総合トップ>SS一覧>SS No.4-069
作品名 |
作者名 |
カップリング |
作品発表日 |
作品保管日 |
食べちゃいたいくらいかわいい |
344氏(17スレ目) |
ティア×ミュウ |
2005/12/18 |
2005/12/30 |
組んだ両手をそろり、とベットの上でひらく。
手の平から勢いよく飛び出したミュウはシワひとつないシーツの上に着地した。
しかし、その小さな胴に身につけたリングの重さにまだ馴れていなかったのか
バランスを保てず尻餅をつく。彼の体重はベットのスプリングを少しも軋ませなかった。
「ミュウ 大丈夫?」
ミュウを手の平で包んで運んできた少女、ティアが心配げに声をかける。
「えへへ…… だいじょーぶ、ですの」
首だけ彼女に振り返ったミュウが、照れ隠しのように薄く微笑んで見せる。
(かっ…… かわいい……)
ミュウを旅の仲間に加えて正解だと改めて感じる。
なにせミュウの愛らしい容姿、しぐさ、ルークは過剰に嫌うけれど独特の喋り口調
それらひとつひとつに、ティアは胸がときめかずにはいられないのだ。
イオンの休息のためセントピナーで宿を取ると決めた時
ティアはルークにミュウを朝まで預からせてもらえないかと申し出ていた。
いちいち許可を貰う必要もないのだろうが
ミュウ自身がルークのことをなぜか主人として認識しているので仕方ない。
それなのに、ミュウに対するルークの態度は酷いものだった。
聖獣とまでいわれるチーグル族のミュウを『ブタザル』などと言って名前を呼んであげようとしないし
事あるごとに八つ当たりとしか思えない理由で足蹴にしている。
案の定、ティアの申し出にルークは願ってもないとばかりにミュウを放ってよこした。
やかましい奴の顔をひと晩でも見ないで済むと思うとせいせいする、などと言ってうかれていた。
こんなに可愛らしい生き物に懐かれているというのに、やはりルークは根性がひねくれているらしい。
ルークに対する苛立ちばかりがふつふつと湧き上がっていることに気付き
ティアは慌てて頭を切り替えることにした。
なんといっても、明日の朝まではミュウを独り占めできるのだ。
仲間のなかで紅一点のティアだけは、男集とは別にもうひと部屋借りて貰っている。
実をいうと宿の受付でも、ルークは大部屋に四人で泊まればいいなどと無神経なことを言い出した。
ジェイドが嫌味交じりに彼に忠告してくれなければ、今頃気まずい夜を送っていたに違いない。
いや、そうなれば一番の被害者はガイなのだろうが──
はっ、としてティアは頭を揺さぶった。
また“ルーク”だ。せっかくの楽しいひと時をこの場にいないとはいえさっきから何度も彼に邪魔されている。
それほど彼の態度は目に余るものがあるのだが、それは追々考えるとして
ティアは今度こそミュウに意識をうつす。
どーかしだですの? ティアさん」
「ん……? ううん。 何でもないのよ。 ただ ミュウがかわいいな、って」
「…… えへへ…… 照れますの……」
やっぱり、何度見ても可愛い。愛くるしい。
ティアは頬がだらしなくゆるんでいくのが自分でもはっきり分かった。
仲間たちの前なら、この時点で急いで表情を引き締めている。
だが、自分とミュウしかいない今ならその必要はない。
ミュウにならこんな自分を見てもらっても構わないと思っている。
きっと、ミュウのあどけなさが凝り固まった自分の心をほぐしてくれているのだろうと思う。
さっき下ろしたばかりのミュウを、ティアは再び抱き上げ、膝に乗せた。
ふかふかの毛並みを楽しむように背中のあたりを優しく撫でてあげる。
ミュウは気持よさそうに目を閉じ、ティアの膝の暖かさの上で丸くなった。
「ねえ、ミュウ。 もしかしたら私の手で触られるの痛くないかしら……」
ふいにティアは撫でる手を止めた。
譜術主体の戦闘をしているとはいえ、時にはロッドを手に取り白兵戦に挑むことだってある。
彼女の指や手の平には無数の握りだこがあった。それはつぶれて硬化してしまったものから
