総合トップSS一覧SS No.4-057
作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
BREAK DOWN 札幌氏 アッシュ×ナタリア 2005/12/03 2005/12/03

全ての事の原因は、教団にある。

それを知ると同時に、旅先の伝で戦争が始まったと聞かされ、
私達は二手に別れて、各国を止めに行く事にした。

私は護衛2人を連れてキムラスカへ戻り、
ルーク、ティア、ジェイドはマルクトへと向かう。

草木を掻き分け、山道を下る一行。

ナタリア「ねぇ、本当に大丈夫ですの?こんな山道・・・ うっ」

不意に衣服の袖が木の枝に引っ掛かり足止めを喰らう。
少しでも早く帰ろうと気は急くばかりだが距離はまだ遥かに長く、
いつ野生の動物が飛び出して来てもおかしくないような道無き道を潜りストレスは溜まる一方。

真夏の厳しい日差しが更に疲労を増幅させる。
・・・まぁ、むしろこの状況で天候に恵まれていた事は不幸中の幸いと受け取るべきなのかも知れないが。

ガイ「ああ、ここは何度か通った事がある。真っ直ぐ突き抜けるとすぐ街へ出られる」
ガイ「そこから港に出れば、王国に直行出来る。・・・それが最短のルートだ」

背中を向けながら応答するガイ。
進行を阻む草木を剣で払い踏み折り、後ろ2人に気持ちほどの道を作りながら先導を切る。

ガイ「ちょっと辛いかも知れないが、先を急ぎたいだろ?我慢してくれ」
ガイ「幸いここは聖地と呼ばれる場所だ。魔物も出ないからヘバってても大丈夫」

女2人を労う言葉をかけるも、足は早め早めに先を行く。
彼なりに焦っている様子だった。
確かに、魔物とは全く出くわす事が無く、空気は澄んでいて、野生の小動物がちらほら。
しかし、それであるが故の未開の森。人が通るような便利の利く所でないのもまた然り。

アニス「あー 疲れたぁ」

そう言って腰を曲げ、膝に手を付くアニス。
無理も無い。背丈が小さいほど障害は大きい。
だからと言っても、ここは聖地。
トクナガを巨大化させて突っ切るというような荒行も許されない。
”少し休もう”という話にしてやっても良いのだが、事態が事態。そうも言っていられない。

ナタリア「だらしないですわね。このまま街へ出ても、王国へはまだまだ距離がありますわよ。」
アニス「うへぁー」

はーっと溜息をつき、それでもひたむきに歩み続けるアニス。

・・・人はこんなにも変わってしまうものなのか、と何となく考える。
私の知っている当初のアニスなら「もういいや、私は安全なところで待ってる」と言いそうなものだが。
そもそも、彼女が無理をして、危険を圧してまでキムラスカに戻らなければならない理由は無い。
何があったのか、誰の影響なのかは知らないが―、大したものだ。

ガイ「お前は随分平気そうだな」

そう言って振り返るガイ。
その微かにほくそ笑んだ顔が、少し不快に感じた。

ナタリア「平気ですわ、これくらい」

額に垂れる汗を拭い、強がる。
どんなに疲労を感じていても、加えて限界を感じてる猶予なんて無い事くらい、分かっている。

ナタリア「私だってよく木の実を採りに山に入ったりしていましたのよ。慣れたものですわ」

二歩三歩と茂みを軽く飛び越え、ガイの隣に並ぶ。

ガイ「意外なもんだな。王女様が山で木の実採りか」
ナタリア「あら、貴方とも一緒に入った事もありますのに」
ガイ「・・・そうだっけ」
ナタリア「ほら、ルークも一緒に、そうそう、あの時貴方が・・・」
ガイ「あー、思い出した!あれかぁ。あの時は・・・」

