総合トップ>SS一覧>SS No.4-036
作品名 |
作者名 |
カップリング |
作品発表日 |
作品保管日 |
邪神降臨・融合 |
丼兵衛氏 |
Lを除くP〜Rまでの登場人物(+α) |
2005/11/19 |
2005/11/20 |
「私がモッコスの元に行けば、当面の危機は回避されるでしょう」
コスモスは独り立つと、生ける屍の群れに歩み寄ろうとした。
「コスモス、幾らなんでも貴方独りじゃ無謀よ!」
前に出ようとするコスモスをシオンが萎えた足で必死に止めた。
「シオン、モッコスは私を確保する為に彼等を差し向けたものと推測されます。
私達をこのまま人質かデコイ(囮)にして、残りの方々も手中に収めるつもりです」
「その中にはブラウン博士達も入るという事か・・・くそっ!」
やりきれないといった風にウッドロウが吐き捨てた。
「私に考えがあります。私はリアラ様を同伴させてモッコスの元に行きます。
それならば、僅かながらですが状況を打開出来る可能性があります」
「おい、人質だったら俺が行くぞ!」
「俺だって!」
すかさず、ロイドとリッドが名乗り出た。
「僕が変わりで良かろう」
ジューダスもよろけながらも立ち上がった。
恐らくは、人質になった振りをして捨て身でモッコスを仕留める腹積もりであろう。
そもそも、か細い少女を人質にするという行為自体が英雄としての矜持に反していた。
ただし、リアラはコスモスの言葉に最初は少なからず驚愕したものの、すぐに意味を理解した。
「シオンさん、行かせてください。私には彼女の考えが分かります」
リアラは強い意志を秘めた瞳で、シオンを凝視した。
「私からもお願いします」
自我を持たない筈のコスモスが、これほどまでに主張するのは余程の事である。
流石に、シオンも観念した。
「・・・分かったわ。でも、約束して。
これが終わったら念入りにメンテナンスしたいから、絶対に、・・・絶対に帰ってきてね」
「私は開発者であり、管理者であり、運用者でもあるシオンの命令を実行する様に
プログラムされています。・・・了解しました、シオン」
こうして、コスモスとリアラは、生ける屍達に囲まれたまま連行されていった。
残された彼等は、自由の利かない脚を呪いつつ、2人の無事を祈る他無かった。
・・・ただ1人、意味深にほくそ笑んでいる少年を除いて。
「リアラ様、お加減は如何ですか?」
「さっきよりは・・・良くなったみたい」
まだ足の萎えたリアラをコスモスが肩を貸す格好で歩いていた。
決して早くは無い歩みの2人の周りを、おっとり刀の生ける屍達が随伴していた。
こうして、2人が連行されたのはミルハウスト達カレギア軍と王の盾が死守していた筈
であったカレギア城であった。
・・・大勢避難していた市民達は一体どうなったのか?
「まさか、城の皆さんも・・・」
「その可能性は低いと想定されます。バルカ西方に多数の生体反応が確認出来ました」
「西というと・・・収容所の方に避難したのでしょうか?」
「その可能性が一番高いものと推測出来ます」
無数の生ける屍達に囲まれる光景を想像して背筋が凍っていたリアラはひとまず安心した。
それでも、王城は混乱と破壊により無残に荒れ果てていた。
城の内部は逃げ惑う市民達が引っ掻き回した跡も方々に見られた。
「モッコスは何処に?」
「この建物の中に存在している事は、99%の確立で判明していました」
「そこまで分かっていて、皆を獣王山に・・・やはり、そういう事ね」
2人は一体、自らの身を危険に晒してまで何を企んでいるのか?