ごく最近できたものまで様々である。
それは、そのまま幼い頃から兵士となるべく育てられてきたティアの歴史を物語っていると言えなくも無かった。
ティアは、自分のざらついた手の平でミュウの柔らかな身体に触れることは
戦いに明け暮れる日々を送ってきた自分がミュウの純粋さを汚してしまうように
思えて躊躇ってしまったのだ。
「確かに、ティアさんの手の平はざらざらしてて少し痛いですの」
目を閉じたままのミュウから返事が返ってきた。
「そう……」
迷惑だったかしら、と残念に思うと同時に
ティアは自分の歩んできた人生がほんの少しだが虚しくなった。
勿論、自分のしてきた事は今更引き返すことなど許されないのだろうし
戦いの中で起こるであろう様々な悲しみに対する覚悟だって出来ている。出来ている筈だ……
ただ、時々こんな風にたまらなく虚しくなる。きっと、それはいくら自分の正義に
忠実に生きていくためだとしても戦いそのものが虚しいからなのだと思う。
「でも」
ティアがミュウの背中から手を離してしまおうとしたときミュウが言葉を続けた。
「でも、ティアさんの手の平、ぼくは好きですの。
ティアさんの手はご主人様やみなさんを、そしてぼくを守ってくれる手ですの」
そして、その何倍もの命を奪ってきた手─━
ミュウの言葉のおわりに合わせ、ティアは心のなかで呟いた。
ミュウはこんなに優しいことを言ってくれたのにそんな風に思ってしまう
自分を呪わずにいられなかった。
多分、この子には戦うという事の意味なんて分かっていないんだろう。
いや、そんな事この子が知ってはいけないとそうティアは思った。
「よかったらもっとナデナデしてください、ですの」
ミュウが膝に身体を擦りつけ甘えてくる。
その仕草のあまりの愛らしさに、ティアは思いつめた顔から一転して
先ほどの緩んだ顔に戻ってしまう。
思えばここ数日でたて続けに色々な事がありすぎた。
少し悲観的になり過ぎたのはそのせいもあるのだろう。
とにかく今はこの愛すべき聖獣を思いっきり可愛がってあげようではないか。
「よしよし。 ミュウはいい子ね」
再びミュウの毛並みにそって指を這わせる。
今度はその指を頭の方へもっていき、耳の後ろを弱くさすってやる。
「ふふっ…… くすぐったいですの」
ミュウがすこし身を捩った。
その様子を見たティアに少しの悪戯心が芽生える。
ミュウの身体を膝の上でうつ伏せにひっくり返すと
ティアはそのお腹の上で五本の指を起用に躍らせた。
「いやっ…… ふふっ……! みゅふふふ〜っ! や、やめてくださいですのぉ」
途端にミュウの笑い声があがる。
ティアは自分の膝の上をころころ逃げ回る小動物を執拗に追いかけ
くすぐり攻撃を加えていった。
いつしか、ティアは誰にも見せたことの無いような
歳相応の少女らしい無邪気な笑顔でミュウと戯れていた。
「はあっ…… はあっ…… もう! ティアさぁ〜ん……!?」
「ふふふっ…… ごめんなさい」
“攻撃”の手を休めたティアの目に、あるものがとまった。
“動物”の“雄”の“生殖器”だ。
ただでさえ小型であり、毛並みに隠れ気味のその部分でも
やはり性に関わる器官というだけで存在感がある。
ティアの興味がそこに移ったのは至極当然のことだった。
「ねえ、ミュウ…… ここもなでなでしてあげましょうか?」
ティアは表情も変えず、そこに人差し指を伸ばした。
「え…… ティアさ…… あ……!? みゅうっ!?」
人差し指の腹を使って、ゆっくり円を描くようにミュウの股間を刺激する。
この時ティアはまだ、この行為をさっきのくすぐりの延長程度にしか思っていなかった。
あどけなく可愛らしいミュウについている生殖器の違和感に純粋に興味を引かれたし
そこに触れることをはしたないとも汚らわしいともさして感じることはなかった。
性行為をしているという自覚は無いに等しく、赤ん坊のオシメを換えてあげている
くらいの心構えで、ティアは指を動かした。
「どう? 気持いい? 私の手、好きなんでしょう?」
「みゅうぅ…… ティア…… さんっ」
