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作品発表日 |
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無題 |
860氏(10スレ目) |
男×コレット |
2005/01/26 |
2005/01/26 |
とある町のとある人通りの少ない路地裏…
どんなに晴れた日でもその路地は一切の光を通すことなく常に薄暗かった。
そんな環境が犯罪者達にとっては好都合だったのだろう。いつしかこの路地裏にはガラの悪い者たちがたむろし始め、
街のもの達は決して近寄ろうとはしなくなった。いまや、この路地は町の自警団でさえ避けて通る程のスラム街と化していた。
そんな路地裏の一角で、痛々しい光景が行われていた。
この通りに似つかわしくないな可憐な少女が いかにもその筋の厳つい中年男の肉茎に口で奉仕している。
(はぁ…なんで私こんな事になっちゃたんだろ…)
コレット・ブルーネルは自分の不注意さや、危機回避能力のなさに心底嫌気がさしていた。
いつも、村の父親や仲間達から言われていたのだ。おまえは人一倍抜けてるところがあるから気を付けなくてはならない、と。
実際、自分自身の天然ボケな部分で何度も大変な目に遭ってきたし、時には仲間も巻き込んでしまうことさえあった。
それでも、いままでは何とかなってきていた。それなのに…
コレット達一同が世界再生の旅の途中にこの街に立ち寄ったのはほんの数時間前のことだった。
いつものように旅に必要な道具を買い足し、情報を集めたらはやく次に進むはずだった。
だが、コレットは今日はなんだか無性にこの街を散歩してみたい気分だった。
雲ひとつない快晴の空がそんな気分にさせたのかもしれない。
その衝動をどうしても抑えきれなかったコレットは、
申し訳ないと思いながらも集合時間を決めて皆と別行動を取らせてもらうことにしたのだ。
普段、自分のしたいことをあまり主張しないコレットの急な申し出に仲間たちは誰も半ば驚き、
そしてどこかうれしそうな表情で快く了解してくれた。
初めてくる街なのに、どこか安心感を覚える町。コレットはゆっくりと、街全体を時間を掛けて見て回った。
旅に出てからというもの、いくつもの街や村を訪れたけれど、こんなにゆっくりできたのは久しぶりだった。
ひと時の間だけ、重たい使命を忘れて、世間一般の女の子に戻った懐かしさをかみ締める。
だが、楽しい時間というものはいとも簡単に過ぎ去っていくのが世の常だ。約束の時間が近づいてきている。
後ろ髪を引かれる思いだったが、頭を切り替えて巫女としての自分を取り戻そうとするコレット。
そんな彼女の目に、少し薄暗い 細い路地裏の入り口が映った。
(なんだろう…気が付かなかったな…ちょっと行ってみようかなぁ…でも、もうすぐ時間だし…)
迷ってはみたが、なんとも言えない不思議な感じのする路地裏の雰囲気に、コレットの好奇心はすっかり刺激されてしまっていた。
(ちょっとだけなら…だいじょぶだよね…?)
その判断がコレットの運命を狂わせることになるのだが、その時彼女が知る由もなく
やがて、うかれた足取りでコレットは路地裏へと足を踏み入れて行った・・・
コレットはその裏通りの異質な空気に面食らった。
そこは、コレットの想像していたような素敵な場所とはかけ離れていた。
まだ日の高い時間だというのに、妙に薄暗く、まるで太陽の祝福を受けていないように感じる。
あたり一面からは腐った食べ物とアルコールの臭気が立ち込め、嫌悪感を覚える。
そして、なによりすれ違う者一人一人がみんな同じように眼だけ異様にギラギラ輝いている。
それは、彼女から金品を奪おうと企んでいる眼でもあれば、貞操を奪おうと狙っている眼でもあった。
単に、こんな薄汚れた通りに不似合いな身なりのいい少女が歩いていることが珍しかったせいでもあるのだが。
(なんか ここの人たち怖い…もう戻ろう…もともと長くいるつもりはなかったんだし…)
期待を裏切られたような気持ちになりながら、急いでここから出たいという気持ちもあって、コレットが踵を返した。そのとき…
どんっ…!!