ついつい思い出話に華を咲かせる。

アニス「何なんですかぁ、二人して魅せつけるように!」
ナタリア「・・・な」
ガイ「何言ってんだ、アニス」

はっと我に返り、アニスの言葉に赤面。
ガイは味の悪い空気を笑い飛ばす。

アニス「あーん、私もルーク様に会いたぁい!」

ガイ「・・・!」

唐突に立ち止まって私の前に手を突き出し、進行を阻むガイ。

ナタリア「な、何・・・・ ・・・・!」

ガサッ

茂みの奥から何か音がした。
普通ではない、何者かの気配。
ここは聖地。魔物は居ないはずだが・・・、或いは・・・

アニス「むむっ、魔物かぁー」

いきり立つアニス。

ナタリア「ちょっと、気をつけなさい」
アニス「アニスちゃん、突撃ー!」
ガイ「おい、待て!」

アニスはそれを聞かずトクナガに跨り、そのまま草陰の見えない何かに向かい突進。

何か、鈍い音が響いた。

ガイが何も言わずに剣を構えた。

茂みの奥から、何かが近付いて来る。
その冷たく張り詰めた空気はとても長くて、痛かった。

ナタリア「・・・アニ ・・・ス  ・・・?」

アッシュ「どっかで見たガキだと思ったが・・・」
アッシュ「こりゃあ、思わぬ収穫だな」

声だけでも、正体が分かった。

草陰の奥から現れた、鮮血のアッシュ。
血に染まり動かなくなったアニスを、私達の足元に投げ捨ててみせた。

誰がどうなったかという感覚は無かった。
一瞬にして全身を支配した恐怖が、私の全てを麻痺させた。

ガイが私の前に出て、強張った表情でアッシュを睨みつける。

アッシュ「・・・あぁ?ルークはどうした。」
ガイ「・・・さぁね」
アッシュ「こんな所で、何をしている?」
ガイ「そりゃ、こっちの台詞だ」

アッシュ「はっはっ、そうピリピリすんなよ」
アッシュ「どうせ死ぬんだ。気楽に行こうぜ」

そう言ってアッシュは、アニスの血がついた、黒く大きな剣を翳す。

ガイ「・・・逃げろ」
ナタリア「・・・えっ」

ガイ「いいから逃げろ!早く!!」

そう罵られてようやく身体の自由を取り戻した私は、
言われるがままに、二人に背を向けて走り出した。

走った。ひたすら走った。
余計な事は何も考えないようにして、無我夢中で恐怖から遠ざかった。


アッシュ「お前は、逃げなくていいのか?」

ガイ「逃がしてくれるなら、喜んでそうするがね」

アッシュ「今更、一人で俺に勝てると思ってるのか?」

ガイ「・・・やってみなきゃ、分からないだろ?」

アッシュ「解せねぇな。死ぬ気か?あの女の為に?」

ガイ「・・・・モテねぇ君には、分かんねぇよ!!」


―どれだけ走っただろう。
走り続けながら、どうでも良い事を考えてみる
先導を失った今、この迷路から抜け出せる根拠も無い。
ひたすら、近くにあるはずの”街”を目指した。