下腹部から指を離すと、ティアはその部分を観察する。
「ふふっ。 ミュウでもちゃんと勃起できるのね」
ちろっと舌先で人差し指を味わいながら、ティアは艶っぽくミュウに微笑みかけた。
言葉通りにミュウの生殖器は小さいとは言え動物特有に赤黒くグロテスクにそそりたっていた。
「みゅふっ…… あ……! ぼ… ぼくのおちんちん変ですのぉ……!」
一方のミュウは生まれて初めての勃起現象に戸惑いを隠せずにいる。
身体は否応なしに火照り始めてきているのに
持て余した性欲をどう発散すればいいかも分からないミュウは
助けを求めるようなつぶらな瞳をティアに向けた。
うるんだその瞳に、ティアの心は射抜かれる。
「大丈夫よ…… 私に、全部任せてくれればいいから」
少し息が荒くなってきたティアが片手でひょいっと
ミュウを抱えると顔の高さまで持っていき
そのまま下腹部全体に唇を押付け、舌を使ってミュウの生殖器を刺激する。
流石に少し背徳感を覚えたが
不謹慎にもティアの下着には、薄っすらと自らの愛液が染み込みだしていた。
ミュウのお腹のソーサラーリングにティアの歯があたってかちかち音が鳴る。
ティアは手の中のまるっこいミュウに唇を押付けているいまの状況から
エンゲーブでルークが売り物のリンゴに代金を払う前にかぶりついた時のことを連想してしまった。
こんな事でいちいちルークの事を思い出す自分が腹立たしくなり、ティアは舌の動きを早めた。
繰り返し舐めあげる舌使いに、あっという間にミュウは絶頂に達してしまう。
「あ……! ティ、ティアさん! もう離してくださいですの……!
な、なにか…… なにかが出ちゃいそうで…… ティアさんのお口…… 汚しちゃいますの!!」
「だめよ…… 私はそれが飲みたいんだから…… かわいいミュウの…… かわいい…… 精子……!」
「あ…… ティアさ……!! みゅ…… みゅぁぁあああっ!!!?」
小等動物であるミュウの射精の量は、ごく微量のものだった。
味もほんのすこし苦味の混じった薄い塩水程度のもので、ティアはためらいなく
咽喉を鳴らしてそれをのみこんだ。
「ふぅ…… びっくりさせちゃったわね。 ミュ……」
少し冷静さを取戻し、ミュウに声をかけようとしてティアは
言葉をつまらせた。
ミュウはティアの手に包まれたまま
ぎゅっと目を閉じ小刻みに身体を震わせていた。
小動物はただでさえ交尾時には警戒心が強くなるものなのに
それに加えてあんな強引な迫り方をしたのだ。
これほどまでに恐がっているのも無理は無い。
ミュウの可愛らしさに抑えが効かなかったとはいえ
ティアは自分の浅はかな行動を反省せずにはいられなかった。
(許してくれるかな……)
空いている方の手を伸ばしミュウの身体を撫でようとする。
が、身体をすくめられ避けられてしまった。
ひどく胸が締め付けられらた。とりあえず触れようとするのは
止したほうがよさそうだと判断し、かわりにティアは口を開いた。
「……ミュウ、ごめんなさい。 私調子に乗っちゃって……
ミュウの気持も考えずに…… 私って、ほんと最低よね…… 」
目の奥が熱くなるのをかんじたティアは
慌てて流れ出そうとするものを引っ込めようとした。
しかし間に合わなかった。 久しぶりの涙が零れた。
許して貰いたかった。ミュウに嫌われるのは恐かった。
ティアもミュウと同じように、目をつぶって返事がくるのを待った。
手の上から、ミュウが飛び降りた感触がした。
目を開くと床を疾走して入り口のドアの下のすきまを
くぐり部屋から抜け出していくミュウが見えた。
「嫌われちゃった…… 私……」
まだ出会ったばかりのミュウだけれど
ティアはこの子になら愛情を注げる、という気がしていた。
それなのに、下らない悪戯をしてしまったばかりに
ミュウは自分から去っていってしまう。
ミュウの純粋さが無ければ、自分の純粋さすら保っていけないというのに……
ひどい喪失感にさいなまれ、崩れるようにベットにつっぷした。
ミュウはルークたちの部屋に行ったのだろうか。
