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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
そして巡る、命は巡る ボロ氏 セレス×ゼロス(ダーク系) 2004/10/22 2004/10/22

おにい…神子様が、御隠れになられた…と、おっしゃるのですね?
お知らせ下さってありがとうございました、今トクナガにお茶でも入れさせますので
神子様の旅の間のお話、もう少しだけお聞かせ下さいませんかしら?
……え、こんな話を伝えに来たのに哀しんでいる様には見えないですって?
そう言われれば…哀しいとは思いませんの。
どうしてかと問われてもどうお答えすればよろしいのでしょう…

そうですわね、どこからお話したらよろしいのでしょうか。
お兄様が来て下さる時はいつも澄み渡る青空。
けれどもその日だけは朝から降り続く雨で波の音さえかき消されそうな、そんな夜の事でした。

コンコン

よそ事に気を取られていれば聞き落としてしまいそうな小さなノック。
「どなた?」
声をかけても返事はありませんでした。
トクナガなら無言等ありえない、護衛の兵士も同じ事。
常ならばドアを開ける事はないはずでした、でもその時だけはどうしても…
わたくしは真鍮で装飾の施されたノブを静かに回し、不調法な来訪者を部屋へ招き入れる事に致しました。

「おにい…さま?」

そう、開いたドアの向こうに立っていたのは神子様でした。
いつものように薄ら笑いを浮かべてはいたけれど
いつもとは違うなにかを秘めた様な顔で。
「どうかなさいましたのですか、神子様?
貴方には世界統合というお仕事がおありになるのでしょう。
こんな所をフラフラしているようなお暇はなかったと思いますけれど?」

ついこんな悪態をついてしまう自分を愚かしいとは思います。
それでもあの時はまだ、全てを許し認める勇気は…わたくしには持ち得なかったのです。
いつもであれば色んな言い訳を持ち出す神子様でした、けれどもその時は一言も口を開こうとはしておりませんでした。
瞳はずっと何かを言いたそうにしておりましたけれど。

「…とりあえずドアを開けたままでは部屋が冷えてしまいますわ、お入りになって。」
入室を促し、ドアを静かに閉じると
その日初めて神子様は言葉を発したのです。

「………表に…出たいか、セレス?」

その時のわたくしは、きっと言葉の選択を誤ってしまったのでしょうね…
今思えばあの時の神子様はすでにお覚悟を決めてらしたのだと思います。

「もちろんですわ」

そのように、言い切ってしまったのです。
他にもっとわかりやすい物言いもあったでしょうに、本当自分が愚かしいですわね。
言ってしまった瞬間の神子様のお顔は忘れる事ができないでしょう。
世界の全てにそっぽ向かれてしまったかのような、全ての肩の荷を捨て去ったかのような。

「そか…そうだな、俺は…やっぱ生まれるべきじゃなかったんだよな…………」

いつもは憎らしい程自信と輝きに満ちた神子様。
そんな神子様が小さく、か弱く見えてわたくしは……
物心ついたときより抑えて来た心を止める事ができなくなってしまったのです。

「神子様、そのような事はありませんわ!
貴方はとてもとても必要でとてもとても…愛おしい、ひと、ですわ…」
そういって、わたくしは神子様の唇を奪って差し上げたのです。
「セ、セレス…?」

わたくしの気持ち等想像さえしていなかった神子様の驚いたお顔がとても可愛らしく思えました。
もっともっと、そんな顔を見せて頂きたくて
はしたないとは知りながら神子様の男性の場所に手を伸ばしてしまいました。

「やめ…セレス…やめろって!」

神子様はわたくしを制止しようとなさいました。
けれどもわたくしの心はもう止まらなくなっておりましたの。

「駄目だセレス、俺にとっておまえは妹、だから…」

その御言葉を聞いた時のわたくしの心持ちがお分かりになりまして?
ずっとずっと、神子様だけしか見ていなかったわたくしの全てを否定された瞬間の心持ちを。
奈落の底に突き落とされそうな気持ちを必死に現実にしがみつかせ
わたくしはこう言ってさしあげたのです。

「わたくしは!貴方を兄だなどと思った事は…一度たりともございません。
わたくしにとって貴方はこの世の全てであり、わたくしに光を齎してくださる方…
愛しています神子様、わたくしは貴方だけを欲しているのです…!」

