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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
待つ 潤氏 ロニ×ナナリー 2005/04/04 2005/04/04

 月夜が綺麗に仲間の影を作り出す。――と言っても、今は真夜中。 
野宿をしている仲間達は、少しの布を地面に敷いて眠っている。 
残すは、最後の――エルレインの最後の企みを潰すだけ。 
それが終われば、すべてが終わる。だが、それは……真夜中の中、1人眠れないロニにとって複雑な事だった。 

歴史。正しい、道。取り戻したくない訳が無い。 

隣ですやすやと眠るナナリーの、子供っぽい寝顔をそっと指の背で撫でる。 
……この愛しい人が、生命を失う事など堪えられないから。 
カイルとリアラは「もう1度会える奇跡」を2人で信じた。 
寄り添って眠る2人を見て、口元を緩めて微笑むロニ。 
だが――ロニとナナリーは、生半可に「再会」を果たすのだ。 

果たして、自分に堪えられるのだろうか? 

19歳のナナリーを自分は愛した。だが、最後の決戦が終わって再会する時―― 
彼女は、9歳で。自分は、23歳だ。もう1度19歳になる彼女がどんな風に成長しても。 
弟を失わず、正しい世界で成長していく彼女をもう1度愛する自信がある。 

だが、彼女は如何だろう?19歳の記憶が、9才の子に宿るとは到底思えない。 

紅の豊かで艶やかな髪。大きく開いた、深みのある色の瞳。 
細く伸びた肢体に、気丈なくせに拗ねてしまえばツンとする唇。今のナナリーと同じ身体で、自身を嫌われてしまったら。 
23歳ならまだしも、9才の彼女の成長を待つとしたら…33歳、か。そう想って、苦笑しながらナナリーの寝顔をもう1度撫でる。 

「……好きだぜ?俺は…きっと……。……嫌われても、待ちたいなんて言ったら…ヒくかな、お前」 

まるで泣きそうな声で、するすると撫でていく。 
ナナリーの寝顔はあどけなく、ゆっくり胸を上下させる寝息は子供のそれを思わせた。 
その動き1つ1つから、簡単に9歳の彼女を想像出来る。 

例え自分を嫌っても良い。その為に33歳までずっと何も要らない。だから――正しい世界でもう1度生き直したナナリーを見たい。 
迷いは無いハズなのに、どんどん熱くなる瞳は涙を零しそうになる。 
好きだ。目の前の1人の人間が、こんなにも愛しい。きっと自分はもう、誰も他に代わりを選べないのだと想った。 

「……待つ。どうしようもなんねぇから…待つ」 

コツリ、と寝顔に額をぶつけた。照れ隠しなのか、意思表明なのか。いつも軽いロニなりの、悩み抜いて出した答え。 
だからもう悩まない。そう想って、いつもの軽いノリでやってみたのだ。 

「…………本当に?」 

瞼を閉じて額をコツリとぶつけていたロニは、驚いて目を見開いた。 
てっきり寝ているものだとばかり想っていたナナリーは、瞳を開けて微笑んでいる。 

「ナッ、ナナ……お前……」 

慌てて手を引いて、距離を取る。ナナリーは着ていた毛布をずらし、座り込んでもう1度呟いた。 

「…全部聞いてた」 

笑うでもなく、怒るでもなく。ただ、目をこすりながら言うナナリー。 
それにロニは絶句して、何のリアクションも無い事に少し怯えた。 
……迷惑では、ないだろうか。正しい世界で、本当に出会うべきハズの人間と愛し合いたいなどと言われたら。 

生きていく自信が無い。 

「あ、あの……ああ…と…」 

なんとも言えず、ただ沈黙してしまう。ロニはただただ黙って、俯いた。 

「ロニ?」 

ナナリーが自身を呼ぶ声が聞こえ、ロニが顔をあげる。その刹那、ナナリーのアップで――開いた目が、至近距離で合った。 
……――口付け、された。 

「……ナナリー?」 
「…待ってて。何度生き直しても、どんな世界でも。好きになってあげるからさ、絶対」 

かっとロニの頬が熱くなった。……月の綺麗な夜だけの魔法だろうか? 
いつも素直にならないナナリーが、ストレートに自分の意志を言う。それだけで、ロニは目が潤み、危うく泣きそうになる。 
それを隠すように――ロニは、もう1度ナナリーの唇に。今度は自分から、噛み付いた。 

「ん……ん…っ」 

呼吸が出来ない程に、舌ですべてを味わう。 
暖かい口内の中で、その中心からドロドロに溶けていくのではないかと頭が錯覚する。 
まるで極上の酒を飲んでいるかのように、クラクラした視界。深く口付けしながら、ロニはナナリーの上着を脱がせた。 
最初は構造が解らずに笑われてしまったが、何度も肌を重ねた今となっては簡単だ。 

