総合トップ>SS一覧>SS No.4-028
作品名 |
作者名 |
カップリング |
作品発表日 |
作品保管日 |
欲求不満 |
サボり魔氏 |
セネル×クロエ |
2005/11/11 |
2005/11/13 |
「もう少し…このままで…」
帰らずの森に降り注ぐ雨に自分の涙を隠し、セネルの背を借りたままクロエは声を殺して
自らの恋に別れを告げた。
(ああ、またあの時の夢…クーリッジのことは諦めたはずなのに…)
「クロエ…」
夢の中のセネルが声をかける。
(あれ、こんな場面あったか?)
声に顔をあげると何時の間にやらセネルが正面を向いていていた。しかも両肩にセネルの
手が添えられている。
「クロエ…本当は俺…」
セネルの手がクロエのあごを持ち上げ、セネルの顔が徐々に近づいてくる。
(お、おいまさか!!そんな事!?)
「本当にいいの?私で…」
夢の中のクロエがセネルに尋ねる。言葉遣いもいつもの男口調ではない甘えた…例えるな
らシャーリィのような声だ。
(わ…私も何を言ってるんだ!!やめろ!せっかく諦めがついたのに…)
「お前じゃなきゃ…だめなんだ…」
答えながらどんどんとセネルの顔が近づいてくる。それに答えるかのようにクロエも目を
閉じ、セネルを受け入れる。
(うわぁぁぁぁ!)
心の中と正反対の行動をする夢の自分に発叫し、唇が重なる瞬間に目を覚ましたクロエは、
慌ててベッドから飛び起きた。
「ひゃあ!」
それと同時にベッドの上にいた誰かが驚いた声を上げてベッドの下に尻餅を付いた。
「あいたたたた…くぅ、勢いよく起きすぎ。」
打ち付けた腰をさすりながらノーマはつぶやいた。
「の…」
横にノーマがいることに驚きの声を上げそうになるが、誰かが誰かを起こしに来るのはそ
れほど珍しいことでもないので深呼吸を1つして今までの事態に気づいた。
「ノーマ…まさかお前…」
顔を引きつらせながら尋ねるとにやりとノーマは不敵に微笑んだ。
「クロエ…本当は俺…本当にいいの?私で…あっはは〜くぅかっわいぃ〜」
声まねをしつつ最後に大笑い。どうやら夢の出来事はすべてノーマに仕組まれたことのよ
うだ。
「ノーマ!!」
顔を真っ赤にして飛び掛ろうとするがすでにノーマは部屋の入り口のほうまで逃げていた。
「早く着替えて広場に集合だよ。それともその格好で行く?」
クロエの寝巻きは年頃の女の子らしいものだ。恥ずかしくて出られるわけがない。
「だ〜いじょうぶ!今日の事は誰にも言わないからさ。んじゃね〜」
言うことだけ言ってノーマは部屋を出て行った。
数日はこの事でからかわれるだろう。
「はぁ〜」
大きなため息をつきながらクロエは遅れないよう朝の準備を始めるのだった。
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