肩になにかがぶつかる。よろめいて尻餅をつくコレット。
腰の痛みをこらえて顔をあげると自分と同じように転んでいる男が目に入った。
どうやら、自分がいきなり振り返ったために、この男を突き飛ばしてしまったらしい。
(あちゃ〜またやっちゃったよ〜…)
こんなことは物心付いてから何度あっただろうか。ため息が出そうだったが、とにかく倒れている男に謝った。
「ごめんなさい‥だいじょぶでしたか?」
その男はこの路地裏の住人と同じような汚い身なりをしていた。
歳は、もう中年と呼ぶには少し老けすぎているくらいだろうか。顎には手入れされていない無精髭を蓄えている。
彼もまた、眼光だけが不気味に鋭い光を放ち、心配そうに顔を覗き込んでくる少女を無言で睨みつけていた。
「あの…ほんとにすいませんでした。今度から気をつけます。・・・あの‥じゃあ‥私はこれで…」
いつまでたっても無言のままの男にコレットは困惑したが、待っていてもキリがないと判断して
一方的に話を切り上げさせてもらった。
「ほんとうに すいませんでした」
コレットは最後にもう一度深々と頭を下げてから、待ち合わせ場所へ向かうため歩き出した。
だが、その時男の頑丈な腕がコレットのか細い手首をがっと掴んだ。
そして、男がようやく口を開いた。ヤニとアルコールの不快な口臭がする。
「このまま帰すわけねえだろ?普通この路地に迷いこんだ観光客からは金を巻き上げることにしてるんだが、
お嬢ちゃん可愛いから、こっちの事にしてやるよ。」
そう言って、男は掴んだコレットの手首をそのまま自分の股間にあてがった。
コレットは初めて触る異性の性器の感触に耳まで真っ赤になる。
男の男性器が次第に盛り上がり、熱を帯びていくのが手の平にダイレクトに伝わってきた。
そして、男の無茶な要求が始まったのだった・・・
通りを一つ挟んだ向こう側からは、子供達の楽しげな遊び声や、屋台の売り子の威勢のいい商売文句が聞こえてくる。
コレットは、その声で今の時刻はまだ太陽がようやく昇りきった頃なのだと思い出した。
光の届かないこの路地では、時間の感覚が否応なしに奪い取られていく。
通り一本の違い。その違いが、この路地と向こう側を別世界のように隔てていた。
コレットは ただでさえ人通りの少ない路地裏をさらに人目につかない場所へと引っ張られて行く。
モンスター相手にでも勇猛に挑んでいくコレットのことだ。男の腕を振り払って逃げ出すことも可能だろう。
だが、元来お人よしで罪悪感に極端に弱い彼女は、自分に非があることに引け目を感じ、おとなしくされるがままになっていた。
細長い一本道を延々と手を掴まれたまま歩かされ、行き着いたのはこの路地の最奥部、
ようするに行き止まりだ。確かにこんな場所にはここの住人達でも用がないだろう。
…いや、一人いたようだ。ボロボロのロングコートを着込んだ
いかにも浮浪者といった男が酒瓶を大事そうに抱え、地べたにうずくまっている。
ボウボウに伸びた髪の毛や髭の色素がすっかり抜け落ちて白髪化しているところを見ると、もう大分年配なのかもしれない。
それを発見した男は小さく舌打ちをするとおもむろに老人に近付き、いきなり足蹴にした。
突然蹴られて驚いて顔をあげた浮浪者の老人だったが、
そこには蛇のような眼で自分を見下し、睨みつけている無骨な男が腕組みをして立っていた。
縮み上がった老人は、おぼつか無い足取りながら大慌てでコレットの横をすり抜け、
さっき自分達が歩いてきた方向へと走り去っていった。
「これで、邪魔者はいなくなったな…さあ、こっちにこい」
逃げ出した浮浪者の背中がみえなくなると男が再び口を開いた。
純心なコレットでも、16歳にもなれば、男の欲求ぐらい少しは分かっていた。
たぶん、これから自分がされることは…
悪い予感に考えを巡らせているうちに、いきなり男がベルトを外し、ズボンとパンツを膝のあたりまでずり下げた。
「きゃっ!?」
おおかた予想していた通りになったが、生まれて初めて見る男性器にコレットは思わず驚きの声を上げてしまう。
「さあ…これから…楽しませてもらうからな…」
男のペニスは凶悪な程に反り返り、先端に先走り汁を滲ませている。
見てはいけないと思う気持ちと裏腹に、なぜかコレットはその汚らわしい肉の塊から目を逸らすことが出来なかった…
「はぁ…はぁ…お嬢ちゃん…いま…おじさんのチ○コがどうなってるか‥教えてくれよ…」
だらしなく顔を上気させた男の要求に、コレットは首をひねった。
「え‥?そんなの…自分で見てみればいいじゃないですかぁ…」
「お前の口から言うからいいんだろ!!いいからどうなってるか言うんだ!!早くしろぅお!!」
ただでさえ気の短い男は高まりつつある射精欲求でさらに短気になっていた。
男は、コレットによく見えるように自分のペニスを彼女の顔に近づけて行き
こともあろうかキメ細かな頬の皮膚に直接亀頭を押し付けた。
「いやぁぁあっ!!」
人体から発せられているとは思えないほどの熱をもった感触が頬に伝わり、とたんに蒸れた男性器特有の強烈な異臭が鼻を刺す。
強烈な不快感を覚えたコレットは、今度は反射的に男を突き飛ばしてしまった。
そうしてしまった後で、コレットは激しく後悔した。
起き上がりこっちを睨んできた男の目からは 先程までのどこか冗談交じりな色はすっかり失せ
完全な怒りの形相に変わっていた。
「お前、いいかげんにしろよ!!人を二回も突き飛ばしやがって!!!」
今度は男が彼女を荒々しく地面に叩き付けた。さらに、ポケットからナイフを取り出しコレットの咽喉下に突きつける。
異常なまでの男の怒り方にコレットは恐怖を感じずにいられなかった。
「ご‥ごめんなさい…私‥その…びっくりしちゃって…それで‥」
うまく言葉が出てこない。声は上ずり、指先まで振るえだした。
まだ気のおさまらない男は、ナイフの柄の部分でコレットの頬骨を力任せに殴りつける。
頬に激痛が走り、口に中に鉄の味が広がる。コレットの美少女らしい大きな瞳に脅えの色がうかんだ。
「はぁ‥はぁ‥げほっ‥はぁ…本当に…本当にごめんなさい。もう…絶対に、逆らったりしないから…
だから‥痛いこと…するのは‥やめて……ひっく…うえ〜ん!…怖いよぉ…ロイドぉ‥」