懸命に意識を変えようとしても、
動かなくなったアニスの顔が目に焼きついて離れない。

あれが”死”というもの-
あの化け物相手では、恐らくガイも-


私はまた守られてしまった
自分を守る為にガイは-


自分達を守る為にどれだけの兵が死んでいったのだろう
どれだけの涙が流されたのだろう

ずっと目を背けてきたものを直視してしまった
積み上がってきたものが一度に襲い掛かって来たように感じた

強くなると誓ったはずなのに
守る側になってみせると決意したはずなのに

私はまた-


アッシュ「どうした、もう終わりか?」

ガイ「・・・ ・・・へへ 参ったな、こりゃ」

アッシュ「仕舞いだ」

ガイ 「――」


ドンッ


剣を振り上げたアッシュの腕に、渾身の矢が突き刺さった。
アッシュの剣が音を立てて地に転がる。

ガイ「・・・!!」
アッシュ「・・・のアマぁ・・・」

ガイ「馬鹿!何で戻って来た!?」

再び大きな罵声が上がる。

ああ、腹が立つ。
全身血まみれになって、なおも他人の心配をしているガイに。

ナタリア「私に、命令しないで・・・!使用人の癖にっ!!」

震える腕を堪え、私は再びアッシュに向けて弓を構える。

アッシュ「そんなに死にてぇか・・・!」

剣を拾い上げ、真っ直ぐに私の方へと向かってくる。

ガイ「待て!!」

夢中で何度も矢を放つも、容易く剣で払われてしまう。


終わりへの、カウントダウン。

これが、死ぬという事。

これが、死ぬという恐怖-

遠くから差し込む沈みかけの太陽が眩しかった。
どこかニヤついた悪魔の顔が、眼前まで近付いてきた。


ザン-ッ


アッシュ「ぐ・・・っ」

悪魔は剣を振り降ろす寸前で立ち止まった。

ガイ「お前の相手は、俺だろうが・・・」

フラフラの状態で立ち上がったガイの、渾身の一撃。
アッシュは一瞬よろけはしたが、そのまま平然と私に背を向け、ガイと対峙する。

アッシュ「・・・へぇ まだ立てたのか」

ガイ「へへ・・・ まだまだ・・・・ ・・・」

そう言った途端に剣を落とし、がたがたと崩れ落ちるガイ。

アッシュ「・・・はは」

アッシュはまた二歩三歩とガイへと近付く。

ナタリア「・・・ あ・・・っ」

固まったまま声も出せない。
身体も震えるばかりで動かない。

ひたすら己の弱さを責めるばかり
ただただ今までの選択を悔いるばかり。

地に伏せたガイのを足蹴にし、剣を垂直に突き立てるアッシュ。

止めないと

助けないと

早く

ガイを

ガイが死ぬ

ガイが --

ズンッ

あっさりと剣がガイの左胸を貫通した。

ガイの顔は見えない。
身体が一度大きく揺れた後、ガイは動かなくなった。

アッシュ「お疲れさん」

剣がゆっくりと引き抜かれる。

アッシュ「命を張ってまで女を守りてぇってか。泣けるぜ。はっはっ」

アッシュ「どうだぃ女。守られた気分は。」

ざくっ

もう一度、剣が腹部を貫通する。



ざくっ


アッシュ「ははは、言葉も無いってか」


ざくっ



ざくっ


刺されても刺されても、ピクリとも反応を返さない。


現実を受け入れられず、私は呆然と立ち尽くしていた。
気が付いた時には、アッシュは私のすぐ傍まで来ていた。

アッシュ「馬鹿な女だ。」

片手で首を掴まれ、身体が宙に浮いた。

ナタリア「・・・ あ・・・ ぐ・・・」

アッシュ「・・・」

苦しい。
これが、死という苦しみ。

だが、心底からの抵抗は無かった。
もう、良いんだ。
ここで生き永らえても、仕方が無い。
どうしようも無い。

アッシュ「・・・あァ、なるほど。」

急に、思い切り空に投げつけられ、そのまま木に激突する。

ナタリア「・・・ げほっ・・・  はぁ・・・ ぅ・・」

酸素を求め、呼吸が荒れる。
身体は、まだ思うように動かない。

アッシュは剣を置き、ぐったりとした私の身体を背中の大樹に押し付けて
不意に唇を封じた。