モッコスこと2代目コスモスは、屋上の祭壇場に佇んでいた。
コスモスとリアラの姿を見ると、淡々と2人を迎え入れた。
「来ましたね」
コスモスを見やるモッコスの眼差しは、優しげながらも何処か冷たかった。
「1つだけと聞きたかった事があります。・・・貴方は何故この世界に来たの?」
リアラは着丈にモッコスを問い質した。虜とは言えども流石は英雄である。
「私の目的を果たす為には、あらゆる状況に対応出来る様々なエーテルが必要でした。
対象が多いこの領域は、エーテルを採取するのに願っても無い環境です」
「そんな事の為に、カイルやコレットさんや、街の人達を・・・」
市民や仲間達の変わり果てた姿を思い出したリアラは怒りに震えた。
「彼女は人質です。もし、貴方が命令に背く行為があれば、相応の報復行為を与えます」
コスモスがリアラの方を見やると、リアラはコレットとファラに羽交い絞めにされていた。
恐らくは、リアラも生ける屍に変えるという脅しなのであろう、とコスモスは推測した。
若しくは“白化”を行ってグノーシスに変異させるという事も考えているのであろう。
作戦を実行するまで、彼女を失う訳には行かない。それに、リアラはJrに取っておきの
“隠し玉”を密かに貰っていた。チャンスさえあれば大丈夫であろう。
「・・・了解しました」
コスモスは、無防備な体勢でその場に立ち尽くした。
「この領域は理想的な環境です。幾らでも多種多様のエーテルを入手出来ます」
モッコスの腕部が変化した透明な触手は、コスモスの全身を拘束していた。
(擬似性器?)
恐らくは、能力者から採取したフォルスを応用した未知のエーテルなのであろう。
ひときわ醜悪な形の触手が、コスモスのボディスーツの中を伝い、秘所に滑り込んだ。
「くうっ!!」
触手はコスモスの口蓋をこじ開け、そのまま侵入した。
「ん゛ん゛・・・」
器用にも、ジッパーに先端を張り付けると、そのまま摩り下ろした。
人間の女性のものと寸分違わぬ双丘が露わとなった。
抵抗しようとすれば、腕のバルカン砲で至近距離から仕留める事も可能であった。
だが、決してコスモスは抗おうとしなかった。
その間にも触手はコスモスの全身を包み、がんじがらめに拘束しつつあった。
(モッコスが私のプログラムを書き換えようと試みるのであれば・・・)
・・・彼女自身にとっても危険な賭けであった。
コスモスがモッコスの触手に全身を陵辱されていた頃、リアラはコレットとファラに
祭壇下の小部屋が連なった通路に連れて来られ、挟まれる様に両腕を拘束されていた。
「ふへへ・・・ふへへ・・・」
「ちょっ・・・こら!、コレット!、何を・・・」
ファラがリアラの両肢を抱えると、M字に大きく広げた。
「こうすれば・・・イケル・・・イケルんだよぉ・・・」
コレットが不気味な笑みを浮かべながら、タイツ越しに秘所を太股に擦り付けてきた。
「えへ・・・美味しそう・・・へへ・・・」
「や・・・やめ・・・!」
リアラは必死に身を捩って逃れようとしたが、ファラの腕力の方が数段勝っていた。
コレットは69の体勢を取ると、リアラの秘所を下着越しに責め立てた。
「コレ・・・イケルかもネェ〜、ひひひははは!!」
「イイねぇ・・・」
コレットが取り出したのは、例の邪神人形であった。
「そんな・・・嫌っ、嫌・・・いひぃぃぃぃ!!」
秘貝に人形の頭部がねじ込まれ、そのまま押し込まれた。
余りの激痛に、リアラは黄色い声を上げて身を捩り、のた打ち回った。
余りに歪なモノを入れたが為に、秘貝から赤い血を流していた。
「へへ・・・イィ声だね」
「イケてるよぉ・・・」
リアラの秘所はどうにか人形の半身を飲み込んだ。
リアラは余りの激痛と羞恥心に、ポロポロと涙を零したがそれでも耐えた。
自分がここで抵抗してしまえば、この2人には勝ててもモッコスには負けるだろう。
そうなれば万事休すだ。