恐怖に耐え切れず泣き出してしまったコレットを見て男はようやく満足し、あの厭らしい歪んだ笑みをうかべた。
「もう逆らわない、確かにそう言ったよなぁ?」
薄気味わるい口調で男がコレットに問い質した。
(どうしよう…私‥あんまり怖くてとんでもないこと言っちゃった…お願い…助けに来て…!ロイド…)
コレットは巫女らしく手を組んで神に祈ったが、彼女を助けにくる少年の気配は一向に感じられなかった。
「さぁ…もう大人しくできるよな?」
ゆっくりとした不気味な足取りで近付いてきた男に両肩をガッと掴まれ、コレットの身体がびくんと震える。
男は、自分の一挙手一投足にいちいち過剰なほどに脅える彼女の態度がおもしろくてしかたなかった。
本人には全く自覚がないだろうが、脅えきったコレットの表情には 例えサディズムの気が全くない者だとしても
心の奥に眠る加虐精神を引き出されてしまうような、ぞくぞくするような色気が漂っていた。
常に陽のあたる場所で育ち、周囲の人間からの愛を一身に受けて過ごし、他人を疑うことを知らない清純な美少女。
そんな少女が絶望の底に突き落とされ、愛らしい顔を恐怖に歪めながらも 瞳には決して相手を憎むことなく
それどころか相手の事を哀れむような、聖母のような慈悲の光を宿して 屈辱にひたすら耐えている…
そんな少女に 全ての男は どうしようもない雄本来の願望…征服欲を刺激されずにはいられないだろう。
「そんなに脅えなくても大丈夫だよ…おじさんは本当はとっても優しいんだ。言うことを素直に聞く娘にはね…」
さっきまでの威圧的な態度と打って変わって気持ちの悪い猫なで声で喋り出した男だったが、
言葉の最後の部分には脅すようなニュアンスをしっかり含ませていた。
「さぁ もう一度だけ言うよ…おじさんのチ○ポがどんな風になってるのか
お嬢ちゃんの口から教えてくれ…」
男は、先程と同じ要求を再びコレットに突きつけた。
時間が経過した男のペニスは通常サイズに戻っていた。
コレットの顔に再び股間を近づける男だったが、今回は直接押し付けずに顔から少し距離をとった辺りで止めておく。
縮れた陰毛に包まれた下腹部からだらしなく垂れ下がったどす黒い肉の塊にコレットはただでさえ大きな瞳をさらに見開いた。
「お嬢ちゃん…君ぐらいの歳なら‥これが何に使うものか‥分かるよねぇ…」
男が口を開く度に荒くなった息が悪臭を伴って吐き出される。
その匂いを不快に感じながらも、コレットは男からの質問に答えなければならなかった。
「えぇっと…はい‥。分かります…男の人が‥その…おトイレ‥するところ…です‥よね‥?」
コレットは、なるべく卑猥な言葉を避けて回答した。しかし、当然そんな事で満足する男ではなかた。
「おいおい、“おトイレする”なんていうのは文法の誤りだぜぇ…」
教養など全くなさそうくせに、細かい指摘をしてくる男。
「正確にはなぁ‥
“まっ黄色い臭いションベンが湯気立たせながらジョロジョロ出てくるところ”
だ!!さぁ!言い直せ!!」
男は、コレットとは反対に小便を最大限に猥褻に形容した。だが、これでは文法云々の問題ではない‥
「それなら オシッコでもいいと思うけどなぁ…」
男の下品な言葉に顔を赤くしながらコレットが小声でつぶやく。
「なにか言ったか?なんでもいいから早く言い直せよ…」
男が声にドスを効かせ始めたが、コレットがそんな下品な言葉を口にできるわけがなかった。
いつまで経っても無言のままのコレットに男は
「言えないのか?だったら仕方ないなぁ…」
と 思わせぶりに呟いて上着のポケットに手を入れる。
そこから取り出したナイフの刃が闇の中でも不気味に光っていた。
「・・・・・・・・・っ!?」
それを見たコレットの目の色が変わる。
「いやっ…!言います!!言うからナイフはしまって下さいっ!!そこは…
そこは 男の人のまっ黄色い臭いションベンが、湯気立たせながらジョロジョロ出てくるところですっつ!!!!」
恐怖と緊張のあまり、不必要に大声を張り上げてしまうコレット。
彼女の美しい声から発せられるには あまりに似つかわしくない猥褻なその言葉は
静まり返った路地裏に幾度も木霊したのだった…
「おいおい…元気がいいな。何もそんな大声で言わなくていいんだぜ?」
ニヤつく男にからかわれたコレットは、
自分が大声で卑猥な言葉を叫んだことをこのときになってようやく認識し、耳まで真っ赤になる。
(うぅ〜…恥ずかしいよぅ…もし‥さっきの聞かれてて他の人達が集まって来ちゃったらどうしよぉ…)
屈辱的なこの状況で、まわりに誰もいなかったことだけが、コレットにとっては救いだった。
こんな事があったなんて誰にも知られたくない…仲間にも…大好きなロイドにも。
幸いなことに、誰も様子を身に来る気配はなかった。安心してコレットは胸を撫で下ろす。だが…
「見ろよ。お嬢ちゃんがやらしいこと言うからおじさんのチ○ポがまた勃ってきちゃったぜ…」
…そうだった。問題はまだなにも解決してはいないのだ。
周囲に気を配ることに集中していたコレットは男の言葉で我に返った。
男に言われた通り、股間に目を向ける。
視界には、今までだらしなく萎んでいた男性器がゆっくりむくむくと起き上がり始めた瞬間が飛び込んできた。
男性器が丁度地面と平行な角度ほどまで起き上がると、長さは縮時の倍ほどに伸びていた。
すると今度は、茎部が力を漲らせるようにして硬貨を始める。
完全に膨らみきったペニスは、天にむかって突き上がり、硬くなり過ぎて反り返っている。
先端に位置する亀頭部分には充分に血液が送り込まれ、赤黒く肥大して傘のように張り出していた。
(すごい…男の人のって‥こうやって大きくなるんだ…)
性的な厭らしい興味というよりは、生まれて初めてみる珍しいその動きにコレットはすっかり見入ってしまっていた。
「へっへっへっ‥随分と熱心に見つめるじゃないか…照れちまうぜ」
そう言われコレットは、慌てて男の股間から顔を逸らした。
やましい気持ちはなかったにせよ、食い入る様に男性器が勃起していく様子を観察していたことには変わりない。
(私…エッチな女の子だと思われちゃう…!)
