせてるし……」
「あんな悪い大人の言うこと聞いちゃいけません!!」
「は、はい……」
ティアの剣幕に飲まれてしまい、おとなしくなったルーク。
「だ、だけどさ……俺、知りたいんだ。子供って愛し合う二人が本当にほしいと願ったら天使が届けてくれるって信じてた。
だけど本当は違うって言われて…俺、何も知らないし…、それに、俺……レプリカだから。子供が出来るのはどうしてか、知りたいんだ」
「ルーク……」
ルークはレプリカ……つまり、本来の命の営みから生まれてきたわけではない。
だが、だからこそ生命とはどのようにして誕生するかを知りたいと願ったのだろう。
ティアはルークの悲しい出生を思い出したが、さすがに17歳にもなって生殖行為を知らないルークの世間知らずさに少し呆れる。
ファブレ家の性教育はどうなってるのか…と。
だが、そこでティアはルークの出生を思い出すと、ふとあることを感じた。
(10歳の時に創られて、7年……ガイの話だと歩き方も知らないってことだし…まったくゼロ、赤ちゃんから始まるのよね……
ってことは……実質ルークの精神年齢って7歳ってこと!?)
それなら性的なことについての関心はまだなのだろうかとふとルークの体をしげしげと上から下へと見つめる。
ふと目の前でしゅんとしているルークを、見つめていると叱られた小さな子が反省しているかのように見えて何となく可愛らしく感じてしまう。
「はぁ……仕方ないわね…私が…その…教えてあげる…もっとも、基本的なことだけだけど」
「ほんとか!?ありがとうティア!!あ、だけどジェイドとガイに……」
「あんな悪い大人はほっときなさい!」
「え、あ、でも……」
「ほら、いいから私の部屋に着なさい!」
「あ、う、うん」
半ば引きずられる形でティアの部屋に連れてこられたルーク。
何故かベッドの上で正座をして向き合う二人、教えるとは言ったもののよく考えたら経験があるわけでもなく、教え方の見当がつかない。
うきうきと自分を見つめるルークの視線に、顔を赤くしながら困ったような表情で視線を泳がせて言葉を捜すティア。
「あー…うーん…その……あのね…」
「うん」
「えーと…そのー…」
「うん」
「えっと、うーん……子供っていうのは…うー…」
「うん」
詰まりながら言葉を搾り出すティアに対して、うんうんと首を縦に振りながら興味津々のルーク。
(もう…っそんな真剣に聞かれたらまともに言えるはず無いじゃない!子供の作り方なんて…っあ、そうか、人間じゃなくてもいいんだ!)
ぱあっと明るくなったティアは、ある生殖サイクルをルークに伝え始めた。
詰まりながら言葉を搾り出すティアに対して、うんうんと首を縦に振りながら興味津々のルーク。
(もう…っそんな真剣に聞かれたらまともに言えるはず無いじゃない!子供の作り方なんて…っあ、そうか、人間じゃなくてもいいんだ!)
ぱあっと明るくなったティアは、ある生殖サイクルをルークに伝え始めた。
「あの、ほら…花もね、人と同じように子供を作っているのよ」
「え?花も…?」
「ええ、めしべと、おしべ…は知ってるわよね?」
「あ、うん!生物の授業は先生が面白い人で好きだったから!!」
じゃあ人間についても教えておきなさいよ!とティアは心の中で叫んだが説明を続けていく。
「それでね、人間の女の人にもめしべといえる部分があって、そこに男の人のおしべの部分と……その、一つになると赤ちゃんができるの」
「へぇ…人間も花も一緒なんだな」
「赤ちゃんを創る…ってそんなに難しいことじゃない、生命ならなんでもしているってことよ。
でも素敵じゃない?花もそんな風に好きな人と新しい花を作りたいと思ってるとか考えてたりしたら」
「うん……すごいよな……うらやましいや」
「うらやましい?」
「うん…アッシュやティア…ヴァン師匠にジェイドたち、みんなお父さんとお母さんが愛し合ってそんな風に生まれてきたことって」
「ルーク……」
少し悲しそうなルークの笑顔、ティアの胸が少し締め付けられるとともに切ない気持ちが沸き起こる。
(だけど、あなたは新しい命を創ることができるわ)と伝えようとしたが、何となく気恥ずかしく感じてしまい口をつぐむティア。
だが、心配そうなティアの表情に気づくと、気を使わせてしまったのかと慌てたルークが思わず発した一言が事態を急転させた。
「あっ、いやっその…あ、そうだ!ティア、女の人のめしべの部分ってどんなもんなんだ?見せて!」
「え゙。」
二作前の主人公のフォルスを食らったかのようにティアが完全に凍りつく。
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