ナタリア「!!」

強引に潜り込んできた舌が、口内を徘徊する。

ナタリア「んっ・・・ ふ・・・ や・・・っ」

顔を左右に振り、避けようとする。

アッシュ「はは、良い顔するじゃねぇか」

そのまま押し倒され、腹の上に圧し掛かるようにして身体が固定される。
もがけどもがけど、力では到底敵わず、成すすべは無い。

アッシュ「どうせ死ぬんだ、楽しめよ」

ビリビリと衣服が破られ、呆気なく裸体を晒させられる。


無理だ。もうこれ以上は・・・

渇いていた眼から涙が溢れ出す
悲しいという感覚も、他の何かがある訳でも無い。
嗚咽が混じるわけでもなく、ただひたすら、涙が止まなかった。

ナタリア「・・・ 殺して・・・ 」
アッシュ「終わったらなァ・・・」

胸を弄られ、その間を舌先が這う。

つい数分前までは王女だったのに、
突然悪魔の欲望の捌け口となる玩具と化してしまった。

悪魔の拷問は続いた。
実際にはたかが数十秒だったのかも知れないが、
果てしなく長く、何十分も、何時間も続いたように思えた。

ナタリア「・・・ ぅ・・・」

もう終わったのか、一段落ついただけなのか、拷問が止んだ。
身体中の感覚がおかしい。
いっそ途切れて欲しい意識が、ふらふらと空を見つめる。

アッシュ「さぁて、そろそろ良いか」

悪魔が自らの性器を晒し出し、私のそれに押し当てる

今更、驚くことも無い。抵抗する気も起きない。

殺してくれるという悪魔の言葉を信じていた。
そう、どうせ死ぬんだ
事態の全てを受け入れてしまおう・・・

ナタリア「うぐ・・・・ ぅぅっ・・・」

ギチギチと音を立てて、異物が中に侵入してくる。
奔る激痛が麻痺していた感覚を蘇らせた。

奥へ奥へと侵攻は進み、一番奥の壁へとぶつかってもまだ奥へと進もうとする。

アッシュ「あー・・・ 良い感じだ」

ナタリア「・・・ッ ぅ・・・・」

呼吸がままならず、数度咳き込む。
休む間も無く引き抜かれ、また同じように突き刺され、それが何度も繰り返される。

ナタリア「あっ・・ ア・・・ あぅッ・・・」

痛みがあっという間に違う感覚に変わる。
止め処ない快感が壊れかけた精神を労う。

ナタリア「ぅあっ あっ あぁっ ・・・」

段々とペースが速くなっていく。
朦朧とする、されど途切れる事の無い意識が、いつの間にか悪魔を求めている。

不意に、繋がったまま抱きかかえられ、上下に揺さぶられる。

ナタリア「・・ふ、むぅ はっ はあっ・・・」

深く舌を絡ませられ、口から唾液が漏れる。
何かを考えた訳でも無いが、身体が自然に悪魔の首に腕を回し、催促する。

アッシュ「・・・ははっ」

動作が更に加速する。

ナタリア「あっ ひぁっ ああっ!」
アッシュ「行くぜぇ、一番奥に・・・!」

腰をぐっと押し付けられ、先端が最奥の壁をグリグリと殴りつける。

ナタリア「やっ あ、ああぁっ!!」

熱くドロドロした欲望の塊が身体の芯目掛けて吐き出される。
よほど溜まっていたのか、一度では吐き出され切れなかった精液が次々と注がれ、余韻に浸る。

ナタリア「・・・っ は・・・ ぁ・・・・」

ガクリと力が抜け、そのまま地面に仰向けになる。
全て出し終えてようやく、突き刺された異物がズルズルと音を立てながら身体から引き抜かれた。

ナタリア「・・・」

景色が、真っ白に見える。
何か、ガサガサと音が聴こえる。

アッシュ「はー 久々に良い気晴らしになったぜ」

何も、見えない。

ナタリア「・・・」

何も、分からない。

アッシュ「・・・さて」

自分の呼吸が、淡々と頭に響く。
生きる意志を失った身体には、もはや恐怖すらも残っていない。

アッシュ「さて、そろそろ死ぬか」

ナタリア「・・・」

アッシュ「じゃあな」



ザンッ



― THE END ―


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