「ち‥違いますっ!だって私…あの‥男の人の…‥が…
そのぉ…おっきく‥なっていくところ…初めて見たから‥ちょっと‥珍しいなぁ…って思っただけで‥それで…」
誤解を解こうとして、必死に弁解を始めたコレットだったが、
その口調は次第に小さくなり、口籠っていく。言い訳をするにしても、卑猥な表現をせずには説明が出来ないのだ。
結局、羞恥心で自分の首をさらに絞める結果になっただけだった。
「よく聞こえねぇなあ…チ○コが勃起してくのが珍しくて?それでエロい気分になったってか?」
揚げ足を取るように 男がニタリと笑う。こういう事に関しては彼の方が数段上手だった。
「だから違うんですっ!!何でそうなるんですかっ!!」
あまりにふざけた男の態度に、今まで大人しくしていたコレットもついに反論しだした。
その声は次第に大きくなっていく。普段取り乱すことの少ないコレットだが、
先程の“ションベン”発言のときのようにいざ取り乱してしまうと不必要に大きな声を出してしまう癖があった。
「私はただ…」
だが、せっかく勢いがつき始めていたコレットの言葉が何故か急に途切れた。
それは、彼女が自分の首に冷たい金属が押し付けられる感触を再び感じたからだった。
「静かにしようぜぇ…お互いの為にもよぉ…」
当然、コレットの首にナイフを突きつけているのはこの男だ。
感情的になったコレットとは逆に非常に冷静で、冷徹な口調で話しかける。
ナイフを見せられてしまうと、コレットの態度はすっかりもとの小動物のように縮こまったものに戻ってしまった。
今思えば、これまでに何度も敵から武器を向けられてきたが、今までは常に周りに味方がいてくれ、
いざとなれば敵の攻撃から守ってくれたりもしていた。
そんな安心感があったからか、刃物を怖いと思ったことは一度もなかった。
だが、仲間のいないいま、自分に向けられた小さな安物のナイフがこんなにも恐ろしくてしかたない。
(うぅ〜…やっぱり‥私は一人じゃなにもできないんだ…くすん…怖いぃ〜…)
こぼれそうになる涙を必死でこらえながら コレットは自分の非力さを今になって痛感していた…
「どっちにしろ熱心に人のチ○コ見てた事には変わりねえんだろ?」
「え…?」
その事については、コレットも反論のしようがなかった。
「俺が勃起してく様子を一部始終見ていた、それは認めるな‥?」
もう一度、男が繰り返す。有無を言わさぬ威圧感がこの男にはあった。
「は‥い…その事は…ほんとうです…」
コレットの口から力ない言葉がため息のようにこぼれ落ちる。
自分の言葉でその事を認めてしまうと、凄まじい脱力感と敗北感に襲われた…
うな垂れた様子のコレットに男は愉快そうにほくそ笑んだ。
何だかこの少女を自分の所有物にする事に成功したような気分だったからだ。
「じゃあ、どんな風に大きくなっていったのか教えてくれよ。…あれだけ見てたんだから説明できるよねぇ‥?」
再び男の要求が再開された。
「そんなの…わからないです‥覚えて…ないです‥」
なんとかして要求を逃れようと無理のある嘘をつくコレット。
しかし、言葉とは裏腹に 頭の中には先程の男の生理現象が鮮明に焼きついていた…
「分かるはずだよ…」
イラつきを押し殺し男の声はかえって不気味だった。
この男には、誤魔化しやはぐらかしは通用しない。
思い通りにしてやらない限り、絶対に彼から開放される事はないのだ。
いまや、コレットはすっかり男の手の平の上で転がされていた…
そして、コレットにはもう一つずっと気がかりなことがあった。
仲間達との待ち合わせ時間の事だ。この路地裏に立ち寄ったのが時間ギリギリだったのだ。
少なくとも、それからすでに1時間近くは経過しているはずだ…
たぶん、今頃仲間達は帰りの遅い自分のことを探しまわってくれていることだろう…
ふと そう思ったのと同時に、一抹の嫌な不安がコレットの頭をよぎる。
もし、仲間達がこの場所を探り当ててしまったら…見るからに怪しいこの路地裏を彼らが不審に思う確立はかなり高い。
そうなれば 間違いなくこの状況からは解放されるだろう。だが、もし今の自分の状態を見たら仲間はどんな反応をするだろうか。
強制されてやっている事とはいえ、下半身を露出した男の前に跪いた自分の姿を見たら…
後で誤解と分かったとしても、きっと元のようにお互い接する事は難しいだろう。
優しい彼らのことだから、その事には触れないでくれるとは思う。でも、それは言わないだけで
その光景は彼らの記憶にいつまでも消えずに残るのだ。それを承知のうえで今まで通りに接することなど出来るわけがない。
(そんなの…私絶対に耐え切れない…!こんな事‥誰にも言えない…みんなに‥知られちゃうぐらいなら…私は…)
ここでコレットは発想の転換をしてみる事にした。
どうあってもこの男の言うことは聞くしかないのだ。
それならば、いっそ始めから素直に従って彼を満足させてやれば
それだけ早くここから解放されるのではないか。そう思い始めたのだった。
(そうだよ…!ちょっとの間恥ずかしいの我慢するだけじゃない…!