コスモスが“作戦”を実行に移すまで、どうにかして時間を稼がねばならなかった。
ただし、コスモスがどれだけ陵辱に耐えられるか・・・それが問題であった。
「ん・・・んぅ・・・ん・・・」
「コスモス、もっと声を出しても宜しいのですよ?」
人体を忠実に模倣しているコスモスの身体は、生身の人間と同じく攻められていた。
前後の出口も触手に塞がれ、内壁すら圧迫される始末であった。
口蓋も太い触手を噛まされ、双丘の谷間に触手が入り込んでは扱いていた。
更に、モッコスは身体に対する侵食のみならず、精神的な陵辱も容赦が無かった。
むしろ、コスモスの回路、それもエンセフェロンにまで侵入されて書き換えられていく
陵辱の方が深刻であった。
(私の中に・・・入ってくる・・・)
コスモスの防御プロテクトがモッコスのハッキングにより、次々と解除されていった。
プロテクト構築よりもハッキング速度の方が速かった為であり、恐るべき速度で“洗脳”
が行われていた。
突然、触手の先端が振動すると、白色の毒液が噴き出した。
大量の毒液はコスモスの中に容赦なく注ぎ込まれ、全身を白く汚していった。
「あ・・・あぁ・・・ん・・・」
体験した事の無い感覚の為に、口元は涎が筋を作り、赤い瞳は虚空を見つめていた。
「どうしたのです?、コスモス?」
「・・・気持ち・・・良い・・・」
コスモスのこの言葉に、モッコスは己の勝利を確信した。
「・・・もうじき、もっと良くなります。私とひとつとなるのです」
モッコスは呆けた顔のコスモスを引き寄せると、舌をコスモスの口蓋に滑り込ませた。
密かに、淫らな水音が祭壇を祭った広場を木霊した。
「ん・・・」
コスモスはモッコスの舌に、自らの舌を這わせては思うが侭に蹂躙した。
「へへ・・・ひひひ」
「もっとぉ・・・もっとイケルよぉ・・・」
コレットとファラは未だ飽きずに、人形を手にうつ伏せに倒れ込んだリアラを他所に、
お互いの身体を弄んでいた。何と、人形をディルドー代わりに繋がっていたのである。
倒れ込んだままのリアラは隙を見て、乱れたワンピースの飾りの影からオリーブドラブ
に塗られた缶状の金属体を取り出し、円形のピンを抜いた。
勿論、これはJrが密かにリアラに手渡したものである。
「いい加減止めないと・・・どうなっても知らないわよっ!」
リアラは缶を放り投げると、耳を両手で塞いで顔を赤い絨毯に押し付けた。
暫く後、凄まじい音と閃光が通路上に響き渡った。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
音と閃光に聴覚と視覚の両方を潰されたコレットとファラは、繋がったまま悲鳴をあげて
両目を押さえ、お互いの身体を抱きかかえる様にしてその場にうずくまった。
「ゴメンッ!!」
リアラは近くの台に置かれていた高価そうな大きな花瓶で2人の頭を殴りつけて気絶させ、
首根っこを引っつかんで部屋の1つに放り込んだ。
大きな物音を聞きつけたのか、階下から呪われた番犬達が階段を駆け上がって来た。
勿論、それ等はリアラのよく知る者達ばかりであり、しかも先頭を走るのは身内であった。
「リアラぁ・・・あ〜そ〜ぼぉ〜」
「悪い子ネェ・・・・・・」
「悪い子は・・・お仕置きだぞぉ・・・!」
カイル達親子が揃って、真っ青で無表情な顔に妙に目立つ赤い瞳を輝かせながら、リアラ
を捕縛せんと迫ってきた。
「お父様、お母様、御免なさい。カイル、御免ね・・・」
リアラは2発目の缶―警察用のスタン・グレネード―を手に持ち、ピンを抜いて投げた。
ご丁寧にも、カイルはそれをキャッチしてしまった。
「・・・?!」
大音響と閃光はおろか、爆発にまともに巻き込まれた哀れな親子は、もつれる様にして
長い階段を転げ落ちていった。
(えっと・・・量はどれ位だっけ?・・・時間が無いわ、とにかく仕掛けなきゃ!)