「……肌、白いよなぁ」 

初めて会った日は、小麦色の肌で。健康的だ、と言う印象だった。 
だが、夜の睡眠前に手袋をはずし、余計な装飾をすべて外した時に出てきた白い肌。 
小麦色の肌と、白い肌の差が――初めてロニが感じた、ナナリーの色気だったろうか。 

それでも、長く冒険し、冬場になってきた今、ナナリーの肌はとても白い。 
色白美人なんて言う言葉があるが、ナナリーはどちらの色でも美しいとロニは思う。 
とても本人の前ではいえないが、白い肌も中々にソソる。 

「…んぁぁっ」 

初めて肌を合わせた時より、日を増すごとに敏感になっている。 
ちゅ、と乳房を吸っただけで溢れ出る嬌声に、ロニはくくく、と笑った。 
声にあわせ、ロニは強く吸ってキスマークを付けていく。どんな世界に生まれても、残るくらいに。 
アザか何かになって生まれたら解りやすいのにな、と考えが過ぎってまた笑う。 

「……何考えてんだか知らないけど、笑い過ぎだよ」 

顔を真っ赤に染めたナナリーが、拗ねたように頭にチョップを食らわせる。 
それに少し冷静になったロニは、距離を置いてナナリーをじっと見る。 
白い肌。深紅の髪が汗でぴとりと貼りついている。…キスマークの散らされた胸。 
……身体の芯が熱くなるのを感じて、ロニは耳元に唇を寄せた。 

「…………ひぁっ!?」 

カリ、と耳を噛まれながら、愛撫と共に下を脱がされて行く。 
ロニ自身が堪え切れなくなっても、ナナリーが未だ感じていないのならば何も出来ない。 
耳を愛撫しながら、吐息交じりで声も出なくなってきたナナリー。 
ロニが最後の1枚をゆっくり脱がせ、身体の真芯を触る。…くちゅり、と水音がし、ナナリーは真っ赤になる。 

「…あ、あのえと…って、きゃああっ」 

敏感な真芯から、数字の1を描くように撫で上げられる。唇では耳、手では胸と真芯。 
3つを同時に責めるなんて反則だと思いつつも、こぽりと中から液体が染み出す。 
規則的に愛撫されるそれは、まるで焦らされるようでナナリーの身体を震わす。 

ナナリーが口を抑えているのを見て、ロニは限界が近い事を知る。 
…欲しいとは言わないけれど、言いそうになるのを抑えているのだと知っているから。 
ふ、と少し息をついて自身の身体からも服を取り、剛直をナナリーの前に出す。 

「…………待ってるから、待っててくれよな…?」 

熱に浮かされた頭で、後で考えるとよくわからない台詞を言いながら、剛直を真芯の下に宛がう。 
ナナリーは身体の力を抜き、涙目になりながらこくりと頷いた。 
……ずっ、と言う音と共に、内壁を擦りあげながらロニはナナリーの中へと入ってゆく。 
熱く濡れた中がどんどんと締め上げながら、拒むのではなくただ受け入れた。 

「……んぁあ…」 

強い刺激。頭の奥を揺さぶられる刺激に、2人は声をあげる。快楽と幸福。 
何度も内壁の暖かさを貪るように擦りあげるロニの動きに、ナナリーはぞくぞくと背筋が熱くなる快楽を感じた。 
熱い剛直、熱い内壁。中から溶け合えるよう、さらなる熱さを求めて何度も何度も行き来する。 

「う……ぁっ」 

イきそうになり震えて締め上げるナナリーに、ロニも限界を感じる。 
ぐ、っと2人の快楽が絶頂に入りかかり、ロニが身体を抜こうとするとナナリーがぐっと引き寄せた。 
その所為で最奥まで達し、ロニとナナリーは同時に爆ぜた。 

* 

「……な、か……」 

如何して止めたのか、とロニが目で問い掛ける。荒れた息では何も喋れない。 
ナナリーはゆっくり切なげに微笑んで、もう1度ロニに口付けした。 

「…………責任」 

悪戯っぽく微笑んだナナリーに、ロニは声をあげて笑った。……大丈夫だ。 
どんな世界で生きようと、きっとこの目の前の少女は自分のものになると直感的に感じる。 

だって、責任を取らなくてはいけない。 
未だ一抹の不安が残るロニに、ナナリーは確証を与えたのだ。 

きっと、どんな世界でも。待っているから、待っていて。 


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