それに、早くしないと本当にみんなに見られちゃうかも…なるべく早くこの人に許してもらって
みんなの所に戻りたい…!だいじょぶ。私さえ黙ってたら、誰にも分からないんだから…)
ある意味でそれは、健気なコレットらしい前向きな考えにも思えた。
「ええっと…そのぉ…最初は‥そこ…ふにゃふにゃしてたのに…急に‥ピクッって…
動いたと思ったら…その後少しずつ‥えと…おっきく…なってきて…」
決心は固めたはずのコレットだったが やはりその口調は小声で途切れがちであり、
お世辞にもハキハキしているとは言いがたかった。
きっと今すぐ黙り込んでしまいたい気持ちにかられていることだろう。
しかし、それでもコレットは搾り出すように言葉を続ける。
「それで‥そこ‥が…どんどん…上の方に…向いて起き上がっていって…
おっきくなるだけじゃなくって…膨らん…で‥もいってるみたいでした…」
コレットの声はもうほとんど聞き取れなくなっていた。
うぶな彼女は男性器の名前をどうしても口にすることができず、
耳まで真っ赤にしながら“それ”や“そこ”でどうにか表している。
だが、男という生き物は 性に対する恥じらいなどまるでないような女よりは
むしろこういう清純な反応を示す少女の方に興奮を覚えるというものだ。
特にこの男のように征服欲の強い男にはそういった傾向が強い。
その証拠に、コレットが言葉を発するたびに彼のペニスには醜く浮き出た血管が一本一本刻まれていっている。
「へっへっへっ…どうだ?お嬢ちゃん…俺のチ○コはでっかいだろう?」
気分が高まってきたのか、今度は男の方がコレットに語りかける。
「えっ…?ええっと…他の‥男の人‥の…見たことないから…分かんないけど‥たぶん…おっきいんだと…思います…」
実際彼のペニスが男性全体のうちではどの程度の物なのか検討がつくはずもなかったが、
今にも破裂しそうなほどに盛り上がった肉塊を見てコレットは“大きい”という印象を抱かずにはいれなかったのでそう答えた。
「そうだろう…?でも…こんなにでっかくなっちまったのは…誰のせいだっけなぁ…?」
そんなもの、この男が厭らしいせいに決まっているが、男の求めている答えは分かりきっている。
「は‥い…。私が…エッチな言葉を…言ったせいです…ごめんなさい…」
なぜ自分が謝らなければならないか腑に落ちなかったが、彼女にとってはそれを訴えることもできない自分の方が腹立たしかった。
逆に男は満足そのものといった表情で言葉を続ける。
「なんて言ったんだっけなぁ…“ションベンがジョロジョロ出る”だったか?」
そう言われたとたんコレットの顔にさらに赤みが増した。屈辱的なあの言葉を、人が忘れ去りたい記憶を
この男は実に愉快げに蒸し返す。
もはや黙り込むことしかできなくなってしまったコレットに、男はさらに過酷な要求をぶつけようとしていた。
「でもよぉ…ここから出るのは何もションベンだけじゃねえよなぁ?
あるだろ…?もうひとつよぉ‥」
意味深なニュアンスを含めて男が尋ねる。
その“もうひとつのもの”が何かぐらいはいくら純心なコレットでも知っていた。
村の学校にいたころ、思春期を迎えた友達同士の会話といえばそういった類の話題ばかりだった。
コレットはあまり積極的にそういった会話に参加する事はなかったのだが、
それでも好奇心に負けてさりげなく何度か話に聞き耳をたてた事があった。
「このでかくなっちまったチ○コをしずめるにはそれを出すしかねぇんだよなぁ。
お嬢ちゃんの責任なんだからちゃんとお嬢ちゃんが処理してくれないと。そうだなぁ‥まずはそのお手々で握ってもらおうか…」
「え…!?」
男の口から飛び出した言葉にコレットの表情が曇る。
言葉だけで満足してくれると思ったら、今度は触れ、ときた。
このままこの男の変態的要求がエスカレートしていったら 最後には…
そう考えるともう先程の決意などはすっかり崩れてしまった。
今の状況で自分を救えるのは自分しかいない、だから気をしっかり持たなければならない、とは分かっているのだが
完全に気が動転してしまっている彼女は、ただうろたえる事しかできずにいた…
(いやっ…!いやっ…!あんな汚らしいものに触るなんて絶対にいやあっ…!!)