そうしたらまたルークはミュウをいじめるのだろう。
それでも、私なんかといるよりずっとましだろう。
明日からミュウにどう接すればいいだろうか。
いや、きっとミュウはもう自分なんか顔もみたくない筈だ。
目を閉じたまま、そんな事をぐるぐると頭の中で考えていた。
その時、何かが頬に軽く触れた。
面倒臭そうに目を開け何事かと確認してティアは自分の眼を疑った。
ミュウがティアの頬に口付けをしていたのだ。
状況を理解できないという顔のティアに、ミュウは優しく微笑んだ。
「ご主人様たちの部屋に行って聞いて来たですの。 女の人を慰めるにはどうすればいいか、って」
なにか返事をしなければと思うティアだが、口がぱくぱく動くだけで声が出ない。
かわりに、ミュウがひとりで身振り手振りの説明をする。
「とりあえずご主人様に聞いてみたです。そしたら“ブタザルのくせに色気づいてんじゃねえ”って蹴られちゃったですの……
次はガイさんに聞いてみたですけど…… ガイさんは女の人が駄目だったのを忘れていたですの。
イオンさんに聞いたら“聖獣チーグルもやはり恋愛したりするのですか”って逆に質問されちゃったですの。
疲れましたの…… 最後に、ジェイドさんが“こうやるといいですよ〜”って、今みたくやってみせてくれたですの」
「……やってみせた、ってジェイド大佐がミュウに?」
ようやく落ち着いてきたのか、ティアが涙を拭いながら尋ねる。
「いえ、ご主人様にですの」
思わずティアは吹き出してしまった。
「ルークのやつ、怒ったでしょう?」
「はい。 それはもう罵詈雑言を浴びせてましたの。
しまいには剣まで持ち出してましたけどジェイドさんはのほほん、としてましたの」
ひとしきり一人と一匹で笑った後、ティアは今度こそちゃんとミュウに謝ることができた。
しかし、ミュウにあの行為の意味はやはり理解できていなかったらしく、驚いてしまっただけで心配ないという。
怒っていないのかというティアの問いかけにすら、ミュウは「何のことですの?」 と首を傾げていた。
むしろ、ミュウは突然泣き出したティアのほうが驚きで
射精の驚きなんて吹き飛んでしまったのだという。
「私の心配なんか…… しなくたっていいのに……」
なぜミュウはこんなにも優しいのだろう。
自分がひどく情けなく思える。
ごめんなさい、と口にしようとして
ティアはこれ以上さっきのことを掘り返すものでもないと思い直した。
もっと、ふさわしい言葉がある。
「ありがとうミュウ。 大好きよ」
一緒にシャワーを浴びたあと、ベットに入って明かりを落とす前に
ティアは言った方が良いものか迷ったがミュウにもう一度だけ謝っておくことにした。
「もう、あんなことしないからね。 ミュウ」
しかし、ミュウからは意外な返事がかえってくる。
「え……? えっと、その…… 別に、しても……いい、ですの……
といいますか、あの…… 気持ちよかったからまた時々して欲しい……ですの」
恥かしそうにしながら、ミュウが上目使いでちらっとティアを見上げる。
「……ふふふ。 やっぱりかわいいわ、ミュウは」
ミュウを抱き寄せて今度はティアがミュウに軽く口付けをする。
鼻をくすぐる石鹸の香りが胸を優しさでいっぱいにする。
「……!? 本当ですの! この“ちゅっ”てするやつは元気が出ますの!
あったかいですの! 幸せな気分になれるですの!」
「そうね。 私もミュウがしてくれた時…… は、びっくりしてそれどころじゃなかったけど
でも、嬉しかった……」
ミュウは大喜びでティアの枕元で飛び跳ねている。
人間が作った行為を動物であるミュウが
素晴しいと感じたことに、ティアはなんだか
人間の可能性のようなものを見出せた気がした。
「ジェイドさんの言う事に、嘘は無いですの!」
……そこは曖昧に流しておいた。
ミュウは、すぐにすやすやと寝息をたて眠りに就いた。
ティアも部屋の明かりを消しベットに身体を横たえる。
真っ暗になった部屋の中でも、手を伸ばせばミュウのぬくもりに触れることが出来た。
前のページへ戻る