言いながらも神子様の御自身を愛撫する事は止められませんでした。
ベルトを外し、神子様の御自身を解放して差し上げましたら…そこはすでに屹立なさっておられました。
先ほども申しましたがわたくしにはそういった経験は全くございませんでした。
ですが長きに渡る幽閉生活で読書の時間だけは有り余る程ございましたので…知識でだけは存じておりました。
もちろん男性の御自身など初めて目にするものでしたけれど
恐いとか気持ち悪いとか、そういった感情は全く涌いて参りませんでしたわ。
それどころか、愛しくて愛しくて。
愛しいけれど今までに数多の女性と夜を共にして来たのかと思うと憎しみさえも感じてしまいました…

「お願いです神子様…神子様が数多の女性に注いだモノを、ほんの少しでもわたくしにわけあたえて下さいませ…」

そう言ったわたくしの瞳からは、いつしか涙が零れておりました。
愛しさと、憎しみと、母の記憶。
その全てが混然となりるつぼの中で爆発してしまったかのようでした。

「おまえがどう思おうと…俺はおまえを妹としてしか見る事はできないぜ?」

氷の様に、冷たい声音でした。

「それでも構わないっつーんなら…好きな様に、やってみな…」

それでも良かった、ただ一度でもあの方を繋ぎ止めておけるのなら。
だからわたくしは返答の換わりに、神子様の御自身にそっと口付けを致しました。

「…っ!」
神子様のお身体が一瞬震え、息を飲むのがわかりました。
それって…殿方にとって”感じている”という証拠なのでしょう?
わたくしはとても嬉しくなってしまって…
一生懸命、舌を這わせ神子様が反応される部分を探してしまいました。
本に書いてあったように吸ったり舌先で突いたりもいたしましたわ。
その度にビクンビクンと震える神子様が本当に可愛らしくて愛おしくて…
段々呼吸が荒くなって行き、とうとう御自身の先端から白くて熱いモノを吐き出されました。
本で読んだ通りの事に思わずおかしくなってしまいましたの。
ただ本に書いてあったことと違っていたのは、その白いモノが苦くもなんとも感じなかった事くらいでしょうか。
だってそれも神子様そのものですしね。

一度果てた神子様の御自身はそれでもまだとても固くて熱くて…
わたくし自身も、我慢ができなくなってしまいました。
お恥ずかしい話ですけれども
その時にはわたくしの女性の部分にも内側から押し寄せる様な熱に溶ける様な快感が押し寄せて来ていました。
体は焼ける様に熱く衣服を脱ぎ捨て
神子様の御自身に自らわたくしを宛てがい、一気に腰を落としてしまいました。
本によれば破爪の瞬間というのはとっても痛くて泣叫んでしまうものとあったのですが
不思議な事に痛み等感じてはおりませんでした。
ただ神子様と一つになれたという歓びの感情だけがわたくしを支配していたせいかもしれませんね。

わたくしの体をドロドロに溶かしてしまいそうな熱さが内側から突き上がり
初めてなのにわたくしったら、腰を動かしてしまいましたのよ?
これって不思議な物ですわね…種に刻まれた本能という物なのでしょうか。

話を戻しますわね。
その突き上げる快楽にわたくしの動きはどんどん激しくなってしまい
もう頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなってしまいました。
その後の事はよく覚えてはいないのですけれど…
身体の中心を、最大級に熱い何かが突き抜けていったような気がいたしました…
気を、失ってしまったのです。

目を覚ました時には神子様の御姿はどこにもありませんでした。

…え、何の話をしているのかって?
ああ申し訳ございません随分と話が逸れてしまいましたわね。
そうそう、神子様が御隠れになられた事実がどうして哀しく無いのか、というお話でした。
哀しむ必要なんかどこにもありませんのよ?
だって神子様は…ここにいらっしゃるんですもの。
そう、ここですわ、どうぞ触ってくださって構いません。

わたくしのお腹の中で、もういちどこの世に生まれ出る準備をなさってらっしゃるんですのよ。

だから哀しくなんてありませんしロイドさんを憎む気持ちもこれっぽっちもありませんわ。
今度こそわたくしは神子様を、心から愛し愛される神子様をこの手に入れる事ができたんですもの。
ああ、お茶がすっかり冷めてしまいましたわね。
今トクナガに新しいお茶を用意させますわ…あら、お帰りになられますの?
ちょっとお顔の色が悪くていらっしゃいますわね…長々とお引き止めして申し訳ありません。
いつでも遊びにいらして下さいませね、ロイドさんはわたくしと神子様の恩人なのですから。


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