階段から祭壇下の通路まで戻ると、スカートの裾に帯状に隠していた粘土を取り出し、
壁のあちこちに貼り付けてからそれぞれに棒状の雷管をねじ込んだ。
飾台の蝋燭を一本取り出すと、急いで全ての信管の導火線に火をつけた。
大慌てで上の階まで駆け上った後、暫くして轟音が響き、土埃が吹き上がって来た。
戻ってみると、崩落した巨大な石材で通路が完全に埋まっていた。
「・・・やり過ぎちゃった」
リアラが孤軍奮闘していた頃、コスモスは洗脳される寸前まで自我を乗っ取られていた。
モッコスは目の前に見えてきた勝利を確信していた。
(もうすぐ・・・手に入る・・・私の・・・欲していたもの・・・)
硝子玉の如く赤く変化していた虚ろなコスモスの瞳が、突如青く変わった。
「!!」
「・・・お気付きですね。取り込まれるのは私では無く、あなたです」
如何なる陵辱も大量の毒液も意に介さないという風に、コスモスは冷静な顔に戻っていた。
モッコスは驚愕した。気付くと、コスモスはアクセスしたハッキングプログラムを逆に
利用して、逆にモッコスの回路に侵入していた。
・・・伝達回路を開き過ぎていたのが仇となった。
「そうですか・・・所詮、私は消される運命だったのですね」
「あなたは消えません・・・私が消させはしません」
モッコスは自我が消える前に、一瞬寂しげな笑みをコスモスに浮かべた。
「・・・・・・・・」
コスモスは冷静な表情を崩さなかった。
「コスモス!」
ようやく祭壇場まで戻ってきたリアラが目の当たりにしたのは、絡み合った触手に抱えられる
様にして、もつれた姿で抱き合っていたコスモスとモッコスの姿であった。
コスモスによって強制停止プログラムを挿入されたモッコスは、微笑んだまま沈黙していた。
「リアラ、私を対流圏まで移動させて下さい。対象を迅速に処理する必要があります」
コスモスは、モッコスの頭部を抱いて双丘に埋めると、リアラに事務的な口調で伝えた。
「この領域で汚染された人々とモッコスを救うには、この方法しか存在しません」
「・・・分かったわ」
意を決したリアラがなけなしのレンズを消費して念じると、2人の姿は眩い光に
包まれ、やがて広場から完全に消え去った。
・・・すぐ後に眩い閃光が一瞬現れ、やがて何かが地上に落下して凄まじい衝撃が響いた。
*
「わぁ!・・・地震か!?」
「地震というよりも・・・爆発か?」
メセチナ洞窟の壁画を調査していたクラース・F・レスターとキール・ツァイベルは、
洞窟内にまで吹き込んできた爆風と轟音に驚き、慌てて外へ飛び出した。
「見て、大変だよ!、大爆発だよっ!!」
アーチェ・クラインが半ぱ驚き、かつ呆然としながらバルカの方を見ていた。
外は凄まじい閃光で照らし出されていたので、一瞬目が眩んだが、暫くすると閃光が
収まり、夜のしじまにやっと目が慣れると、3人はようやく顔を見合わせた。
「何が起こってるんだ?」
「カレギア城の方向だな・・・行くか」
「アタシがひとっ飛び見てくるね!」
アーチェは箒にまたがると、物凄い速さでバルカ方面にすっ飛んでいった。
「ポプラさんのピーチパイ、美味かったな!」
メルディが満足げな様子でバルカ街道を闊歩していた。
「あんなに食べたのに、まだ食い足りないのか」
ヴェイグ・リュングベルは呆れた顔であった。
「クイッキー!?」
「ワァウウ!?」
「キ―――――!」
突然、クイッキー・ノイシュ・ザピィが騒ぎ出した。
「しいな、あれ見て!」
弧鈴が慌てた様子で、バルカの方を指した。
「な、何だいありゃあ!?」
藤林しいなが素っ頓狂な声を出した。
遥かバルカの方角に、凄まじい閃光が光っていた。
「あれは・・・バルカで一体何が?」
藤林すずは冷静な風を装ってはいたが、微かに声が震えていた。
バルカに残してきた仲間達の安否が気がかりなのである。
「まさか、ユリスが復活したのか・・・」
「とにかく、バルカへ急ごう!」
「どうだい、弓の調子は?、5ツ星級の出来栄えだろ?」
ティトレイ・クロウが自信満々に語りかけた。
「確かに、金属の部品の細工はいい仕事してるねぇ」
「“匠の技”って所ですね」
ナナリー・フレッチとチェルシー・トーンはペトナジャンカの武器工房で自分の愛弓を
金属部品で強化して貰い、新調された弓を手にした彼女達は満足気であった。
「ん〜、俺様のギターも音が良くなったみたいだぜぃ」
