総合トップ>SS一覧>SS No.3-016
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作品発表日 |
作品保管日 |
待つ |
潤氏 |
ロニ×ナナリー |
2005/04/04 |
2005/04/04 |
月夜が綺麗に仲間の影を作り出す。――と言っても、今は真夜中。
野宿をしている仲間達は、少しの布を地面に敷いて眠っている。
残すは、最後の――エルレインの最後の企みを潰すだけ。
それが終われば、すべてが終わる。だが、それは……真夜中の中、1人眠れないロニにとって複雑な事だった。
歴史。正しい、道。取り戻したくない訳が無い。
隣ですやすやと眠るナナリーの、子供っぽい寝顔をそっと指の背で撫でる。
……この愛しい人が、生命を失う事など堪えられないから。
カイルとリアラは「もう1度会える奇跡」を2人で信じた。
寄り添って眠る2人を見て、口元を緩めて微笑むロニ。
だが――ロニとナナリーは、生半可に「再会」を果たすのだ。
果たして、自分に堪えられるのだろうか?
19歳のナナリーを自分は愛した。だが、最後の決戦が終わって再会する時――
彼女は、9歳で。自分は、23歳だ。もう1度19歳になる彼女がどんな風に成長しても。
弟を失わず、正しい世界で成長していく彼女をもう1度愛する自信がある。
だが、彼女は如何だろう?19歳の記憶が、9才の子に宿るとは到底思えない。
紅の豊かで艶やかな髪。大きく開いた、深みのある色の瞳。
細く伸びた肢体に、気丈なくせに拗ねてしまえばツンとする唇。今のナナリーと同じ身体で、自身を嫌われてしまったら。
23歳ならまだしも、9才の彼女の成長を待つとしたら…33歳、か。そう想って、苦笑しながらナナリーの寝顔をもう1度撫でる。
「……好きだぜ?俺は…きっと……。……嫌われても、待ちたいなんて言ったら…ヒくかな、お前」
まるで泣きそうな声で、するすると撫でていく。
ナナリーの寝顔はあどけなく、ゆっくり胸を上下させる寝息は子供のそれを思わせた。
その動き1つ1つから、簡単に9歳の彼女を想像出来る。
例え自分を嫌っても良い。その為に33歳までずっと何も要らない。だから――正しい世界でもう1度生き直したナナリーを見たい。
迷いは無いハズなのに、どんどん熱くなる瞳は涙を零しそうになる。
好きだ。目の前の1人の人間が、こんなにも愛しい。きっと自分はもう、誰も他に代わりを選べないのだと想った。
「……待つ。どうしようもなんねぇから…待つ」
コツリ、と寝顔に額をぶつけた。照れ隠しなのか、意思表明なのか。いつも軽いロニなりの、悩み抜いて出した答え。
だからもう悩まない。そう想って、いつもの軽いノリでやってみたのだ。
「…………本当に?」
瞼を閉じて額をコツリとぶつけていたロニは、驚いて目を見開いた。
てっきり寝ているものだとばかり想っていたナナリーは、瞳を開けて微笑んでいる。
「ナッ、ナナ……お前……」
慌てて手を引いて、距離を取る。ナナリーは着ていた毛布をずらし、座り込んでもう1度呟いた。
「…全部聞いてた」
笑うでもなく、怒るでもなく。ただ、目をこすりながら言うナナリー。
それにロニは絶句して、何のリアクションも無い事に少し怯えた。
……迷惑では、ないだろうか。正しい世界で、本当に出会うべきハズの人間と愛し合いたいなどと言われたら。
生きていく自信が無い。
「あ、あの……ああ…と…」
なんとも言えず、ただ沈黙してしまう。ロニはただただ黙って、俯いた。
「ロニ?」
ナナリーが自身を呼ぶ声が聞こえ、ロニが顔をあげる。その刹那、ナナリーのアップで――開いた目が、至近距離で合った。
……――口付け、された。
「……ナナリー?」
「…待ってて。何度生き直しても、どんな世界でも。好きになってあげるからさ、絶対」
かっとロニの頬が熱くなった。……月の綺麗な夜だけの魔法だろうか?