コレットは、それだけはどうしても出来そうになかった。
だが、出来ないから他に方法を考えよう、というような前向きさはもはや彼女には残されていない。
(きっと…きっとこれは悪い夢だよぉ…!お願いっ!!こんな夢なら早く覚めて!!)
とうとう こんな頼りない現実逃避まで始めてしまう。
やはり再生の神子とはいえ、16歳の女の子に変わりはないということだろうか。
しかし、相手はどこまでも残忍なヤクザ者の男だ。弱りきった彼女でも容赦なく追い詰めていく。
「どうした?まさか 黙ってたら許してもらえるなんて甘いこと考えてないだろうなぁ?
どーせ最後には俺に従うしかないんだからはやく握れよっ!!」
男に急かされ、コレットはさらに混乱する。ずっと堪えていた感情が流出してしまったのは その時だった。
「いやぁああっ!!いやっ!!お願い!!もう許してぇ!!私‥ここまでされるほどのことしてないよぉ!!
ひく‥ひっく…何で‥何で私ばっかりこんな目に遭うのぉ…
もうやだよぉお!!早くみんなのところに帰りたいっ!!帰りたいよぉ!!!」
コレットは、突然大声でぐずった様に泣きだした。
さっきまでも涙を流したりはしていたが、今の泣き様はまるでだだをこねる子供のようだ。
極限まで追い詰められ、彼女の精神の箍は外れてしまったのだろう。
しかし、当然この男は泣けば許してくれるような性格じゃあない。そんな事は今まででよく分かっているはずだ。
案の定、コレットの行動は男の同情を買うどころか、さらにイラつかせる結果に終わったようだ。
「出来ない?なら仕方ねぇなあ…だったらそんな手は切り落としちまうかっ!」
コレットは息を呑んだ。
三度、男がナイフを取り出したからだ。彼は知っている。コレットに言う事を聞かせるにはこれが一番だということを。
「だってそうだろ?女の手は、男の性欲の処理の為にあるようなもんだ。
それが出来ないような役に立たない手はいらねぇだろ?そうだなぁ…一撃で切り落としちゃあつまらねぇからな…
そのか細い指を一本一本、間隔を空けて、長い長ぁ〜い苦痛を味あわせながら 切り落としていく事にしようか」
男のあまりにも生々しく残酷極まる表現にコレットは背筋に氷でも入れられたかのように震え上がった。
「いやあっ…!なんでそんな怖いこと言うの!?お願いだからもう許してえっ!!」
「言うだけじゃない!早くしないと本当にやるからなっ!!」
再び始まろうとしたコレットの泣き叫びは、男の叱咤によってかき消された。
この男なら 一度頭に血が上ってしまうと本当にやりかねない…
次に怒らせたら、もう命がないかもしれない…
その恐怖心が コレットを平静に戻させ、そして無理矢理に行動に移させる。
観念したように震える指でグローブを外すとコレットは、ゆっくりと男の肉茎に手を伸ばした…
「あぁ……ッ 冷たくて気持ちがいいぜぇ…」
コレットの細い指が性器を完全にくるみ終わると
男の口からは空気の抜けていくようなだらしのない声が漏れた。
充分すぎる程に血液が送り込まれ、熱気でも放とうかというくらいに怒張しきったペニスに這わされた少女の手の平は
それとは対照的にひんやりと冷え切っていた。────それは、彼女が何度も血の気の引く思いをしているからに違いない…
(やあぁ… なんかべたべたしてるよ……)
手の平の中で絶えず脈打っている異物に生理的嫌悪感を感じながらも、
コレットはそのまま男の性器をゆっくりと上下に擦り始めた。
「あ…はうっ‥ああっ…!」
男の体内には久しく味わっていなかった性電流が駆け巡っていた。
微かに震えている指先の振動が絶妙な愛撫となって 快感に拍車をかける。
こんな路上生活など送っていると満足に性処理をすることもできない。
男の精巣内に長期間にわたって蓄積されていた精液はいまにも発射されようとしていた。
しかし、彼はこのまま彼女の手による愛撫だけで果ててしまうのは
いささかもったいないような、面白みのないような気がしていた。
(どうする…? 無理矢理膣に突っ込んじまうか……? いや、それじゃもったいねぇ‥
時間ならいくらでもあるんだ…“本番”ならもっとゆっくりやればいい……
かといってこのまま手コキで逝っちまうのも……そうなるとやっぱり……)
「おい、お嬢ちゃん 顔あげな。」
恥ずかしそうに俯いたまま手を動かしていたコレットは、男の急な指摘に反射的に従ってしまう。
コレットが顔をあげると、男は彼女の顔とほぼ同じ高さに位置している自分の性器を彼女の薄く形のいい唇に押し付けた。
「きゃあっ!!」
驚いて顔を背けるコレット。あまりのことに手を口元に当てようとするが、
その手はさっきまで男の性器に奉仕していたものだと気付き、慌てて引っ込める。
(いやっ…! 男の人って‥こんな事させるの…!? 不潔だよ‥こんなの…)
何が何だか分からないままのコレットの唇に 男は再び性器を近付けていく。
ハッとしたように コレットは半開き気味だった口を堅く噤んだ。
自分の唇に何度も押し込もうとされる亀頭から逃れようと、必死になって顔を左右に動かす。
その度に汚らわしい肉の塊はコレットの唇だけでなく、頬や鼻先などもかすめかえって顔中を汚しまわった。
なかなか自分の思いどおりに行かず業を煮やした男は、
またもやナイフを取り出そうと考えたが もっと手っ取り速い方法を思いついた。
男はいったん下腹部をコレットの唇から遠ざけた。だが、コレットはそれでも警戒が解けず 口をギュッと噤んだままでいる。