ジョニー・シデンもエレキギターの弦を新調し、早速かき鳴らして悦に入っていた。
「おい!、アレは何だ!、アレ!」
フォッグが例の取りとめの無い口調で、バルカの方向を指差した。
「まるで極光術みたいですね・・・」
チャットが唖然とした表情でバルカの方角を見やっていた。
「又かよ・・・、今度は一体何が起こったってんだ!?」
「ふははははは!。見ろ、この遺物を!。この艶!、この作り!、見事だ!」
「・・・嬉しいのは分かったから、もう少し静かにしてくれない?」
出土品の数々に遺跡モードも全開気味のリフィル・セイジを、ヒルダ・ランブリングが
呆れながら嗜めていた。
「何を言うか?、この遺物の造形はな・・・」
「あ、ありゃ何ですかぁ!?」
ラックがバルカの方を指差して、上ずった声を上げた。
指差した方を見ると、キノコ雲が渦高く舞い上がっていた。
「物凄い土煙が・・・、一体何が起きたのでしょう?」
「・・・急いだ方が良さそうね」
凄まじい衝撃と爆風は城の展望台を破壊し、重厚な作りの屋根までも吹き上げていた。
熱気と煙にむせながらも、埃で茶色に染まった彼等は何とかコスモスの姿を探し始めた。
暫くすると、落下地点の中心に彼女らしき影が見えた。
「コスモス・・・?」
「コスモス・・・よね?」
「・・・コスモス・・・さん?」
顔付きはコスモスであったが、姿はモッコス・・・2代目KOS-MOSのそれであった。
「・・・任務完了しました」
*
狂乱の一夜が明け、バルカ収容所から避難していた市民や兵士、ウイルスによる洗脳から
解放された人々が、気が抜けた風にのろのろと道端を歩いていた。
ミルハウスト将軍や四聖の面々も事後処理の為にバルカ市内を駆け回り(ウッドロウも
激務のミルハウストの施政代行を務め、驚くべき事に両股に包帯を巻き、松葉杖を付いた
ユージーンがマオとジューダスの助けで兵士の指揮を執っていた)王立診療所は怪我人が
大勢担ぎ込まれて医師やベッドが足らないという事態となり、アニーやキュリア先生、
フィリアやミーシャが処置に駆けずり回り、怪我を負った以外の手空きの者は看護に
追われていた。
仲間の中にも怪我人は多かったが、何故かコレットとファラのみは“面会謝絶”とあった。
何処彼処も騒がしい中、通常は物置として使用されている静かな小部屋に、古風な建築と
は似つかわしくない超近代的な寝台が置かれ、青い髪の少女が寝かされていた。
周りには数人の女性が少女を囲んで様子を観察している風であった。
「精神干渉を利用して逆ハッキングねぇ・・・、一歩間違えばアンタもお陀仏よ」
「私にとっても、非常に危険な行為でした」
この少女・・・生まれ変わったコスモスは、検査と調整の為にメンテナンス用の寝台に
寝かされていたのであった。
「・・・それじゃあねぇ、早速アンタのデータを採取したいわねぇ、グフフフフ・・・」
ハロルドが道具を手にしながら、じりじりとコスモスに迫ってきた。
「・・・シオン、助けて下さい」
ハロルドの只ならぬ雰囲気に気が付いたコスモスは、シオンに助けを求めた。
メンテナンス中の為に、出力は殆ど零に抑えられていたのである。
「御免ね、私もモッコスとの融合の過程と結果には興味があるし、貴方の行動が貴方自身
の考えなのか、本社の指令なのか知りたいのよね。・・・だから、大人しく解剖されなさい」
2度の暴走を含めた今回の独断行動の為に、シオンも助けてはくれない様だ。
「私も、最高技術の粋を集めた人造人間を隅々までじ〜っくりと拝見したいものね」
おまけに、リフィルまで興味津々とばかりに迫ってきた。
「アタシはあんな目に遭ったんだから、しっかりと見せて貰う権利があるわよねぇ」
悪意丸出しの笑みを顔に張り付けたリアラが、腕を組んで仁王立ちしていた。
「やっぱり、綺麗な姉ちゃんの裸はいいなぁ・・・」
「兄ちゃんも、つくづく懲りないねぇ・・・」
女共に徐々に裸に剥かれていくコスモスの痴態を覗きながら、相変わらず鼻の舌を
伸ばしてウハウハ喜んで居るロニを、Jrが呆れた顔で眺めていた。
例え、存在する世界や時代が違えども、行う事は何処も全く同じなのであった。
代償が余りに大きかった、と誰が愚痴をこぼしたか・・・それは誰にも分からなかった。
[完]
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