いつも素直にならないナナリーが、ストレートに自分の意志を言う。それだけで、ロニは目が潤み、危うく泣きそうになる。
それを隠すように――ロニは、もう1度ナナリーの唇に。今度は自分から、噛み付いた。
「ん……ん…っ」
呼吸が出来ない程に、舌ですべてを味わう。
暖かい口内の中で、その中心からドロドロに溶けていくのではないかと頭が錯覚する。
まるで極上の酒を飲んでいるかのように、クラクラした視界。深く口付けしながら、ロニはナナリーの上着を脱がせた。
最初は構造が解らずに笑われてしまったが、何度も肌を重ねた今となっては簡単だ。
「……肌、白いよなぁ」
初めて会った日は、小麦色の肌で。健康的だ、と言う印象だった。
だが、夜の睡眠前に手袋をはずし、余計な装飾をすべて外した時に出てきた白い肌。
小麦色の肌と、白い肌の差が――初めてロニが感じた、ナナリーの色気だったろうか。
それでも、長く冒険し、冬場になってきた今、ナナリーの肌はとても白い。
色白美人なんて言う言葉があるが、ナナリーはどちらの色でも美しいとロニは思う。
とても本人の前ではいえないが、白い肌も中々にソソる。
「…んぁぁっ」
初めて肌を合わせた時より、日を増すごとに敏感になっている。
ちゅ、と乳房を吸っただけで溢れ出る嬌声に、ロニはくくく、と笑った。
声にあわせ、ロニは強く吸ってキスマークを付けていく。どんな世界に生まれても、残るくらいに。
アザか何かになって生まれたら解りやすいのにな、と考えが過ぎってまた笑う。
「……何考えてんだか知らないけど、笑い過ぎだよ」
顔を真っ赤に染めたナナリーが、拗ねたように頭にチョップを食らわせる。
それに少し冷静になったロニは、距離を置いてナナリーをじっと見る。
白い肌。深紅の髪が汗でぴとりと貼りついている。…キスマークの散らされた胸。
……身体の芯が熱くなるのを感じて、ロニは耳元に唇を寄せた。
「…………ひぁっ!?」
カリ、と耳を噛まれながら、愛撫と共に下を脱がされて行く。
ロニ自身が堪え切れなくなっても、ナナリーが未だ感じていないのならば何も出来ない。
耳を愛撫しながら、吐息交じりで声も出なくなってきたナナリー。
ロニが最後の1枚をゆっくり脱がせ、身体の真芯を触る。…くちゅり、と水音がし、ナナリーは真っ赤になる。
「…あ、あのえと…って、きゃああっ」
敏感な真芯から、数字の1を描くように撫で上げられる。唇では耳、手では胸と真芯。
3つを同時に責めるなんて反則だと思いつつも、こぽりと中から液体が染み出す。
規則的に愛撫されるそれは、まるで焦らされるようでナナリーの身体を震わす。
ナナリーが口を抑えているのを見て、ロニは限界が近い事を知る。
…欲しいとは言わないけれど、言いそうになるのを抑えているのだと知っているから。
ふ、と少し息をついて自身の身体からも服を取り、剛直をナナリーの前に出す。
「…………待ってるから、待っててくれよな…?」
熱に浮かされた頭で、後で考えるとよくわからない台詞を言いながら、剛直を真芯の下に宛がう。
ナナリーは身体の力を抜き、涙目になりながらこくりと頷いた。
……ずっ、と言う音と共に、内壁を擦りあげながらロニはナナリーの中へと入ってゆく。
熱く濡れた中がどんどんと締め上げながら、拒むのではなくただ受け入れた。
「……んぁあ…」
強い刺激。頭の奥を揺さぶられる刺激に、2人は声をあげる。快楽と幸福。
何度も内壁の暖かさを貪るように擦りあげるロニの動きに、ナナリーはぞくぞくと背筋が熱くなる快楽を感じた。
熱い剛直、熱い内壁。中から溶け合えるよう、さらなる熱さを求めて何度も何度も行き来する。
「う……ぁっ」
イきそうになり震えて締め上げるナナリーに、ロニも限界を感じる。
ぐ、っと2人の快楽が絶頂に入りかかり、ロニが身体を抜こうとするとナナリーがぐっと引き寄せた。
その所為で最奥まで達し、ロニとナナリーは同時に爆ぜた。
*
「……な、か……」
如何して止めたのか、とロニが目で問い掛ける。荒れた息では何も喋れない。
ナナリーはゆっくり切なげに微笑んで、もう1度ロニに口付けした。
「…………責任」
悪戯っぽく微笑んだナナリーに、ロニは声をあげて笑った。……大丈夫だ。
どんな世界で生きようと、きっとこの目の前の少女は自分のものになると直感的に感じる。
だって、責任を取らなくてはいけない。
未だ一抹の不安が残るロニに、ナナリーは確証を与えたのだ。
きっと、どんな世界でも。待っているから、待っていて。
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