そんな様子のコレットに冷笑を浮かべ、男はおもむろにコレットの鼻を摘んだ。
口を閉じたままでは鼻で息をするしかない。その鼻すら塞がれてしまったら、呼吸することが出来なくなってしまう。
男の心理が分かったのか、コレットはいっそう強く口を噤んだ。
だが、必死の抵抗も虚しく 彼女の肺の中の空気は徐々に減っていく。
(だ‥だめ…… もっと… 頑張らなきゃだめ… ああ‥でも… でも苦しいよぉ………
……あ‥ああ…もうだめっ…空気…空気を吸わなきゃ死んじゃうっ……!! )
やはり苦しさには耐え切れず 酸素を取り入れようとコレットの口が思い切り開かれる。
男は隙間髪いれずその隙間に自分の性器をねじ込んだ。
「んっ‥!? むぐうっ……!! んんっ…! ん‥ううぐっ……!!」
コレットは驚愕の声を上げようとしたが、それは自らの口内の肉棒によって阻まれてしまう。
それでもなんとかそれを吐き出そうと暴れまわる。だが、彼女の頭は頑丈な男の腕によって固定されてしまった。
コレットの頭部を掴み、無理矢理前後に動かして強制的なフェラチオをさせながら 男は射精の瞬間を今か今かと待っていた。
(な‥何なの一体…? こんなの‥こんなの気持ち悪いよぉ…私‥キスも…まだなのに…汚れちゃった……!)
大好きな人とする初めての口付け……それは どれ程甘美なものなのだろう。
そんな美しいファーストキスを秘かに夢見ていたコレットにとって、今の状況はあまりにも絶望的だった────
「ああ…もう‥もうイきそうだ……お嬢ちゃんの…その可愛いお口に‥たっぷり出してやるからなぁ……!!」
そんなコレットの気持ちなど御構い無しのように
フェラチオを楽しんでいた男だったが、ついに絶頂の瞬間を迎えようとしているらしい。
(い‥いや… 口の中に出されるなんて…… これ以上… 私のカラダ… 汚されるなんて……ッ)
それだけは何としても避けたかったコレットは なんとか男の腕を振りほどこうと足掻いた。
しかし、彼女の最後の抵抗も 皮肉な結果を生み出したに過ぎなかった。
自分のペニスから必死で逃れようとするコレットの頭を男は自分の股間に思いきり引き戻す。
その時の摩擦が、彼を射精に至らせる最後の刺激となってしまったのだ。
「い…逝くぞっ!!」
少女の口内で一瞬最大限に膨張した肉棒は 脈打ちながらその先端の亀裂から雄の欲望を一気に迸らせた。
溜まりに溜まった精液は猛烈な勢いを伴ってコレットの頬の内側の粘膜を狙い打つかのように発射される。
むせ返りそうになるほどの濃厚さを持った精液は断続的に発射され、コレットの口内を満たしていった。
男の肉棒は、性を放つ度に彼女の口の中を跳ね回っていたが、やがてそれも次第に勢いをなくしていく。
(に…が‥い……)
コレットは放心していた。男がいつの間にか口から性器を引き抜いたのも気付かないほどに。
「おーいっ!! コレットォーッ!!! 何処だぁーっ!?」
仲間のロイド・アーウィングの声が路地裏に響いてきたのはその時だった────
「あ……ロイドの声………」
「何だよ‥連れが来ちまったみたいだな…これからだってのに…
まあ しゃあねえな。もったいないけどこれでお開きみたいだ。じゃあな。」
あれほど粘着質な要求を繰り返していた野獣のような性欲も、一度射精を済ませてしまえば実にあっさりとしたものだった。
男は、へたり込んだコレットの横をすっかり興味をなくしたように素通りすると もと来た路地の闇へと消えていった。
ようやく男から解放されたコレットだったが、ひしひしと込み上げて来る喪失感で心が晴れることはなかった。
それでも力なくよろよろと立ち上がって、服に付いた汚れを手で払う。
もうすぐここには仲間が来る。その時、自分の身に起こった事を感づかれるような形跡は残しておきたくなかった。
「コレット……」
背後で自分の名を呼ぶ馴染みのある声がした。
目を向けた先にはロイドが 肩で息をしながら、顔にはどこか安堵の表情を浮かべて立っていた。
周りに他の仲間はいない。きっと帰りが遅いコレットの事を手分けして探していたのだろう。
「何してるんだこんな所で…? 心配したぞ…… でも‥まぁ見つかって良かったよ。
みんなも心配してたんだ。早く戻ろうぜ? 大丈夫。誰も怒ってないからさ。」
約束の時間を守れなかった自分を咎めようともしないロイドの言葉にコレットは胸が締め付けられそうだった。
屈託のない彼の笑顔には安心感を覚えたが、それ以上に 汚れてしまった自分との差を思い知らされるようで
今となっては ロイドの優しさがとてもつらく感じられた。
「どうしたコレット…? どっか調子でも悪いのか?」
ずっと思いつめた表情をしたままのコレットの顔をロイドが心配そうに覗き込む。
あまり不審がられる訳にはいかないと思い 無理に笑顔を作る。
そして、いつものように「だいじょぶ」と答えようとしてコレットはハッとした。
───いま、自分の口内には大量の精液が含まれていることを忘れていた。
当然、この状態で口を開くわけにはいかない。
見つからないためには飲み込んでしまうしか方法はないのだが、なかなかその決心もできない。
こんな不浄な物が自分の体内に吸収されていくのかと思うと全身に悪寒が走った。
そうしているうちに、とうとうロイドの方が彼女の異変に気付いてしまった…
「コレット…! おまえ 怪我してるじゃないか……!!」
(いやっ‥!気付かれた……!?)
それは、コレットが男を怒らせてナイフの柄で殴られた時に出来た頬のアザだった。
どう見ても転んで出来るような怪我ではない。
「いったいどうしたんだよこれ!? まさか‥誰かにやられて…」
コレットの肩に手を掛けて問い詰めようとするロイドの言葉が途中で途切れた。
ロイドの脳裏には、この路地の行き止まりでコレットを見つける直前
向こうからすれ違いに歩いて来た一人の男の姿が蘇っいた。
その時はさして気にも留めなかったが、行き止まりからの一本道の所ですれ違ったという事は
少なくともあの男はコレットと遭遇していたという事になる。
───そう言えば、すれ違いざま相手は心なしか自分に馬鹿にしたような視線を向けてきていた気がする……
ロイドは、コレットの様子にもう一つ決定的に不自然な事がある事に気付いた。彼女の笑顔だ。
何か秘密や悩み事を一人で抱え込もうとする時に
コレットは痛々しいような愛想笑いをする癖があることをロイドは知っていた。
今彼女が浮かべているのは 間違いなくそういった作り笑いだった。
「コレット!! いったい何があったんだよっ!! その怪我は誰かにつけられたものじゃないのか!?
それに…何でさっきから一言も喋らないんだよ!? なぁっ!!コレットっ!!!」
コレットの両肩を掴んだロイドの指に無意識に力がこもっていく。彼女にはもう、ロイドの目を見ることができなかった。
それでも必死になって自分の肩を揺さぶり続けるロイドの様子に、コレットはもう隠し通す事は不可能だと悟る────
彼女は酷く悲しそうな顔をロイドに向けたかと思うと、小さく口を開いた。
その直後 彼女の唇の間からとろみ気のあるような液体がじわり、と溢れ
そのまま顎を伝い、ゆるやかな流れでポタポタと地面に滴り落ちていった。
その動きを無意識に目で追っていたロイドの視線も、必然的に地面に向けられた。
(これって……!?)
今しがた幼馴染が吐き出した液体の正体を認識して ロイドは驚愕する。
そこにあったのはコレットの唾液と混ざり合い、ヌラヌラと光っている“雄の精液”そのものだったからだ。
(嘘だろ…? 何で…… 何で‥ コレットがこんなもの……!?)
自分の知っている清純な少女のイメージとあまりに無縁に思えるこの状況にロイドは頭が混乱しそうになる。
それに伴ってコレットの肩を掴んでいた両腕も力をなくして行った。
「ごめんなさい…… ロイド……」
ようやく自由に喋ることが可能になったコレットが言葉を発したのはその時だった。
第一声が謝罪の言葉という事が彼女らしいといえばらしいのだが、それがなんとも物悲しい──
それだけ言い終えたコレットの目尻には 彼女が今日何度も流したどの涙よりも遥かに深い悲しみを宿した涙が滲む。
そして、そのままロイドの腕の中にもたれ込むと、堰を切ったように大声で泣きじゃくり始めた。
「ごめんね…っ! ごめんねロイド……!! 私の事… キライになってもいいから……
今だけ… 今だけはこのままでいさせて… お願い……!」
腕の中で泣きながらしきりに自分に対して謝り続ける少女の様子に、ロイドはやるせない気持ちになった。
いつもこうだ…… 自分は謝られるような事などされていないのに。いや、誤らなくてはならないのは自分の方かもしれないのに。
ここで何があったのかは 大方検討がつく。こんな目に遭わせたヤツを許せない気持ちでいっぱいだったが
それ以上にまたコレットを守る事ができなかった自分の無力さが責めるように重く圧し掛かってきた──
胸元のコレットは泣き止むことなく、それでも狂ったように「ごめん」を繰り返している。
涙で上着が次第に湿り気を帯びていくのを感じる。
ロイドは せめてコレットを抱きしめてやりたいと思い背中に手をまわそうとしたが、
自分にはその資格すらないような気がして 結局彼の腕は彼女を包むことなく虚しく宙を掻いただけだった。
END
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